スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←閑話 What's your favorite? →明日はいよいよ!
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【閑話 What's your favorite?】へ
  • 【明日はいよいよ!】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「お題もの」
QuinRose系

綺麗に汚れていくばかり(ボリス×アリス)

 ←閑話 What's your favorite? →明日はいよいよ!
 最近、ドアの声が聞こえなくなった。そう告げると、ボリスは「そう」と笑った。
 遊園地にあるボリスの部屋で、何をするでもなく寄り添いながら時間を過ごす。外からは楽しそうな歓声や陽気な音楽が聞こえるけれど、そこに混ざることはできないともう知っている。この部屋は、私とボリスだけの世界。引っ越しで引き離された今、ここは切り取られた部分に過ぎない。
 ・・・・・・それを寂しいと思っていた気持ちが薄れてきたのは、慣れのせい、なのだろうか。

「それっていいことだろ?ドアの声が聞こえなくなってきたってことは、迷う必要がなくなったってことだ。アリスはこの世界に・・・・・・俺の傍に、ずっといてくれることを選んだ。違う?」
「違わ、ないけど・・・・・・」

 問いかける金色の瞳から視線を外し、消えない違和感のままに言葉を濁す。
 この不思議な世界で生きていくことは、引っ越しでクローバーの国に飛ばされてしまうより前にとっくに決めた覚悟だ。例え愛着を持っていた「遊園地」という居場所から弾かれても、それでもこの世界で生きたいと思えた。
 執着するものを持たず、寂しいという気持ちを理解できず、弾かれ続けても一人で平気だと笑う猫。彼の傍に、いたいと思ったから、私は今、ここにいる。

 そう決めたはずなのに、どうにも奥歯に何か挟まったような突っかかりが消えない。
 何か大事なものを忘れているようで。それを忘れたまま、幸せになろうとすることへの後ろめたさ、とでもいうのだろうか。落ち着かなさが、違和感を増大しているようだ。


(・・・・・・何を、忘れているのかしら)

「アリス」


 思考を引き戻す声にはっとすれば、目の前には拗ねた金色の瞳があった。
 するりと伸ばされた両腕が、私の体を引き寄せる。猫が甘える態度そのものですりっと肩口に頭をこすりつけたボリスは、そのまま恨めしそうに上目遣いで私を見つめた。

「俺と一緒にいるのに、他のこと考えないでよ」
「ちょっと考え事してただけでしょ」
「それでもダーメ」

 悪戯な笑みが距離を縮める。
 一瞬のうちに重なった唇に目を瞬かせると、少しだけ唇を離したボリスが間近で笑うのが見えた。


「俺のことだけ、考えててよ。他のものなんて、見なくていいんだ」


 妖艶に。誘うように。けれど、どこか懇願するような響きを含んだ言葉。
 そのことを尋ねるより早く、再び唇が重なった。
 何度も何度もついばむように触れ、たまに深く音を立てて絡むキスに、疑問や違和感が徐々に溶かされていく。望んだとおり、ボリスのことだけしか見えなくさせられそうで、ぎゅっと彼の服を引っ張る。
 体をなぞるように降ろされた手がスカートを軽くたくしあげるのを感じ、抗議するように薄目を開く。目の前のボリスの表情は、どうしてか真剣な目をしていた。


「・・・・・・こんなに惑わせても、完全には忘れてくれないんだな」
「ボリス?」


 息継ぎの合間に落とされた独り言に、軽くその胸を押し返した。
 問い詰めるように、じっと真っ直ぐに金色の瞳を覗き込む。私の無言の問いかけに、ボリスは少し自重めいた笑みを口元に浮かべただけだった。

「ねえ、アリス。人の心って、どうすれば自分だけのモノにできるんだろう」

 胸元に頭をすりよせたボリスが、そのまま喉元に唇を寄せる。
 熱い吐息が素肌に触れる感触に反射的に仰け反ると、逃がさないというように腰を強く引き寄せられた。噛みつくようなチリッとした痛みが走り、なぞるような舌先の湿った感触に体が震えた。

「キスマークのことさ、所有の証って言ったりするじゃん?でもこうやって俺のものだって、印を残してみてもさ・・・・・・本当に俺のものにできたわけじゃない」
「・・・・・・それは、そうでしょうね」
「できたらよかったのに」

 首元から顔を離し、ボリスの体が下がっていく。腰を引き寄せられたまま、先ほど乱されて露わにされた太腿のあたりに彼の唇が寄せられ、慌てて止めようと手を伸ばす。ピンク色の髪に指を絡めて引っ張る私の抗議を気にした様子もなく、ボリスはそのまま内腿のあたりをざらりと舐めあげた。

「やっ・・・・・・ちょ、っとボリス!」
「例えば、ここに・・・・・・俺の証を刻んだら。あんたはもう、どこにもいかない。この足は、俺のものだから・・・・・・俺の許可なしに、勝手にどこかにいなくなったりしないんだ」
「っ!」

 ちゅ、という音と共に喉元に落とされた時と同じ痛みが走る。
 鮮やかに残された紅の跡を愛おしそうに舐めあげ、ボリスが視線だけをこちらに向ける。仄かに熱を灯しながらも、切なげに金色の瞳が細められた。


「ほんとうに・・・・・・そうできたら、良かったのに」


 囁く声で言葉を落とし、ボリスは顔を俯かせた。腰のあたりに押し付けられたピンクの髪を、今度はそうっと撫でた。ふわふわした感触が指の隙間を通っていく。
 へたりと後ろ向きに倒れた耳をなぞる。一瞬震え、それでもされるがままでいてくれるボリスに、優しい気持ちが募っていった。

 ボリスがどうしてこんなに落ち込んでいるのかは、よくわからない。
 何をそんなに怖がっているのだろう。求めるくせに、諦めているような。それでも行かないでと必死で訴えてくるような・・・・・・そんな風に、見える。

「私は、誰かのモノになんてならないわよ」
「うん」
「所有とかそんな考え、馬鹿馬鹿しいわ。私は私のモノで、都合のいい人形じゃないのよ。ボリスの思い通りになんて、なってあげるわけないでしょ」
「うん、知ってる。あんたはしっかりしてて・・・・・・そんでもってひどい子だ」

 俯かせた顔のまま、ボリスが拗ねたように呟く。
 ひどい子、なんてご挨拶ねと少し眉を寄せる。当たり前だ。思い通りになるばかりが「ヒト」じゃない。本気で誰かを自分だけのモノにできると思っているのなら、それはとんだ傲慢だろう。


「思い通りにできないのに、こうやって恋人として一緒にいるのよ。その意味、ちゃんと考えてみたら?」


 耳元でそっと囁くと、きょとんとした猫の顔が私を見つめ返す。
 片一方だけの「所有欲」は、傲慢だ。それではいつか離ればなれになってしまうだろうし、心は永遠に繋がらない。

 だけど、双方の「所有欲」が重なったのなら、それは願いだ。

 お互いが一緒にいたいと願ったから、こうして目の前に相手がいる。お互いがもっと深く知りたいと思ったから、恋人として触れ合っていられる。
 ボリスと一緒にいることは、私が自分で選んだ道であり、望んだこと。わざわざ所有の証を刻まれなくたって、離れたりしない。


「ずっと一緒、なんて確約はできないかもしれないけど・・・・・・あなたが大切だから、置いていかないっていう約束くらい、できるわよ」


 上体をわずかに倒して、呆けたその唇にキスをひとつ。
 勘違いをしないでほしい。彼だけが縛っているなんて、そんなわけがない。自由奔放に生きる猫そのものの彼を縛りたいと強く願っている人間が、ここにいるのだから。
 縛って縛られて、互いの思惑が絡み合って、綺麗に見せかけながら汚れていく。きっと、恋愛感情なんてそんなものだ。

「・・・・・・そこ、大切、じゃなくてさ・・・・・・」
「なによ?」
「好きだから、って言ってよ」

 さっきまでの不安そうな雰囲気を少し消して、ボリスが悪戯っぽく笑う。とびっきりのおねだりをするように艶やかに口元を吊り上げる彼に、わざとらしくしかめっ面を見せてやる。
 だけど、くすぐったい羞恥心や躊躇いを消してしまうような「お願い」という言葉に、その顔も長くは続けられなくて。


 彼の望む言葉を、私はそっと囁いた。


綺麗に汚れていくばかり


 忘れていることがある。消えない違和感は、幸せになればなるほど私を責めるように主張する。

 それでも、この大好きな人が哀しい顔をするのなら。


 ・・・・・・私は忘れたままでも、構わない。


 たとえそれが、罪に汚れて腐っていく道なのだとしたって。

 彼と共に落ちるのなら、喜んで。





End.



お題使用:
88*31
関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ 3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ 3kaku_s_L.png リジェ系
総もくじ 3kaku_s_L.png お題もの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【閑話 What's your favorite?】へ
  • 【明日はいよいよ!】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【閑話 What's your favorite?】へ
  • 【明日はいよいよ!】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。