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「QuinRose」
アリスシリーズ

知らない知り合い(ダイヤの国、グレアリ、リクエスト)

 ←雷夜(ジョーカーの国、ボリアリ) →ダイヤに期待!
※こちらは「ダイヤの国のアリス」発売前のフライング妄想です。
 管理人の妄想による昔グレイ×アリスなので、イメージを壊したくない方は回れ右をしてお戻りください。






 ありがとうございましたという店員の声を背中に、上機嫌で大通りへと飛び出す。
 手元に抱いた袋からは、焼き立ての香ばしいクッキーの香りが漂う。食欲を刺激する幸せな香りに自然と笑みが零れた。
 まだよく知らない街をあてどなく歩いてみるのもいいものだ。ぶらぶらと散策ついでに立ち寄った店が、とても美味しい洋菓子店だったのは運がいい。試食させてもらった焼き菓子はどれも絶品で、思わず買ってしまった焼き立てクッキーへの期待値も自然と上がる。

(いいお土産が手に入ったわ・・・・・・ナイトメアが大喜びしそう)

 目を輝かせて喜ぶ子供の姿を思うと、少し楽しみになる。中身は「病弱のくせに病院と薬嫌いで、仕事嫌いなダメ男」という知り合いそのままだが、子供の姿をしているというだけで大目に見てしまえるのが不思議なところだ。多少のワガママは許せてしまうし、どうしたって扱いが甘くなってしまう。
 駅まで行ったら、さっそくこのクッキーをおやつに出してあげよう。多分ボリスもいるだろうから、皆でお茶にするのがきっといい。どうせら紅茶か何かも買っていった方がいいだろうか。前までならナイトメアのところへ遊びに行くと自然とコーヒーになっていたけれど、今のナイトメアはコーヒーは苦手なようだから・・・・・・。

(・・・・・・コーヒー、か)

 クローバーの国にいた頃、ナイトメアのところに行くと、いつもグレイがコーヒーを淹れてくれた。君もどうぞと小さく笑って、差し出されたマグカップの温かさを今でもハッキリ覚えている。壊滅的に不器用なくせに、彼の淹れるコーヒーはいつも美味しくて。素直にありがとうと笑うと、照れたように嬉しそうに微笑んでいた。
 懐かしい、と小さく胸が痛む。また引っ越しに巻き込まれ、世界が「ダイヤの国」に変わって。全てが、変わった。
 知っていたはずの人々が、愛着を持っていた居場所が、頼りにしていた絆が、すべて一瞬で消えてしまった。
 あの優しい笑顔を向けてくれていた人は、このダイヤの国では私に笑いかけてくれたことはない。歓迎してもらったこともないし、優しい言葉も気遣いも向けてはくれない。

 それを寂しいと、悲しいと。思うこと自体、お門違いなのだろうと。
 頭ではわかっていたって、受け止めきれない自分がいる。

 ネガティブな方向にどこまでも落ちていく思考を止め、軽く頭を振った。
 ここでぼうっとしていたところで、通行の邪魔になるだけだ。いなくなってしまったものを仕方ないと受け止められるほど気持ちは単純ではないけれど、だからと言ってこのダイヤの国のすべてを否定してばかりもいられない。この国で生きる人、時間を過ごす人、存在する領土、それぞれの思惑や気持ち。それを理解しはじめる程度には、私だってダイヤの国には慣れてきている。


「よしっ!じゃあ紅茶を買いにいこうかしら・・・・・・あ、でもココアっていう選択肢も」
「そのクッキーにココアは甘すぎじゃないのか?」
「ナイトメアは甘いの好きだから大丈夫、ってうわっ!?」


 気合を入れるために口に出した独り言に、返ってくるはずのない言葉がかけられる。
 振り向いた先、つい今までぼんやりと考えていた人の姿があった。

「ぐ、グレイ!?びっくりした・・・・・・いきなり気配消して背後に立たないでよ、驚くじゃない!」
「随分前からすぐ後ろにいたぞ。あんたが鈍いだけだろ」

 やや長めの前髪の隙間から、無感情な琥珀色の目が呆れたように私を見下ろす。
 そんな気づくのが当然みたいな反応をされても困る。大分物騒なことには慣れてきたとは言え、私は銃も扱えない一般人の小娘なのだ。暗殺者なんていうものをやっているグレイの気配を読み取れなんて、どんな無茶振りを言うのか。

「あまりに気づかないから、呆れて声をかけたんだ。・・・・・・あんた、そんな無防備だとそのうち背中から刺されてあっさり死ぬぞ」
「物騒なこと言わないでくれる?グレイが言うと冗談に聞こえないわ」
「冗談じゃなく、忠告してやっているんだ。あんたは無防備すぎて、殺してくださいって札下げて歩き回っているようにしか見えないからな」
「そんなに無防備じゃないわよ、失礼ね。これでも警戒心は強い方よ」

 ムッと頬を膨らませながら、内心は小さく苦笑する。
 暗殺者のくせに。言葉も態度も冷たくて、素っ気ないくせに。目に見えて危なっかしい存在を放っておけず、つい世話を焼いたり親切に忠告してしまう。そういうところは、変わらない。

 誰も私を知らない、ダイヤの国。
 異世界に残る理由を失くし、支えを失くし、それでも私がこのダイヤの国に慣れ始めたのは、こういう「同じ」ところをダイヤの国の住人に見出し始めたからかもしれない。
 近づけば見える、時間が過ぎ去っても「変わらない」部分を。見つけ始めたから、かもしれない。


「あ、そうだ。グレイも一緒に食べない?このクッキー、どちらかと言うとコーヒーの方がお茶菓子には合うと思うのよ。グレイが来るならコーヒー豆も買って、ナイトメアとボリスにはココアにして・・・・・・」
「・・・・・・」
「え、なに、そのいかにも馬鹿にしたような目」
「・・・・・・馬鹿にしたような、じゃない。馬鹿だと思っているんだ。あんた、俺の目的忘れたのか」
「忘れてないわよ。ナイトメアの命を狙ってるんでしょ?」


 さも当然と答えると、グレイの表情がますますいぶかしげなものになる。私の意図を図りかねているのか、困惑しているのが伝わってきて思わず笑ってしまう。
 私が知っているクローバーの国でのグレイは、あまり感情を表に見せない大人な人だったから、新鮮な気分だ。今のグレイは表情の変化こそ少ないけれど、動揺した時や不意をついた時の感情は、ずっと読み取りやすい。大人だ大人だと思っていた知り合いが、少し身近に思えて嬉しくなってくる。

 今のグレイが、ナイトメアの命を狙う暗殺者だということくらい、知っている。
 でも不思議なほどに心配な気持ちにならないのは、未来で彼がナイトメアの右腕として働くことを知っているからだろう。実際、この世界で何度かグレイがナイトメアを暗殺しようとする場面を目撃してもいるが、その度に子供姿の軽くナイトメアにかわされ、かと思えば吐血しながら病院嫌だ薬は嫌だとわめくナイトメアの面倒を甲斐甲斐しく見てやって・・・・・・クローバーの国にいた頃と大差ない光景に、「ああ大丈夫だなこれは」と直感した覚えがある。

「毒でも仕込むつもりか?」
「しないわよ。そんなことしたって、別に私にメリットなんてないでしょう?知り合いをお茶に誘っているだけなんだから、素直にお招きされてちょうだい」

 警戒に満ちた琥珀色の瞳を真正面から見つめ返す。他意はないのだと言うことが伝わればいいと、じっと。
 彼の立場上、素直な好意だけを信じられはしないのだろうということくらい、わかっているつもりだ。甘い話は疑い、優しさの裏に見返りを探り、周りすべてに気を張って生きている。私は今のグレイをそこまで知らないけれど、きっとそういう風だったんだろうと伝わってくる。

 それでもこの人は、グレイなのだ。

 私が知らないグレイ、でも知っている部分も持ち合わせているグレイ。だからきっと、安心する。
 どこか安心して、信頼して・・・・・・信じて欲しいと、そう望んでしまう。


「・・・・・・余所者のお嬢さん、真剣に忠告してやる。警戒心ってものを一欠片でいいから学んでこい。そのうち後悔するぞ」


 深い深い溜息と同時に、先に視線を外したのはグレイだった。
 頭痛を堪えるように片手を額にあて、呆れたように首を振っている。なんだか言葉にはしないまでも、「これだから世間知らずのお嬢さまは面倒くさい」とかそのあたりのことを思われているような気はする。
 ・・・・・・生憎と、私はそんな可愛らしいタイプではないのだけれど、今のグレイにはわからないだろう。

「あら、ご親切にありがとう。それで?結局それはお茶に付き合ってくれると解釈してもいいのかしら」
「・・・・・・付き合わないとしつこいだろう、あんた」
「よくわかってくれてるみたいで嬉しいわ」

 わざとらしくニッコリと、無邪気を装った笑みを浮かべてみせる。
 嫌そうに眉を顰められたが、そんなことは気にしない。言質を取ってしまえばこちらのものだ。

 先導するように一歩前を歩き出すと、黙ってグレイは後をついてきてくれる。偉そうなことを言っておいてなんだけれど、まさか素直に受けてくれるとは思っていなくて、心臓がひとつ跳ねた。
 本当に嫌ならば、逃げることも断ることも彼には容易いだろう。それなのに律儀に付き合って、お茶を飲んでくれようとしている。まだ彼にとっては「見知らぬ少女」にも等しい私を、信じてくれた。
 気まぐれかもしれない。ただ単に根負けしただけかもしれない。それでも・・・・・・そのわずかな優しさが、信頼が、とてもとても嬉しいのだと。
 きっと、私だけしかわからない感情だ。


「ねえグレイ。私が無防備に見えるなら、それはあなただからだと思うわ」
「は?」
「私は結局、どんなグレイでも信じちゃってるから。どうしたって、気を許しちゃうんだと思う。あなたは・・・・・・グレイ、だもの」


 どんなに変わったって。たとえ忘れてしまわれたって。
 私が「グレイ」を覚えている限り、私はグレイを嫌えない。彼を信じている。

「・・・・・・あんたって、本当に・・・・・・わかってないな、全くもって」
「え、どうして?心配しなくても、普段は全然無防備じゃないから大丈夫よ。グレイだから気を許しているだけだってば!」
「あー、わかったわかった。もういい。あんたに言ってもムダだってことはよくわかった。周りが気を遣ってやればいい話だな」

 面倒くさそうに片手を振って、グレイが隣に並ぶ。
 すらりとした長身を見上げると、珍しく口元に笑みを敷いた表情で見下ろすグレイと視線が合った。
 いつもの無表情とは違う顔に一瞬どきりとする。が、次の瞬間、ぽんと頭にグレイの片手が乗せられ、嫌な予感にハッとした。慌ててその手を振り払うより早く、頭に乗せられた手が乱暴にわしゃわしゃわしゃっと髪をかきまぜた。

「きゃああああああ!ちょ、何するのよ!髪がぐっしゃぐしゃになるでしょ!?」
「それは残念だったな。俺を信じなければ、そんなひどい髪型になることもなかっただろうに。恨むなら自分の判断を恨めよ?」
「そ、それとこれとは別の話でしょう!?ああ、もう・・・・・・最悪、鏡もないのに・・・・・・」
「・・・・・・別にそのままで十分だ」

 そんなわけがないでしょう、と言い返す言葉が途切れる。
 再び見上げたグレイの顔。その琥珀色に浮かんだ視線の優しさが、かつての「彼」と重なった。


「あんたは今のままで十分、面白くて俺好みのイイ女だ、アリス」
「・・・・・・え?」
「ま、それを知ってるのは、俺だけでいいけどな」


 再び置かれた大きな手が、今度は優しく頭を撫で、離れていく。
 何を言われたかわからず固まったままの腕から、ひょいと荷物が奪われた。
 そのままスタスタと歩いていってしまう長身を呆然としたまま追いかけながら、何度も頭の中で言われたばかりの言葉を繰り返す。

(っ、や、やっぱり昔のグレイは女タラシだった・・・・・・!!)

 カアアッと熱くなる頬を俯かせ、先を歩く男の足元をひたすら睨みつける。
 冷たいと思えば、ふとした瞬間に勘違いしそうな言葉をポンと口にして。クローバーの国にいて友人関係だった時のように、大切な友達を見るような優しい視線を向けたりして。
 落ち着かない心臓の鼓動が、平静を取り戻すまで、まだ少し時間がかかりそうだった。



 ふと、その時予感がしたのかもしれない。
 知っているけれど、知らない人。前と同じようで、違う感情。

 この世界で出会った彼と、同じ関係でいられないような。
 以前のような「良い友達関係」で終わらないような。

 そんな、不思議な予感が。





End.
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