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「QuinRose」
アリスシリーズ(パラレル設定)

ウサギの王子(なんちゃって御伽話、ペタアリ)

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 ある美しい庭に住んでいた一匹の白ウサギが、そこに迷い込んだ人間の王女様に恋をしました。
 そこから、お話は始まります。


 白ウサギはウサギの国の末王子、名をペーター。
 美しい白の毛並みと長い耳、赤い瞳を持った、兄弟王子の中でも一番美しい王子でした。・・・・・・極度の潔癖症で冷酷、と性格には多少の難がありましたが。
 そんな王子が恋を知り、心を奪われてしまったのですから、さあ大変。
 人間の王女を好きになったペーターは、彼女のほかに何も考えられなくなってしまいました。

 どこか寂しそうな王女を影からこっそり見つめ続けたり、ウサギの姿で近づいて優しく抱きしめられたりするだけでは物足りなくなった彼は、ついに森の魔女の元を訪れてこう頼みました。


「僕を人間にしてくれませんか。どんな代償も払います。彼女の傍に、もっといたいんです」


 恋に狂ったウサギを面白そうに見つめ、魔女はにんまりと笑って言いました。

「いいだろう。ただし、いくつか条件がある。まず、人間となったお前の足は、歩くたびに千の刃の上を歩くほどの苦痛を与えるだろう。そして、お前は王女に愛されなければならない。もし王女が違う男を選んだならば、お前は朝日と共に泡となって消えてしまうだろう。それでもいいか?」
「ええ、構いません。彼女の傍にいられるならば」
「では、代償としてお前の声をもらおう」

 こうして魔女と取引をしたペーターは、人間となる薬を手に入れました。早速それを飲んだところ、全身に鋭い痛みが走り、彼は思わず意識を手離してしまいました。
 彼が目を覚ましたとき、そこはなぜか王女といつも会う美しい庭でした。そしてペーターの目の前には恋焦がれた王女が心配そうな顔で彼を見つめていたのです。
 声をなくしてしまったペーターを気の毒に思った王女は、彼を城まで連れて行って自分の世話役として引き取ることにしました。
 ペーターは望み通り、姫と一緒にいる日々を手に入れたのです。



 そうして幾日もの月日が流れました。

「ペーター、ここでの生活には慣れた?」
『ええ、アリスがよくしてくれるので。僕はアリスさえ傍にいてくれれば、それで幸せです』
「・・・・・・・・・そう」

 彼は賢いウサギでした。言葉を話すことができなくとも、紙や地面に文字を書いて、王女とたくさんの話をすることができました。

 例えば、王女の名前はアリスということ。
 例えば、王女は恋愛が苦手だということ。
 例えば、素直じゃない王女がとても寂しがりで優しい性格だということ。

 アリスのことを知るたびに、ペーターはますます彼女に惹かれていきました。けれどそれを言葉にすることはできません。もどかしさを埋めるように、ペーターは常にアリスに付いて歩きました。
 初めは体全体で愛情を表現してくるペーターにうんざりした顔を見せてもいたアリスも、次第にそれに慣れ、心を許していくうちに、彼を受け入れるようになっていきました。

「ペーター、あなたは・・・・・・私の傍に、いてくれるわよね?」
『ええ、アリス。貴方がそれを望むのなら。僕はいつだって、貴方の傍にいます』

 気が付かないうちに、小さな恋が芽生え始めていました。
 美しい庭、のどかな昼下がり。
 ひとつひとつ、思い出を積み重ね、二人は幸せな恋に巡りあうはずでした。
 ・・・・・・アリスが見ず知らずの相手との政略結婚を承諾するまでは。



 アリスが異国へと嫁ぐ前夜、あの魔女がペーターの元へとやってきました。
 魔女は哀れなウサギをせせら笑った後、彼に短剣を差し出してこう告げたのです。

「この短剣で王女を刺し、その血を浴びればお前は元の姿に戻ることができる。意に沿わぬ婚姻の男に王女を奪われたまま泡となって消えるか、永遠に王女を自分のものにして生き延びるか・・・・・・好きなほうを選ぶがいい」

 彼は少しも迷うことなく、自分が消える道を選びました。
 短剣を捨て、アリスに別れの手紙を残し、思い出の庭で静かに消えることを決めたのです。
 ペーターにとって、アリスの存在自体がすべてで、後はどうでも良いことでした。アリスを殺すなど、とても考えられないことでした。
 どんな目に遭おうとも、ペーターはアリスを心から愛していたのですから。

 いよいよ朝日が昇ろうという、その時でした。
 眠っていたはずのアリスが、ペーターの手紙を片手に彼を追いかけてきたのです。
 アリスは目を丸くして固まっているペーターに、まず問答無用で平手打ちを食らわせました。そして困惑し呆然とするペーターにすがりつき、ぼろぼろと大粒の涙を流しました。

「なにが・・・・・・・・さよなら、よ・・・・・・・!!」
(アリス・・・・・・?どうしたんですか、どうして、泣いているんですか!?なにか悲しいことがあったんですか!?)
「傍にいてくれるって約束したじゃない。いきなり実はウサギでしただの、魔女と取引して人間になりましただの、意味のわからないことばっかり言って・・・・・・・・・そんなのどうだっていいのよ!!あんたが誰だろうとどうだっていい!!ペーターはペーターじゃない・・・・・・・・」

 ペーターはアリスへの手紙にすべてを書き残していました。彼がウサギであることを捨てた理由と、アリスの傍にいられた幸せと、それまでアリスに迷惑をかけたという謝罪。
 そして・・・・・・・・・幸せになってください、という言葉。


「幸せになってほしいなら、さよならなんて言わないでよ!!!」


 そう叫んだアリスを驚いたような目で見つめ、次の瞬間にペーターはアリスを力いっぱい抱きしめていました。
 肩口に顔を埋めた表情は、今にも泣き出しそうでした。



「好きです」



 初めて聞く声に、アリスは目を瞬かせました。
 小さく震え、それでもハッキリと耳に届いた真っ直ぐな言葉。
 そのことに驚いたのは、アリスだけではありません。ペータも思わず体を離し、目を丸くしてアリスを見つめていました。

 朝日がゆっくりと庭に差し込み始めます。美しい庭に育った草木が朝露を零し、きらきらと涙のように光っていました。
 その光に照らされて見えたのは、泡となってしまったペーターではなく・・・・・・頭のてっぺんに白いウサギの耳が生えただけの、人の姿をしたペーターでした。


「・・・・・・なんだ、あんた本当に、ウサギだったのね」


 涙の溜まった瞳で、アリスはそう微笑みます。
 ペーターは再び彼女を抱きしめました。小さく震えるその背中を、アリスも優しく抱き返しました。

「ええ。僕はウサギです。それでも・・・・・・・・・アリスは、僕を望んでくれるのですか?こんな姿の僕で、あなたとは違うけれど・・・・それでも・・・・」
「・・・・・・・・・望んだら、傍にいてくれるの?」
「貴方の望み通りに。絶対に・・・・・・・・離れたり、しません」

 切なく芽吹いたこの恋が、祝福されぬものと二人は知っていました。
 それでも構いませんでした。ハッピーエンドと必ずしも言えるものではないかもしれませんが、お互いの傍にいられるのなら、二人にはもうそれだけでよかったのです。



「なら・・・・・・・・傍にいて」



 昔むかし、あるところに。
 白ウサギの王子様と国を捨てた人間の王女様が、二人だけの庭で、幸せに暮らしていましたとさ。





おしまい
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