スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←ゲームと創作と日常の両立つらあ →遅刻常習犯
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【ゲームと創作と日常の両立つらあ】へ
  • 【遅刻常習犯】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「QuinRose」
アリスシリーズ(パラレル設定)

Embrasse moi(April祭、グレアリ)

 ←ゲームと創作と日常の両立つらあ →遅刻常習犯
 光と闇。それは、相容れぬもの。
 天使と悪魔。真逆の存在意義を持つが故、敵対するのが自然の理。

 だが、時に・・・・・・違うからこそ、惹かれあう。


 星がちらほらと瞬く都会の夜闇を縫うように、漆黒のワンピースをひらりと揺らしながらアリスは駆けていた。
 トンと軽くフェンスを蹴り、目も眩むような高さからネオンの消えない街灯りを見下ろしながら、別のビルの屋上へと音もなく着地する。アリスの背中に生えた漆黒の翼は小さく、空をはばたくことはできないが、それでもビルからビルへと飛び移るくらいはできる。
 アリスはいわゆる「悪魔」と呼ばれる種族だ。闇を住処とし、他の種族を闇へと堕とすことを性分とする魔に属するもの。
 だが悪魔として生まれたはずの彼女は、悪魔としてはとても力が足りなかった。力の象徴であるはずの翼は小さく、使える霊力もごくわずか。おまけに性格もお世辞にも「悪魔らしい」と言えるようなものではない。誰かを騙したり嘘をついたりといったことには躊躇いもないが、残虐非道な行いには眉をひそめて嫌悪感を示す。時には見かねて止めに入ることもあるほどだから、悪魔からしてみれば「何を天使みたいなことを」と鼻で笑われる性格だ。他の種族を闇に引き込むことなど、とてもできるタイプではなかった。

 悪魔としてひどく中途半端、だけど今さら他の種族になれやしない。
 それが、今のアリスだった。

 ――だから、彼女は決意した。
 もう「悪魔らしくない」と笑われないために。自分の存在を、立ち位置を、明らかにするために。


「こんばんは、グレイ」


 屋上の片隅にたたずんでいた長身の背中に、甘ったるく呼びかける。
 グレイと呼ばれた男が振り返る。身に纏うものはアリスと同じ黒でも、彼のそれは闇に属するものではない。聖職者の礼服だ。琥珀色の瞳が少し細められ、口元が優しく微笑を形どる。まるで恋人に向けるかのような甘い笑みに一瞬ドキリとしてしまったことは綺麗に隠し、アリスは男へと駆け寄った。

「こんばんは。今日もいい夜だな」
「ええ、本当に。こんな夜を楽しまないなんて、もったいないと思わない?」

 腕を絡め、挑発的に相手を見上げながら意味深に微笑んでみせる。
 瞳と声には、魅了の魔法を込めている。大概の男なら、これには抗えない。虜にされ、判断力を失い、本能のままに目の前の女に迫ってくるだろう。だがそれでいい。それこそが、アリスの目的だ。
 琥珀の瞳にしっかりと視線を合わせ、腕を伸ばして首裏を引き寄せる。特に抵抗もなく近づいた顔を見つめ、囁いて誘う。さあ、こちらへ・・・・・・闇へ、堕ちなさい、と。

「・・・・・・アリス」
「ねえ、グレイ・・・・・・私と一緒に、遊びましょう?」

 吐息がかかるほどに唇を近づけ、そっとアリスは目を閉じる。勝利の予感に、口が自然と笑みの形につりあがる。
 ちょん、と確かに唇に触れる感触。ついにやったとアリスは勝ち誇った気持ちで瞳を開き、


「残念だが、君と遊ぶ気はない。そういうのは、ちゃんと心から好きになる相手にしてやりなさい、アリス」
「っ!?」


 ・・・・・・余裕の笑みを浮かべるグレイの顔に、愕然とするハメとなった。
 アリスの唇に触れるのは、グレイの指。確かに奪ったと思った唇をしっかりと拒絶するその指に腹が立ち、悔し紛れに噛みついてやる。
 「こら、痛いだろう」と眉を顰めながら、振り払いもしない余裕の態度がますますアリスの神経を逆なでする。いっそ血がにじむほど、むしろ噛み切る勢いで歯を立ててやろうかと物騒な考えがよぎったが、一応思いとどまる。これが人間の男だったら迷いなくそうしてやるところだが、相手が悪すぎる。相容れない正反対の種族・・・・・・天使の血だなんて、口にした瞬間にアリスの方が死んでしまうに決まっている。

「ああああああもうまた失敗した!!何よ、わざわざ苦手な色仕掛けまで持ち出してきたっていうのに、少しは動揺しなさいよね、まったく腹の立つ天使様だわっ!!」
「あ、いや・・・・・・動揺していないとかそういうわけではないが・・・・・・」
「えーえー、そうでしょうよ。どうせ私は色仕掛けするにはアレとかソレとかが足りていないわよ、わかっているわよ、悪かったわね!!こんなのに引っかかる男なんていないとか言いたいわけ!?」

 悔しさに、ついつい素が出る。ぷいっと頬をむくれさせて顔を背け、アリスはじろりとグレイを睨みつける。
 先ほど迫った時は大した動揺もなかったくせに、こうしてアリスが拗ねれば少し困ったように視線を彷徨わせて・・・・・・本当にこの男は、油断ならないのか扱いやすいのか、よくわからない。
 天使なんて、別にわかろうとも思っていないのだけれど。

「君が色気がないとかそういうことを言っているわけじゃないぞ?さっきのは、俺も一瞬誘惑されそうになったくらいだ。君は自信を持っていい」
「・・・・・・じゃあ少しは大目に見てよ。いいじゃない、キスひとつ我慢すれば、私みたいなのに付きまとわれなくて済むんだから。あなたにとっても悪くないことでしょう?」
「それとこれとは別だ。君にキスしてしまえば、俺は堕天することになってしまう。それは少し困るんだ」
「私はあなたを堕天させたいの。さっさと堕とされてくれないかしら」
「残念だが、遠慮させてもらうよ。それより君のほうこそ、こんな男を誑かすような真似はやめなさい。悪魔が合わないというのなら、俺が一緒に改心する方法を探してやるから・・・・・・」

 そのままお説教に突入してしまったグレイを見上げ、アリスは一つ溜息を落とす。
 本当は天使になど興味もないし、できれば近づきたくもない相手だ。だけど力がないアリスにとって、天使を堕とすことが「自分の存在を確かにする」ためには一番の近道だった。
 悪魔の天敵である天使を堕とすことは、簡単のようで至難の業だ。名前を呼ばせて、唇にキスをひとつ。それだけでいい。たったそれだけで、天使は堕ちる。神という存在に自分のすべてを捧げる天使にとって、主以外の名前を呼び愛の証を与えることは、許しがたい大罪なのだから。
 主以外を基本的に興味の対象に抱かない「天使」を堕とすことができれば、アリスの悪魔としての素質は認められる。光の象徴そのものである「天使」を闇に引きずり込むのは、悪魔にとって大変名誉なことだ。

 だから、たまたま一番に見つけた天使を・・・・・・グレイを、標的に選んだ。
 特に意味なんてない。男の方が天使でも堕としやすそうだという打算と、一番初めに感じた「天使」の気配が彼だったという、ただそれだけだ。

(それにしてもグレイって・・・・・・天使のくせに、変わっているわよね)

 女性がそう簡単に男を誘惑するものじゃないだとか、君は若いからまだ引き返すには遅くないだとか、悪魔のアリスに対して真面目くさって説教を続けるグレイを見つめる。
 グレイを標的に選んで近づいて、もうかなりの時間が経っているというのに、アリスはいまだにグレイを堕とせずにいる。それはアリスの力不足というのも大きいが、不思議なのはいまだにアリスがグレイを標的にしている、という事実だった。こうしてグレイの前にいられること自体、ありえないことだ。

 彼はアリスが悪魔ということも、アリスが彼を堕天させようとしていることも知っている。普通の天使なら、悪魔とわかった時点でアリスは消されている。
 天使と悪魔はそういうものだ。互いの存在を忌み嫌い、隙あらば存在を抹消しようとする。対立するのが宿命のようなものだというのに。
 だが、グレイはそうしない。アリスを見逃しているどころか、いちいちアリスを改心させようとまでしてくる。
 グレイのことを、アリスは理解できない。変な天使だと思いながら、それでも彼をターゲットに選び続けている。今さら他の標的を探すのも面倒だからとか、知り合いの方が油断するかもしれないからとか、いろいろ言い訳はあるけれど、つきつめてみれば結局のところ「グレイを知りたい」のだと思う。

 知りたい。もっと、この人のことを知りたい。
 余裕のある大人ぶった仮面を壊して、素顔を見てみたい。
 ・・・・・・この人を、自分のいる場所へと堕としたい。

「聞いているか、アリス?」
「はいはい、ちゃんと聞いているわよ。グレイは少し心配性だと思うわ・・・・・・というか、敵の心配している場合?次こそあなたをメロメロにしてやるんだから、覚悟しといてよね!」
「・・・・・・はあ。君は・・・・・・俺の話を少しも聞いていないじゃないか」

 敵対者同士の、不思議な関係。
 居心地がよくもあり、安心さえできたその距離が、いつまでも続くものではないと理解しながら。
 それでもどこかで、願っていた。平和な時間に、少し油断してしまっていた。



 ああまずい、とアリスは絶望にも似た気持ちで自分の両手を見やった。
 白い両手首に巻きつくのは、強い呪力のかかった鎖だ。それはアリスの足元で薄青い光を魔法陣から伸びたもので、しっかりと彼女を捕えている。
 束縛された鎖からどんどん力を吸い取られるのを感じ、アリスはその場にへたり込んだ。立っているのもままならないほどに、力が奪われていくのを感じる。もはや自力でこの呪縛を解くことはできない。

「お、おいすげえ・・・・・・まじで悪魔召喚に成功したのかよ?」
「でも悪魔にしちゃ、めっちゃ弱そうじゃねえ?ただの女の子に見えるんだけど・・・・・・そんなにすごい悪魔には見えないな」

 魔法陣の外で、数人の男達がざわめいているのを感じる。気配からして、ただの人間だ。そんなに大した力も感じないのに、アリスを捕える魔法陣はかなり強大な力を持っている。
 ちらりと足元に目を向ける。特定の悪魔を召喚し、呼び出した悪魔を隷属させるための力を持った魔法陣だとすぐにわかったが、ところどころ間違いや不完全なところがある。おそらく、人間が興味本位で作ってみただけの不完全な魔法陣が誤作動し、偶然にもアリスを捕えてしまったとかそんなところだろう。
 何ともくだらないオチ。だが、アリスにとっては死活問題だ。このままでは、死ぬまで人間に隷属させられることになりかねない。

「まあいいじゃねえか、召喚は成功したんだし。それに見ろよ、なかなか可愛い顔してんじゃん。あの子にご主人様って言われるかと思うと・・・・・・」
「うわあ、おまえも好きだねえ。つか、それなら試してみようぜ。本当にどんな命令でも言うこと聞くのか、さ」
「っ・・・・・・!!」

 鳥肌が立つような笑みと伸ばされた手に、反射的にアリスは身を震わせた。
 こわい、と心が悲鳴をあげる。
 体の自由を奪われて、知りもしない男達に囲まれて、どうしようもないほどの嫌悪感と恐怖が湧き上がる。たすけてと呟いた声は、喉の奥に張り付いてうまく言葉にならない。

 ぎゅっと耐え切れずに目を閉じる。
 瞼の裏側、どうしてかグレイの顔が浮かんだ。


「・・・・・・人間風情が、この子に何してる」


 突如吹き荒れた突風と、地の底を這うような低い声に、アリスは驚いて顔を上げた。
 真っ先に目に入ったのは、漆黒とも呼べるほどの美しい黒い翼。アリスを守るように広げられた大きな翼は、数枚の黒い羽根を散らして月光に舞い散る。
 悪魔とよく似た色合いの、けれど悪魔とはまったく違う翼の持ち主が、アリスを一瞬振り返る。その琥珀色の瞳が、呆然と見上げる彼女を見て優しく微笑んだ。

「ぐ、れい・・・・・・?」
「ひっ、な、なんだ・・・・・・!?悪魔がもう一匹!?」

 すぐにアリスから視線を外したグレイは、予想外の展開に慌てる人間達へと対峙する。
 その背中を見上げるしかできないアリスにグレイの表情を読み取ることはできなかったが、周りの人間達が怯えたように息を飲んだことだけはわかった。


「いい度胸だな。よりにもよって、彼女を捕えるとは・・・・・・てめえの身の程を知らねえらしい」
「ひっ・・・・・・!!」
「失せろ。灰にされてえか」


 明確な殺気に、アリスもぞくりと背筋を震わす。威嚇するようにグレイの掌に現れた炎に、人間達は悲鳴をあげて一目散に逃げ出す。とても天使とは思えない気迫と殺気に、アリスは茫然と目を瞬かせた。
 何が何だかわからないままでいると、グレイが唐突に振り返る。その顔にはもう先ほど感じた冷酷さはなく、ただアリスを心配する表情だけが浮かんでいた。

「アリス、大丈夫か!?かわいそうに・・・・・・今すぐ外してあげよう」

 グレイはそのままアリスの両手を取り、何かを小さく詠唱する。と、あんなにも強力な力でアリスを縛っていた鎖が一瞬のうちに弾け飛び、足元の魔法陣が光を失った。
 奪われていた力が戻ってくるのを感じながら、アリスはまじまじとグレイを見つめる。アリスを縛っていた魔法陣は、不完全とは言えそこそこ強力なものだったはずだ。それをいとも簡単に無効化させてしまったグレイに、驚きを隠せない。

「これでよし。見たところ、怪我はないようだが・・・・・・どこか気分が悪かったりはしないか?力を奪われていたようだから、少し体がだるかったり・・・・・・」
「いいえ、大丈夫。ありがとう、助けてくれて。それで、あの・・・・・・グレイ、その、翼って・・・・・・」

 グレイがこんなにも強かったことにも驚いたが、何よりアリスが気になったのはその背中の羽だった。
 悪魔のコウモリにも似た羽とは違う。どちらかと言うと鳥に近い形をしているのは、天使としては普通だ。だが、アリスの知る限り、天使の羽はこんな色をしていない。白か、悪くて灰色か・・・・・・こんな、悪魔にも近いような漆黒の羽を持つ天使など、見たことも聞いたこともない。
 それに、グレイは相変わらず「天使」の気配がする。彼は間違いなく、「天使」であるはずなのに。


「君にこんな形で知られたくはなかったんだが・・・・・・仕方がないな。俺は、堕天使なんだ」


 溜息とともに告げられた言葉に、アリスは目を丸くした。
 天使でありながら、罪を犯して闇に魂を売った存在。どちらかというと、悪魔の側に近い闇の住人。まさかグレイがその堕天使だったとは予想外だったが、言われてみれば納得のいく部分も多い。
 思えば、アリスはこれまで一度もグレイの羽を実際に見たことがなかったし、グレイが自分から「天使」だと名乗ったこともない。

「ちょ、ちょっと待って!!それじゃあ、私が堕とすまでもなく・・・・・・」
「・・・・・・俺はとっくに、堕天した身ということだ」

 衝撃の言葉に、アリスは再びその場に両手をついてガクリと項垂れた。最初から自分のしていたことがとんだ無駄足だったと判明して、急にどっと疲れが押し寄せる。
 同時に、ひどく胸が痛んだ。騙されていたと怒る気持ちも、どうして言ってくれなかったんだとなじる気持ちもない。堕天したとは言え、彼は元天使。わざわざ悪魔に「自分は天使じゃないから狙っても意味がない」などという親切な助言をしてやる義理はなかったのだ。

「・・・・・・グレイが私を見逃していたのって、私が他の天使を誘惑しないようにするためだったのね。堕天使なら、たとえ堕とされたところで意味なんてないし、私のことを改心させられたら、グレイだって天使に戻れたかもしれないものね」

 そう、つまりはそういうことなのだろう。
 アリスが悪魔として認められるためにグレイを堕とそうとしたのと同じように、グレイも天使に戻るためにアリスを改心させようとしていた。それだけのことだ。傷つく必要もないくらい、納得できる事実。
 なのに、どうしてか、アリスの胸はひどく痛んだ。勝手だとはわかっていても、裏切られたようにさえ思ってしまう。向けられた笑顔も優しいまなざしも、アリスを心配する言葉もすべて、嘘だっただということが、ひどく悲しいことに感じる。

「そう、だな・・・・・・最初は、確かにそれだけの理由だったんだ。だけどそのうち、違う理由で君に打ち明けられなくなっていった。俺が堕天使だと知られるのが、怖くなってしまったんだ」

 俯いたままのアリスの頬に、そっと大きな手が触れる。
 促されるようにして顔を上げると、思いがけず真剣な視線とぶつかった。
 どうして、とアリスは小さく唇を噛む。どうして、騙した悪魔の女を、そんなに真剣な目で見つめるのだろう。いっそ嘲笑ってくれればいいのに。馬鹿なやつだと、突き放してくれたなら・・・・・・アリスは、グレイを思いっきり憎んで、だから天使なんてと嫌いになれたのに。
 こんなに悲しい気持ちに、ならなかったのに。


「なあ、アリス。君は俺が堕天使だと知ったら、どうしていた?」
「それは・・・・・・違う天使を探して・・・・・・」
「誘惑しただろう?俺にしたように。俺は・・・・・・そんな君を見たくなかった。君が俺以外の男を誘惑するなんて、考えただけで気が狂いそうになったんだ。君が離れていくなんて、耐えられなかった」


 勘違いしてしまいそうな言葉に、アリスは目を見開く。かあっと頬が熱くなるのを感じ、慌てて顔を背けようとしたが、グレイの手がそれを許してくれない。
 どこまでも真っ直ぐな琥珀色の瞳からせめて逃れようと、うろうろと落ち着かなく視線を彷徨わせる。と、グレイの顔が近づき、そっとアリスの額にキスを落した。

「っ!?」
「・・・・・・堕とされるまでもなく、俺はとっくに君に囚われているんだ。どんな嘘をついても、どんな手段をつかっても・・・・・・君を離したくない」

 優しげな甘い口調とは裏腹に、グレイはひどく怪しい笑みを口元に浮かべる。アリスの見たことのない笑みは、まるで「天使」とかけ離れたもので・・・・・・「悪魔」と呼ぶのにふさわしいような、残酷ささえ含んだものだった。
 もともと近かった顔が、さらに距離を縮める。いつかアリスがした時と同じように、吐息がかかるほどの距離でアリスの名前を呼ぶ。

 その声に、瞳に、魅了の魔法がかかっているわけではないのに、アリスは動けなくなる。
 琥珀色に囚われ、目が離せなくなる。頭がどこかぼんやりとし、浮かされたように彼の名前を呟いた。


「・・・・・・堕ちてくれ、アリス。俺と、どこまでも」


 悪魔の誘惑のように囁かれた言葉。
 ゆっくりと、互いの唇が重なった。



 悪魔と天使。互いに相容れぬもの。

 堕ちて囚われたのは、彼か。それとも、彼女か。





End.
関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ 3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ 3kaku_s_L.png リジェ系
総もくじ 3kaku_s_L.png お題もの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【ゲームと創作と日常の両立つらあ】へ
  • 【遅刻常習犯】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【ゲームと創作と日常の両立つらあ】へ
  • 【遅刻常習犯】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。