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 ←幸せ繋ぎ(遙か4エンド後、遠千) →五章 鳳仙花 後編
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「QuinRose」
アリスシリーズ(パラレル設定)

正義は勝つ!・・・とは限らない(なんちゃって御伽話、エスアリ)

 ←幸せ繋ぎ(遙か4エンド後、遠千) →五章 鳳仙花 後編
 昔々、その大陸が人と魔の争いに覆われていた時代。
 『魔王』と呼ばれる存在に苦しめられる、とある小国がありました。

 『魔王』は数年前に突然姿を現し、瞬く間に小国一帯の魔物を支配下においた、とても強大な力を持った化け物です。
 その化け物は小国の近くにある険しい山の頂上に居城を築き、そのうち小国の王族に対して食料や財宝を要求していました。それを受け入れなければ町にたくさんの魔物が襲いかかってくるものですから、人々はいつも震えながら苦しい生活を耐え忍んでいました。要求は年々ひどくなり、ついには王に「娘を生贄に差し出せ」という手紙まで届くようになったのです。
 聞き入れなければ、国を滅ぼすという言葉を見せ付けるかのように、魔王の配下による街の襲撃は日ごとに残酷さを増していきました。

 王には3人の娘がいました。
 あまりの惨状に、ついに王達は決断を下しました。国を守るためには、娘を一人差し出すこともやむを得ない・・・・・・再三の論議の末、ついに次女であるアリス姫が生贄に選ばれました。
 国を守るために犠牲となる姫を、街の人々は感謝と敬意と同情を込めた瞳で見送ったのです。

 こうして、生贄に選ばれた哀れな姫君は、魔王の城へと向かって・・・・・・・


「~~~~~~あんたねえっ!!何度言えばわかるのよ、そっちは逆!!反対方向!!」
「え~~~~?そんなことないって、多分。こっちの方が近道だよ、多分」
「多分で進むなっ!!!!」
「でも姫様って、森とか歩き慣れてないだろ?こういう時は俺とかに任せてくれよ。絶対こっちの方が近道だ!・・・・・・・・・多分。」
「森を歩き慣れていないとしても、一本道なはずの場所で迷子になるあんたよりはマシな方向感覚してると断言できるわ」


 ・・・・・・・・いなかったりする。


 正確には、絶賛迷子中。
 魔王の城はまだ遠く、彼女と従者である青年の周囲には昼でも薄暗い森が広がっています。
 その元凶が、エースと呼ばれる騎士でした。魔王が現れた頃とほぼ同じくして城に姿を現し、追随を許さない圧倒的な剣の強さで、あっという間に騎士団長へとのし上がった凄腕の青年です。
 魔王城までには魔物や盗賊などの物騒な存在も多く、生贄の姫を魔王のところまで案内する役を命じられているのですが・・・・・・・いかんせん、案内役が極度の方向音痴なのですから、どうにもなりません。エースがアウトドア慣れしているのは助かりましたが、城を出発してからそろそろ3日・・・・・・・半日で着くはずの距離は、どこまでも果てしなくアリス姫には思えました。

「これ、いい加減に着かないと魔王が怒って、国が滅ぼされちゃうんじゃないかしら・・・・・・・それはまずいわ・・・・・・」
「ははは、それはそれでいいんじゃないかな~」
「よくないわよっ!!姉さん達もあそこにいるのよ!?早くしないと・・・・・・・」
「え、なに、そんなに早く魔王に喰われたいの?自分から喰われたがる人、初めて見たよ。姫様にそんなグロテスクなご趣味があるなんて・・・・・・・」
「誰も望んで喰われたいとか思ってないわよ。今回あんたをわざわざ護衛につけた父様達の思惑、あんたは聞いてるんでしょ?どうせ密命うけてるくせに」
「あれ?知ってたんだ」
「・・・・・・・・・姉さまが、こっそりと教えてくれたのよ。私が怯えてると思って」

 そう、表向きは生贄の姫を魔王城へと送る護衛ですが、エースの本来の役目は別にありました。

 魔王の暗殺。

 姫と共に城へ赴き、隙を見て魔王の命を絶つ。
 国で一番の強さを買われた彼への、失敗が決して許されない密命です。

「でも残念ながら、君を魔王から守れとは命令されていないよ。絶好の隙が見つかるまでは、姫様が魔王に喰われようが殺されようが、手を出すな・・・・・・とのご命令だ」
「で、しょうね」
「・・・・・・・冷静だね。国から見離されたっていうのに」
「姉さまは縁談がまとまりそう、イーディスは大国の重鎮に見初められてお声がけいただいている・・・・・・何の益にもならない私を囮に使うのなんて、考えてみれば当然よね。姉さんは知らされていないみたいだけど、あの大臣共を見てたら一目瞭然だわ」

 アリス姫は諦めたように肩をすくめました。
 エースとはもともとアリス姫の護衛を命じられていたこともあり、お互いよく見知った相手・・・・・・むしろ、主従関係というよりは友人関係のような気安さが二人にはありました。唯一懐いている姉にすら「一国の姫」らしく振舞う彼女が、本心を話したり声を荒げて怒ったりしてみせることができるのは、この遠慮のない騎士にだけです。
 そして、誰にでも爽やかで人当たりのいいエースが、笑顔のままで毒舌を吐いたり嫌っているとも思えるような言動をとるのも、アリス姫に対してだけでした。


「・・・・・・・君のそういう、うじうじしてるくせに潔いとこ、大好きだぜ?」
「光栄ね。私は無駄に爽やかな人も性格悪いやつも嫌いだけど、エースは嫌いじゃないわ」


 その言葉に、エースは笑いました。
 青空を思わせる爽やかな笑みは、彼がいつも浮かべる表情です。知らない人が見れば、好青年に思えるでしょう。実際、その害のなさそうで一見して誠実そうな外見こそ、素性も知れないエースが一国の姫君付きの騎士などという大任を命じられた一因ともいえます。
 ・・・・・・・・彼の性格を嫌というほど近くで見てきたアリス姫からしてみれば、嘘っぽいことこの上ない笑顔なのですが。

「安心してよ。君のことはちゃ~~んと守るからさ。魔王のところに行くまでは、ね」

 力強く言い切った言葉に嘘はないとアリス姫は知っています。
 言葉通り、エースは彼女を守るでしょう。魔王の元へ辿りつくまでは。そこにも嘘はないはずです。
 ・・・・・・・・たとえ魔王ごとアリス姫を斬ることになろうとも、目の前で明るく笑う騎士は躊躇わない。そんな歪んだ、けれど確かな確信ができるから。姫はこのうさんくさい騎士を信じていられるのです。
 アリス姫はぎこちない笑みを浮かべ、魔王城へと進む道を歩き始めました。




 その翌日、エースとアリス姫は魔王城へつきました。
 到着した途端、多くの魔物が二人を囲み、アリス姫は魔王に引き渡される・・・・・・・・はずでした。

「はい、いっちょあがりっと」

 どこまでも爽やかな声に、アリス姫は呆然と瞬きを繰り返しました。辺り一面朱塗りのような状態となった広間で、赤黒い鮮血を滴らせた剣を持った緋の騎士が立っています。
 彼の足元には巨大なドラゴンのような化け物・・・・・・・『魔王』と他の魔物にあがめられていた存在が、モノ言わぬ体となって横たわっており、周囲には他の魔物の死屍累々が転がっていました。
 アリス姫を連れて行こうとした魔物に、にこやかなまま斬りかかり、他の魔物たちもすべて屠り、生き残った魔物に案内させた場で魔王すら一瞬で倒した騎士は、常と変わらない笑顔をアリス姫に向けました。

「邪魔なやつも倒したことだし、これで一安心だね」
「そ、そうね・・・・・・・強いとは聞いてたけど、ここまでとは思ってなかったわ・・・・・・」
「え~?こいつらが弱すぎるだけなんだって。張り合いないよなあ、まったく。魔王を名乗るくらいだから、どれだけのものかと期待してたのにさ」

 つまらなそうに足元の巨体を蹴りつけ、エースはアリス姫に近づきました。
 その血まみれの姿を見ても、多少眉をしかめただけで、アリス姫は怯みません。エースの口元がゆっくりと孤を描きました。


「さて、それじゃあ早く帰らなくちゃ。魔王を倒したって報告しなきゃいけないし、姉さまにも心配かけてるだろうし・・・・・・・・」
「帰る?おかしなことを言うね、姫様」


 心底不思議そうに発せられた言葉に、アリス姫は瞬きをしました。
 エースはゆっくりと跪き、その小さな手をとって軽く唇を押し当てます。彼の手についた血がアリス姫の手を汚しましたが、彼女は振り払ったりしませんでした。他の姫君なら間違いなく悲鳴をあげ、失神してもおかしくないような惨状で、平然と血まみれの騎士の忠誠を受け入れるのです。

 けれど彼は気付いていました。その手が微かに震えていること。
 囮として死ぬかもしれないのは仕方がないと言いながら、瞳の中に恐怖を潜ませていたこと。

 普段はどこまでも根暗でうじうじとしているくせに、周りには気丈なフリをしてみせる。アリス姫のそんなところを、エースは心から気に入っていました。


 だからこそ、手に入れようと、決めたのです。彼、は。


「悪いけど、君をみすみす帰してなんてあげないよ。生贄として送られてきたのに、返品するなんて失礼だろう?」
「は?なにを言って・・・・・・・・」



「だって、俺が魔王だから」



 さらり、と。天気の話でもするかのような調子で言われた爆弾発言に、アリス姫は硬直しました。
 彼女の手を握っていた腕はいつの間にか腰に回され、まるで恋人を抱き寄せるかのように血まみれの騎士・・・・・・・・いえ、魔王は微笑みます。

「いやあ、ちょーーーーっと旅に出てるうちに、なんか俺の名前を騙ったヤツが調子に乗ってたらしくてさ。早いところなんとかしないとなーとは思ってたんだけど、君のお守りが意外と楽しくて。それに俺、よく道に迷っちゃうからさ。なかなかここまで辿り着けなかったんだ」
「な、ななななな・・・・・・・・・」
「で、偽者魔王が生贄要求してきただろ?多分君が選ばれるだろうなあと思ってたから、この機会に一掃するのも悪くないかなって。いや~~案内してくれて助かったぜ!君と一緒に旅までできたしな!」

 もはやアリス姫は何を言えばいいのかわかりません。なにせ、ずっと数年傍にいた従者が『魔王』だったなど。
 どうりで1時間もかけずに城の魔物を殲滅などという芸当ができたわけだと、姫の冷静な部分が納得したように頷きました。

「さて、と。魔王の生贄のお姫様が無事に手元に来たわけだし。どうしよっかなあ?」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!あんたが魔王ならそれはそれとして、実際に生贄を要求したのは偽者の方でしょう!?なら、この要求は成立しな・・・・・・・」
「ん~、まあ言われてみればそうだな。じゃあ、俺も要求するよ。次女のアリス姫を生贄としてよこせ、さもないと・・・・・・・ってね。」
「~~~~~~~~~~この×××!!!!」
「あははっ、姫様がそんなこと言っちゃダメだぜ?まあ、そんなとこも面白くて好きなんだけどね」

 ちゅ、と軽く額に落とされた唇に、アリス姫は顔を真っ赤に染めました。
 そんな彼女を見つめる魔王の表情は、それまでの爽やかな笑顔とは違う・・・・・・・・どこか艶めいた、危険なものを感じさせる微笑。
 ほの暗く光る赤い瞳に、アリス姫はつい目が離せなくなってしまいました。


「俺としては、君のことを見捨てるような国なんて滅ぼしちゃっても全然いいんだけど。どうする?選ばせてあげるよ。自分を捨てた国を見捨てるか・・・・・・・・・」



 俺に、喰われるか。



「ね、俺の傍にいてよ・・・・・・・・・アリス」


 初めてエースから呼ばれた名前に、アリス姫の胸が高鳴りました。そんな風に彼女を呼ぶ人の名前を、生贄にされた姫は知らなかったのです。
 魔王の甘い囁きに、アリス姫は観念したように瞳を閉じました。



 昔々、その大陸が人と魔の争いに覆われていた時代。
 魔王と生贄の姫君が、旅をしながら暮らしていましたとさ。





おしまい
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