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「QuinRose」
その他QuinRose作品

特上ショコラ(菓子パン、フクウェン、バレンタインSS)

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 甘く濃密なチョコレートの匂い。
 お菓子に溢れたネバーランドはいつだって甘い匂いに溢れているけれど、この部屋ほどチョコレートの匂いが染みついた場所をウェンディは知らない。そして今日は特別にその匂いが濃厚であることも、おそらく気のせいじゃない。
 それもそのはず、この部屋の主たるフックの部屋には、いつもの倍以上のチョコレートの山が築かれている。やたら綺麗な箱やら可愛らしいラッピングやらに包まれているが、確認するまでもなくあれはチョコレートだろうと断言できる。なにしろ、この部屋に通い慣れ、ほぼ自室並の頻度で使わされてすっかりチョコレートの匂いに鼻が慣れているウェンディですら、いつもより濃いチョコレートの匂いに気が付くほどなのだから。

 普通の人間ならどん引きしそうな量だが、自他ともに認めるチョコレート好きなフックのこと。この山は2、3日もしないうちに彼の胃袋にすべて収まるのだろう。
 大好きなチョコレートにこれだけ囲まれ、さぞかしご機嫌だろうと思っていたウェンディは、目の前のソファに腰かける恋人の様子に首を傾げる。むっつりとした顔は、どう控えめに見ても「機嫌が良い」とは思えなかった。

「・・・・・・どうしたのよ。あなたが楽しみにしていたバレンタインでしょう?」
「ウェンディ・・・・・・俺が、一体何を気に食わねえと思ってんのか、わからないのか?」
「わかるわけないでしょ。昨日まで散々、チョコを用意しろだのなんだの大騒ぎして楽しみにしていたくせに。そんなに不機嫌な顔してると、折角用意してくれたスミー達に失礼だわ」

 腰に手を当ててきっぱりそう言うと、フックの眉間の皺がますます深くなる。
 誰もが裸足で逃げ出しそうな威圧感だが、この船で生きるようになって海賊生活にもすっかり慣れたウェンディは、さらりと慣れた風に受け流す。そのまま視線をチョコレートの山に向け、ひとつ溜息をついた。


 いつもに増して積み上がるチョコレート。それは、フックが「バレンタインをやるぞ!」と言いだしたからだ。
 バレンタインというイベントは、もちろんウェンディもよく知っている。親しくしている人や世話になった人に、感謝の気持ちを込めて贈り物を渡しあうという他愛もないイベントだ。お菓子を贈ることもあるが、一般的には花束やメッセージカードが渡される。
 けれど世界は広いもので、同じ「バレンタイン」と言っても、国によっていろいろな慣習がある。

 そのうちの一つ、遠い東の異国における「バレンタイン」は、どうやら日頃お世話になった相手にチョコレートを渡す習慣があるらしい。

 基本的には恋人同士の日だが、「お世話になった人」ということで同性にもあげることが多いらしい、と。どこからかその話を聞いてきたらしいフックは、自慢げにそう語っていた。
 究極のチョコレート好きとも言っていい彼が、見事に食いつきそうなイベント内容だ。案の定、フックは直ちに乗組員全員にこう宣言したのだ。

「明日はバレンタインとする!この俺様がそう決めたんだ。・・・・・・いいか、野郎ども。明日は全員、チョコレートを俺に献上しやがれええええええええええ!!!」

 と。

 自分がチョコレートを大量に食べたいがための、急ごしらえの異国風「バレンタイン」。
 けれどフックに心酔している部下達は、この命令に直ちに動き出した。結果として、彼の背後にはチョコレート(全員男から)の山ができあがっている。ウェンディもフック海賊団に迎えられて大分経ったが、彼らの団結力には本気で感心する。いくら恋人であろうと、自分はあそこまでフックに対して熱くなれないし、なりたいとも思わない。あの「フックコール」の輪に混ざるのは、全力で遠慮させてもらう。


 そこまで考えてから、ウェンディはちらりと相変わらず不機嫌な表情のフックを見やる。
 自分よりもずっと大人のはずなのに、どことなく子供みたいに拗ねているフックに小さく苦笑し、彼女はその隣に腰かけた。

「ねえ、何をそんなに怒っているのよ。私だってあなたにチョコレートは渡したでしょう?」

 そう言って、机の上に置かれたチョコレートを見やる。シンプルな包装に赤いリボンをつけた箱が、一つだけ綺麗に置かれている。あの山に埋もれず置いてあるたった一つのチョコレートに、ウェンディは少しだけ頬を緩ませる。
 あれはウェンディがフックに渡した「バレンタイン」のチョコレートだ。
 些細なことかもしれないが、自分が渡したものがああやって「特別」そうに扱われているのを見ると、少しくすぐったくて嬉しい。

 甘えるように少し距離を詰め、その肩に頭をもたれかけさせてみる。
 自然に肩に回された腕にぐいと引き寄せられ、顔が近づく。海に似た深い蒼の瞳が、拗ねたようにジトっとウェンディを睨んだ。


「・・・・・・あんた、あのチョコレート、他に誰にやった?」
「え?」
「答えろ。ちなみに、調べはついてるから、妙な誤魔化しはすんじゃねえぞ。正直に答えないと・・・・・・痛い目見るのは、あんただぜ?」


 実に悪人らしい物騒な笑みを口元に敷き、至近距離で物騒な笑みがどうなんだと問い詰める。
 一瞬何のことかと考え、すぐにウェンディははっと息を飲んだ。フックに渡したチョコレート。あれを作ったついでに、余ったチョコレートで海賊団の仲間にもチョコレートを作って渡したのだ。
 全員分はとても無理だったので、特に親しい数人にしか渡していないが・・・・・・しっかりフックの耳には届いていたらしい。日頃お世話になっているからということで、渡したことに特に深い意味合いはないのだが。フックの態度から察するに、そんな言い訳は多分無意味だろう。

「スミーはニコニコと機嫌が良さそうだし、スターキーにいたっては『天使からのチョコレートなんて勿体なくて食えねえ・・・!』とかなんとか男泣きしてたくらいだ。まさかあいつらにもくれてやってるとはな・・・・・・あんたにとっては、俺とあいつらは同列ってわけだ。ふ~ん・・・・・・ほ~・・・・・・いい度胸じゃねえか」
「え、えっと・・・・・・だからほら、あなたには特別大きめのチョコレートを、愛をたっぷり込めて贈っておいたから、別に同列に扱ってるわけじゃ・・・・・・」
「全然足りるかっ!!!ったく、俺は一人しか見てねえってのに、あんたの中で俺と他の奴らの差はそれっぽっちだってのかよ。・・・・・・上等だ」

 ますます危険な感じに深まった笑みに、ウェンディは思わず顔を引きつらせる。
 凄みと色気の入り混じった表情で、フックの唇がウェンディの項へと降りた。

「あんたが誰のモノか、ここらでもう一辺くらい教え込んでおいてやってもいいかもなあ?」
「っ、ちょ、ちょっと待った!ストップ!私の言い分くらい聞いてくれたっていいでしょう!?」
「へー?なんか言い訳できることあるのか?」
「言い訳とか、そういうわけじゃないけど・・・・・・あ、あれはたまたま余ったから、あげただけで・・・・・・!」
「たまたま、ねえ?」

 大きな手がわざと挑発するように体に這わされる。服を的確に乱していく感覚に、ウェンディは焦って身をよじるが、鉤の腕でしっかりと抱えられてしまって逃げ出せない。
 ウェンディを傷つけないように気をつけながらも、全然離れてくれない腕の力強さに、フックにすっかり慣らされた心臓は、ドキドキと高揚してしまう。それが無性に悔しいのに、嫌だと思えないあたり、大分重症だと自分でもわかっているけれど。

「っ、ちょ、っとフック!話聞いてる!?別に他の人に気があるとかそういうわけじゃないんだってば・・・・・・」
「あー、わかったわかった。別にあんたの気持ちを疑ってるわけじゃねえから安心しな。あんたが愛しているのは、この俺ただ一人ってのは、よくわかってるからな」

 ・・・・・・あんたが俺以上に好きになる男なんてものがいたら、そいつ八つ裂きにしてるだろうしな。
 微妙にそんな物騒なつぶやきが聞こえた気がしたが、とりあえず聞き流す。今はこのなんだか「そういうムード」な体勢と雰囲気を何とかしたい。
 ウェンディだって、フックとのふれあいは嫌いじゃないが、時と場所は選びたいというのが本音だ。少なくとも、こんなまだまだ陽の高い船室、いつ誰が廊下を通りがかるともしれないようなここで、と言うのは、根が生真面目な彼女には抵抗がある。

「・・・・・・仕方ねえな。妥協してやるよ。あんたが他の野郎にチョコを贈った、っていうのは今回に限って見逃してやってもいいぜ?あいつらは一応俺の家族だからな。大目に見てやる」

 まったく「妥協してやる」ようには見えないほどに物騒な笑みを口元に敷き、フックはウェンディの唇にひとさし指を軽く押し当てる。
 つつつと唇をなぞっていく指先の動きに意味深なものを感じて、無意識に息が零れた。
 

「俺を満足させる、極上のチョコレート。『唯一のチョコレート』も敵わない、最高の俺だけのチョコレートを、あんたが食わせてくれたら、な」
「!?ゆ、唯一のチョコレートも敵わないチョコレート!?」


 お菓子コンテストで優勝したチョコレートを思い出し、ウェンディは目を丸くした。
 『唯一のチョコレート』は、さすがチョコレート狂のフックが選んだだけあり、芸術的なまでの美しさと、舌の上でとろける絶妙な甘さが見事としか言いようのないものだった。あれを越えるチョコレートなんて、ウェンディが用意できるわけがない。
 第一、お菓子コンテストで「世界一おいしいお菓子」と認められたものを越えるものなんて、どこにあるというのか。最初から無理難題を吹っかけてくるつもりだったのかと批難の眼差しを向ければ、フックは堪えきれないというように噴出した。

「はははっ!なんて顔してやがるんだ、あんた!」
「・・・・・・からかったのね!?」
「別にからかったわけじゃねえよ。くっくっく・・・・・・」

 けらけらと明るく笑いながら、子供をなだめるような手つきで頭を撫でられる。
 真上にある顔の向こうには、見慣れた天井。いつの間にやら、ソファにすっかり押し倒されていたと今更気が付く。
 大きくて温かい手が優しくウェンディの髪を梳き、ふわりと柔らかい口づけが額に落ちた。

「安心しろ。あんたなら、俺を満足させるチョコレートを簡単に用意できる」
「私なら?」
「ああ。むしろ・・・・・・あんたしか、俺を満足させることはできねえよ。ウェンディ」

 内緒話をするように近づいた顔が、意地悪く微笑む。
 射抜かれるように見つめられ、頬が熱くなった。


「俺の愛する女と、その女が作ったチョコレート。この2つが合わさったら・・・・・・どんなチョコレートにも勝る、最高のチョコレートになるだろうな。一度味わったら、夢中になっちまいそうだ」


 耳元で低く囁く声が落とされる。
 ざらりと生温かい舌が、味見をするように頬を舐めあげる。

 ・・・・・・ウェンディが言葉の意味を理解するまで、たっぷり数秒かかった。

「なっ、ななななななな、なっなにを・・・・・・!!!!??」
「・・・・・・さあな。あんたは、なんだと思う?俺を満足させる、どんなチョコレートをくれる?」

 とんでもないことを言われた恥ずかしさのあまり、口をぱくぱくさせるしかできないウェンディをなだめるように、軽い音を立ててキスが贈られる。
 優しく労わるような触れ方とは逆に、蒼の瞳に宿る熱情は焼き切れそうなほどに真っ直ぐだ。彼女が欲しいと雄弁に語りかけてくるような視線に、胸が痛いほどにドキドキして、その瞳を見つめ返すことを少し躊躇ってしまうほど。


「まあ、例えダメだと言われたところで・・・・・・勝手に奪うだけだ」


 自分勝手な言葉と共に、唇を奪われる。
 性急に求めてくる舌から逃れたくて、けれどそんな理性よりも早く、頭はくらくらと溶けて、何も考えられなくなっていく。


「んっ、ふ・・・・・・うん・・・っ、フック・・・・・・ま、だ陽が高い・・・っ・・・・・!!」
「そんなもん、気にならないようにすぐにさせてやるよ。・・・・・・いつもみたいにな」


 嵐のような深いキスに呑まれながら、彼から漂う甘い香りにただただ酔いしれる。
 濃厚で甘いチョコレートの香りに、思考がどんどん塗りつぶされていくような錯覚を覚える。

 チョコレートは媚薬の効果がある、という。

 逃げるつもりが追いかけ、拒むつもりが求め、ちっぽけな理性があっという間に消え去ってしまう。訳が分からないうちに貪欲になって、素直に求めるまま、彼へと溺れていく。
 フックといると、いつもそうやって狂わされる。
 甘い香りと優しい体温、艶っぽく求める眼差しにさらされて。もう、彼なしじゃいられないほどの中毒性に、捕らわれていく。


「あ、なたのほうが・・・・・ふ、チョコ、っ・・・・・・みたい・・・・・・」


 荒い呼吸の合間、そう呟く。小さく笑った相手のキスが、何度も何度も重ねられる。
 キスを重ねすぎて麻痺した唇から伝わるのは、不思議と甘い味。

 少しだけフックの気持ちがわかってしまったなと、ウェンディは困ったように眉根を寄せた。

 こんな甘くて美味しいチョコレート、知ってしまったら手放せない。
 誰にも味あわせたくない。独り占めしてしまいたい。ひとかけらだって・・・・・・渡したくない。


 どんなチョコレートよりも甘く、虜になって離れられないもの。
 ゆっくりと自分から手を伸ばして、その背中を抱きしめた。





End.
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