スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←赤い糸で縛ってあげる(グレイ×アリス) →知らない知り合い(ダイヤの国、グレアリ、リクエスト)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【赤い糸で縛ってあげる(グレイ×アリス)】へ
  • 【知らない知り合い(ダイヤの国、グレアリ、リクエスト)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「QuinRose」
アリスシリーズ

雷夜(ジョーカーの国、ボリアリ)

 ←赤い糸で縛ってあげる(グレイ×アリス) →知らない知り合い(ダイヤの国、グレアリ、リクエスト)
 この世界は、天候が変わることは滅多にない。
 いつだって穏やかな風が吹く、気持ちのいいほどに晴れた気候。温かくもなく寒くもなく、荒れることもない。風がちょっと強く吹いただけで「珍しい」と驚くくらい、安定した日々がここにはある。
 それはジョーカーの国となって、四季という変化が訪れた今でも、変わらないものだと思っていた。


「・・・・・・すごいわね」

 素直にそんな言葉が零れるくらいに、珍しい光景だった。
 見つめた窓の外は夜の時間帯ともあって暗いが、その闇がいつもより深く見えるのは多分気のせいじゃない。ざあっと吹き付ける風とガラスを叩きつける水の音が、時間帯を問わず騒がしい遊園地の喧騒すらかき消して、閉めきった部屋に響き渡る。
 普段よりも数割増しの湿気が、夏の生温かい空気と混ざってじんわりとまとわりつく。その不快感に若干嫌気を覚えつつ、アリスはくるりとだらけている恋人を振り返った。

「ボリス、大丈夫?」
「ん~~~~にゃにが?」

 アリスのベッドに我が物顔でゴロゴロしているボリスは、心底だるそうに返事を返す。普段なら「調子に乗るな」と即行でベッドから転がり落としているところだが、ここまでぐったりしているのを見ると少しかわいそうになる。
 遊園地が夏となってからというものの、暑さにバテていることの多いボリスだが、夜の時間帯は比較的普段どおりだ。だが、今は雨による湿気がダルくて仕方がないのか、真夏の昼間の時間帯並に元気がない。猫は雨が苦手というが、こうしてみるとやはりボリスも猫なんだなあと実感する。
 ベッドに座り、だらだらしているピンク色の髪を撫でてやると、ボリスは気持ちよさそうに瞳を閉じた。

「そんなにダルいなら、自分の部屋で大人しく寝てなさいよ。他人の気配があるところで寝るより、自分の部屋の方が落ち着いて寝られるでしょう?」
「ヤダ」
「何よ。まさか、ひとりで寝ることが怖いとか?」
「・・・・・・そういうわけじゃ」

 からかうように口にすると、少しムッとした表情でボリスが体を起こす。
 と、その瞬間、白い光がパッと視界に入り込んだ。反射的に振り返ると、少し遅れて窓の向こうからゴロゴロという轟音が響き渡る。
 雷まで鳴るのか、とアリスは妙に感動した気持ちで外の景色を見つめた。確かに夏に雷というのは珍しくない気候ではあるけれど、ジョーカーの世界でこんな天気に遭遇するのは初めてだ。それ以前に、この不思議な国に連れ込まれて以来、こんな大荒れの天気を体験したことがない。懐かしさと物珍しさに、少しワクワクしてしまう。

 こういう時、本当は「きゃー怖い」と可愛らしく怖がってみせたり、びくりと震えて縮こまってしまったりという展開が女の子としては理想なのかもしれないが、生憎とアリスはそういう可愛い部分は持っていない。
 確かに突然の雷には驚くし、あまりにも近くに落ちたら怖いとは思うかもしれないが、反応はいたって普通だ。そもそも室内にいるのだから雷の直撃を恐れる必要もないし、むしろ安全とわかっている場所から眺める雷は自然そのものを感じられるようで、なんだか特別なドキドキ感さえ覚える。恐がることは何もないのに、女の子ならではの可愛らしさを求められても困る。
 そう思った途端、左腕の方に温もりが触れた。甘えるように左肩に頭が乗せられ、ピンク色の髪がアリスの頬をくすぐる。先ほどまでボリスの髪を撫でていた手が、ぎゅうっと痛いくらいの力で握りしめられた。


「・・・・・・?ボリス?」
「なに」
「いや、なんか・・・・・・近くない?なんでそんなにくっついてるのよ、あなた」
「・・・・・・アリスにくっつきたい気分だったから」


 嘘くさい、と思わず言いたい気持ちを飲み込む。
 先ほどまでのだるさを一変させ、ボリスはすっかり上半身を起こし、アリスにぴったりと寄り添っていた。ショッキングピンクの耳が後ろ向きに倒れ、金色の瞳はじっと窓の方に向けられたまま動かない。どこからどう見ても猫が緊張して警戒している時の仕草に、思わず苦笑が零れた。

(可愛い・・・・・・)

 そして、面白い。
 にんまりとアリスの笑みが悪戯めいたものに変わる。いつも振り回されることの多い恋人の珍しい姿に、ついついささいな仕返しをしてやりたいという気持ちが押さえられなくなる。
 ボリスを覗き込むように姿勢を変え、アリスは勝ち誇ったように笑ってみせた。


「・・・・・・怖いんでしょう、雷」
「!?」
「そうよね~猫ってわりと雷が苦手な子が多いものね~・・・・・・ふふふ、強がっちゃって♪」
「そ、そんなわけないだろ!?俺、チェシャ猫だぜ。他の猫なんかと違って、雷に怖がるなんて、そんなカッコ悪いこと・・・・・・っ!!」


 否定しようとボリスが言いかけた途中、絶妙のタイミングで再び稲光と雷鳴が響き渡る。
 先ほどよりも近くに落ちた轟音に、ピンクの猫耳と長い尻尾がピンと立ち上がった。ぶわりと尻尾の毛を逆立たせ、緊張した眼差しで外を凝視する姿に、ついつい堪えきれずアリスは噴き出した。
 怖がっていないし平気だと言いながら、頼るように握りしめてくる手の強さに、不思議と愛おしさがこみ上げる。なるほど、雷を怖がる女の子を可愛いとか守ってあげたいと思う気持ちが、少しわかったかもしれない。
 自分よりも背が高い男の子を相手に抱く感情ではないかもしれないけれど。

「ふ~ん・・・・・・怖くないの?へえ~?」
「・・・・・・あんた、楽しんでない?」
「ええ、楽しいわよすっごく!」

 満面の笑顔で肯定すると、ボリスは拗ねた表情でがっくりと項垂れた。
 そのまま観念したように、甘えるように伸ばされた腕が、アリスを抱き寄せる。仕方ないわね、と小さく呟いて、アリスもその背中をしっかりと抱き返した。

 本当は怖いくせに、寂しいくせに。
 そんな感情を端から理解していないのか、それとも認めたくないのか。なんでもないフリをして平気そうな顔で振る舞って。そのくせ主人の傍にぴったりと張り付いて、甘えて、ひとりになりたくないのだとアピールする。
 猫というのは、本当に厄介な生き物だ。

「大丈夫よ、怖くないわ。私がついててあげるから、雷なんて大丈夫よ」
「・・・・・・だから別に怖がってないって」
「はいはい。そういうことにしておいてあげる」
「はあ、これじゃ俺、なんかすごーくカッコ悪くね?そりゃ、あんたにこうしてもらうのは嬉しいけどさ・・・・・・」

 子供扱いするような口調と頭を撫でる手に、少し不服そうにボリスが眉を顰める。
 じっとしばらく外の様子を覗っていた金色の目が、何かを思いついたように輝く。獲物を見つけたように吊り上がった楽しそうな笑みに、残念ながらアリスは気が付かなかった。


「ねえ、アリス。雷が怖くなくなるまで、一緒にいてくれるの?」
「え?」
「いい方法があるよ。雷のことが怖くなくなる、とっておきのイイこと」


 不穏な空気を感じ取るより早く、アリスの視界が反転する。
 とさりと柔らかいベッドスプリングの感触が背中に押し付けられ、見上げた先に天井とボリスの楽しそうな笑みが映った。

「え、ちょ、ちょっと待った!何この展開!?なんでこんな流れになってるの!?」
「だってアリスが言ったんだろ。私がついててあげるから、雷なんて大丈夫、って。それなら、アリスが雷のこと忘れさせてよ。外の音なんて、何にも気にならなくなるくらい・・・・・・ね?」

 ぺろりと舌なめずりをするチェシャ猫の笑みに、アリスの顔からさあっと血の気が引く。
 ボリスの目が本気だ。逃す気はない、と完全に金色の目が語っている。
 先ほどまで雨のダルさにだらけていた姿も、雷に緊張していた姿も、怖がって甘えるようにすりよっていた姿も、どこにもない。

 今、そこにいるのは艶やかな笑みを浮かべる「男」の顔をした獣だけ。



「雷なんてどうでもよくなるくらい、俺を夢中にさせて」



 そのまま落とされたキスに、反論も拒絶も飲み込まれる。
 体を這う指先と与えられる熱に翻弄されて、アリスの思考は奪われていく。すがりついていた腕は、自然と相手を求め、抱きしめ、離れないようにと絡め取る。
 じんわりと溶けだした空気が、深く濃く熱を増し、薄暗い部屋を満たしていった。



 その後、アリスは当分の間、ボリスをむやみにからかったりするもんかと固く心に誓ったとか。





End.
関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ 3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ 3kaku_s_L.png リジェ系
総もくじ 3kaku_s_L.png お題もの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【赤い糸で縛ってあげる(グレイ×アリス)】へ
  • 【知らない知り合い(ダイヤの国、グレアリ、リクエスト)】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

まとめtyaiました【雷夜(ジョカアリ、甘々)】

 この世界は、天候が変わることは滅多にない。 いつだって穏やかな風が吹く、気持ちのいいほどに晴れた気候。温かくもなく寒くもなく、荒れることもない。風がちょっと強く吹いただけで「珍しい」と驚くくらい、安定した日々がここにはある。 それはジョーカーの国とな...
  • 【赤い糸で縛ってあげる(グレイ×アリス)】へ
  • 【知らない知り合い(ダイヤの国、グレアリ、リクエスト)】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。