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「QuinRose」
アリスシリーズ

四月馬鹿 と ピエロ(エスアリ→ジョーカー風)

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四月馬鹿


 彼は笑う。少し歪な笑顔。仮面に貼りつけたみたいな、読めない笑顔。
 この世界の住人は、みんなどこかしら似ているという。
 だから、だろうか。
 そうやって笑うジョーカーは、「彼」に似ていると思うのは。

「誰を思っているの?」
「あなたのこと、よ」
「へえ、そうなんだ」
『けっ、みえみえの嘘つくんじゃねえよ。明らかに違うやつのこと考えてました~って顔してんだろうが』
「う~ん、そうだね。俺もそう思ったかな。嘘はダメだよ、嘘は」
「・・・・・・・ジョーカーだって、嘘つきじゃない」
「ええ?俺?俺は別に嘘なんてついてないけど」
『何言ってやがる、嘘つきジョーカー。嘘が大好きな顔してよく言うぜ!まあ、俺も嘘は大好きだけどな』

 彼の腰についた仮面がケケッと嘲笑う。
 ジョーカー当人はちょっと困ったように首を傾げて、でもやっぱり口元に貼りついた微笑は崩さない。

「そうだね、俺も嘘は好きだよ。でも仕方がないよ、アリス。俺が嘘つきなのはどうにもならない。第一、今はエイプリルシーズンなんだ。嘘じゃないものなんて、今のこの世界にはひとつだってありはしないよ」
「毎日がエイプリルフール、ね。・・・・・・・・エイプリルフールって、相手が傷つく嘘をついたりしちゃいけないのよ。午前中にしか嘘をついちゃいけない、っていうのもあるわね。午前中についた嘘は午後に種あかしをするの。それが、エイプリルフールのルールだわ」
「ふうん、アリスは物知りだね」
『けっ、くだらねえルール。相手を傷つけない嘘なんて偽善ぶってるな!おまけに嘘は午前中だけ?この時間がめちゃくちゃな世界で、そんなルール通用するわけないだろ』
「う~ん、でもルールなんだよね?ルールは守らなきゃ。知らなかったら別にいいけど、知っちゃったからには守らなきゃダメだよ」

 ジョーカーはちらりと空を見る。
 今は夕方。午前中にしか嘘をついてはいけないというルールが適用されるなら、今は嘘をついてはいけない時間だ。
 アリスはじっと彼を見つめた。何かを期待するように、つい見てしまう。眼帯で隠されていない部分の瞳が、少し仄暗く翳った気がした。


――道化師さんには、あんまり近づかない方がいいと思うよ。俺、あの人嫌いなんだよね。近づきすぎると厄介なことになるから、君に近づいてほしくないんだ。


 「彼」の忠告を思い出す。あくまでも爽やかなまま、けれど真剣に・・・・・・自分だってよっぽど、つかませないような性格をしているくせに、そんな忠告をする。
 あんたでも、誰かを危険視することなんてあるのねと皮肉を言ってやったら、また爽やかに笑い飛ばされた。

――ピエロはね、かわいそうなんだよ。深い入りしたら、取り返しがつかなくなるよ?

 あれはどういう意味だろう、とアリスはぼんやり思う。
 知りたい、と思ったのだ。ジョーカーのことを。それが何故かはよくわからないけれど。
 「彼」に忠告されたから?それともジョーカーに愛着を感じているから?


「・・・・・・・・アリスは、俺のところに来るべきじゃない」


 心でも読まれたのだろうかと、思った。
 少し垂れめな瞳は、覗きこんでも何も見えない。やっぱり「彼」と似ている。底なし沼を見るような、そんな感じ。ただ違ったのは、彼の口調がいつもより淡々としていたことと、いつもは喧しい腰の仮面も何も言わなかったことくらいだ。

「俺が君に愛着を持つ前に、君は俺から離れた方がいいと思うよ。誰からでも好かれる、余所者さん?」
「どうして?」
「知らないの?ピエロは愛情を伝えられないんだ・・・・・・たったひとつの手段でしか、伝えられない」

 するりとジョーカーの手が伸び、頭を優しく撫でる。
 たったそれだけの行動に、背筋が震える。恐怖という観念が、頭を痺れさせる。
 そっとジョーカーの顔が、近づく。それでも体は動かず、微かに震える。



「君を愛して・・・・・・・・・・君を殺しちゃうのも・・・・・・・・・ちょっと、魅力的だよね?」



 そっと耳に囁きかけられた言葉に、痛いくらい心臓が高鳴る。
 これはきっと恐怖。頭がしびれて、呼吸が苦しくなる。この世界にひとつだけの心臓が、うるさいほどに鼓動を伝える。
 傍にいてこんなに苦しくなる相手、「彼」ぐらいだと思ってたのに。

 顔が離れる。ぬくもりが離れる。
 それと同時に、赤みがかったオレンジ色の空が、曇りのない晴天へと変わっていくのが視界に入った。


 嘘だよ。


 いつものつかみどころのない笑みで、ジョーカーが目を細める。
 イタイ左胸をつかんで、「うそつき」と呟いた。





ピエロ


 ピエロは愛した人を殺すことでしか、愛情を伝えられない。
 そう聞いた時、じゃあ彼はどうなんだろうと、ふっと思った。
 「うそだよ」と呟いてみせた、狂った寂しい道化師と同じ、つかみどころのないガラス玉の目を持った、あの人。
 役割から逃れようともがき続ける、迷子の騎士のことを。



 ユリウスと再会したエースは、あの不安定さが嘘みたいに消え去った。
 いや、元々不安定というか、壊れかけた爆弾みたいな男だったから、元に戻ったと言っても、あまり対して変わっていないように思うけれど。
 けれどエース本人に言わせれば、かなり調子が良くなった、らしい。
 ・・・・・調子よく、相変わらず笑顔でざくざくと人を斬っている。
 何十人もの刺客を鮮やかに切り捨てていくエースを見ても、何とも思わなくなりつつある自分がたまに怖い。


 この世界では、死が身近にありすぎる。
 死体や血にはある程度慣れたとはいえ、積極的に見たいものではない。今はまだそう思っているけれど、目の前で人が殺される場面に遭遇しても悲鳴をあげずにいられる辺り、自分もこの世界の住人達のようにいずれは「それ」を当たり前のように思ってしまうのだろうか。
 ・・・・・・・残ると決めた時から、世界に馴染みたいと願い続けていたけれど、さすがにそんなところまで慣れるような人間にはなりたくない。

(死、とか殺す、とか・・・・・・・ここでは当たり前すぎるのよね)

 そんな世界だからこそ、もしかしてそういう愛情もあり得るのだろうか。
 愛する人を殺して、自分だけのものにする。
 元の世界では狂っているとしか言いようのなかったことだけれど、これだけ身近に死がある世界なら、そうした愛情表現も「常識」として受け止められるのだろうか。
 それなら、ここはピエロにとって、ある意味幸せな世界なのかもしれない。


「ア~リス!何を考えているの?」


 ふと声をかけられると同時に、血臭が身近に迫る。
 赤をまとった騎士が、爽やかな笑顔を貼り付けて私を覗き込んでいた。少しだけ視線を彼の向こうにやれば、見るも無残な赤い世界が広がっていた。

「・・・・・・・・・ピエロのこと」
「ピエロ?・・・・・・・・ああ、ジョーカーさんのこと?サーカスの?へえ~、君ってまだあの人のところに行ってたんだ。物好きだな~」
「ジョーカーに会いに行っているわけじゃないわ。サーカスに、ちょっと興味があるだけよ」
「でも考えていたのはピエロのことだろ?それってさ、やっぱりジョーカーさんのことが気になってるってことになるよね」
「・・・・・・・違うわよ」

 失敗した、と途端に思った。即答すべき場面で、少し声に間ができてしまった。
 気にならない、と言えば嘘になる。なんというか・・・・・・・・無視できない、そんな感じだ。
 そう、ジョーカーは・・・・・・似ている。私を呼び続けた、あのドアに。一番行きたいところへつれてってくれる、しゃべるドア。
 怖いと思うのに、同時にその向こうを覗いてみたい気分になる。覗いて、そして知らなければいけないような・・・・・・知って、どうするのかもわからないのに。

 危険なはずなのに、近づいてしまう。

 放っておけないのだ、結局。そういう意味では、クローバーの国で荒れまくっていた頃のエースを放っておけなかった心情と似ていると言えなくもない。
 愛情かと聞かれれば首を横に振る。そう、これはやっぱり・・・・・同情、なんだろう。
 可哀そうだと思う。上から目線で何様のつもりだと自分でも思うけれど、どうしてか手を差し伸べたくなってしまう。掴まれたら最後、そのまま引っ張り込まれて、自分までもが暗い穴の中へと道連れにされる・・・・・・・・そんな相手だと、わかっていて。


「・・・・・・・・・せっかく忠告してあげたのに、君はバカだね」


 気がつけば、エースの剣先がピタリと自分の心臓に向けられていた。
 いつ抜刀したのかもわからないほど自然で、素早い動作で。

「道化師に深入りしちゃダメだって言ったのに、聞かないアリスが悪いんだぜ?」
「エー・・・・・ス」
「俺さ、独占欲強いんだ。知ってると思うけど」

 剣を向けたまま、器用にエースは距離を詰め、私の腰に片腕を回す。
 抱き合っているような体勢で、でも彼の狂気は私の命のすぐ間近で、いつ私を喰い殺そうかと狙っている。



「ピエロなんかに殺されるくらいなら・・・・・・・・・俺に殺されてくれない?」



 そっと、耳元でエースは囁く。
 それはどこまでも甘く、どこまでも昏い・・・・・・・・・最上級に狂った、至上の愛。



 黒のピエロと赤のピエロが紡ぐ「愛」は、私をいつだっておかしくする。



「・・・・・・・私は、誰のものにもならないわ」



 いつだって曖昧な微笑を浮かべるジョーカーと。
 いつだって爽やかな態度を崩さないエースと。

 彼らの「愛」を得て終わることを望みながら、彼らを拒んでみせる私と。

 何が違うんだろう。どこも違いはしない。
 この世界は違うようでいて、みんなどこかしら繋がっている。
 誰もかれもが、仮面をかぶっている、ただの道化にすぎないのだ。


「私は、あんたにもジョーカーにも・・・・・・・愛情なんか、向けたりしないわ」
「・・・・・・・・・うん、そうしてよ。俺も、愛情なんて、いらないよ」


 そう言って、エースは剣を下ろす。
 離れていく温もりを少しだけ寂しいと思う気持ちなんて、誰にも見せはしない。気付かれたが最後、容赦なく終わりはやってくるのだから。

 この世界は、ピエロにはある意味幸せな世界。
 でも、この世界もやっぱり、ピエロにはちっとも優しくない。

 ピエロは今日も、道化を演じて笑うのだ。





End.
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