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「ネオロマ」
遙かシリーズ

常世夫婦のある一日(遙か4、アシュ千)

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 言おうと決意したはいいものの、当人を目の前にして千尋は言い出せずにいた。
 簡単なことだし、自分達の関係を考えたら伝えたっておかしくはないことだし、日々がどうなるか知れない戦が終わって平和になった今、話題に出してもよさそうなものだ・・・・・・・なんてわかっているはずなのに。


「あ、あのっ、アシュヴィン!!その、は、話が・・・・・・・ある、んだけど」
「なんだ、改まって。」


 訝しげに顰められた赤銅色の双眸に見つめられ、さらに口ごもってしまう。
 平和になったとは言え、皇となったアシュヴィンは忙しい日々を過ごしている。后妃として自らも動く千尋とはすれ違うことも多く、今日だってこうして一緒に時間を過ごすのは三日ぶりだ。
 だから今のうちに伝えなければと思ったのだが・・・・・・・・・気恥ずかしさやらなんやらが一気に押し寄せて、どうにもスムーズに伝えられない。顔中に熱が集中するのを感じ、もう今夜は話すのをやめておこうかなんて弱気な気持ちが浮かぶのを振り払うように、半ばやけになって千尋はそれを口にした。



「し、寝室を一緒にしませんか!!??」



 ・・・・・・・・数秒の沈黙が落ちた。

「いや、だからその、私達って、ふ、夫婦、だし・・・・・・・いつまでも寝室が別々なのも、余所余所しいっていうか・・・・・・・・・べ、別にわざわざ一緒にする必要なかったら言ってくれてもいいから!!ただ、その、忙しくてあんまり会えないから・・・・・・・・せめて帰ってきた時に同じ部屋に戻ってきたら、会える機会も増えるかなって・・・・・・・・・その・・・・・・・・」

 下を向いたまま言い訳めいたことを述べてみる。
 そう、ただちょっと思っただけなのだ。夫婦となってもう二ヶ月ほど経つのに、未だに千尋とアシュヴィンは違う部屋で寝起きをしている。初めて常世の国に来た時、まだアシュヴィンの気持ちを認識しきれていなかった千尋を気遣って、アシュヴィンが寝室を別々にしてくれたのはわかっているが・・・・・・・・・お互い気持ちが通じ合った今になっても、アシュヴィンが寝室を一緒にしようと計らうことはない。
 それが寂しくもあり・・・・・・・・不安、でもあったりしたから、思い切って千尋の方から提案してみたのだけど。

(・・・・・・・・・呆れさせちゃったかな?)

 未だに黙ったまま、動く気配も見せないアシュヴィンにさすがの千尋も泣きたくなる。
 いつも先手を打って行動する彼のことだから、言い出さないのにも何か理由があるのかもしれないと感じていた。飽きられたのかもしれないし、別の妃を娶るつもりなのかもしれない。皇となったアシュヴィンに、あちこちから側室にと縁談が舞い込んでいることは千尋も知っている。
 漠然としていた不安が形を作り始めると、急に千尋は勢いで寝室を一緒にしようなどと提案したことを後悔した。側室を娶るつもりだから寝室を一緒にする気はない、などとアシュヴィン本人から言われたら、立ち直れる気がしない。

「あの、やっぱり今の・・・・・・・・」

 なし、と明るめの声を意識して言いかけた言葉が消える。
 ふわりと抱き寄せられ、温かい腕の中に閉じ込められる。視界が闇に、穏やかで優しい闇に埋め尽くされる。



「・・・・・・・・・・俺に毎晩抱かれる覚悟でもついたのか?」
「なっ!?」



 耳元で囁かれた物騒な言葉に慌てて顔をあげれば、アシュヴィンがいつも千尋をからかう意地悪い笑みを浮かべていた。
 真っ赤な顔で固まったままの千尋を面白そうに眺め、けれどその瞳はどこまでも甘くて優しい。

「クッ・・・・・・・・・ははは、冗談だ。俺の后は何を想像したんだ?随分と真っ赤になっていらっしゃるが」
「あ、アシュヴィンが変なこと言うからでしょう!!??」
「俺を動揺させてくれたお前に、ささやかな意趣返しだ。まったく、改まって話があるとか言うから何かと思えば・・・・・・・・・随分可愛らしいお願いだな」

 軽く音を立てて額に落とされた口付けに、千尋は言いかけた文句を飲み込む。無言で恨めしそうな視線を向けると、ますます楽しそうな笑みが深まった。
 が、すぐにアシュヴィンは笑顔を消し、真剣な表情を見せた。

「・・・・・・・・本当にいいのか?」
「え?」
「俺は・・・・・・・お前が本当に俺と生涯を共にすると決めたなら、その時こそ本当の夫婦になろうと決めていたんだ」

 視線を少し外し、アシュヴィンは淡々と紡ぐ。
 千尋はそれを何度か見たことがあった。戦で兵が多く犠牲になった時、師であったムドガラが死んだ時、父親を黒龍ごとその手で消滅させた時・・・・・・・・・自分の感情を押し殺さなければいけないとき、アシュヴィンはこんなにも無表情になる。

「どれだけお互いに気持ちがあろうとも、お前との結婚が政略結婚だったのは事実だ。今はまだ戦後のゴタゴタのおかげで協力関係が持続しているが、これから先、中つ国が力を取り戻した頃にどうなるかはわからない。千尋、お前は中つ国唯一の王族だ。難癖をつけてでもお前をあちらに呼び戻し、王と仕立て上げようと画策する奴がいないとは言い切れない。俺とお前が・・・・・・・再び敵対することだってありうるだろう」
「・・・・・・・・・・・怖い?」
「うん?」
「そんな日が来るのが、アシュヴィンは怖いの?」
「・・・・・・・・・俺の后は随分と厳しい質問をする」

 くくっと押し殺したように笑い、彼は赤銅色の瞳を真っ直ぐに千尋に向ける。
 それはいつかの・・・・・・・・・笹百合の谷で過ごした時間、敵だった千尋に見せた不思議な柔らかさとよく似ていた。


「そう、だな・・・・・・・・・・怖いのかもしれない。お前と離れるのが・・・・・・・・再び相対することが・・・・・・・・今の俺には、こんなにも・・・・・・・・」


 アシュヴィン、と呼びかけた名前は、柔らかく重ねられた唇に飲み込まれる。
 いつもなら遠慮なく千尋を翻弄する唇が、今日は優しく触れて離れるのを何度となく繰り返す。

「今なら、まだ。例えお前が、中つ国に戻ることを・・・・・・・俺と離れることを決めても・・・・・それがお前の決めた道ならば、まだ手放せる。だが、もしも・・・・・・・・・これから先、どんなことがあっても俺から離れないと言うのなら・・・・・・・・!?」

 少し離れた唇を、今度は千尋自らが引き寄せて重ねる。
 滅多にない行動に戸惑っているのか、いつもよりずっと無防備な表情の彼に笑いかける。もう、千尋の心はずっと前から決まっていたのに、気がついてくれなかった夫への、ほんのちょっとの仕返し、だ。


「私は、常世の国の皇アシュヴィンの后妃です。あなたに嫁ぐことを決めた、その日から」
「・・・・・・・千尋・・・・・・・」
「この身はすでに、あなたのもの。この心は、あなたのもの。あなたの愛する国が、今の私の故郷だよ。私は、ずっとあなたの傍にいたい」


 「中つ国唯一の王族」という鎖が千尋を縛りつけるのは、今でも同じこと。アシュヴィンが常世の国を見捨てられないように、千尋も中つ国を完全に見捨てることはできないだろう。アシュヴィンが思う未来は、間近にあるのかもしれない。
 それでも、心から願うことは望むことは・・・・・・・・・・アシュヴィンの、愛する夫の傍にいること。
 千尋を抱き寄せたままの腕にぐっと力がこもる。胸元に押し付けられて、アシュヴィンの顔は見えないけれど、痛いくらいの抱擁が今の千尋には何だか嬉しい。


「・・・・・・・・どんなにお前が望んでも、手放してやれないぞ?それでもいいのか?」
「手放さないで。むしろ、アシュヴィンが手放そうとしても、私が絶対に離れてあげないんだから」
「クッ、それはまた・・・・・・・・怖いことだ」
「嫌になった?」
「まさか。ますます惚れ直したさ」


 腕の力が弱まり、顔をあげかけたところで自然な動作で顎をつかまれる。
 そのまま「彼らしい」遠慮ない口付けをされ、千尋は合間に小さく笑った。



「・・・・・・・・・・・もう少し落ち着いたら、結婚式をやり直そう。二人だけで・・・・・・・本物の夫婦になった証に」



 名残惜しく離れた唇の合間、そっと囁いたときの彼は。
 今まで千尋が見たことのない、甘く優しく・・・・・・・・幸せそうなものだった。





終わり





~おまけ~

「あ、ところで寝室はどうするの?」
「本物の夫婦となったことだしな。俺はすぐにでも一緒にして構わないが・・・・・・・・いいのか?苦労するのはお前だぞ」
「へ?」
「・・・・・・・毎晩、はきつかろう?」
「なっ、そ、その冗談には乗らないんだからねっ!!」
「冗談、ね・・・・・・・・・俺は半ば本気だったんだが」
「へ!?」
「さて。そうと決まれば早速、俺の部屋にお前の私物を運んでおくように手配しておこう。夫婦の寝室は、俺の使っている部屋でよかろう?」
「え、ちょ、ちょっと待って!!??嘘だよね、冗談だよね、ま、毎晩とか・・・・・ちょ、アシュヴィン!!!???」

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