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「QuinRose」
アリスシリーズ

人形あそび(クローバーの国、グレアリ)

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「珍しいものをナイトメア様が見つけてきたんだ」

 そう言ってグレイが手に出したのは、2つの白い布の塊だった。頭が丸くて、胴体部分は白い布がひらひらと垂れ下がっていて・・・・・・書物で見た、てるてる坊主とかいうものに似ているなとふと思い出した。
 確か、東洋の国かどこかで呪いの人形として使われるというものだったはずだけれど、なぜ今ここでグレイがそれを持っているのかわからず、首をかしげる。

「それは?」
「それをちょっと片手に持ってみてくれないか。こう、布の中に手を入れるようにして・・・・・・そうそう。そのまま持っていれば、すぐにわかる」

 言われるままに、布のひとつを手に持ってみる。肘くらいまですっぽりと白い布の人形で覆われた自分の片手を見つめていると、不意にそれがふわりと光を帯びた。
 そう思うのと、瞬きをひとつした瞬間。
 ・・・・・・私の片手には、なぜか水色のエプロンドレスを着た、女の子のパペット人形が鎮座していた。

「な、なにこれ!?」
「見てのとおり、パペット人形だよ。ただし、少し特殊で・・・・・・手に持った人の姿を模して変わる、ちょっと珍しいパペット人形なんだ。面白いだろう?」
「・・・・・・相変わらずなんでもアリな世界ね」

 ちょっと珍しいどころじゃなく、元の世界ならまず間違いなく怪奇現象の域だ。もう一度、自分の手に収まる「自分を模した」らしいパペットを見つめる。
 顔はデフォルメ化されているが、言われてみれば水色のリボンといい、長めの中途半端な色合いをした金髪といい、なかなか似ている気がする。
 じっと見ていると、不意に横から大きな手が人形の頭をなでた。人形越しに伝わる温かい掌にどきりとする。なんだろうと見上げた先、グレイの優しい表情に顔が熱くなった。

「思ったとおり、君の人形はかわいらしいな」
「そ、そう?そんなことないと思うけど・・・・・・」
「いや、かわいい。とても癒されるし、できることならこのまま持ち歩きたいくらいだ」

 臆面もなく可愛いと告げる言葉に、なんだか複雑な気分が混ざる。照れくさい気持ちとドキドキする気持ち、そしてほんの少しの・・・・・・拗ねた感情。
 グレイが口にする「かわいい」という言葉が、人形に向けての言葉だと十分すぎるほどわかるから、それがほんの少しだけ悔しい、なんて。すさまじく子供っぽくて、そう思ってしまう自分が恥ずかしすぎる。

「そ、そうだ!グレイもつけてみてよ!」
「俺?俺のパペットなんて、見ても面白くは・・・・・・」
「そんなことないわよ。私もグレイの姿をした人形、見てみたいわ」

 慌てて話題を変えたが、半分本心だ。確かにこのパペットは珍しいけれど、自分の姿を模しているものを見てもさほど面白いものではない。というか自分の姿のパペット人形を片手にはめている状況なんて、傍から見ればちょっとイタイ子な気がする。
 グレイのであれば、きっと素直に可愛いんだろうなと思って期待のまなざしを向ければ、彼は少し困ったような顔をしつつ、もうひとつの白い布を片手に持ってくれた。

「わあ・・・・・・!本当ね、確かに特徴がよく出ているわ」
「そうか?・・・・・・俺は君から見て、こんなに仏頂面をしているんだろうか。時計屋じゃあるまいし、我ながら愛想のない人形だと思うんだが」
「っぷ!た、確かに。この人形はちょっと不機嫌そうな顔しているわよね。でも初対面の時とか、グレイの印象ってちょっと怖いイメージあったから、そういう部分を反映しているのかもしれないわ」

 グレイの手に現れたパペット人形に、思わず噴き出す。口をへの字にし、ちょっとだけ目つきの悪い感じの顔つきだが、デフォルメ化しているせいか威圧感はない。むしろ生意気そうな顔がかわいらしささえ感じさせる。

「でも私、このパペット好きよ。もうちょっと笑ってたら確かに可愛いんだろうけど・・・・・・人形になっても、グレイはカッコいいわね」

 自分の手にあるパペットをグレイのパペットに近づかせて、並べてみる。そうすると、なんだかちょっとかわいらしい恋人同士の人形みたいで、幸せな気分になった。
 いつもなら乙女ちっくな自分の考えにうんざりするところだけれど、なんだかそんなの吹き飛ぶくらい、人形がかわいらしい。自分のパペット単体だと複雑な気分になったのに、グレイのパペットと並んだ水色ワンピースの自分は、なんだか素直に好きになれそうな気がした。

「・・・・・・そうだな。確かに、可愛い」

 不意に。
 グレイの人形が向きを変え、私のパペット人形に顔を合わせる。まるでキスをしているかのようなシーンに、思わずグレイを見やると、彼はどこか悪戯っぽい笑みを浮かべてみせた。


「可愛くて、ついキスがしたくなる」


 ちゅっと今度は音を立てて、本物のグレイが私のパペットにキスを落とす。
 心臓がうるさいほど音を立てる。キスをされているのは自分じゃないとわかっているのに、まるで私にキスされているような錯覚と。・・・・・・人形ばかりが、キスをもらえていることに対する、もやもやした気持ちと。
 さっき必死で隠そうとしていた子供みたいな嫉妬が、胸をちくちくさす。ずるいという拗ねた感情が、離れようとするグレイの手を引き留めた。

 まるでパペット同士が抱き合うような光景。パペット人形の私が、グレイのパペット人形に抱きついているよう。
 それを横目で見つつ、唐突な私の行動に少し驚いた様子のグレイ本人にぐっと顔を近づけた。


「に、人形ばっかりじゃなくて・・・・・・私を、見てよ」


 口にした途端、恥ずかしさで死にそうになる。
 きっと私の顔は真っ赤だ。たかが人形に嫉妬して、何を甘えたことを言っているのやらと自分で頭をかきむしって逃げ出したくなるくらいに恥ずかしい。でも、今更、言葉は取り消せない。

 唸りながら顔をうつむかせる私の頬に、手が添えられる。
 導かれるようにして顔をあげれば、どうしようもなく愛おしそうな色を宿した琥珀色の瞳に覗き込まれた。


「本当に君は・・・・・・どんなアリスでもかわいすぎて、困る」


 人形でも本物でも、俺の部屋に飾って閉じ込めておきたいくらいだ、と。
 吐息交じりの甘い声を最後に、そっと言葉は封じ込められる。


 ぎゅっと抱き合ったパペットが、離れるまではまだまだ先になりそうだ。





End.
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