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「ネオロマ」
遙かシリーズ

許さないから(遙か4、那→千)

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 つかんだ僕の腕を振り払った手の温もりが。
 どこか悲しみと諦めを含んだ蒼の瞳が。
 僕を見て微かに笑ったその顔が。



 離れない。





 波音がさざめく。穏やかに、規則正しく。
 臙脂色の空に照らされた海は、きらきらと眩しく光って目に痛い。なのに目を離せない。その金色の光の中に、同じ髪色をしたあいつの姿が現れるような・・・・・・・・・そんな馬鹿馬鹿しい幻想を、捨てきることができない。
 禍日神を消し去り、神を殺した代償として千尋が姿を消してから1週間ほど経った。周りのやつらが千尋の生還を諦めていく中、僕だけがまだ千尋を探し続けている。


「那岐、またここだったんですね」


 ためらいがちにかけられた声に振り返ると、いつもの食えない微笑を哀しげに歪めさせた風早が立っていた。
 腫れ物を触るように、周りのやつらは僕に接する。同情の入り混じった視線で見つめ、何度も「諦めろ」と諭す。それはひどくうっとうしくて腹の立つものだったけれど、今はそんなことにいちいちツッかかる気もおきない。

「・・・・・・・・・・・なに」
「そろそろ戻った方がいい。日も暮れてきましたし・・・・・・・・一応、那岐は中つ国の新王ということになっているのですから」
「王になるべきは千尋だよ、僕じゃない」

 撥ねつけるように返すと、風早はますます困ったような顔をした。
 だけど本当のことだ。僕は王ではなく、贄として生きる運命にあった存在。王となる運命にあったのは、今は消えてしまった千尋だ。僕じゃない。

「那岐、気持ちはわかります。俺だって千尋はきっと帰ってくるだろうと信じています・・・・・・・だけど、それがいつになるのかはわからない。黄泉路はこの世界と時間の流れも何もかも違う。そんなに自分を追いつめて探し続けていたら、千尋が戻る前に君がダメになってしまう」
「・・・・・・・わかってるよ」
「わかってるなら、少しは休んでください」
「嫌だね」

 那岐、と少し咎めるような声で名前を呼ばれる。無視して歩き出そうとした腕を、痛いくらいの力で引っ張られた。
 本当・・・・・・・どうしてこうも、僕の周りにいるやつはお節介ばっかりなんだろう。だけどその中でもお節介だったやつは・・・・・・・・・うるさいくらい付きまとって、気がつけば僕の隣にいて気楽な笑顔見せていた千尋は、ここにいない。

「・・・・・・・・痛いんだけど」
「ここ1週間、ろくに寝食もしていないでしょう。自分がひどい顔色しているの自覚していますか?」
「僕の勝手だ。あんたに関係ない」

 そう、関係ないことだ。誰にも関係ない。
 僕がそうしたいと思ったから、そうしているだけ。じっとなんてしていられない。何もしたくない。

「・・・・・・・・・・今の那岐の姿を見たら、千尋が悲しみます。千尋がそんなことを望んでいると思っているんですか?」
「千尋の気持ちなんて、考えてやらない」

 思ったよりずっと冷たい声が出た。
 驚いたように目を丸くする風早を睨み、一瞬力の弱まった腕を乱暴に振り払う。
 この浜辺で、同じように千尋に手を振り払われたときから、千尋が僕だけ残して消えることを選んだときから、心に決めたことがある。


「悲しめばいいよ。死ぬなとか僕に偉そうに言っときながら、自分はひとりでいなくなったりしてさ・・・・・・・勝手すぎるだろ。千尋は僕の気持ちなんて、これっぽっちもわかってないんだ。そんな勝手なやつの気持ちなんて、考えてやらない」


 いくら邪険に扱っても、突き放しても、千尋はいつだって気がつけば僕のところに来る。僕の気持ちなんてお構いなしに、危険なことや面倒事に飛び込んできて・・・・・・・・
 誰かを大切になんて、思いたくなかったのに。
 大切な人を失う怖さを、もう二度と味わいたくなかったのに。

 ねえ、千尋。なんであの時、僕も一緒に連れて行ってくれなかったんだよ。
 せめて僕だけでも助けようと思ったって言うなら・・・・・・・それ、すごく残酷なことだったって、千尋はわかってるわけ?
 ・・・・・・・・・僕は、千尋がいるなら、それだけでもういいって思えるくらい。
 千尋が誰よりも大切だったのに。
 ひとりでまたこの引き裂かれるような痛みを抱いて、世界に取り残されるくらいなら・・・・・・千尋と消えてしまえた方がずっと幸せだったのに。



「僕は、僕を置いて消えた千尋を許さない」



 だから、僕は千尋を探し続けるよ。
 死反しの勾玉もなしに再び黄泉路から帰ってくるなんて、いくら王族でも可能性の低いことだってわかってる。それでも僕は、千尋がいつかあの能天気な笑顔を浮かべて、僕の名前を呼んでくれるような気がしてならない。魂のどこかが、まだ繋がっているような・・・・・・・・そんな温かみが、諦めを許してくれない。
 その声で答えてくれるまで、何度も何度も名前を呼ぶよ。
 千尋がいたら心配で泣き出すほど、心や体がボロボロになったとしても・・・・・・・探し続ける。やめて、なんて聞いてあげないよ。僕はもう、千尋のことを考えてやらないって決めたんだから。

 そうだな・・・・・・・でも・・・・・・・・・・帰ってきてくれるなら、ちょっとくらい許してあげたっていい。
 その代わり、千尋がこの腕に戻ってきてくれるなら、もう絶対に離したりしない。



 だからどうかどうか、千尋。
 この声が聞こえるならば。

 帰ってきて。





終わり
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