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「ネオロマ」
遙かシリーズ

Sweet Valentine~ver.H~(遙か3、ヒノ望)

 ←四月馬鹿 と ピエロ(エスアリ→ジョーカー風) →人の気も、しらないで(クローバーの国、ボリアリ)
「姫君の世界は、大胆な行事が多いねえ」

 オレが唐突にそんなことを言い出したのが意外だったのか、望美がコーヒーカップに口をつけたまま不思議そうな顔で首を傾げる。
 そんな愛らしい姿に顔がだらしなくにやけてしまいそうになるのを堪え、オレは何気なく目を通していた雑誌のあるページを彼女に向けてやった。


「ああ、バレンタイン」


 『彼に想いを伝えよう!必勝バレンタイン特集!』なんてデカデカと書かれた見出しに、望美は納得したかのように頷いた。

「向こうの世界だと、女性から男性に想いを伝えるって言うのは珍しいんだよね?」
「まあ、そうだね。こっちに来たばかりの頃はよく声をかけられるものだから、積極的な姫君が多いもんだと驚いたよ」
「・・・・・・・・ふ~ん、そう」

 途端、望美の声が少しだけ不機嫌そうに調子を落とす。「よく声をかけられた」辺りがどうやらお気に召さなかったようだ。
 つい上がってしまう口元をコーヒーカップで隠し、何でもない風を装うと努力している彼女を横目で見る。眉をよせて難しい顔になっているせいで、その努力は見事に失敗していることに彼女は気づいているだろうか。
 可愛らしい姫君の嫉妬に気分をよくしつつ、オレは何も気がついていないフリで会話を続けた。

「前にクリスマスのことを調べていた時に思ったんだけどさ、この世界は恋人達のためのお膳立てがしっかりしているね。なかでもバレンタインにホワイトデー・・・・・・・随分面白い趣向の行事じゃないか」
「そう・・・・・・・・だね。今まで当たり前に感じてたけど、バレンタインとホワイトデーって変わってるかもしれないね」
「ああ。愛しい女から愛のこもった贈り物と言葉をもらえる日だなんて・・・・・・・サイコーだね。ただ、男からのお返しは1ヶ月後まで禁じられてる、って言うのは少し気に食わないけどさ」
「それは仕方ないよ、そういう習慣だもん」

 オレの言葉がおかしかったのか、望美がクスクスと笑みを零す。
 さっきまで不機嫌そうにしていたのに、そうかと思うと華のような笑顔を見せる。本当、飽きない女だよ。


「・・・・・・・・ところでさ、望美」


 いつまでもそんな彼女の愛らしい表情を見ていたいところだけど、そろそろ本題に入らせてもらおうかな。
 オレは持っていた雑誌を閉じて軽くソファに放ると、少し体を乗り出して机越しに座っている望美の髪をスッと片手にすくった。
 これをやると望美はいつも顔を真っ赤にして固まってしまう。案の定、たちまち柔らかく笑っていた顔にパアッと朱がさしこんで戸惑ったように翡翠の瞳が揺れた。



「お前は誰に、何を、どんな気持ちで与えるつもりかな?」



 上目遣いに見つめながら、優しく掴んだその髪に1つ口付けを落とせば、その麗しい顔はこれ以上ないほどに赤く染まる。

「べべ、別になんだっていいじゃない!」

 慌ててオレの手から自分の髪を取り戻し、望美は勢いよくそっぽを向いた。口を一文字に結び、眉はギュッとつりあがっている。
 怒ったように見せたいのかもしれないが、あいにくそんな可愛らしい態度で言われたってオレを楽しませるだけだ。

「つれないな。オレはお前が誰にその心を捧げるのか気になって、夜も眠れないのに」
「・・・・・・・・・・・・聞かなくたって知ってるくせに、意地悪」
「言わなくてもお前の想いは伝わっているけどね。たまには直接、この柔らかな唇で愛を紡いでほしいし、態度で表してほしいんだよ」

 なにしろこの恥ずかしがり屋の姫君ときたら、そういうことは滅多に言ってくれないんだからね。
 この世界に残ったのは姫君が自分からオレと一緒に来ると言う覚悟ができるまで待つためだったけれど・・・・・・・こういうオイシイ行事がたくさんあるなら、もうしばらくこの世界ならではの楽しみに浸るのも悪くない。


「本当だったらオレ以外の男に何かあげるの、禁止・・・・・と言いたいところだけど」


 義理とやらの存在は知っている。
 優しい望美のことだ。将臣や譲あたりには確実にあげるだろうし、禁止なんて言ったところで困らせるだけになるだろう。ならば。



「オレだけに、とっておきの・・・・・・・・・・チョコレートよりずっと甘い、特別な贈り物をくれると約束してくれないかい?」



 明確な意図をこめ、たっぷりと艶を含んだ声で耳元で囁く。
 返事は?と甘噛みするように耳に唇をよせて促せば、望美はくすぐったそうに身をよじりながらも赤くなった顔のまま小さく何度か頷いた。

 さて。オレの神子姫様は、ちゃんとオレが本当に欲しいものをわかってくれたのかな?
 それは当日までのお楽しみ、ってことで。

「いい子だ・・・・・・・・バレンタイン、期待してるよ」





 特別な贈り物をくれると約束してくれないかい?
 オレの言葉に、頬を愛らしく染めつつ望美が頷いたのは数日前のこと。
 その約束を交わしたのと同じ場所で、今度はオレの横に腰をおろした望美は・・・・・・・面白いくらいに緊張して固まっていた。
 照れているのかそれとも緊張か、顔を赤くしたまま眉をよせて口はぎゅっと結んで。そんな表情のまま、両手でしっかり握っている小さな可愛らしい箱を穴が開くんじゃないかと思うほど見つめ、ひたすら黙っている。

「望美?」

 なかなか口を開かない望美の顔を覗き込み、催促するように名前を呼ぶ。
 その声に後押しされたのか、彼女はキッと何かを決心したかのような目をすると半ば押し付けるようにしてその箱をオレのほうへと突き出した。反射的に手に取ったそれは、不器用に結ばれた赤いリボンを小さく揺らしている。
 やたらとシワがよっているリボンに、隣で俯いている愛しい女が悪戦苦闘しつつ結んでいる姿を思い浮かべた。それだけで湧いてくる愛おしさについ笑みが零れつつ、「開けてもいいかい?」と声をかければ、望美は相変わらず視線を手元に固定したまま何度か頷いた。
 苦労して結んでくれた証のついたリボンを外すのはもったいない気がしたけれど、それをそろりと解いて小さな箱の蓋を開ける。
 宝箱を開けるような少しワクワクした気持ちで中を覗けば、そこには歪な形をしたチョコレートらしき小粒の物体が数個納まっていた。

「か、形はともかく・・・・・・・味はまあまあだと思うから・・・・・・・・」

 望美が隣で小さく弁解する。
 なるほど、彼女がひたすら所在なさげにしていたのは、このチョコの出来映えがあまりよくなかったからのようだ。確かに、一目見ただけでは普通のチョコにはみえないかもしれない。
 ・・・・・・・・・望美がずっとオレのほうを見てくれないのは、それだけが理由じゃないような気もするけれど。

「これ・・・・・・・トリュフチョコだっけ?」

 バレンタインを特集してあった雑誌に載っていたのを思い出しながら、箱の中の1つを取り上げてみる。全体にまぶした茶色い粉は、ココアパウダーだったっけ。

「う、うん・・・・・・・・・・一応そのつもり。本当はお店で買ったほうがいいなと思ってたんだけど・・・・・・・・ヒノエくんには、ちゃんと気持ちこもったものをあげたくて。でもやっぱり失敗しちゃって・・・・・・・成功したって言えるのが、それだけしかないんだ。ゴメンね、少なくて」
「ふふ、いや。てことは・・・・・・・これはオレだけのチョコ、と期待してもいいのかな?」
「え?うん、そう・・・・・・だね。失敗したのは自分で食べちゃったから」
「失敗したのでも構わなかったのに。望美の想いが1つ1つこめられたチョコであることには変わりないんだからね」

 そう告げると、望美がようやくオレへと視線を向けてくれた。
 バレンタイン前に少し邪な願望を抱いていたことは否定しないけれど、料理が苦手な彼女がオレのためだけに一生懸命チョコを作ってくれた。その事実だけでも幸せな気持ちになれる自分がいる。
 本当、オレをこんな気持ちにさせてくれる女なんて・・・・・・・・・お前しかいない。


「ありがとう。姫君の気持ちだけでもオレはすごく嬉しいよ」


 心からそう言って笑いかければ、ずっと難しい顔をしていた望美にようやく笑顔が戻る。
 オレの大好きな表情。
 これが見られただけでも、オレには十分な贈り物だ。
 「食べてもいい?」と尋ねれば、望美は照れくさそうに頷く。手に持ったままだった小さなチョコをひょいと口へ投げ入れる。
 ほろ苦い甘さが途端に口に広がる。
 こちらの世界の菓子は甘すぎるものが多いけれど、この味は嫌いじゃない。苦味の中にじわりとくる甘さがあって。

「ん・・・・・・・・うまい」
「本当?」

 心配そうな光を宿していた瞳が、パアッと明るく輝く。
 お世辞でも何でもない。あんなに自信なさそうな顔をする心配なんてない、申し分のない味だ。

「本当だよ。あんなに難しい顔でチョコを渡すの躊躇う必要なんて、なかったんじゃない?」
「あ・・・・・・・・えっと・・・・・・・あれは、その・・・・・・・・」

 途端、望美は再び歯切れが悪くなり、視線が彷徨いだす。
 何?と無言のまま問いかけてみるけれど、彼女はひたすら顔を百面相させて何か考え込んでいる。それが面白くてしばらく黙ったまま見ていると、ようやく望美の心の葛藤がついたのか、彼女は視線をあげて。


「ヒノエくん!!!」
「なんだい、姫君。」
「一瞬だけ、目とじて!!!」
「は?」


 何かどこかで言った覚えのある言葉だな・・・・・・・・言葉の調子はかなり違えど。
 そんなことをボンヤリ思いつつ、突然の言葉に反応できずに目を瞬かせていると、目を閉じるのもまたずに望美の顔がふと近づいた。



 ちゅっ、と。



 可愛らしい音と唇に触れるだけの優しい感触。
 そして顔が離れる瞬間に聞こえてきた、ともすれば聞き逃してしまいそうな囁き。


「っ~~~~~~~!!!??」
「いやっ、あのっ・・・・・・・・・・あれから考えたんだけど、特別な贈り物って何だろうって・・・・・・そしたらクリスマスの時、プレゼント代わりって言って私にキスしたよな~~~って思い出してねっ・・・・・・・・!!ええっと・・・・・・だからその・・・・・・・ヒノエくん、確かな気持ちが欲しいとかなんとかって・・・・・・・・だ、だから・・・・・・・・・ってきゃあっ!!!」


 真っ赤な顔のまま、必死になって言い訳を並べ立てる望美を思いっきり引き寄せて抱きしめる。
 心臓が早鐘を打っていることバレてしまうだろうけど、こんな熱くなった顔を見られるくらいなら、その方がまだマシだ。

「・・・・・・・・・・・言っとくけど、お前が悪いんだからな」
「へ?」
「オレが折角、チョコと笑顔だけでも最高の贈り物だって思ってたのに・・・・・・・・オレを欲張りにさせた姫君には、代償を払ってもらおうかな?」

 だって不意打ちだ、あんなの。
 一度だって面と向かって言ってくれたこと、なかったくせに。



『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あいしてる、ヒノエくんだけだよ・・・・・・・・・・・』



 あんなこと言われたら、嬉しすぎてシニソウだ。



「チョコレートより甘くて、特別な贈り物・・・・・・・・・・お前自身が、オレは欲しい」



 ――――意味、わかってるだろ?



 バレンタインのお返しは一ヵ月後と決まっているらしいけど・・・・・・・・・こんな幸せな贈り物もらったんだ。今すぐに少しでもお返しするのは悪くないだろ?
 そう自分に言い訳して、今度はオレから愛しい女に口付けた。





終わり
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