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「QuinRose」
アリスシリーズ

あまえ熱(ジョーカーの国、グレアリ、リクエスト交換)

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 くらくら。ぐらぐら。
 わずかに瞼を開けた先の視界が揺れる。

 横になっていても落ち着かない眩暈と頭痛に、吐き気までもが胸のあたりに圧し掛かる。まともに働かない思考回路が、ただひたすら「つらい」と訴えかけてきた。
 ため息交じりの呼吸を吐き出すと同時に、ノックの音が響く。「どうぞ」と答えたつもりの声は、思ったより擦れて小さなものだったが、来訪者は聞き届けてくれたらしい。ドアがやや乱暴に開かれる音がして、焦ったような足取りが近づいた。

「アリス、具合はどうだ?どこか苦しかったり、痛いところは・・・・・・」
「あー、うん。だいじょうぶよ。そんなに気にしないでちょうだい」
「そんなわけないだろう・・・・・・つらそうだ」

 心配そうに覗き込んできた恋人の顔に、ぼんやりとした意識の中で笑ってみせる。
 大きな手の甲がこつりと軽く額に押し当てられ、ひんやりとした感触にうっとりと瞳を閉じる。火照った顔に触れる手の冷たさが気持ち良くて、少しだけ気分が楽になったような気がした。

「ほんとうに、平気よ。ちょっと熱が出ちゃっただけ・・・・・・体調管理もできないなんて、ナイトメアのことを言えないわ。ごめんなさい」
「謝ることなんてないさ。塔の季節は冬だから、どうしたって体調を崩しやすいものだ」

 優しく頭を撫でてくる手に申し訳なさを覚えるのと同時に、もう少しこのままでいてほしいという甘えた気持ちが溢れだす。体調を崩すと人寂しくなると言うのは有名だけれど、本当だなとしみじみ感じる。
 グレイには平気だと伝えたが、実際のところはかなりキツい状態だと自覚していた。
 起きているのも辛いくらいだが、かと言って眠ろうと目を閉じても睡魔が訪れてくれないのだ。被っている布団がやたらと重苦しく感じたり、頭痛が断続的に続いたりと、とにかく気分が落ち着かない。

 けれどそれを素直に口にしたら、グレイをもっと心配させてしまうだろう。ただでさえ突然体調を崩して仕事を休んでしまっているというのに、この上さらに甘えるわけにはいかない。
 頭を撫でてくれる手を握り返して、傍にいてほしいと言ってしまいたくなる気持ちをぐっと堪え、私はできるだけ平気そうな笑顔を作るように口元を上げた。

「さっき医者にも看てもらったし、薬も飲んだから。寝て起きたら、きっともうよくなっているわよ」
「そう、か。すまないな。仕事で出掛けていたとは言え、君が苦しんでいる時に何もできなかったなんて・・・・・・自分がふがいないよ」
「そ、そんな!本当に気にしないでってば。むしろ、仕事から帰ってきて、すぐに来てくれたんでしょう?手が冷たかったもの」
「ああ、すまない。嫌だったか?」
「嫌、ではなかったけど・・・・・・むしろ、気持ちよかったというか・・・・・・」

 ずっと頭を撫でてくれる手が、そっと火照った頬に触れる。
 今はもうほとんど冷たさを感じない程度に温かくなっていたけれど、それでも長い指先が触れるたびに安心したような心地よさに満たされる。いつもならこの手に触れられるだけで、ドキドキして落ち着かない気分になるというのに・・・・・・なんだか少し不思議な感じだった。


「・・・・・・グレイの手、おちつく・・・・・・」


 思わずぽろりと零れた本音に、慌てて口を押える。甘えるわけにはいかないと思っていた直後に、何を口走っているのやらと自分にうんざりしたけれど、出てしまった言葉は戻らない。
 恐る恐る視線を動かすと、少し意外そうな顔をしたグレイと視線があった。

(・・・・・・ああ、ダメだな)

 なんだか不意に目頭が熱くなった。頭痛やら息苦しさやらで、なんだか急速に気分まで落ち込んでいく。体調不良で感情までうまく扱えなくなっているのだろうか。ひたすら情けなくなって、自己嫌悪に本気で泣きそうだ。
 気を抜くとすぐに彼にすがろうとしてしまう自分の弱さが、嫌だ。グレイは優しいから、私が傍にいてと言ってしまえばきっと笑って手を繋いでくれるのだろうけど、そんなワガママに付き合わせたくない。帰ってすぐにここへ来たということは、まだ仕事は残っているはずで・・・・・・きっと、本当はすぐに戻らなければいけないのだろうと、熱に浮かされた頭でも容易に考えつく。
 グレイをここに留まらせているのは、間違いなく自分のせいだ。そう思ったら、なんだか悲しくなってきた。

「アリス!?どうした、苦しいのか?」
「っ、ご、ごめんなさい。何でもないの。ちょっと疲れたから、先に休ませてもらうわ」

 涙の溜まった瞳に焦った表情を見せるグレイから逃れるように、慌てて背中を向ける。
 寝返りをうった瞬間に触れていた手の温もりが離れて、身勝手にも寂しく感じた。これ以上みっともない姿を見せたくはないのに、まばたきをした途端、少し冷たい涙がぽろりと零れてシーツに落ちた。
 少しの沈黙ののち、グレイがひとつ溜息を吐いたのが聞こえ、体がびくりと跳ねる。呆れられたのかと思うと余計に泣きそうで、ぎゅっと掛布団の端を握りしめた。

「アリス」

 思いがけず優しい声が聞こえたのと同時に、ベッドのスプリングが軋んで揺れる。
 驚いて視線を戻すと、グレイの顔が思いがけず近くにあって息を飲んだ。優しい温もりがふわりと目元を覆う。柔らかな暗闇に閉ざされた視界の中、それがグレイの手だと気が付くのに、少しばかり時間がかかった。


「ぐれ」
「しー・・・・・・そのまま。目を、閉じてくれ」


 耳元でそっと落ちた囁きに、どきりとする。
 見えない分、余計にグレイの吐息と温もりを間近に感じて、ひどく動揺した。

「俺は君に何もしてあげられない。泣きそうな君を前に不安を取り除くことも、熱で苦しんでいる君に代わってあげることもできない。例えばここにいるのがナイトメア様だったら、君を穏やかに眠らせてあげることも、悪夢を見ないようにすることもできたのだろうが・・・・・・俺にはとても、そんなことはできない。だからせめて、君が眠るまで、こうして見守らせてくれないか。傍に、いさせてほしい」

 穏やかな闇の中、耳元で響く低い声。
 いつも私をドキドキと落ち着かなくさせる恋人の声は、今は何よりも私を落ち着かせてくれる優しさで心に沁み込む。

「これは俺の我侭だよ。俺が、安心したいんだ」
「ぐれ、い・・・・・・」
「君が熱で倒れたと聞いた時、頭が真っ白になった。落ち着いてなど、いられなかった」

 甘えてはいけないと自分に言い聞かせてた理性が、ゆっくり溶けていくような気がした。じんわりと目元が熱くなる。
 なかば無意識に伸ばした指先で、グレイの袖口あたりを手さぐりで掴む。子供のような行動だと頭ではわかっていたけれど、彼のシャツを掌の中に握り込むとすごく安心できた。


「・・・・・・ほんとうに、心配した」


 呟きと共に、そっと額に柔らかい感触が触れる。
 ああ、愛されている、と。不思議なほど素直に、そう思えた。
 何も見えないけれど、今、私に触れて、私に話しかけてくれるこの人を、私は信じることができる。この人の愛情に・・・・・・甘えることができる。

「ねえ、グレイ・・・・・・少しだけ、わがままを言ってもいい?」

 涙声になるのを堪えながら紡いだ言葉は、けれどやっぱり少し震えてしまった。
 甘えることは少しだけ怖い。際限なく甘えてしまって、いつの間にか呆れられてしまったらどうしようと不安になる。ひとりで立っていられる強く自立した女性になりたい。周囲に迷惑をかけない存在でいたい。大切な恋人が、自分よりずっと大人である分、余計にそう思う。彼と釣り合う女性に、少しでも近づきたかった。
 ・・・・・・そんな私の見栄を、グレイは簡単に壊してみせる。
 少しくらい。今くらい。弱いところを見せてしまっても、嫌わないでいてくれるだろうと、思わせてしまう。

 
「もうちょっとだけ。そばに、いて・・・・・・?」
「それは、我侭のうちにも入らないな。君はもっと、俺に甘えてくれていい」


 とびっきりの甘い声に、口元が緩んだ。
 瞳を閉じた途端、堪えきれなかった涙が少し流れたけれど、両目を覆ったグレイの掌にそっと吸い込まれる。もう一方の大きな手が、あやすように頭を撫でてくれるのを感じた。
 優しい温もりに、眠気がゆっくりと訪れる。あれほどまでに辛く感じていた具合の悪さが嘘のように、意識が引きずり込まれるように眠りの中に落ちていった。



「おやすみ、アリス」



 愛おしい声が、聞こえる。

 眠りの淵で確かに感じた恋人の存在に、そっと笑みを返した。

 ・・・・・・きっと、これから見る夢は、幸せなものだろうと確信して。





End.

※奏さまとのリクエスト交換作品となります。お題は「目、閉じてと囁く」でした。
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