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「ネオロマ」
手折り華(遙か3、将望前提ヒノ望)

一章 向日葵

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 初めて見たのは桜舞い散る神泉苑。
 曙に染まる幻想的な空のもと、ただ1人で剣を振るうその姿は天女の舞を思わせる美しさで。儚く美しい桜の雨に包まれながら、お前は真っ直ぐな瞳でそこにいた。

 興味はすぐにわいた。
 京を救うために現れたという白龍の神子。
 この源氏と平家の争う世で、彼女の出現が中立の立場を取る熊野にどう影響するか・・・・・・。それを見極めることがオレの最終的な目標ではあったけれど、それとは別に個人的に彼女を知りたくなった。

 ―――白龍の神子姫様を落とすのも、悪くない。

 神職としては随分と不純な考えを持ったオレは、なぜか初対面なはずのオレに会いにきたと言った彼女の誘いに頷き、八葉の1人、天の朱雀として神子姫様と同行することになった。
 姫君・・・・・・望美に対する興味は、そうこうするうちにさらに深まった。


 オレだけじゃなく、他の八葉にも時折向けられる、何かを悔いるような瞳。
 戦場でも常に前線に立ち、その白く細い腕で剣を振るう姿。
 守られるだけじゃなく守りたいと迷いもなく言い切った真剣さ。
 何気ない仕草に混じる、温かい優しさ。

 何もかもが今まで出会った姫君とは違う。
 オレの心を捕らえて放さない。
 そうしてふと気がつけば。

 落ちていたのは、オレの方だった。



「お疲れ、姫君。相変わらず見事な采配だね。思わず胸が躍ったよ」
「ありがとう。でも皆が協力してくれたおかげだよ」

 遠慮がちに笑いながら、望美は剣をおさめた。
 そんな笑顔ひとつで心に温かいものが灯る。
 もっと見ていたい、見せてほしいとそんな風に願ってしまう自分に心の中で苦笑しつつ、いつもと変わらない笑みを向けた。

「そんなことないさ。この勝利は間違いなくお前のおかげだよ。まあ・・・そういう謙虚なところも魅力のひとつだけどね、オレの姫君」

 そうやって耳元で囁いてやれば、「もうっ、からかってばっかりなんだから!!」と顔を真っ赤にして怒る。
 本当に。さっきまで怨霊と戦っていた戦女神とは思えないね。こういう普通の姫君らしい姿もかわいらしくてたまらない、なんて思ってしまうんだから・・・オレも相当な重傷かな?

 でもね、望美。
 これほどまでにこのオレを落としておいて、お前はオレの方を見ていないなんて・・・・・・つれないんじゃないかい?

 そう。望美はいつも、オレを見ていない。
 甘い言葉を囁いて、こちらを向かせたと思っても、すぐにその翡翠の瞳は違う方向に向けられてしまう。
 見ているのは前方に広がる、果てしない未来。

 そしてもう1つ・・・・・・・・・・・・・・・・


「あ、将臣くん。おつかれ!」
「ん?ああ、まあこんくらいどうってことねえよ。お前もがんばったじゃねえか」


 彼女の心は、視線は、オレじゃない別の男に向けられている。
 天の青龍、有川将臣。
 あの男に。





 熊野の夏は暑い。
 生まれた時からこの地で育ってきたオレにはこの程度の暑さはなんともないが、さすがに姫君達には堪えたらしい。熊野路を通り、本宮まではもう目と鼻の先、という頃には半数近くが疲れた表情を見せていた。

「く、九郎~・・・・・・・少し休まない?」
「何を言っている。本宮まであとわずかじゃないか。がまんしろ」
「ですが九郎。今日は1日歩き詰めですし、先ほど怨霊と戦ったばかりで望美さんや朔殿も疲れているでしょう。少しくらい休んでいったほうがいいと思いますよ。この辺りは聖域ですから怨霊も少ないですが・・・・・・何が起こるとも限らないですから」

 全くもって疲れを感じていないようないつもの表情で弁慶が諭すと、九郎は少し言葉に詰まった後でしぶしぶ首を縦に動かした。

「・・・・・・・そうだな。休憩にするか」
「やったぁ!!」
「兄上、みっともないから休憩くらいではしゃがないでください」

 休憩、と聞いて途端に叫んだ景時を朔ちゃんが冷たくあしらう。
 白龍は嬉しそうに望美の手を引いて、手ごろな石に望美を座らせていた。
 望美が綺麗な笑顔で「ありがとう」と白龍の頭をなでるのを見ていると、つい自然と笑みが浮かびそうになる。と同時に、そんな笑顔を向けられている白龍に、彼女を守る龍とは言え、まだ子供の姿をしているとは言え、どうしようもなく腹立たしい気持ちを覚える。


 あの笑顔も、視線も、声も、心さえも。
 全てオレのものになればいいのに。
 オレにだけ向けられればいいのに。


 つくづく身勝手でガキくさい考えだとは思う。
 彼女はオレのことを何も知らない。
 オレがこれから会おうとしている熊野別当だということも、オレがどんな想いをこめて望美を見つめているかなんてことも。

 そして、オレは決して誰かのものになるわけにはいかないことも。

 オレのこの身は、熊野に捧げると決めているから。
 どんなに愛するやつがいても、決してそいつはオレの中での「一番」にはなりえない。オレの全てを捧げることはできない。
 それなのに望美のことは知りたいと思う。
 全部オレだけのものにしたいと思う。

 こんな気持ちは、初めてだ。

 切ないまでに凶暴な想いが、甘い気持ちと絡まってオレを溺れさせる。
 鋭い痛みも、痺れるくらいの優しい心地よさも。何よりも、下手をすれば自分自身すら見失ってしまいそうな嫉妬を同時に抱えたのは・・・・・・・初めてだ。


 いっそ、強引に抱きすくめて、その可憐な唇に奪うように口付けて、欲望のままにオレのものにしてしまおうか?
 オレだけしか見れないように、オレのことしか考えられないように。
 あいつのことなんか・・・・・・・忘れてしまうくらいに。


 すっと視線を流して、思い思いに休憩を取る仲間達に目を向ける。
 赤い陣羽織を身に纏った将臣は、手ごろな木に寄りかかって望美の方に視線を向けていた。どこか甘さを含んだ、戦闘中には考えられない優しい眼差し。
 以前、春の京で行動を一時期共にしていた時も、こんな瞳を望美に向けることがあいつにはあった。
 弁慶と同じく、いまいち何を考えているのかつかみにくい相手。
 だがその視線だけは誤魔化しようがなく、オレはすぐに将臣も望美を一通りでなく大切に思っていることを感じ取った。

「・・・・・・おい、将臣」

 傍に近づいて声をかければ、うん?と面倒くさそうな返事が返ってくる。
 自分よりも少し高い位置にある瞳を真っ直ぐ見据えてやると、何か尋常ならないことを感じたのか、わずかに眉がひそめられた。

「ちょっと話があるんだけど」



 ある程度仲間達から離れた場所で、オレは将臣と向き合った。
 慣れ親しんだ熊野の暑さを含んだ風が、微かに葉をざわめかせる音だけがその場を支配する。

「で?何の話だ?」
「単刀直入に聞くけどさ、あんた望美と恋仲なわけ?」

 ・・・・・・・まあ、オレが見た限りは違うとは思うけどね。
 顔には余裕を貼り付けたまま、心の中でそう呟いて返事を待つ。
 問われた本人は一瞬驚いたように目を見開き、それから少し懐かしそうに目を細めて明るい笑顔を浮かべた。

「ははっ、懐かしいな。何年ぶりだ?その手の質問されたの。向こうにいた時はしょっちゅう聞かれたぜ。望美と付き合ってんのか、どこまでいってんだーとか」
「しょっちゅう?」
「ああ。何かってーと、望美と一緒にいたからな。誤解してくるやつが多かったんだよ」

 ふうん、と気のない返事を返しながらも湧き上がってくる気持ちに蓋をする。ここで感情を見せたら負けだ、と静かに自制の言葉を繰り返す。
 オレの知らない望美を知っている将臣に、殺意すら覚える。

 遠い異世界から来た望美。オレの知らない時間をたくさん持っているのは当たり前で。
 そしてその知らない時間の多くを共有していたであろう男が、目の前で楽しそうに笑う将臣で。

「で?結局どうなんだよ」
「別に何でもねえよ。望美とオレはただの幼馴染。恋とか愛とか・・・・・・そういうのじゃ言い表せねえんだよ。互いに近すぎて、何か傍にいるのが当たり前みたいな感じだったからな。まあ本音言っちまうと、3年離れてた分、今のほうがずっと大切に望美のこと思うようになったぜ?それでもやっぱり、恋だとかとは違う感じがするな」

 幼馴染、ねえ。本当にそう思ってるのか?

 望美に恋してやまない視線。
 オレと同じ気持ちを含んだ、その眼差し。
 将臣が時折望美に向ける視線は、明らかにそれと同等のものだ。
 ただの幼馴染に向けるには、あまりに熱くて優しすぎる。

「・・・・・・・てか、そういうことを聞いてくるってことは・・・・・・もしかしてお前も?」
「あん?」
「いや、今までオレと望美が付き合ってるかって聞いてきたのは、大抵はただの興味本位か・・・・・・望美が好きなやつ・・・・・・・・どっちかが多かったから、な」

 望美が好きなのか、と。
 暗にそう問いかけてくる目が、一瞬どこか棘を含んだ。すぐに消えたけれど、紛れもなくオレに対して向けられた『殺気』。

 ――――やっぱりな。

 ほんのわずかでも垣間見えた将臣の『本心』に、自然と笑みが浮かぶ。


「ああ。オレは神子姫・・・・・・望美が好きだぜ?」


 わざと挑発するようにそう言って、余裕の色を滲ませてその視線を見据える。
 さっきよりも強くなってきた風が、少し眺めの青い髪を揺らした。目の端にわずかに映る雲の流れが、随分と速くなってきた。


「本気で・・・・・・・か?」


 少し逸れたオレの思考を幾分か低い声が引き戻す。
 ここに来る前から感じていたどことなく飄々とした感じや余裕のある雰囲気が消え、まるで怨霊と対峙した時のような真剣さでオレを睨む将臣に、勝ち誇った気持ちを今度は覚えた。
 単純だな、と。
 心の中でそっと嘲る。ちょっと挑発してやれば、すぐにその『本心』は姿を現す。

「ああ、本気だぜ?」
「・・・・・・・へえ。お前は随分女の扱いになれてるから、てっきり望美のことも本気じゃないのかと思ってたぜ」
「心外だな。オレはいつだって本気だけど?」
「それはそれは。じゃあ、今まで相手にしてきた女達にも『本気』だったわけだ?」
「どんな花でも本気で接しなきゃ、花に失礼だろ?」
「・・・・・・・・その程度の『本気』で望美に近づくって言うんだったら、オレは容赦しねえけどな」
「ふうん・・・・・・・オレの本気は信用できないわけだ?」
「見境もなく女を口説くような男を信用できるかっての。望美を泣かせるようなマネをしたら許さねえよ」
「何でお前に関係がある?たかが幼馴染が、男女の恋仲に口を挟むもんじゃないぜ?」

 幼馴染、と強調してやれば、途端に将臣は口をつぐんだ。
 悔しそうに視線が下に注がれる。何かを言いかけて、だけど言葉が思いつかなかったのか、その唇はすぐに閉じられる。
 堪え切れなかった笑みが自然と口元に浮かんだ。


「確かに・・・・・・・望美が誰を好きになろうが、お前があいつを好きになろうが何も言う資格はねえよ。けどな、あいつが悲しむようなことだけは見逃したくねえ。だからお前に何を言われようが、本気じゃないお前に望美は渡さねえ」

「だったら奪うまでだ」


 当然だろ?と視線で問い返せば、将臣が驚いた表情を浮かべた。
 最初からそのつもりだった。望美が将臣に惹かれているのを知ったときから。

 今まではどんなに上等の花が相手でも、気持ちがオレにないことがわかればそのまま手放し、無理矢理自分に気持ちを向けるような無粋なマネはしなかった。
 その女とは縁がなかった、と。そう割り切ってアッサリと身を引き、次の恋に身を投じる。深くのめりこむことなく、多くの恋を楽しむ。甘い恋も、切ない恋も、一歩間違えれば破滅するかもしれない危険な恋も。

 だけど今回の恋だけは。
 望美に対してだけは、違う。

 気持ちがオレに向いていなくても、元の世界にいつかは帰ってしまう存在でも。
 この恋を諦めて、別の恋に行くことなんてもうできない。
 貪欲なまでに心が求める。
 彼女を手に入れるために、どこまでも狡猾になれる。



「奪ってやるよ。何度でもな。オレが本気じゃない?勝手に決めないでほしいね。オレは本気だよ。これ以上ないくらい。お前が気がつく頃には・・・・・・望美はオレのものだ」



「ヒノエ・・・・・・・お前・・・・・・・」
「さてと。そろそろ戻るぜ。通り雨が来る前に、本宮につかねえとな」

 木々の隙間からわずかに見える晴天の中に、微かな雨の匂いと風を感じてきびすを返す。今はまだ穏やかだが、そのうちすぐにひどい夕立になるだろう。
 複雑な顔のままの将臣の傍を見向きもせずに通り過ぎ、オレは口元が上がるのを抑えられなかった。

 将臣は自分の気持ちに気がついていない。
 いや、本心では気がついているんだ。どんなに自分が望美を想っているかってことくらい、おそらく頭の隅で理解しているんだろう。
 ただ、見ないフリをしているだけ。
 今まで大切に育ててきたであろう、望美との距離。
 誰よりも近く、そしてどんな場所よりも居心地のいい「幼馴染」としてのその距離を。それを壊すことを無意識のうちに恐れ、避けているんだ。
 そしておそらくそれは、望美も同じ。
 望美も・・・・・・将臣との「幼馴染」としての関係を壊すことをどこか恐がっている。


 だからこそ、オレの付け入る隙もある。


 いくら望美が将臣のほうを想っていようとも、きっと振り向かせることができる。
 幼馴染ゆえ感じる恐れに、二人が捕らわれている限り。

「負けねえよ・・・・・・・・」

 例え将臣がそんな恐れに捕らわれていなかったとしても、負けるつもりはなかったが。


「今の関係を壊すことを恐れているやつに・・・・・・・オレは負けねえよ」


 望美から向けられる信頼。
 そんな信頼関係を全部壊し、彼女に本気で嫌われたとしても。それでも手に入れることを望むオレ。
 お前とオレじゃ、覚悟が違う。



 将臣がお前を手に入れるか。
 オレがお前を奪い取るか。



 さあ、勝負の始まりだ。





続く





向日葵・・・「私の目はあなただけを見つめる」
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