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 ←五章 鳳仙花 後編 →許さないから(遙か4、那→千)
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「QuinRose」
アリスシリーズ(パラレル設定)

ディーとダム(なんちゃって御伽話、双アリ)

 ←五章 鳳仙花 後編 →許さないから(遙か4、那→千)
 昔々、ある森にディーとダムという双子の兄弟がいました。
 彼らの母親は早くに亡くなり、父親は木を切ってそれを薪にして売りながら何とか生活を立てていました。
 双子も幼い頃から父を手伝い、斧を振るっていましたが、彼らは子供特有の気まぐれを発揮してしょっちゅうサボってばかりいました。おまけにディーは休憩好き&ダムは守銭奴で、やれ子供にはたっぷり遊ぶ時間を与えろだの、やれ手伝ったんだから給料よこせだの・・・・・・性格に非常に難がある、いえいえ、いまどき珍しい勤労条件を知り尽くした賢い子供達でした。

 そのせいもあって、どんなにがんばっても家は貧乏のまま。
 それでも、まあまあ平凡な暮らしを送っていたある時、父親が再婚しました。

 継母は貧乏な生活に慣れていませんでした。
 それに常に斧を持ち歩き、危険な罠をしかけては森の動物達(たまに間違って森に迷った人とか)を狩るほうが得意だと無邪気に笑い、容姿がそっくりなディーとダムを薄気味悪く思っていました。
 ついに我慢の限界を覚えた継母は、父親を説き伏せ、双子を森の中に捨てようと画策しました。
 別に家に未練のなかった双子ですが、後からきた人間に追い出されるのは腹立たしいものです。双子は捨てられそうになる度に機転を利かせ、家に無事帰り着いてみせました。


 しかし、月もほとんど見えない晩のことでした。
 二人は森の奥深く、ついに置き去りにされてしまったのです。


「・・・・・・お腹がすいたよ、兄弟」
「僕もだよ、兄弟。やっぱりさっきのパンの欠片、目印になんか使うべきじゃなかったよ・・・・・・・」

 ひもじそうな二人の子供の声が、夜の森に響きます。
 通ってきた道すがらに落としてきたはずの、昼食用のパンの欠片。どうやら鳥にでも食べられてしまったらしく、いくら目を凝らしてもそこに目印は見当たりません。
 双子はそろって悲壮な溜息をつき、あてどもない暗い獣道をさ迷い歩いていました。

「別に夜目が利くから迷ってもどうにかなるけど・・・・・・夕食なしっていうのは痛いなあ」
「ね。最近はろくな食事にありつけてないし。いっそ狼とか熊でも出てくれないかなあ・・・・・・サクッと倒して、火であぶって食べるのにさ」
「それなら狼より熊の方がいいよ。量があるしね。本当はウサギとかの方がまだ味がおいしいけど・・・・・・出てこないかなあ、狼とか熊とか」
「おなかすいたあ・・・・・・・・」

 ・・・・・・・・親に捨てられて夜の不気味な森を子供二人だけで歩いているとは思えない会話を交わしつつ、双子はてくてくと森の奥へと進んでいきました。
 どれほど歩いたでしょう。もうすっかり空も白み始め、いい加減双子の空腹もピークに達してきた頃です。
 ふと、遠くに見える小ぶりながらも家らしき影と鼻をくすぐるおいしそうな甘い匂いに、双子は足を止めて顔を見合わせました。

「あんなところに家があるよ、兄弟」
「そうだね、兄弟。こんな森の奥に人が住んでいるなんて、ちょっと妙な感じがするよ」
「とりあえず行ってみようか。なにかさっきからおいしそうな匂いもするし・・・・・・・・」
「うんうん。人がいたら、何か食事をご馳走させてくださいってお願いしてみよう?子供のお願いをタダで聞けないような人なら、そんな悪い大人、斬っちゃってもいいし」
「だね。こんなひもじい子供を見捨てるような悪い人がいるなら、消しちゃった方が世の中のためだしね!」

 物騒このうえない決断をした後、双子は一目散に家に向かって走っていきました。
 そこにたどり着いたとき、双子は思わず目を瞬かせました。なんとその家はお菓子でできていたのです。
 屋根瓦は板チョコ、壁はかすてら、窓ガラスは氷砂糖、扉はクッキーでできています。見るからにおいしそうで、かつ芸術的とも言える立派なお菓子の家が、そこにはありました。


((あ、あやしぎる・・・・・・・・・!!))


 空腹とは言え、これにすぐ飛びつくほど双子もバカではありませんでした。
 確かにおいしそうです、おいしそう・・・・・・・・ですが、ツッコミどころが多すぎて、もはやなんとも言えません。
 こんな森深くにお菓子の家・・・・・・毒でも入ってるんじゃないか、と疑うほうが自然です。

「・・・・・・そういえば聞いたことがあるよ、兄弟。この森には魔女が住んでいて、迷った子供を捕まえては食べるんだって噂」
「ああ、魔女・・・・・・それならこのいかにもな怪しげな家にも納得できるね、兄弟」
「そういえば僕、魔女を見たことがないよ」
「僕もだよ。見てみたいなあ・・・・・・本当に怪しげな薬を作ったりしているのかなあ」
「魔女の薬・・・・・いいね、希少価値がついて高く売れそうな感じ。それに魔女狩りって報奨金が出たりするんだよね・・・・・・」
「おおっ、いいねいいね。じゃあ、こっそり忍び込んで・・・・・・・」
「誰かそこにいるの?」

 不意にがちゃりとクッキーのドアが開き、黒いローブを纏った女がひょっこりと顔を出しました。
 双子より少しだけ年上の若い顔立ち、ブルーグリーンの瞳、長い栗色の髪。
 予想外の「魔女」の姿に、双子は思わず固まりました。



 さてさて、この魔女。名をアリスと言いました。
 師匠だった魔女が亡くなり、このお菓子の家ごと森一帯の権限をもらった年若い魔女です。
 先代はお菓子の家を利用して子供を誘拐するわ売っぱらうわと、なかなか非道を尽くしていたようですが、基本的に争いごとだとか面倒なことが嫌いなアリスは、とりあえずの住居としてこの家に住んでいました。
 お菓子の家は、見かけこそ「アレ」ですが、中身はわりとまともなのです。


「そう、貴方達、親に捨てられてしまったの・・・・・・・」
「うん、そうなんだ。僕達すごくお腹がすいていて、困っていたんだ」
「そうそう。お金もないし、眠いし・・・・・・・・とても困っていたんだよ。ありがとう、お姉さん」


 よほどお腹がすいていたのか、出された食事をばくばくと勢いよく平らげる双子の姿に、アリスは痛ましそうに眉をひそめました。
 今年の冬はどこも不作で、食べ物ないうえに物価が高いご時勢です。農家などでは子殺しや子供を売り飛ばすなどといったものが当たり前のように行われていました。だからと、「子供を捨てるだなんて、ひどい親だ」と綺麗ごとを言うつもりはありません。
 それでもこんな森深くに捨てられたという話を本人達から聞かされると、どうしてもアリスは許せない気持ちになりました。
 ・・・・・・・どうにも彼女は、魔女には向かない性格なのです。

「ねえねえ、お姉さん。お姉さんは魔女なんだよね?」
「まあ一応ね」
「じゃあ、僕達のことも食べたりするの?あの大きなオーブンで焼いたり、大なべでグツグツ煮込んだりとかする?」
「・・・・・は?」

 唐突な問いにアリスは目を瞬かせましたが、双子は真剣な様子で勝手に話を進めていきます。

「僕らそれでもいいよ。お姉さんになら食べられてもいい」
「うんうん、子供を食べる悪い魔女なんてやっつけちゃおうって思ってたけど・・・・・・お姉さん、優しいから。食事もご馳走になったことだし、恩はちゃんと返さないとね」
「そうだね、お姉さんは可愛いからやっつけるなんてできないよ。でもお姉さんがどうしてもお腹すいたっていうなら、僕らのこと食べてもいいよ?」
「・・・・・・・・・・いや、別にカニバリズムには興味ないから」

 魔女がそういう風に捕らえられていることは知っているつもりですが、こうもストレートに問われると頭痛がしてきます。確かに頭が多少イッちゃってる系な魔女とかならありえますが、基本的に人間と変わらない魔女は、好んで人を食べたりしないのですが。
 それを伝えると、双子達はホッとした顔を見せ・・・・・・そして、捨てられた仔犬のような頼りない表情を浮かべました。


「お姉さん、僕達・・・・・・・・もう行くところがないんだ」


 青い瞳のディーと名乗った少年が、寂しそうに顔を俯かせれば。


「お姉さんが魔女でもいい。食べられてもいいから・・・・・・・・僕達を助けてほしいんだ」


 赤い瞳のダムと名乗った少年が、涙に潤んだ目でアリスを見つめます。
 あまりの健気さに心を打たれたアリスは、少しだけためらった後・・・・・・・大きな溜息をついてみせました。

「食べないわよ。・・・・・・・・このまま放っておくのも寝覚めが悪いし、わかったわ。貴方達、ここにいてもいいわよ」
「本当!?」
「僕達、ここに住んでもいいの!?」
「ええ。ただし、私の仕事のお手伝いはしてもらうわよ?家のこともちゃんとやるの。いいわね?」
「うんうん、僕らなんでもやるよ、お姉さん!!動物捕まえるのとかも得意だから、遠慮しないでいってね。薬に必要なら、×××だろうが×××なんてものだろうが、取ってくるからさ♪」
「うんうん、僕らがんばるよ、お姉さん!!なんだったら人間だって狩ってくるよ?生け捕りがいい、っていうならそうするし」
「・・・・・・・・いや、そこまでしなくていいわ。ていうかあんた達、ちょっと魔女に偏見持ちすぎ・・・・・・」

 しょうがない、と言いつつ小さな笑顔を見せてくれるアリスに双子は抱きつきました。
 そして、アリスからは見えないところでこっそりと視線を交わし、微笑みあいます。
 「してやったり」といった凶悪な笑みで。


(うまくいったね、兄弟。これで家とか食べ物とかの心配はいらないね)
(うんうん、しかもこーんな可愛いお姉さんと一緒に暮らせるんだもん。僕らラッキーだよね)
(お姉さん、可愛いよね。これって一目惚れっていうのかな?こんなにドキドキしたの、僕初めてだよ)
(僕もだよ。好みのタイプっていうのかな?お姉さんを独り占めしたくなっちゃう)
(・・・・・・危険だね。こんな可愛いお姉さん、ひとりでいさせるわけにはいかないよ)
(そうだね。お姉さんは悪い子じゃないけど、魔女だもん。魔女は悪いことをするかもしれない)



 悪い魔女は、閉じ込めないといけないね。
 僕らが閉じ込めなきゃ。悪さなんて、できないように。



「「お姉さん、だーーーーいすき♪」」



 無邪気に擦り寄ってくる二人の子供が、ものすごく性質の悪い生き物だと気付かぬまま、優しい魔女は二人をお菓子の家に住まわせるのでした。


 とある深い森の中。
 小さなお菓子でできた家で、魔女と双子の兄弟は仲良く暮らしましたとさ。





おしまい
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