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「QuinRose」
アリスシリーズ

Kiss of Knight(ハートの国、エスアリ)

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 目の前に跪き、白い手をとって恭しく口付ける。

 それはまるで。



Kiss of Knight



「騎士みたい・・・・・・・・」
「俺は騎士だよ」

 変なこと言うなあと爽やかに笑われ、アリスは眉間にシワをよせる。
 この男はわかっているのにこういう言い方をするのだから、全く性質が悪い。性格はこれでもかというくらい破綻しているのに、あくまでも爽やかな笑顔と言動がそれを綺麗に覆い隠している。エースという男をある程度しか知らない人間ならば、彼は爽やかで少しドジな好青年だと思い込むに違いない。
 けれどアリスは身をもって知っている。
 目に痛い赤の軍服を着た、爽やか~に笑う男の本性を。

「本物の騎士みたいだって言ってるのよ。間違ってもあんたを騎士だと思ったことはないわ」

 ピシャリと言い捨てる。
 「騎士みたい」と思ったことは何度かある。エースは悔しいけれど顔は整っているし、アリス限定で時折見せる気遣いはフェミニストめいているから。
 だけど「騎士だ」と思ったことは一度たりとない。
 エースが騎士であるということに対して違和感を強く感じるほどに、アリスはエースの性格を十二分に理解していた。
 だからこそ、エースがアリスの部屋(というか客室だが)で、ソファに座っていたアリスの目の前におもむろに跪いて、驚いているアリスの右手を自然な動作で(そりゃあもうこれでもかというくらい自然かつ優雅な動作で)取って、手の甲にそっと唇をあてた時。


 うさんくさくて似あわない、とアリスが心の底から思ったのも仕方ないかもしれない。


「ええ~ひどいなあ。・・・・・・・・ま、騎士らしくないっていうのは認めるけどね」
「自覚があって結構よ。これで自分は騎士だとか言い張ったら、本気であんたの頭はおかしいわ」
「はは、相変わらず素直でいいね、君は」
「で?結局何がしたかったわけ?」

 楽しそうに笑いながら、腰を上げたエースに問いかける。唐突に跪いて手の甲にキスしたかと思えば、もう何もなかったかのようにアリスの隣に腰掛けるエースは、いつもどおり何を考えているか読めない目をしている。
 澄んでいるでもなく澱んでいるでもなく。
 この世界で出会った誰よりも、エースは怖い目をしている人間だとアリスは確信を持って言うことができる。

「だって女の子って、こういうの好きだろ?麗しい姫の手に口付けて、忠誠を誓う騎士。いや~ロマンチックだ」
「・・・・・・・・私がメルヘン嫌いだって知ってて嫌がらせしてる?」

 一瞬でもドレスを着た自分が、跪いて恭しく手の甲にキスするエースを頬を染めてうっとりと眺めている図を想像してしまったアリスは、嫌悪感をこれでもかというくらいこめた表情でエースを睨む。メルヘンなのは、この変な世界だけで十分だ。
 殺気すら混じったアリスの視線もどこ吹く風で、エースはあくまでも爽やかなままに言葉を続けた。

「ロマンチックすぎて、実際にこんなのやってるヤツがいたら斬り捨てたくなるけどね。大体、誓いにしては随分軽いと思わない?手の甲にキスするだけなんて、忠誠心があろうがなかろうが相手のことを殺してやりたいと思っていようが、やろうと思えばできることじゃないか。・・・・・・・・ま、俺は嫌いな相手に触るのなんてお断りだけど」
「だったらやるな」
「やりたくなったんだって。俺は、君のことが好きだからね。手だけじゃなくて、君の全部に触れていたいくらいだよ。知らないとこなんてないくらい隅々まで、ね。あ、でももうほとんど全部知ってるか~、はははっ」
「セクハラ発言しないでよ!しかも何さりげなく触ろうとしてるわけ!?」

 不埒を働こうとしていたエースの右手をぎゅうっと力いっぱいつねれば、しぶしぶと言った様子で手が引っ込められる。
 「ひどいなあ」なんてぼやいているが、そんなものは全力無視だ。本当にエースは何がしたいのかわからない。

「ようするに、あんたは何となくの気分で私に嫌がらせしたくなって、あんな騎士みたいなふざけたことをしたと」

 口調が少し刺々しくなり、アリスは舌打ちしたい気分にかられた。
 さっきのエースとのやり取りをまとめただけなのに、口に出して結論づけた途端にイライラした気持ちが少し湧き上がった。

(なによ・・・・・・・・一瞬でもドキッとした私が、本気でバカみたいじゃない。)

 エースがアリスの手にキスした時、最も大きかったのは驚きだった。けれど、少しうつむき加減に顔を伏せ、どこか真剣な顔と瞳でアリスの手に優しく唇を当てたエースに、思わずドキッとしてしまったのも事実だ。
 何だかんだ言って、自分も乙女なところがあるのだと認識させられたばかりか、そんな風に心をかき乱したエースの行動が、ただの気まぐれだったなんて。
 悔しいやらなにやらで、アリスの機嫌は下降線を辿っていく。

「嫌がらせ?とんでもない!俺は真面目な気持ちだよ。やろうと気まぐれに思ったのは否定しないけど」
「気まぐれに忠誠なんか誓ったわけ?私なんかに真面目に忠誠誓ったって仕方ないでしょう」
「忠誠を誓った、なんて誰も言ってないよ」

 エースの言葉にアリスはようやく落ち込み続けるのをやめた。
 横にいるエースに視線を向ける。彼はいつもの笑顔を浮かべてはいる・・・・・・・・いるけれど、それがどこか違って見えるのはアリスの目の錯覚ではないだろう。考えの読めない褐色の瞳に一瞬狂気が揺れるのを見たように感じた。

「君を守ってあげたいって気持ちは忠誠に似ているかもしれないけど・・・・・・・・」

 すっと再びアリスの右手がエースに攫われる。
 今度は彼は跪かなかった。アリスの隣に座ったまま、逆にアリスが見下ろされて。

「どっちかって言うと、君をメチャクチャに愛したいって思う気持ちの方が強いからな。俺だけを見て、俺以外の何にも興味を持てなくなるくらいに壊しちゃいたい」

 だからね、これは忠誠の誓いなんかじゃないんだよ。
 そう囁いてエースはぐいっとアリスの手を引き寄せ、手の甲にもう一度キスをした。
 さっきの触れるだけのものとは違って、今度は噛み付くようなキス。突然走った痛みにアリスは思わず小さく悲鳴をあげ、顔をしかめる。


「これは警告。俺にとびっきり愛される覚悟を決めてねっていう、警告だよ。アリス。」


 キスというよりは噛み付いたといった方が正しいのだろう。エースがキスした場所は皮膚が破れ、うっすらと赤い血が流れ出ていた。
 それをぺろりと艶かしくなぞって、エースは口元に笑みを強いた。無駄に爽やかないつもの笑顔より、背筋が寒くなるような悪人めいた笑顔。滲み出る威圧感が怖いと感じる。
 いや、これが本当のエースなのだろう。誰に対しても外しはしない仮面を少し取った、本当のエース・・・・・・・・そのほんの一部分が、顔を覗かせている。

「・・・・・・・・・あんたは騎士失格よ、本当」
「う~ん、確かにね。否定はしないよ」

 そう軽く肩をすくめたエースは、もういつもの彼だった。
 いつものように考えの読めない瞳で、爽やかな笑顔を浮かべている。
 エースは掴んだままのアリスの手をもう一度取り、またもや口付ける。今度は優しく、大切そうに。

「でもさ、俺が騎士になれるかなれないかは、君次第だと思うんだけどな」
「どうして」
「またまた~~~・・・・・・・・・わかってるくせに」

 本当にわからないと言えるほど純粋だったら、いっそよかったのかもしれない。
 騎士にまるでふさわしくない男は、とても優しく微笑んだ。何も読めない瞳で、とっておきの愛を囁くような口調で言葉を紡ぐ。
 手の甲に捧げられたキスは、やがてアリスの唇へと捧げられる。
 ある時は優しく。ある時は壊すように。
 ひっきりなしに触れる騎士の口付けに、翻弄される。
 そうしてアリスは捕らわれる。忠誠ではなく、とびっきりの愛を誓う騎士に。


 繋がれていく。



「俺から離れないでね、アリス。・・・・・・・・・君を壊したくはないんだよ、あんまり」



 いつの間にかソファに押し倒されるような形になっていたことにアリスは気がつく。エースの頭越しに天井が見える。
 何度目かわからないキスを受け入れながら、アリスはぼんやりと思う。
 離れたくないとちょっとでも思ってしまう時点で、自分も結構重症だなと。

 次に与えられるキスは、優しいか苦しいか。

 それを決めるのは、どちらだろうか。





End.
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