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「オトメイト系」
ワンドオブフォーチュン

しあわせ絵本(ワンド2、ノエルグッドEnd3年後)

 ←感情合わせの恋の花(菓子パン、ティウェン) →好きすぎて何を言えばいいかもわからない
 オレンジの夕日が窓から差し込む図書室を覗き込み、目当ての背中を見つける。声をかけようとしたところでふと違和感を感じ、ルルは足音を殺してそっと近づいた。

「・・・・・・ノエル?」

 小さく呼びかけて顔を覗き込むと、予想どおりの寝息が返ってきて思わず苦笑が零れる。机の上には開かれたままの本と散らばった羊皮紙と羽ペン。肘をついた片手に頭を押し当てたまま閉じられた蒼い瞳。
 ユリウスのこと言えなくなっちゃうわねと心の中でそっと呟いてみても、ノエルは身じろぎもしない。すっかり寝入っているノエルを起こさないよう、ルルは彼の隣に腰かけた。

 改めてまじまじとノエルの寝顔を見つめてみると、本当に彼はカッコよくなったと思う。
 元々綺麗な顔立ちはしていたけれど、ここ数年でさらにカッコよくなったと感じるのは、絶対に恋人の贔屓目などではないだろう。なんというか、大人っぽくなった。見た目だけじゃなくて、心も含めて。
 ・・・・・・・それこそ、周りの女の子が放っておかないくらいに。


「ノエル、モテるものね・・・・・・これ以上カッコよくならないでほしい、かも・・・・・・」


 ノエルのことが大好きな気持ちは誰にも負けるつもりもないし、恋人の立場を他の誰かに譲るつもりも毛頭ないけれど、たまには不安になることを理解してほしい、とルルは小さく溜息をつく。
 信じていないわけじゃない。ノエルがルルを大切に思ってくれているし、同じ気持ちでいてくれることもちゃんとわかっている。

 それでも少し怖くなる。
 350年前の時代を経験して、ノエルが決意した「夢」。ユリウスと共に、がむしゃらなまでに先を急ぎ、前だけをひたすら見据え・・・・・・大人になることを急ぐような、その姿に。
 自分はそんな2人に・・・・・・ノエルに、置いていかれるんじゃないかと。

 止まってほしいと言えば、止まってくれるだろう。一生懸命呼びかければ、ノエルは振り返ってくれる。そして優しく笑いかけて手を伸ばして、ルルが追いつくのを待ってくれるだろう。
 必要なもの、大切なもの。それを置いてけぼりにしてでも未来へ向かうノエルを呼び止めるのは、ルルの役目だ。彼もきっとそれを望んでくれている。
 わかってはいても、胸の奥にくすぶる不安は、簡単に消えてくれたりしない。


 もし、もしも。
 これから先、前を見据える彼の前に、自分よりもっとノエルの隣に相応しく、彼の夢に寄り添って支えてあげられる女性が現れたら。
 彼がその人のことを選んでしまったら。
 その時は、置いて、いかれてしまうんだろうか。


「・・・・・・あら?」


 らしくもないネガティブな考えに少し落ち込みかけたルルは、ふとすぐ近くに魔法元素の輝きを感じて顔を上げた。
 見ればノエルが広げたいくつもの難しそうな参考書に紛れ、一冊だけ異質な本が混ざっていた。何気なく手に取ってみると、僅かながら魔力が込められているのを感じる。どうやら本の形の魔法具のようだ。普通の人には見えない「魔法元素」がわずかに本を光らせるその表紙には、金箔捺しの古代語で何やら文字が書かれていた。
 魔力は小さいが、普通の魔法具よりも複雑な律が編みこまれているらしいことが伝わってくる。本全体を包み込む魔力の中に、覚えのある気配を感じて、ルルは目を瞬かせた。

「ノエルの魔力・・・・・・・?」

 ちらりと眠ったままの恋人に視線を向ける。
 手の中にある魔法具からは、確かにノエルの魔法の気配が混じっている。もしかしたらこの絵本はノエルのものなのかもしれないが、目標を果たすまで魔法具は買い控えると宣言していた彼が、自分で買ったとはあまり思えない。なにか授業で必要なものだったのか、はたまたこう見えて実はかなり高度で貴重な魔法具なのか・・・・・。
 興味をそそられたルルは、そのまま手元の本をぱらりと捲った。

 本の薄さから感じ取ってはいたが、どうやら内容的には子供向けの絵本のようだ。
 男の子と女の子のお話が、可愛らしい挿絵と簡単な文字の羅列が数ページにわたって綴られていた。


 魔法が大好きな男の子が、同じくらい魔法が大好きな女の子と出会って仲良くなって。だけど男の子は大好きな「魔法」の嫌な部分を知ってしまって、魔法のことを怖がるようになってしまう。
 そんな男の子に向かって、女の子は一輪の花を魔法で咲かせてみせる。そして笑って、こう言う。

『それでも君は、魔法が好きでしょう?』

 女の子の優しい魔法を見て、男の子はまた魔法を信じようと思うようになる。世界中の人が女の子のような「優しい魔法」を知ってくれるようになればいいと願って、世界一の大魔法使いになりたいと願う
 そして、大人になった彼は―――――――。


「・・・・・・・・なんだか、ノエルに似てるわ」

 まじまじと挿絵に描かれた男の子を見つめる。
 膝を抱えて涙を流す金髪の蒼い瞳の男の子。そしてそんな彼に、花を差し出しているピンクのふわふわした髪の女の子は・・・・・・・気のせいでないならば、ルル本人によく似ている。
 ここに描かれている話と本から感じるノエルの魔法に、何か関係があるのだろうかとルルが首を傾げた時、不意に隣から小さな声が聞こえてきた。ようやく目が覚めたらしいノエルが、眠そうに瞳をこすりながら、ゆるゆるとルルの方へ目を向けた。

「ん・・・・・・・・・ルル・・・・・・・・?」
「あ、起きた?ノエル。こんなところで寝てたら、風邪ひいちゃうわ!」
「ああ・・・・・そうか、眠ってしまったのか。すまない、待たせてしま・・・・・って・・・・・」

 眠たげに瞬きをしていた蒼い瞳が、ルルの手元にある本を見た瞬間に見開かれる。
 唐突に固まったノエルを不思議に思うのと同時に、彼の顔が夕日に負けないほどに真っ赤に染まった。


「る、るるるるる、ルル・・・・・・・?そ、その、まさか君、その、本を・・・・・・・・・!?」
「え?ああ、ごめんなさい、ちょっと気になったから読んでたんだけど」
「まさか最後まで読んだとか・・・・・・ない、よな?」
「うんうん、面白くて最後まで読んじゃった!なんだか可愛いお話しよね!」
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!」
「の、ノエル!?」


 途端、声にならない悲鳴をあげて机に突っ伏したノエルに、ルルは目を白黒させる。
 ひとしきり何やら「もっとロマンチックな場所で渡す計画だったというのに」だの「いやでもあれだけ嬉しそうということはもしかして」だの「もうこうなったら覚悟を決めるしかないだろ、僕!」だのぶつぶつ呟く恋人を、しばらく呆然と見つめる。やがて少し立ち直ったのか、恐る恐る顔を上げたノエルは、気まずそうな顔でルルと絵本を見比べた。

「そ、その、君は・・・・・その本を読んで、どう、思った?」
「えっと・・・・・そうね、素敵なお話しだなって思ったわ。あと、なんだかこの男の子がノエルに似てるなーって思ったの。それって、この絵本からノエルの魔力を感じることと何か関係があるの?」

 まっすぐ疑問をぶつけると、ノエルは少し視線を彷徨わせた。
 が、やがて観念したようにひとつ息を零すと、居住まいを正してルルと向き合う。ひどく真摯なその表情に胸が思わず高鳴るのを感じ、ルルは思わず胸元を抑えた。

「それは、『想いの絵本』と言って・・・・・・簡単な魔法をかけると、その人の一番強い想いを絵本の中に映し出してくれるんだ」
「想いを?」
「ああ。感謝、謝罪、恋心・・・・・・口で伝えるには気恥ずかしい、そんな想いを絵本にして伝えてくれる。昔は大切な人へのプレゼントとして使われたりしていたらしいな」
「じゃあ、今この絵本にはノエルの想いが描かれているってこと?えっと・・・・・それ、って・・・・・・・・」

 そこまで言いかけて、慌ててルルは絵本を捲った。
 描かれている男の子は、ノエル。それならこの女の子は・・・・・・・そして、確かこの話の結末は。


「っ・・・・・・・・!!」


 最後のページを読んだルルの顔が、かあっと赤く染まる。
 信じられないと言うような瞳でゆっくりと視線をあげた蜂蜜色の瞳に、真剣な表情でけれど愛おしそうにルルを真っ直ぐ見つめるノエルが、映し出される。

「本当は、今度のデートで、もっとムードのある時に渡そうと思っていたんだ。何しろ、僕の人生の中でもっとも重要な瞬間なんだから。だけど、遅かれ早かれ、ちゃんと言おうと思っていた」
「・・・・・・・私で、いいの?」
「君がいい。というか、君以外考えられない」

 わずかに震える声は、きっぱりとした言葉で肯定される。
 そっと伸ばされた手が、ルルの頬を優しくなぞる。昔よりも少し大きく、しっかりした「大人の男」の人の指が、壊れ物を扱うように触れる。


「まだ僕の夢は道半ばだ。やることはたくさんあるし、まだまだ学んでいかなければならないことは山ほどある。こんな中途半端な状態の僕が、伝えるべきではないかもしれない。それでも、我慢できないんだ。君に関しては我慢したくない・・・・・・・」
「ノエル」
「君を愛している。傍にいて欲しい。僕の隣で、僕が間違えないようにずっとずっと見守っていてほしい。そのための約束をしたいんだ」


 懇願するように、真っ直ぐに。
 伝えられた言葉と同時に、ゆっくりノエルの顔が近づく。
 キスの同意を求めるように揺れるその蒼に応え、ルルはそっと瞳を閉じて受け入れる。
 やんわりと唇が、重なった。



“大人になった男の子は、夢を叶えました。
 そしていつも傍にいてくれた大事な大事な女の子に、こう言いました。

 『あした、いっしょに、指輪を買いにいきませんか?』 ”




 そこで終わる絵本。その後どうなったかは書かれていなかった。
 きっと続きは、これから紡がれるのだろう。答えなんて、もう決まっていたけれど。
 あの絵本の物語は、「終わり」じゃない。


「僕の、お嫁さんになってください」


 長い口づけの後に告げられたプロポーズは、絵本とは少し違って、けれどそれよりもっと真っ直ぐな言葉。

 その優しい言葉に、ルルはとびきりの笑顔を返した。





End.




For my friend. Best Wishes to you!
結婚が決まった友達に捧げます・・・・おめでとう!
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