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「QuinRose」
アリスシリーズ

居場所(クローバーの国、グレアリ←ボリス)

 ←やっかいな恋敵~仮の兄と弟~(遙か3、VSもの) →三章 花菱草
 猫は独占欲の強い生き物だと、聞いたことがある。
 普段は適度に距離をとって甘えてきて、構いすぎるとツンとそっぽを向いて逃げ出してしまうくせに、例えば主人が違うものにかまけていると邪魔をする。
 ・・・・・・・・まあ確かに、元の世界で飼っていたダイナのことを思い出してみると、そう言う部分もあったような気がする。本につい夢中になってダイナを放っておいてしまった時、ダイナがよく膝の上に乗ってきたり、挙句には本の上にまで乗ろうとしてきたりした。あれは思えば、私の興味を引きたかったのかもしれない。
 随分ワガママな態度だが、それでも可愛らしく甘えてこられると怒ることができなくなる。
 仕方ないなあ、と許容してしまう。

 ・・・・・・・・・だが、許容できない、というか許容しちゃダメだろと思う時だってあるわけで。

「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
(・・・・・・・・・ち、沈黙が痛いっ・・・・・・・!!)

 例えば、その「猫」が蛍光ピンクの耳と尻尾を生やした、どこからどう見てもカッコいい系の人間の男の子で。
 例えば、今の状況がいわゆる「彼女の部屋で二人きりの時間を過ごそうとしているカップル」というものであって。
 例えば、自分の膝の上に「猫」ならぬ人間の男が甘えるように上体を乗せて寝そべっているのなら。

 この状況は間違いなく、「猫の可愛らしい嫉妬行動」で済ませられるほど軽いものではない。

 明らかに、修羅場というか・・・・・・・・そんな類の状況だ。
 折角恋人と一緒にいるというのに、空気が重い。ひたすら重い。ついでになんだかピリピリしていて、下手に口を挟みにくい。
 アリスの膝の上に頭を乗せたボリスは、挑発めいた笑みを浮かべ、金色の瞳をアリスの隣へと注いでいる。ピンク色の尻尾がぱたぱたと動き、不機嫌絶頂なことを何よりも雄弁に語っているところが、なんだか怖い。
 対するグレイはアリスの隣に腰掛け、無表情に恋人の膝を独占する男を睨みつける。黄水晶の瞳に宿る光が、いつもより鋭いのは絶対に気のせいじゃない。アリスの肩を抱き寄せるように回された腕が、少しだけ痛い。
 そしてそんなにらみ合いの中央で、アリスはと言えば・・・・・・・居心地悪そうな表情で固まっていることしかできなかった。

 アリスが働く宿屋で、自室として与えられた部屋の広いソファー。
 そこを中心に、今まさにブリザードが吹き荒れているような錯覚が見える。それほど空気は寒々しい。


「・・・・・・・チェシャ猫」
「なあに?トカゲさん」
「いつまでそうしているつもりだ?」


 重苦しい沈黙を破ったのは、いつもよりやや低めのグレイの声だった。
 やっと動き出した状況にホッとする間もなく、アリスを挟んで睨みあう男2人の空気はさらに緊迫したように思えた。
 バチバチっと、見えない火花が飛んだような気さえする。

「いつまでって、決まってるだろ。アリスが俺にかまってくれるまで」
「ならばとっとと離れることだ。アリスは今、俺と時間を過ごしている。お前の出る幕はない」
「ええ~?そんなのわからないよ。なんたってアリスと俺は、トカゲさんよりはつきあい長いんだし。ね~、アリス?」
「・・・・・・・・・・ボリス、いい加減どいて」

 頼むからこれ以上事態をややこしくするな、とばかりにボリスの頭を叩く。
 思いっきり殴ってやるつもりが、手加減したようになってしまったのは、やはり慣れのせいだろうか・・・・・・・ペーターの抱きつき攻撃に慣れてしまったように、ボリスに甘えられるとつい甘やかしてしまう。どうにも態度が甘くなる。こんな状況の時ですら、ビシッと言えなくなってしまうほど慣れてしまったのが問題だ。
 それじゃダメだと自分に言い聞かせ、アリスは改めてしかめっ面をでボリスを睨みつける。
 ダイナが悪さをした時に叱るように、じっと金色の目を見つめながら。

「大体、私はお客さんが来るからその前には帰って、って言ったわよね。何でいつまでもここにいるのよ。ピアスでも追いかけまわしてればいいでしょ」
「え~~~~~~~。今はネズミって気分じゃないんだよね。俺はアリスに甘えてたい♪」
「いいからどけ?」
「・・・・・・・・ちぇ~、冷たいの。遊園地にいた頃は、しょっちゅうお互いの部屋を行き来して、今みたいにベタベタしてた仲だって言うのにさ」

 しぶしぶアリスの膝の上からどいたはいいものの、さらりと誤解を生む発言をしてくれたボリスに目が点になる。
 慌ててグレイを振り向けば、こちらも目を見開き、完全に驚いた顔だ。

「ち、違うからねっ!!グレイ、誤解しないでね!!ただボリスが勝手に押しかけてきたり、遊びにこいとかしつこく誘ってきたりしたからで・・・・・!!ボリスも変な言い方するんじゃわないわよ!!」
「わ、わかっている。大丈夫だ、俺は誤解していないから落ち着け、アリス」
「嘘は言ってないんだけどな~」
「・・・・・・・・チェシャ猫。これ以上彼女を困らせるようなら、俺がお前を強制的に追い返すぞ?」

 ぐいっと腕を引かれたと思った瞬間、アリスはグレイに背中から抱きしめられていた。
 思いがけなく近くなった距離に、心臓がどきどきと早くなり、顔が熱くなる。

「ちょ、ちょっとトカゲさん。目にマジで殺気こもってるよ?」
「ああ、すまないな。俺は今少し機嫌が悪いんだ。どこぞの野良猫が大事な恋人にべたべた纏わりついているからな。猫は好きだが・・・・・・・大切なものに手を出されて黙っていられるほど、心が広くもないんだ」
「・・・・・・・はあ。わかったよ、わかりました。俺が悪かったって、降参!トカゲさんってばマジになるんだもん。あんたと本気でやりあいたくないし、今日のところは諦めるよ」

 両手を上にあげて、ボリスが諦め顔で首を振る。
 グレイとアリスの顔を何度か見比べながら、ボリスはなぜか楽しそうな笑みを浮かべた。


「俺さ、恋人持ちとかあんまり気にしないタイプなんだよね~」
「え?」
「・・・・・・・・飼い猫でも愛人でも肩書は何でもいいから、いつか俺とも遊んでね?アリス」


 ちゅ、と頬に柔らかい感触。
 いつの間にか距離をつめたのか、グレイも反応できなかったほど自然に懐にすべりこんで、ボリスの唇がアリスにそっと落とされていた。



「                    」



 離れる瞬間、アリスにだけ聞こえるように囁かれた言葉に反応するより早く、じゃあね~とひらひら手を振りながらボリスはすでにドアへと向かっていた。
 何のためらいもなくドアを開け、その向こうへと消えていく姿が、何故だか寂しく見えた。
 ボリスはどこにも属さない。居場所を作ったとして、それは仮初。引っ越しがくれば、またその居場所を失う代わりに、どんな場所にでも行ける力を持つのだ。それはつまり・・・・・彼には、一番の居場所がないということで。
 寂しくなんてないよと本人は笑っていたけれど、どうなのだろう。
 居場所がない孤独を、アリスも少しだけ知っている。もう今のアリスは、そんな孤独とは無縁だけれど・・・・・・・・どうしてか、ボリスを裏切って一人だけ救われたような、そんな罪悪感に襲われた。


「ちっ、あの×××猫・・・・・・・」


 ぼそりと聞こえた悪態に、思わず深く沈みかけた思考が引き戻された。
 ちょっと顔をあげると、息がかかるほど間近にグレイの端正な顔があった。黄水晶の瞳をボリスが出て行ったドアに鋭く向けたまま、静かな苛立ちを湛えた表情で。

「ぐ、グレイ・・・・・・・・?」
「ん?ああ。すまない、何でもないんだ」
「なんか・・・・・ごめんね。ボリスがその、変なこと言って」
「何故、君が謝るんだ?」
「いや、ボリスは友達だし・・・・・・・・不快な気分にさせちゃったなら、やっぱり代わりに謝っておこうかなって」
「友達、か・・・・・・・・それにしては随分と・・・・・・・」
「?」
「いや、何でもない。ただのくだらない嫉妬だ」

 そう言うやいなや、グレイの唇がアリスのそれと重なる。
 ずっと性急に深く求められるキスに、アリスは少し驚き、けれどすぐに身を任せる。甘く絡む互いの呼吸を、愛しいと思う。鼻腔をくすぐるタバコの苦味に、頭が朦朧となる。

「嫉妬、してくれたの」
「まあな」

 キスの合間に尋ねると、あっさりと答えが返ってきた。
 真っ直ぐに自分だけを映す瞳に、言い表せないような幸せを感じる。


「君を独占するのは、俺だけでいい」


 そっと再び覆いかぶさってくる熱を受け止める。
 精一杯腕を伸ばして、その背中を抱きしめる。

(ごめん・・・・・・・・ボリス・・・・・・・)

 罪悪感を感じても、再び得た居場所を、ここにいたいと強く感じた人の隣を。
 もうなかったことになんか、できない。
 離れたくないと願う。一番行きたい場所が、いつだってグレイの隣であること。そのことだけは絶対に迷ったりしないと、アリスは心に決めていた。


『誰とつきあっていようがね、アリスが幸せなら・・・・・俺はそれでいーんだよ』


 ボリスがそっと耳元に残した言葉が、優しすぎて痛い。
 この世界はいつだって、アリスに優しい。


(・・・・・・・・・ごめんなさい・・・・・・・)


 たくさん切り捨てた。代わりなんてないと言いながら、それに類するものを求めた。
 それでももう・・・・・・・・この居場所を手放すことなんて、できない。


「私が傍にいたいのは・・・・・グレイの傍、だけよ」


 不確かな世界で、たった一つ確実なもの。
 それがこの世界で見つけた、アリスの「生きる目的」。





End.
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