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「QuinRose」
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酔夜(鐘シン、ロイオデ、ベストEnd後)

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 ランタンのオレンジ色の灯りが、琥珀色の水面をどこか妖しく照らし出す。
 からんと涼やかな音を立て、グラスの中の氷が揺れる。それを片手で回しながら、口元へと上品に傾ける青年をオデットはぼんやりと見守る。
 喉仏が静かに上下するのに比例して、琥珀色の液体が減っていく。グラスを離すと同時に満足げな吐息を零し、ロイはにっこりとオデットを振り返った。

「美味い!オデット、おかわり!」
「・・・・・・あのね。そんなにカパカパ飲むようなものじゃないでしょ、これ」

 呆れた声で答えながら、オデットはサイドテーブルに置かれたボトルを手に取る。ずしりと重厚な重みと荘厳なラベル。確かめるまでもなく高級品だ。王城で王子の晩酌用にと用意されたものだけあって、値段もアルコール度数も高そうなウイスキー。考えただけで眩暈がする。
 差し出されたグラスを受け取り、ボトルの中身を注ぎ足す。アルコールに溶けだした芳醇で上品な香りが、ふわりと鼻腔をくすぐった。

「君も飲めばいいのに。折角だから、僕の晩酌につきあってくれ」
「遠慮しておくわ。匂いだけでもクラッとするようなウイスキー、私なんて一口でひっくり返っちゃいそうだもの。というかよく飲めるわね、あなた」
「馴れているからな。多少の酒くらいで醜態を見せないのも、王族としての嗜みだ」

 ロイの言うことにも納得できる。オデットも中流とはいえ貴族。貴族としてプライドや見得に沿った、くだらない暗黙のルールは理解している。
 酒に酔った挙句の醜態は、着飾って取り澄ました貴族社会の中では「みっともないこと」と嘲笑を受けるに値することだ。あくまでも美しく、上品に、優美に。陰口をたたく時だって、相手の腹を探る時だって、表面の顔は綺麗に隠してこそ、「優れた貴族」だ。そんな社会にあって、トップに立つ王族は、当然ありとあらゆる面で「完璧」を自然と求められる。次期後継者の位置にいるロイが、幼い頃から徹底的に教育されてきたのは想像するまでもないだろう。
 オデットも年頃になるくらいにはアルコールに慣れさせるため、しょっちゅうシャンパンやらワインを飲まされていたくらいだ。ロイが慣れていないわけがない。それこそ、このくらいのアルコールになら平然とした顔で会話をしていられるくらいには。

 でも、と。

 改めてオデットは隣でブランデーを飲むロイを見つめる。
 グラスを揺らすロイの表情はひどく上機嫌で、鼻歌でも歌いだしそうなほどだ。薄闇にもわかる程度に紅潮した頬。オデットの視線に気が付いて「なんだ?」と言いたげに首を傾げる気だるそうな動き。そして少し潤んだ瞳・・・・・とくれば。

「・・・・・・ロイ、そう言いつつあなた、酔ってるでしょ?」
「ん~~~~?さあ・・・・・・そんなことよりも、僕は楽しいんだ。君も一緒に飲んだらもっと楽しいと思うから、さあさあ遠慮せず!」
「だからいらない・・・・・・ってこら!抱きつかないでよ酔っ払い!」

 手にしていたグラスを口元にぐいぐいと押し付け、挙句に腰を抱こうとするロイの頭を遠慮なしに引っぱたく。
 一国の王子にこんなことをするなんて不敬ものだが、相手はただの酔っ払い。酔っぱらって乙女にセクハラをしようとしてくる輩に鉄拳制裁を加えたとて、なんの問題もないだろう。
 冷たくオデットにあしらわれ、ロイが拗ねたような表情を浮かべる。しぶしぶと言った様子でウイスキー入りグラスをテーブルに置くと、不満そうに口をとがらせてオデットを覗き込んだ。

「相変わらず君はムードがないなあ・・・・・・こういう時は、夫の晩酌に付き合ってくれるか、それとも酔った夫の介抱をしてくれるのが、新妻の務めじゃないのか?」
「つ、妻じゃないもの・・・・・・まだ一応」

 さらりと奥目もなく言われた単語に心臓がひとつ跳ねる。
 プロポーズは受けたが、まだ結婚式も挙げていない今の状況は「婚約者」という立場だ。ロイがあれこれと根回しを行い、プロポーズされた時点ですでにほぼ確定状態の「結婚」で、ロイの言うとおり事実オデットが妃となるのは当然の流れになっているが、まだ正式ではない。
 悪あがきよろしく否定してみるオデットの頬に、ロイの手が触れる。いつもより少し体温の高い手に促されるように上を向かされる。先ほどより面白くなさそうな表情のロイと視線があった。


「妻だよ、もう。それだけは絶対に変えられないし、変えさせない。君は僕だけの妃だ・・・・・・逃がさないと、言っただろう?」
「っ、ん・・・・・・う・・・・・・」


 言い訳や反論を封じるようにキスをされ、そのまま深く求められる。
 腰裏に回された腕と頬に添えられた手、それだけで逃げようなんて思えなくなってくる。自然、求めるようにオデットもその背中に回していた。

 は、と小さく零れた彼の吐息から、ふわりと芳醇な香りが漂う。
 アルコールを含んだ香りが濃厚なキスの熱とまじりあって、頭をくらくらと酔わせていく。そんなわけがないのに、ロイに口移しで先ほどのウイスキーを飲まされているような気分だ。いや、それよりもっと、性質が悪い。度数が高すぎて、あっという間に理性が溶かされる。

「はっ、あ・・・・・・や、っぱり、酔ってるじゃない・・・・・・お酒くさい」
「なっ、くさ・・・・・・き、君はまたそういう・・・・・・はあ、そうだな。認めるよ。ちょっと今日は酔ってる」
「やあねー、酔っ払いなんて。王族としての嗜みはどうしたのよ?」
「む。これでも、これくらいなら少しも酔わないんだぞ、普段なら」

 長いキスから解放され、開口一番にそんなムードのないからかいを口にする。オデットなりの精一杯の照れ隠しを、わざとらしい顰め面でロイも受け止める。
 互いに本気でない軽口。貴族間ではある種の「恥」ともされる酒に酔った事実でさえ、簡単に認めてしまえる。取り澄ました姿を「美」としてやまない貴族の世界。その中心地たる王城の片隅で、お互いに「素」で向き合っていられる時間。
 きらびやかで嘘と打算と野心が交錯する世界しか知らなければ、絶対に気が付くことのできなかった幸せが、この関係だと言うのなら。

 やっぱり灰を被って生きてきた日々は、絶対に不幸なんかじゃなかったとオデットは思う。


「君だから、酔える」


 ふと落ちた甘い声に、オデットはロイの視線を見つめる。こつりと額を当て、覗き込む若草色の瞳はどこまでも甘い。それだけで、素直に信じられる。うぬぼれじゃなく、「この人は私のことが好きなんだ」と。
 酒に酔っただけじゃない、別の何かを求める熱情に気が付いて、少し顔が熱くなる。恥ずかしさに視線を逸らしたくなることさえ許さないほど、彼の瞳に囚われる。
 優しい、触れるだけのキスが唇をくすぐる。
 アルコールの残り香が、ふわりとその先を誘惑した。


「君の前でなら、どうしてか酔えるみたいだ。口にするものすべてが美味しいと思う。どんな自分も見せることができる・・・・・・オデット、君になら」


 いつの間にか背中に心地のいい弾力を感じて、小さく息を飲む。
 気づかないうちにソファに押し倒されていたなんて、随分と手馴れている。物馴れているかと思えば、やたら緊張していたりと・・・・・・ロイは器用なのか不器用なのか、よくわからない。スカートをたくし上げて触れてくる指先に少し体を震わせながら、オデットはあくまでも余裕の笑みを浮かべてみせた。

「どこからどう見ても酔っ払いに不埒なマネされている、うら若き乙女の図よね、これ。王子様の名前に傷がついても知らないわよ?」
「心配いらない。どこからどう見ても妻を思う存分可愛がる、甲斐甲斐しい夫の図、だ。仲睦まじい夫婦仲で、微笑ましいだろう?」

 まったく懲りない様子で悪戯に笑うロイを、軽く睨む。
 危なっかしくて放って置けないと出会ったばかりの頃は思ったのに、とんでもない勘違いだったと何度目かの実感を覚える。これでもロイは、なかなかに腹黒いしずるいところがある。
 多分それは「王子」としてのロイの一面。普段オデットが見ている、世間知らずでどこか危なっかしく、等身大の男の子のように無邪気なロイは、他の人は知らない「王子じゃない」ロイの姿だ。
 そんな裏表を感じても、嬉しいと思う。

 「自分の全部を知ってほしい」とロイは言った。王子としての非情な部分も、全部全部知っていって、それでも傍にいてほしいのだと。
 なんという傲慢。権力者ゆえの傲慢さだろう。「離れる」選択肢を断ち切り、傍にいることしか道を選べないようにしておいて、「嫌な部分を含めて全部自分を見て欲しい」なんて。

 でもだからこそ、オデットはロイのプロポーズを受けた。
 対等である立場を許してくれた。隠し事をしないでくれると言う。・・・・・・それだけのことを好きな人に言われて、「イエス」以外の言葉なんて返せるわけがない。

「オデット?」

 自分の上にいる男の襟首をやや強引に掴んで、オデットはちゅと軽いキスをした。
 知ってほしいと言ったのと同じ口で、オデットのことも全部知りたいと言ったロイ。彼はきっと知っている、知ってしまっている。自分の過去を。
 それを明確に口にすることは、まだオデットにはできない。例えこんな上品なアルコールの香りに、いくら酔わされようとも・・・・・・見せることができないものは、あるのだ。
 それでも。


「しょうがないから、優しく介抱してあげてもいいわよ・・・・・・私の旦那様」


 それでも、いつかこの人を躊躇いなく「夫」と呼べるくる日がくるように。
 酔いに酔わされて、きっとすべてを彼に躊躇いなく見せられるような時もくるのだろう。

 アルコールの香りに酔わされた2つの影が、そっと重なった。





End.
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