スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←一章 向日葵 →二章 白妙菊
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【一章 向日葵】へ
  • 【二章 白妙菊】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「QuinRose」
アリスシリーズ

元カノ~ver.グレイ~(クローバーの国、グレアリ)

 ←一章 向日葵 →二章 白妙菊
 うだうだぐじぐじと同じことを何度も考えてしまうのは、私の嫌いなところのひとつだ。
 考えていたところで何も始まらないのはわかっているつもりでも、つい同じところで悩んでしまって・・・・・・・・・で、落ち込みまくって這い上がれないところまで悩みぬいてしまう。自分でも損で面倒くさいことこの上ない性格と自覚していても、直す気はほとんどない。
 変わりたいとは思っていても、変わることができない・・・・・・・・なんて。

(そんなんだから、いつまで経っても子供なのよね)

 深くため息をつく。思考がどんどん下向いていく。一応の上司であるナイトメアに見つかったら、「また君は・・・・・・・」とか呆れた顔をされただろう。それくらい今の心はうじうじとした思いで一杯だ。
 焦ったところで時間はどうにもできない。
 私が子供で、グレイが大人なのは、どうにもできない事実なのだ。
 ・・・・・・・・・過去が変えられないのと同じように。



 クローバーの塔で働く人には男性が多いけれど、女性だっていないわけじゃない。何かしらの窓口となる場合だとやはり男性よりも女性の方が華があるので、いわゆる「受付嬢」みたいな存在がある。
 そういう立場の女性とグレイが、立ち話をしていた。
 そしてそれを見てしまった。
 ・・・・・・・・ただ、それだけ。

 それだけなのに、こんなに凹んでいる自分が情けなさすぎて嫌になる。

 別に浮気を疑っているわけではない。グレイとその女性の間には甘い雰囲気なんて一切なかったし、明らかにただ仕事関係の確認をしているといった感じだった。
 ただ、グレイが私以外の同僚の女性としゃべっているのなんて、滅多に見たことのない光景だったから。
 スーツをきっちり着こなした綺麗な大人の女性。そんな人がグレイの横に並んで立つ方が、子供っぽい服装の私が傍にいるよりもずっと違和感がなくて。
 ・・・・・・・・きっと、彼が昔付き合ってきたような女の人も、あんな大人の女性だったんだろうと考えてしまった。

(私みたいな子供なんて、グレイに相応しくないんだろうな・・・・・・・・)

 どんなに背伸びしたところで、グレイのような人の隣に立つに相応しい『大人の女性』になれるような気がしない。不相応なことをやってみたところで、躓いてこけてしまいそう。そんな子供な私を、グレイがいつか呆れてしまったらと思うと怖くて仕方がない。
 恋愛なんて、これだからしたくなかった。
 相手のことを想えば想うほど、どろどろした気持ち悪さに染まっていく。自分がいかに醜い存在か、自覚させられてしまいそう。嫌われるのが怖くて、でも相手のために何かしてあげたくて、それでいて空回ってしまう。情けない姿しか晒せなくなる。
 ―――グレイは大人で優しいから、そんな私も笑って好きだと言ってくれるけれど。


「アリス?」


 不意に声をかけられてビクリと反応してしまう。
 振り向けば、グレイが心配そうな表情で近づいてくるのが見えた。その姿に胸が思わず高鳴って、こんなにもグレイのことが好きなのだと実感する。でも・・・・・・・できることなら、今はあまり会いたくない人でもあった。
 こんなにうじうじ悩んで落ち込んでいる私なんて、見てほしくない。

「なに、グレイ?」

 いつも通りを心に念じながら浮かべた笑顔は、あまりうまくいかなかったらしい。
 グレイの顔がますます曇ってしまう。

「いや・・・・・・・・・先ほど仕事の確認をしている最中に、君が来てそのままいなくなってしまったようだったから・・・・・・・・もしかして俺に用事だったか?気を遣わせてすまない」
「あ・・・・・・・・」

 どうやら気づかれていたらしい、と気が付いて頭を抱えたくなる。
 別にあの場から逃げるようにして立ち去ったのは、グレイに気を遣ったわけでもなんでもない。グレイの昔の恋人はあんな風だったのだろうかなんてバカげた嫉妬を抱いて、それ以上グレイ達のことを見ていたくなかった、ただの私の自分勝手な理由にすぎない。
 グレイがわざわざ心配して追いかけてきてくれる理由なんて、全然ないのに。

「・・・・・・・・ううん、何でもないの。グレイに特に用事があったとかじゃなくて、たまたまあそこで忘れ物を思い出したから引き換えしただけ。誤解させてごめんなさい。私こそ、気を遣わせちゃったわ」
「・・・・・・・・・なら、どうして俺と目を合わせてくれないんだ?」
「っ!?そ、そんなこと・・・・・・」

 ぐっと腕を引かれ、思わず言いかけた言葉を飲み込む。
 間近に迫った金色の瞳に射抜かれる。切れ長の双眸に映る自分の姿が、ひどく頼りなく見えた。

「アリス、俺は・・・・・・・今の君の恋人、だろう?」
「そ、うだけど・・・・・・・」
「俺は、大切な恋人のことなら、どんなことだって知りたいんだ。狭量な恋人で悪いが・・・・・・・・君の心が見えないと、不安で仕方がない。俺にはナイトメア様のような読心能力がないから、君の口から教えてもらわないとわからない」

 グレイの口から零れる『恋人』という響きに心臓が壊れそうなほど鼓動を早める。彼は、こんな子供の私をいつだって『恋人』として扱ってくれる。本当に大切そうに、愛おしいものを見る視線で、そう伝えてくれる。
 彼の隣に不釣合いな私を、認めてくれている。


「隠し事をされると・・・・・・・・無理やりにでも暴いてしまいたくなる。頼むから、俺にまで何でもないフリをしないでくれないか?君が心を許してくれているんだと・・・・・・・・俺に自惚れさせてほしいんだ」


 ひどく甘く囁いて、グレイの顔がさらに近づく。
 無理やり暴きたくなるだなんて物騒なことを口にしながら、触れたグレイの唇は優しかった。


「・・・・・・・・・私、グレイの恋人で、いていいの?」


 一瞬唇が離れた途端、思わず小さな本音が零れる。
 口に出して後悔した。言うつもりなんてなかった。だってそれは、グレイを信用してないも同じことになる。過去がどうであれ、グレイは私に対して誠実でいてくれる。不安なんて・・・・・・・・抱くのもおかしいはずなのに。

 ただ、私が弱いだけ。私が子供なだけ。



「君以外に、俺の恋人はいない」



 だけどグレイは、当然だと言わんばかりに応えてくれる。
 私の不安を受け止めて、欲しい言葉をくれるのだ。私の弱さを怒ることもない。私が子供であることに呆れもしない。
 今の私が恋人だと、言い切ってくれる。

(・・・・・・・・・私が、グレイに返せることって何だろう)

 大人になれるだろうか、私は。彼に相応しい恋人になれるだろうか。
 今はまだわからない、けど。
 彼が私を『恋人』と言ってくれるうちは、胸を誇って彼の隣に立てる恋人になりたいと、心底思う。彼の昔の恋人達の誰にも負けない、特別お似合いな恋人になりたい。

 ぎゅっと手を伸ばして、大きなグレイの手を握る。
 当たり前のように握り返してくれることが、泣きそうなほどに幸せ。

 だから、少しでも彼に幸せを返してあげたくて。

 ちょっとの勇気をこめて、背伸びをした。

 ・・・・・・・・・私が背伸びをしたところで届かなかったけれど、彼が少し屈んでくれたから。


 私からのキスは、グレイの唇にちゃんと届いた。





END.
関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ 3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ 3kaku_s_L.png リジェ系
総もくじ 3kaku_s_L.png お題もの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【一章 向日葵】へ
  • 【二章 白妙菊】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【一章 向日葵】へ
  • 【二章 白妙菊】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。