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「QuinRose」
アリスシリーズ

求婚してみた~ver.エリオット~(ハートの国、エリアリ)

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※1月27日が求婚の日らしいと聞いたので、ツイッターのネタ垢で投げた「求婚の日らしいのでアリスに求婚してみた」ネタの後日談です。アンケートで上位になったキャラを書かせていただきました。


「俺、アリスのことが好きだ!大好きだ!あんたが嫁さんになってくれたら、すっっっげえ幸せだと思う」

 ストレートな告白が、素直に胸に響く。現実主義の冷めている女という自己認識だけれど、恋人相手に私も多少は夢見がちになるらしい。アメジスト色の双眸が真剣な色を宿して、真っ直ぐに私を見つめてくれている。ドキドキと心臓の鼓動がうるさい。柄にもなく浮かれて、ふわふわと落ち着かなくて、顔が熱くなっていく。
 エリオット、と小さく呼んだ名前に、彼は優しく微笑みを返した。
 私の返事はもう、決まっている。こんなに好意を向けてくれる想い人に結婚を求められて、返す言葉なんて他にあるだろうか。はやる胸元をぐっと抑えて、私は彼の言葉を待った。


「だから・・・・・・あんたのために、俺のにんじん料理一生分捧げるから、俺と結婚してくれ!!」
「ごめん、それはちょっと・・・・・・」


 決まっていたはずの返事は、あっさりと真逆の言葉に変わっていた。





 さっさとアレをどうにかしてくれと呆れた口調で切り出され、返事の代わりにティーカップの紅茶へ口付けた。今日も今日とて、夜の時間帯に輝く星空は美しい。深夜3時のお茶会に慣れて、もうどれだけの時間が経過したことだろう。日にちや年数の概念が存在しないワンダーランドでは確かなことはわからないけれど、そろそろ1年以上は経っている気もする。
 今日のお茶会は、久しぶりにブラッドと2人だけだった。テーブルにはオレンジ色の茶菓子はひとつも存在せず、おとなしい色合いのものが並んでいる。わりと普通のお茶会といった光景なのに、どこか物足りなさを感じるあたり、すっかりあのオレンジ色尽くしのウサギさんに毒されているとしみじみ思う。

「この世の終わりのような顔で、アリスがどこを好きになってくれたのかわからないだの、もしかして耳しか愛されていないんじゃないかだの、延々と隣で泣き言を聞かされる私の身になってくれないか。いつも以上にうっとおしくてかなわない。大きな図体のウサギ耳の男に泣かれても、薄ら寒いだけだ」
「・・・・・・反射的に断っちゃったんだから仕方ないじゃない」
「反射的に、ねえ。反射的に恋人からのプロポーズを断るとは、君もなかなかひどい女だな。さすがマフィアの幹部と付き合っているだけある。だが、頼むからもう少し優しくしてやってくれないか。ウサギは寂しいとなんとやら、と言うだろう」

 反論の言葉もない。私だって本当に断るつもりはなかった。思い描いていたよりは大分早い結婚にはなるけれど、人生設計なんてワンダーランドに来てから狂いっぱなしだから今更だ。
 可愛い可愛い、私のウサギ。自分より年上で、体も大きくなウサギ耳をはやした男に心を奪われて、この世界に残ると決めた時から、エリオットは私の「ここにいる意味」そのものだ。彼がこの先も自分との生活を、それも「夫婦」としての時間を望んでくれるのであれば、断る理由なんてひとつもない。それでも。それでも、だ。

「・・・・・・にんじん料理一生分捧げるから結婚してくれ、って言われたら、それはちょっとって言いたくもなるでしょう」
「いいじゃないか、受けてやれば。いや、むしろ受けてやれ。そんな理由でプロポーズを断るなど、君のエリオットへの愛はその程度と言うわけだな」
「そうなったら一生にんじん料理をあなたの横で食べ続けてあげるわ。安心してちょうだい、ブラッドにも同じものを用意するようにちゃあんとエリオットに吹き込んであげるから」
エリオットのプロポーズが悪いな、最悪だ。君が反射的に断る気持ちもよくわかるよ」

 しれっと掌を返すブラッドを軽く睨み付ける。まあでもブラッドのにんじん料理に対する拒絶っぷりもわからないでもない。エリオットは好きだし、かけがえのない存在だ。彼のもはやお決まりというか代名詞ともなっている「にんじん料理愛」も、エリオットという存在を構成する要素として外せないものだと認識している。
 けれど、じゃあエリオットが愛してやまないにんじん料理を、私も同レベルに愛せるのかというと別問題であって。
 さすがに今後の人生すべて、食卓がオレンジ色になる生活は避けたいところだ。


「・・・・・・プロポーズ自体は嬉しかったのよ?」


 本音を口にして、ゆっくりと机に突っ伏す。お茶会で行儀の悪いことをしているという自覚はあったけれど、ブラッドは特に何も言わなかった。
 両手で持ったティーカップから、紅茶の温かさがじんわりと伝わる。半分ほど残っているそこから漂う、ほのかな優しい香りが胸の奥にある罪悪感めいた気持ちをチクチクと刺激した。

「嫁さんになってくれたら、って言われた時ね、本当にドキドキしたの。俺のモノとか、俺の女とか。エリオットってわりとすぐにそういうこと言うけれど、そうじゃなくて嫁さんって・・・・・・ちゃんと大切に扱うって言われてるみたいで、くすぐったくて。本人はそこまで考えていなかったかもしれないけど、私にとってはそんな小さなところで幸せに思えたのよ」
「それはそれは・・・・・・随分な惚気だな」
「・・・・・・本当はね、エリオットとずっと一緒にいられるなら、にんじん料理に一生付き合ってあげてもいいと思ってるの。それくらいあの人のことが好きなのに、一回断っちゃったらもう、なんだかすぐに訂正なんてできなくて。結局ずるずる引きずっちゃって、未だにプロポーズを受けたいって自分から言い出せないのよ。馬鹿みたいでしょ?」

 言い方ひとつに拘って、折角プロポーズしてくれたエリオットの気持ちを否定するような真似をして。もうエリオットがプロポーズしてくれなくなったらどうしよう、なんて後になって怖くなる。そんな風に思うくらいなら、断らなければよかったのに、とずっとぐるぐる悩んでいた。相変わらず根暗だなんて自分で思っていても、そんな不安がくすぶっていて。
 ブラッドに、エリオットがうっとおしいくらいに落ち込んでいたと聞いて、すごくホッとした自分がいる。
 まだ嫌われていないのだと、そんなところに安堵する。恋人になってもう時間は十分経っているはずなのに、いつもどこか心は不安で、どうしようもなくなってしまう。

「・・・・・・紅茶が冷めるぞ、お嬢さん」
「あ、ごめんなさい!」
「まったく。私は部下の痴話ゲンカにも惚気にも巻き込まれる趣味はないんだ。これ以上は付き合いきれないな・・・・・・というわけで。あとは任せたぞ、エリオット?」
「っ・・・・・・!?」

 驚いてティーカップを落としそうになるのを寸でのところで堪える。いつの間にそこにいたのか。振り返ってみれば、ひどくバツの悪そうな表情をしたエリオットが立っていた。
 気だるげに席を離れようとするブラッドを思わず睨み付ける。意地の悪い上司は、余裕の笑みを浮かべるのみだった。

「それではな、お嬢さん。珍しい君の姿を見ることができて、なかなか面白かったよ。さっきの言葉は私じゃなく、本人に言ってやるといい。もっとも、すでに聞かれているようだが」
「悪趣味、サイッテー、この×××!!!」
「結婚も近い淑女が、そのようなことを言うものじゃないぞ。・・・・・・安心しなさい。うちの腹心は、プロポーズを1度断られたくらいで引くような腑抜けた男ではないはずだ。そうだろう?」

 最後の問いかけは、エリオットに向けて。エリオットは何も言わなかったが、ブラッドは満足そうな笑みを口元に浮かべると、そのまま屋敷へと戻っていった。
 取り残された私達の間に、気まずい沈黙がおりる。手持無沙汰に手元のティーカップをひたすら見つめても、だんだんと温度の失われていく紅茶はなんの解決方法も教えてはくれない。もうこうなれば自棄だとカップを置いて立ち上がり、エリオットと向かい合おうとしたところで、思いがけず近くまで距離を縮められていたことに気が付いて息をのんだ。
 至近距離からアメジスト色の瞳にじっと見降ろされ、結局私は気まずく視線を逸らした。

「・・・・・・あの、さ。アリス。さっきの言葉、本当か?」
「さ、さっきのって?」
「プロポーズを受けたいって思ってくれてる、ってやつ」
「あー・・・・・・ええっと、その・・・・・・」
「・・・・・・俺、アリスに嫌われたわけじゃなかったんだな?」
「そ、そんなわけないじゃない!エリオットを嫌うなんて、ありえないわ!」

 心底ホッとしたと言わんばかりの声と表情に、胸が痛む。やはり傷付けていたのだと思うと、うじうじ迷って早く否定してあげなかった自分を呪いたくなる。また落ち込みそうになる私を引き戻したのは、力いっぱい抱きしめてくるエリオットの腕だった。
 すっぽりと私を包み込む温もり。エリオットに抱きしめられると、なんだか守られているみたいで照れくさい。普段は守ってあげたくなるような可愛さを覚えることの方が多いのに、エリオットは私よりも背が高くて体格もいい、年上の男の人なんだと不意に思い出してしまう。

「俺バカだし、ブラッドみてえに気の利いた言葉なんて言えないからさ・・・・・・女が喜ぶプロポーズとか正直わかんねえ。だからアリスが呆れちまうのも仕方ないよなって思ってる。嫌われてないだけ、マシだけどさ!それでも呆れた・・・・・・よな?」
「違うってば!呆れてもいない!本当に、その・・・・・・嬉しかった、のよ」

 やっと口に出せた素直な気持ちを信じてほしくて、ぎゅっとエリオットの背中に手を回す。ひねくれて素直じゃなくて、肝心なところで好きとも言えない私を、それでも好きだと言ってくれるこの人に応えたい。
 価値観が違うところが山ほどあることは知っている。エリオットの好きなもの全部、同じだけ好きだなんて言えないし、彼の職業を手放しで受け入れることにはまだ抵抗がある。恋人となって長くなっても、私ができることなんて精々、エリオットの嫌なところには目をつぶっていることくらいだ。彼もできるだけ見せないようにはしてくれているけれど、本質はこの先も変わらないだろう。
 関係を先に進めたら、変えたら、きっと見えるものはさらに変わってくる。嫌なものも目にしなきゃいけないかもしれない。受け入れていかなきゃならないんだろう。そこまでの覚悟が本当にあるのかと聞かれたら、少し迷うのかもしれない。

 それでも、私は。

「・・・・・・エリオット、私ね、にんじん料理一生分はさすがにいらない」
「え?・・・・・・ええええええ!?な、なんでだよ!?やっぱり俺のこと嫌いなのか!?い、いやでもアリスがにんじん料理は嫌だって言うんなら・・・・・・」
「いらない。何も、いらないわ。条件付きとか、何かをあげるから、とかじゃなくて」

 顔を上げれば、きょとんと瞳を瞬かせる可愛い人の表情。目いっぱい顔を上げても少し遠い身長差が寂しくて、紫色のストールを少し乱暴に引き寄せる。首が閉まって苦しいだろうに、彼の体格なら簡単に振り払えるだろうに、エリオットは素直に顔を近づけてくれる。
 私にだけ見せてくれる表情。私にだけくれる甘さと優しさ。
 今目の前にいるこの人は、ぜんぶ、私だけのもの。


「何もいらないから、あなたと結婚したいわ。エリオット=マーチ」


 背伸びをひとつ。近づいた顔に、私からキスをひとつ。
 目を閉じた先のアメジスト色の瞳は、今どんな色をしているだろう。わからないけれど、腰に回されたままだった彼の腕にぐっと力が入って、キスを深められたのが答えなのだと思う。

 その後。このままじゃ格好つかないからと散々プロポーズのやり直しをごねられて。
 結局エリオットが無事にプロポーズをやり直せたのか、私が今度こそ素直にYesと返すことができたのかは。
 ・・・・・・帽子屋ファミリー内だけでの秘密ということで。





End.
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