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「QuinRose」
アリスシリーズ(パラレル設定)

ネズミの恩返し(なんちゃって御伽話、ピアリ)

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 むかーしむかしのことでした。
 人里離れた山に、性根の真面目な少女がひとりで暮らしておりました。名をアリスといいます。機織をして作った反物を、遠く離れた村まで売りに行って、どうにかこうにか生計を立てていました。

 ある日、アリスが反物を売りに山を降りていた時のことです。雪深い山の中、狩猟用の罠にかかって逃げられなくなっている一匹のネズミを見つけました。
 それは普通のネズミより大きめで、尻尾も長く見事な茶色の毛並みをしていました。パッと見はイタチのようにも思えたほどです。・・・・・・しきりに「ちゅうちゅう」と鳴いていなければ、ネズミと気が付きませんでした。
 ネズミは苦手でしたが、翡翠色の潤んだネズミの瞳を見ているうちに、アリスはなんだか可哀相に思い、そのネズミを逃がしてあげました。

「はい、これでよし。もう捕まっちゃダメよ?」

 そう言うと、ネズミは返事をするかのようにひとつ「ちゅう」と鳴いて、そのままどこかへと消えてしまいました。


 それからしばらくが経った、ある吹雪の晩のことです。
 ドンドンドンと激しく扉を叩く音に、アリスは驚いてそちらへ目を向けました。
 夜もすっかり更け、風と雪が音を立てて荒れ狂っているような天候の中、こんな山深くにある家を訪れる人なんて滅多にいません。

(もしかして、この吹雪の中で迷った人かしら?それなら、一晩くらいは泊めたって・・・・・・・・)

 そんなことを思いながら恐る恐る扉を開けてみると、そこには一人の少年が立っていました。
 アリスより少し年下か同い年の、かわいらしい顔立ち。緑色のクリッとした双眸が、やたらとキラキラした光を宿してアリスを見つめていました。
 そしてそんなかわいらしい少年の頭には・・・・・・・・なぜか、ふわふわの茶色い毛で覆われた、熊のような獣耳。


「あ、あのねあのね!吹雪で道に迷っちゃったから、一晩・・・・・・・・」
「おひきとりください。」


 ぴしゃっと扉を閉め、アリスは何事もなかったかのように再びお茶をすすりました。
 外からどんどんと扉を叩き続ける音がしますが、あんなものは吹雪の音だとしらんふりを決め込みます。獣耳の生えた男なんて、ここには訪ねてきていないはず、そうに違いないはずです。

「ええええええええ!!?どうして扉を閉めるの!?ねえ開けて、開けてよう!!」
「うるさいわねっ、私は事なかれ主義なのよ!いくら外が吹雪とはいえ、いかにも怪しい男を家に泊まらせるわけないでしょう!?」
「怪しい!?俺、怪しくないよ!?怪しくないネズミだよ!」
「自分のことをネズミって言ってる時点で怪しいわよ!!」
「俺は君に恩返ししにきただけだよ、怪しくなんてないよ!!開けてよ開けて、お願い!!」

 ・・・・・・結局この押し問答の末、アリスもついに根負けし、少年を家へとあげることになったのでした。



 吹雪は一晩では終わらず、二晩、三晩と続きました。さすがに大荒れの天候の中をあっさりと追い出すのも気がひけ、アリスはしばらく少年を泊めてあげることにしました。
 押しかけ状態でやってきた少年は、ピアスと名乗りました。驚いたことに彼の頭に生えた獣耳や腰のあたりからひょいと覗く茶色い尻尾は、本当に生えているものだったのです。信じられないことではありますが、アリスも実際に引っ張って確かめてみたのですから間違いはありません。
 彼はよく「恩返しをしにきた」だの「ちゅう」だのを口にし、何かとアリスの手伝いをしようとしてくれていました。

(・・・・・・これはアレかしら。たまーに昔話なんかである、動物の恩返しモノ的な・・・・・・)

 アリスは頭の良い娘で、ついでに勘も鋭い娘でした。
 動物が人間に化けて・・・・・・など作り話と思っていましたが、それっぽい存在が目の前にいるので否定もしきれません。ネズミらしきものを助けた覚えもあります。

 さて、このピアス。
 恩返し、と称しては実に甲斐甲斐しくアリスの手伝いをしてくれます。して、くれてはいるのですが・・・・・・正直、ほとんど役には立ちませんでした。
 薪を割らせれば自分の腕を危うく切り落としそうになるわ、食事は台無しにするわ、機織の糸は絡ませるわ・・・・・・まともにできるのは、掃除くらいなものでした。

 そうしてピアスとのドタバタな生活が四日目となった晩のことです。


「アリス、俺をお嫁さんにして」
「は?」


 唐突な言動には慣れつつあったアリスも、これには固まりました。
 なんの脈絡もなく求婚されたのだから、当然ともいえるでしょう。

「ねえねえ、お嫁さんにしてよ~~~~~~」
「・・・・・・いやよ。大体ピアス、あなた男の子でしょう」
「??男の子はお嫁さんになっちゃダメなの?じゃあ旦那さんでもいいよ!」
「そうじゃなくて。ていうかなに、突然。なんで私と結婚したいとか言い出したの」
「突然なんかじゃないよ。俺、ずっと考えてたんだ。俺ね、アリスに恩返ししたいんだ」

 翡翠の瞳を真剣に輝かせ、ピアスはアリスに詰め寄りました。
 真っ直ぐで純粋な瞳。彼の瞳は綺麗だと、いつも思わずにはいられません。

「お嫁さんか旦那さんになれば、ずっと一緒にいられるんでしょう?そうしたら、アリスに恩返しすることが見つかると思うんだ!ネズミの俺にも、できること!」
「・・・・・・そお」
「うんうん、そうなんだ!あ、でも気をつけなくちゃダメなんだ。アリスに俺の正体がバレちゃったら、一緒にいられなくなっちゃう。俺はネズミだから、正体バレたら嫌われちゃう・・・・・・ネズミって嫌われ者だから、離れなくちゃ」
「・・・・・・・・」

 自分で言う分には、問題ないんだろうか。
 ついそんなことを思いましたが、あえて指摘はしませんでした。無垢な瞳の・・・・・・少々おバカなネズミは、自分が思いっきり正体をバラしていることに気が付いていないに違いありません。

「・・・・・・結婚なんて嫌よ。お嫁さんも旦那さんもナシ」
「ええええええええええええええ!!!??」
「第一、私はピアスにもう恩返ししてもらっているわ」

 だからいらない、と告げればピアスはきょとんと目を瞬かせました。
 その表情にアリスは笑いかけます。ピアスには絶対わからないでしょう、気付かないでしょう。アリスは、ピアスが来てから表情豊かになったことを。
 彼の持ち前の明るさや空気を読まない言動に振り回されつつ、それでも楽しいと思えること。誰かが傍にいる安心感が、どれだけ胸を温かくするか。ずっと一人暮らしを続けていたアリスに、他人の温もりを教えてくれたのはピアスだったのです。
 これを恩返しと言わないのであれば、他に何があるでしょう。


「え、俺って恩返ししてたの!?いついつ!?いつ恩返ししたの!?」
「さあ。自分で考えたら?」


 頭を抱えて必死で考え込むピアスを横目に、アリスは振り続ける雪をちらりと見つめました。
 もうすぐ吹雪も終わるでしょう。だけどピアスはもっといさせてくれと言うに違いありません。恩返しの答えがわかるまで、彼はきっとアリスの傍を離れたがらないはずです。
 彼の目的は、「恩返し」なのですから。

(貴方の正体がネズミだろうとなんだろうと、なんだっていいわ)

 知らないふりをしてあげる。見ていないふりをしてあげる。
 いつまでもここに、いてくれるなら。



 一途でおバカなネズミの恩返しは、まだまだ終わりそうにはありません。





おしまい
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