スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←離してよ、意地悪(シドニー×アリス) →ホワイトクイーン・バレンタイン(2014バレンタイン、クリスタ&アリス&シドニー)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【離してよ、意地悪(シドニー×アリス)】へ
  • 【ホワイトクイーン・バレンタイン(2014バレンタイン、クリスタ&アリス&シドニー)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「リジェ系」
剣が君

褒の草紙~縁~(縁香、和エンド後)

 ←離してよ、意地悪(シドニー×アリス) →ホワイトクイーン・バレンタイン(2014バレンタイン、クリスタ&アリス&シドニー)
※これは各キャラの攻略後に見られるご褒美スチルから管理人が妄想したお話です。



 捨てたもの、得たものに対して後悔なんてしていない。これは縁が自分自身で選んだ道だ。
 自分の腕ひとつで、江戸の町を守る。規模は小さいし、やれることなんてたかが知れている。それでもお膳立てされた役割の上に立って、荷が重い責務にがんじがらめにされたまま剣を振るおうとするより、よほど充実感は得られた。生きている、と思えた。
 だから、連日連夜の捕り物が続いた近頃も、縁自身はどうってことない体でいた。疲労は確かに感じてもいたが、あのお役目の日々に比べたら些細なことだ。根なんてあげていられない。

「あの、縁さん、お疲れなんじゃないですか?」

 そう思っていたから、香夜からのその言葉は、縁にとって意外なものだった。思わず、まじまじと恋人の顔を見つめてしまうほどに。
 疲れを滲ませたつもりはないし、仕事が忙しいとも話していない。それでも縁を見上げる香夜の瞳は、はっきりと「心配」の二文字を映し出していた。

「そーんなことないよ?香夜と久しぶりの逢瀬だって言うのに、疲れるだなんてとんでもない!」
「でも……」
「俺はただ、もう香夜と離れなきゃいけないのかーって名残惜しく思ってただけ。本当はこのまま攫って行きたいくらいだけど、親父さんに睨まれるのは勘弁だからな。大人しく姫の家まで送っていくよ」

 半分の本音を混ぜて、いつものような軽い口調で笑ってみせる。
 隠密なんていうものをやっていたせいか、隠したいものを隠すのには長けている。そりゃあ、三厳あたりの付き合いが長い相手だとさすがに難しいが、大抵の人間は縁のヘラヘラとした態度に騙されて深くは追及してこない。
 それでもまだ心配の色が消えない香夜に苦笑して、縁はその小さな白い手を取った。行こうと手を引いて、すっかり暗くなった町を歩く。店前にぶら下がった提燈の光が転々と照らす大通りを、なんとなく無言のまま歩いた。
 気にかけてくれる香夜には悪いが、好きな女の前でくらいカッコよく振る舞っていたいのが男の性というものだ。例え、すでに数えきれないほど彼女にはカッコ悪いところを見られているのだとしても。
 自分で選んだ道なのに、疲れてへばっているところなんて、知られたくないし見られたくない。

「……縁さん」

 不意に大人しく手を引かれていた香夜が、くいと縁の手を引いた。何か気になるものでも見つけたのかと足を止め、引かれるままに少しだけ香夜の方へと身を近づける。ちょうど通りを僅かに入ったその場所は、暗がりで視界が悪い。けれど何か気配があるでもなく、怪しい物音がするでもなく、なんだろうと彼女の方へ視線を向けた。
 ……なんだか妙に香夜の顔が近いな、と思った一瞬のこと。
 柔らかく頬に触れた感触がわからなくて、思わず瞬きを繰り返す。慌てて離れた香夜の顔が、暗がりでも見てとれるほどに真っ赤に染まっていた。

「香夜?」
「あ、あの!今のは、ですね、その……ご褒美、です」

 ご褒美?と聞き返すと、彼女は恥ずかしげに頷く。
 おずおずと少し潤んだ瞳で縁を伺う表情と、小さくわななく唇から目が逸らせない。今更ながら、先ほどの感触はやはり香夜の唇だったと鈍い頭が回転した。

「疲れてはいないのだとしても……、縁さんが御用聞きのお仕事をがんばっているの、わかっています。私、縁さんのために何かしたかったんです。仕事のお手伝いはできないし、最近は本当に忙しそうだったから差し入れをしても邪魔になってしまいそうで。……弱音や悩みを聞くこともできないなら、せめてこれくらいは、って」
「それで、口付けを?」
「は、はい……以前、褒美ならそれがいいって、言っていたのを思い出して。あの、迷惑、でした?」

 話すうちに落ち込んできたのか、肩を落とし始めた少女を見つめながら、縁は片手で口元を抑えた。香夜がうつむいていて、幸いだった。この一角が暗くて、助かった。
 今の縁の顔は、情けないほどに真っ赤だ。

「~~っ、ああもう!どうして俺の姫はそんなに可愛いのかな!」
「え……、んむっ!」

 いつもより乱暴に腰を引き寄せ、唇を重ねる。暗がりとは言え、大通りも間近なこんな場所で接吻されたことに恥らったのか、逃げ腰になる香夜の後頭部を片手でしっかり抑え込む。
 深く味わいながら、薄目を開けた。苦しげに眉を寄せながらも、完全には縁を拒みきれないでいる初心な恋人の表情に、ぞくりとした感覚が背中を走る。


「ん……っ、ふふ。本当に慣れないよね、おまえ。こうやって口付けするの、これが初めてじゃないのに、まだ恥ずかしいんだ」


 このまま場所も構わずどうにかしてやりたい気持ちをぐっと抑え、唇を解放してやる。
 息をなんとか整えようとする香夜の耳元でわざとからかう口調で囁けば、彼女は目を吊り上げた。

「え、縁さん!」
「怒らないでよ。最初に誘ったのは香夜だろう?」
「そ、そんなつもりじゃないです!私はただ……」
「うん、わかってる。俺のことを思ってくれたんだな。ありがとう」

 つと先ほど触れたばかりの唇を、親指でなぞる。小さく震えた彼女に気が付いても、離してあげられそうもないなと縁は自嘲の笑みを浮かべる。
 まいった。知っていたけれど、自分はとことんこの姫には甘えてしまうらしい。

「ねえ、香夜。俺の弱音や悩み、聞きたいと思う?」
「え?」
「それってつまり、俺の素顔を暴くってことだよ。聞いたらもう、逃げられない。拒まれても逃がさない。その覚悟は、おまえにある?」

 そっと滑らかな頬に手を這わせる。答えを考える香夜の瞳に、紡がれる言葉ひとつに、反応ひとつに、怯えが含まれないか、見逃すまいと集中する。
 彼女が僅かでも戸惑いを見せたなら、いつものように笑えばいい。冗談だと言ってしまえばいい。……ずるい逃げだとわかっていても、それだけ、彼女に嫌われたくなかった。

「……私はいつだって、貴方の力になりたいんです。支えていけたらいいなって、思っています」

 真っ直ぐに縁を見つめたまま、香夜は迷いなく言い切る。東海道での旅でも、何度この強い目に惹かれただろう。慣れない旅路に戸惑いながら、怯えながら、それでも凛と背筋を伸ばしていた仮初のお姫様。守りたいと思い、真っ直ぐさに憧れ、愛おしくなった。
 頬に触れさせたままだった手に、そっと香夜が自身の手を重ねる。嬉しそうに縁の手に頬を摺り寄せ、彼女は微笑む。

「逃げたりしません。私は、どんな縁さんだって好き。だから、もっと教えてください。聞かせてください、縁さんの気持ち」

 そこでもう、限界だった。気遣いも何も忘れて、衝動のままに細い体を抱きしめる。それでも足りなくて、引き寄せられるようにもう一度、深く深く口付けた。
 心臓が音を立てて高鳴る。どうしようもないほどに、胸が熱くて、喉が渇く。目の前の愛おしい少女に触れたくて触れたくて、理性が軽く吹き飛びそうだ。

「ねえ、香夜。帰さない、なんて我儘はさすがに言わないからさ。ひとつだけ、甘えてもいい?」

 名残惜しさをこらえて、わずかに唇を離す。
 ぼうっと逆上せたように縁を見上げる瞳に、本当に帰したくないと思う本音はひとまず堪えて、耳元に吐息を落とした。


「おまえの熱を、刻ませて。明日からまた、頑張れるように」


 疲れたなんて言わない。選んだ道を後悔もしていない。ただ、忙しくてなかなか香夜に会えないことが、寂しかった。
心の底にあった弱音を彼女にだけ囁けば、香夜はどこか嬉しそうに微笑んで。そして「私もです」と、縁にだけ聞こえる声で呟いた。





終わり
関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ 3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ 3kaku_s_L.png リジェ系
総もくじ 3kaku_s_L.png お題もの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【離してよ、意地悪(シドニー×アリス)】へ
  • 【ホワイトクイーン・バレンタイン(2014バレンタイン、クリスタ&アリス&シドニー)】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【離してよ、意地悪(シドニー×アリス)】へ
  • 【ホワイトクイーン・バレンタイン(2014バレンタイン、クリスタ&アリス&シドニー)】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。