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「QuinRose」
アリスシリーズ

ホワイトクイーン・バレンタイン(2014バレンタイン、クリスタ&アリス&シドニー)

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 優雅な昼下がり。
 白と黄色の薔薇が咲き誇る庭に設置された白いティーテーブルで紅茶を楽しむ美少女。

 なんとも絵になりそうな光景を真正面から見つめつつ、アリスも手にしたカップをわずかに傾けた。口にしているのはダイヤの城で出された、しかも女王が飲むほどの紅茶だ。それこそ紅茶狂のブラッドあたりが喉から手が出るほど欲しがるだろうオリジナルブレンド・・・・・・ぜひとも味わって楽しみたいもののはずだが。
 残念ながら、今のアリスにそんな余裕はない。

「・・・・・・」
(み、見てる・・・・・ものすごく見ている・・・・)

 ひしひしと感じる斜め後ろあたりからの視線に、アリスはぎこちなくカップをソーサーへと戻した。
 振り向かなくてもわかる。というか振り向きたくない。絶対に、シドニーが睨んでいる。赤と黒のオッドアイが、アリスを突き刺すばかりの視線で睨みつけている。

「あら、アリス。先ほどから一口もいただいていないではありませんか。折角わたくしがあなたのためにと選んだと言いますのに、無駄になさるおつもり?」
「い、いやいや滅相もない!クリスタの気持ちは嬉しいわよ!?」

 拗ねた少女の口調と同時に、ぴしりとすぐ隣の生垣が凍るのを見て、アリスは勢いよく首を横に振った。
 正直に言えば、ここは食べないで済ませたい。が、そんなことになれば目の前の幼い姿の女王様は、途端に機嫌を損ねてアリスを氷漬けにしてしまうだろう。付き合いは幾分か長くなったが、クリスタはやる。
 有言実行で気分屋、そして周りを巻き込んではた迷惑な行為を繰り広げる・・・・・・女王の知り合いなど、2人しかいないけれど、女王というのはそういう共通点でもあるのだろうかと、若干真剣に考えた。

「それなら早く食べてみてくださいな。きっとおいしいはずですわ」
「う、うん・・・・そうなんだけど・・・・・た、食べるのがもったいないなー、なんて」
「あらあら、そんなことをおっしゃらず。まだたくさん用意しておりますから、勿体ないだなんて思うことはありませんわ」

 返答に満足したのか、にこにことクリスタはティーテーブルの上に置かれた黄色いクリスタルガラスの器をアリスの方へと差し出す。それこそがアリスがシドニーに睨まれる理由だと、クリスタが気が付いていないはずはないのに、彼女はとにかく無邪気で楽しそうだ。
 器の上には、白い小さなウサギの形をしたチョコレートが並んでいる。種類は様々で、デフォルメ化されたウサギ型の一口サイズのものから、存在感を放つ精巧なウサギの形をしたものまで。あらゆるウサギ型チョコが器にどんと、しかし上品に盛られている。
 ・・・・・・共通しているのは、そのどれもがホワイトチョコレートでできているということ。

 よりにもよって白が大嫌いと公言している黒ウサギの前で。
 白ウサギの形をしたチョコレートを食べろ、と。
 このかわいらしい笑顔の女王様は、そう言っているのだ。

「く、クリスタ・・・・・・?なんか怒ってる?」
「怒る?おかしなことをおっしゃいますわね。怒るだなんて、とんでもない。楽しんでいるだけですわ」
「・・・・・・陛下」

 ころころと鈴を転がすような笑い声に、まったく笑えないレベルの低い声がその場に響く。
 音がしそうなぎこちなさで振り向く。片手で眼鏡を直すシドニーの表情はアリスからハッキリと見えないが、その全身から不穏な空気が立ち上っているような気がした。

「いい加減にしてください。なんの嫌がらせですか、これは。ティータイムに付き合わなければ仕事をしないとか言い出したかと思えば、よりにもよって・・・・・・こんな、こんなおぞましいものを茶菓子に選ぶなんて!」
「おぞましいとは失礼な。どれもかわいらしいウサギさんではありませんか」
「おぞましいですよ、この上なく!!白!チョコレートの中でも最低最悪なホワイトチョコレートというだけでも許しがたいと言うのに、ウサギだなんてっ・・・・・・!それを彼女に食べさせようだなんて、あなたは何を考えているんですか!?」

 ヒステリックに騒ぎ立てる黒ウサギにつんとそっぽを向き、クリスタは知らぬ顔で紅茶をすする。
 興奮したシドニーの視線がぎっと今度はアリスへと向けられ、彼女はびくりと肩をすくめた。完全なるとばっちり、とばっちりなのだが・・・・・・おそらく今のシドニーには何を言っても無駄だろうなと察する。
 赤と黒の瞳が、脅すように眼鏡の奥で細められた。

「アリス。君も・・・・・・まさかこんなものを口にするだなんて、馬鹿なことは言わないだろうねえ?」
「え、ええっと・・・・・・」
「そんなに白ウサギのチョコレートを彼女が口にするのが嫌なら、黒ウサギのチョコレートにしましょうか?それならいいのかしら、シドニー?」

 まったく、と言わんばかりにクリスタが発した言葉に、シドニーの動きがなぜか一瞬止まる。
 相変わらず嫌そうに眉をひそめたままの黒ウサギを見つめ、クリスタがにんまりといたずらっ子の笑みを浮かべた。

「それも嫌、なのでしょう?まったく我儘なウサギさんですこと。たかがチョコレートにまで嫉妬しているようでは、先が思いやられますわ」
「え?嫉妬?」
「そうですわ。聞いてくださいな、アリス。シドニーはあなたが自分以外のウサギを食べることが・・・・・・」
「陛下!!!」

 クリスタの言葉を大声で遮ったシドニーに驚く。かすかに赤く染まった目元が見えたのは、わずかのこと。盛大に舌打ちをしてそっぽを向いてしまった黒ウサギに、クリスタは堪えられないというように笑った。
 何が何だかいまいち話についていけないアリスに、クリスタはしーっと口元に人差し指を当てた。瞬きをするほんの一瞬で、その姿は大人の美女へと変化した。

「ねえアリス。チョコレートをさしあげるのは、また今度の機会でもよろしいかしら」
「え?私は別に構わないけれど・・・・・・」
「ふふ、ありがとう。今日は楽しいものを見られましたし、このあたりでわたくしのウサギさんを苛めるのは終わりにしておきますわ」
「・・・・・・陛下?」
「そうそう、それで、あなたへのバレンタインのプレゼントのことですけれど・・・・・・改めて選びなおしますから、またお茶会に付き合ってくださいな。今度はもっと面白くなりそうなものを考えておきますわね」

 清楚でおしとやかな美女という言葉が似合う容姿なのに、浮かべる笑みは少女の姿と重なる。
 口元に笑みを敷いた綺麗な顔立ちが、すっとアリスに近づく。クリスタからは甘いお菓子と薔薇の香水が混ざった、不思議な香りがした。


「わたくし、誰かに物をもらうことはあっても、誰かにあげるなんてこと、したことありませんでしたの。だから、もっと楽しませてくださいな。あなたが喜んで、わたくしも楽しくなるもの・・・・・・それを考えるのは、なかなか楽しいのです」


 内緒話のように声を潜めて囁かれた言葉。
 無邪気な少女の笑みを浮かべる大人の女性。甘えるように抱き寄せられて、その柔らかさにアリスは思わず赤面した。

 白と黄色の薔薇が咲き乱れる、氷のお城。
 「いつまでそうしているつもりですか」と、不機嫌な黒ウサギによって引き離されるまで、あとわずか。




 Happy Valentine 2014

※ツイッターのネタ企画で、続きを見たい話の人気投票で選ばれた「クリスタからの逆チョコ」SSでした。
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