スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←永遠がなくても、見てみたい【永遠】 →しあわせ絵本(ワンド2、ノエルグッドEnd3年後)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【永遠がなくても、見てみたい【永遠】】へ
  • 【しあわせ絵本(ワンド2、ノエルグッドEnd3年後)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「QuinRose」
その他QuinRose作品

感情合わせの恋の花(菓子パン、ティウェン)

 ←永遠がなくても、見てみたい【永遠】 →しあわせ絵本(ワンド2、ノエルグッドEnd3年後)
 彼とのキスはいつだって甘い。
 小説なんかではよくそんな風に表現されるキスだけど、本当に「甘いキス」というものが存在するとは思っていなかった。唇同士を重ねあわせる行為は親愛を伝える手段・・・・・・言ってしまえば、ただそれだけ。
 甘いとか苦いとか、キスにそんな感想を付け加えるのは・・・・・・まあ、食事後とかならそうかもしれないけど、結局のところ気分的な問題であって、冷静に考えてみれば、キスそのものの行為には「味」なんていうもの伝わらないはずだ。正直なところウェンディはそんな風にさえ思っていたし、実際これまで何人か付き合ってきた男性と交わしたキスにもあまり「甘い」だの「幸せ」だの、そんなものを覚えたようなことはほとんどなかったと言っていい。

(でも・・・・・・本当に甘いキスって、あるのね)

 唇をただ触れ合わせるだけの可愛らしいキス。
 優しくそっと触れ、ほんの一瞬だけの温もりと名残惜しさを残しながら離れていく、挨拶のキス。
 ただそれだけでもこんなに幸せで、甘いような温かいような不思議な感覚が唇からゆったりと全身を回っていく。

 ほんのわずかの間で離れた柔らかさを物寂しく感じて、小さく引き止めるような吐息が落ちた。それは相手も同じだったのか、離れた温もりはすぐに同じように柔らかく重ねられ、今度はやんわりと深く求められる。
 腰のあたりがぞくぞくするような深いキスなのに、どこまでも優しく甘く感じる彼の熱に、キスを交わしながら笑いが零れる。
 口内にあった熱がするりと離れ、少しだけ顔を離したティンクが、不思議そうに瞬きをした。


「ウェンディ?どうしました?なにか面白いことでもあったんですか」
「ふふ、ちょっとね」
「俺にも教えてください。あなたが嬉しいと思うことを、俺はもっともっと知りたい」


 ねだるように見つめる空色の瞳に微笑を返し、今度はウェンディの方からそっと唇を引き寄せる。
 素直にそれを受け入れて、でも少し驚いたような顔をした恋人の表情に愛おしさがこみ上げて仕方がない。
 生まれてからまだ100日程度しか経っていないというティンクは、言葉も行動もそして心も裏表がない。純粋で真っ直ぐな想いを信じることができるから、彼の前では素直に言葉が伝えられる。

「・・・・・・・ティンクとキスすると、なんだか嬉しくなるのよ」
「俺とのキスが?」
「ええ。ちょっと浮かれてるとは自分でも思うけど・・・・・・・す、好きだなあって実感するというか・・・・・他の人とキスをしてみても、こんなに幸せになったことないもの」

 改めて口にしてみるとなんだか恥ずかしくなって、ウェンディは顔を赤らめながら視線を外した。
 バカップルみたいな思考回路だと呆れてしまいそうになるけれど、本音なのだからどうしようもない。好きで好きで・・・・・なんだかいっそ叫びだしてしまいたくなるような、恥ずかしくて甘い気持ちが胸に詰まる。思考回路まで溶かされて、まともな判断ができないくらいに心奪われているような気がしてくるほどに。

「・・・・・・・」
「ティンク?」

 不意に黙り込んだティンクの様子に、ウェンディは少し驚く。
 いつもだったら嬉しそうに微笑んで、「俺もあなたとのキスが好きです」なんて抱きしめてくるくらいはするというのに、予想に反して彼は複雑そうな表情を浮かべている。
 眉を顰めて何やら考えるように瞳を伏せ、ちらりとウェンディを見ては口を開きかけて躊躇うように閉じ。何事も直球でくるティンクらしくない行動に、さすがになんだか不安がこみあげてきた。


「・・・・・・なんだか、すごく嫌な気持ち、です」
「え?」
「ウェンディは・・・・・・・・・誰と、キス、したんですか?」


 ようやく、どこかたどたどしく紡がれた言葉に、ウェンディは目を丸くした。
 むうっと唇を引き結び、恨めしそうにウェンディを見つめる視線は、どう見ても拗ねているようにしか見えない。いつも楽しそうに笑みを浮かべていることの多い彼にしては珍しい、苛立ちとも言える表情だ。

「他の人とキスしたこと、あるんですよね?誰としたんですか」
「ちょ、ちょっとティンク。落ち着いて。どうしてそんなこと聞くの?」
「面白くないからです。あなたが俺以外の人とキスしたと思ったら、胸のあたりが痛くなって、とても嫌な気持ちになりました。あなたとキスした人なんて、全員消してしまいたい」
「だ、ダメよ!?」

 やや物騒な光が空色の瞳に宿るのを見て、慌てて首を振る。
 ティンクは裏表がない分、口に出したことの大抵は本気だ。たとえ冗談にしか聞こえないようなことであっても、全力で止めないとティンクは本気で実行しかねない。

 キスをしたと言って思い浮かぶのは、過去に付き合ったことのある人。今はもう気持ちが残っていないと言っても、過去は恋人同士だった関係。キスのひとつや二つくらいはしている。
 あとは・・・・・・マイケルだろうか。元の世界の帰り際、置き土産とばかりに弟が置いていったキスを思い出す。口に触れて行った感触を思い出すと、少しだけ不覚にもドキリとするが・・・・・あれは恐らく親愛のキスだろうし、ノーカウントだろう。ティンクに親愛のキスと恋愛のキスの違いを説明して、理解してくれるかどうかは別として。
 どちらにせよ、ウェンディとキスをしたからといって消されてしまうような謂れは絶対にない。

「ティンク、そんなことをする人は優しくないわよ。消すなんてことを言っちゃダメ!」
「・・・・・・・・・でも」
「大体ね、そんなこと言ったら私だって面白くないのよ?あなただって他の女の子とキスしたんじゃない」
「え?俺、ですか・・・・・・・・・?」

 きょとんと驚いたように目を丸くする妖精を、じとりと睨みつけてみせる。
 すっとぼけているわけではなく、本当に忘れているのだろうが、ウェンディはしっかり覚えている。夜中に部屋へ訪ねてきたティンクが、気持ちの赴くまま行動すると言ってキスした時のこと。そしてキスの後、ウェンディに向かって呟いた言葉のことを。


『他の女の子にキスをしたときとは全然違う感じがします』


 あの時はそこまでティンクに心惹かれていたわけでもなかったから、聞き流した。ティンクのことを人の気持ちなんかお構いなしの最低な妖精と思って、元の世界に戻るためなら彼の好意さえ利用しようと思ってもいた。
 ・・・・・・・・思えば、あんな何気ない言葉を今でもしっかり覚えているくらいだから、あの時からティンクのことは憎からず想っていたんだろうけれど。とにかくあの時のウェンディは、元の世界に何としてでも戻るという気持ちでいっぱいで、ティンクへ揺れ動きかけていた気持ちを必死で誤魔化していたから、あえてそこを追及する気はなかったのだ。
 だけど一度気持ちを認めてしまった後で、あの時の言葉をふと思い出してしまうと・・・・・・・・・複雑なことこの上ない。


「ティンクのことだから、どうせ面白そうだったからとか興味があったからとか、そんな理由だけでキスしたんだろうなと思うけど・・・・・その人のことを好きだったとか、そういうのじゃなかったのかもしれないけど・・・・・それでも!嫌な気持ちになるの。ティンクが私以外の人とキスした、なんて・・・・・面白くないに決まってるじゃない・・・・・」


 ぎゅっとティンクの服を握りしめ、抱えていた気持ちを言葉にのせる。
 恋は理屈じゃない、なんてどこかで目にした言葉をしみじみ感じる。馬鹿なことを言っていると自覚していたって、過去はどうしようもないとわかっていたって、どうにもならない。好きで好きで、自分だけのものにいてほしいと願うワガママな気持ちは、わかっていたって抑えきれるものじゃない。


「それは・・・・・ウェンディも俺と同じ気持ち、ってことですか?」
「・・・・・・・・・聞かないでよ」


 顔が赤くなるのを隠したくて、ウェンディは軽く俯く。
 いちいち恥ずかしいことを言わせようとしないでほしい。別に意地悪でやっているのではなく、素でそう願っているのだから余計に性質が悪い。悪気がない素直な言葉を向けられたら、同じくらい素直な気持ちを伝えてしまいたくなる。それがどんなに気恥ずかしい気持ちであっても。

「ウェンディも、俺とキスをした他の人を、消したいって思っているんですか?」
「さ、さすがにそこまで物騒なことは思わないけど・・・・・・でもそうね、もし目の前にティンクとキスした子がいたら、八つ当たりくらいはしちゃいそうな気がするわ」
「俺はあなたがしたいなら、やってもいいと思います。あなたが、その女の子たちを消したいなら、俺も協力しますから遠慮なく言ってくださいね」
「いや、だから消さなくていい・・・・・・って、なにをそんなに笑っているのよ?」
「どうしてでしょう?さっきはあんなに面白くない気分だったのに・・・・・あなたが俺と同じ気持ちを感じているとわかったら、なんだかとても嬉しくなりました」

 満面の笑みを浮かべるティンクに、ニコリと微笑みかけられ、胸がどきどきと音を速める。あまりにも嬉しそうで幸せそうな笑顔に、なんだかすべてを許してしまいそうな気分になった。
 愛おしいと想う気持ちさえ透けて伝わってくるような、綺麗な空色の双眸に見つめられ、思考が停止しそうになるのを何とか落ち着かせる。精一杯の強がりで睨んでみせても、ティンクは嬉しそうなままだった。

「・・・・・・ヤキモチを喜ぶなんて、いい趣味とは言えないわよ」
「ヤキモチ・・・・・・そうか、このもやもやした感じはヤキモチと言うんですね。なるほど。どうすれば、もっとヤキモチというものを感じてくれますか?あなたのヤキモチはとても楽しいので、もっともっと見てみたいです。他の女の子にキスすれば、ウェンディはヤキモチを感じてくれるんでしょうか?」
「そんなことしたら別れるわよ?」

 ヤキモチ妬かせたいがために浮気するなんて堂々と宣言された挙句に実行されたら、堪ったものではない。
 かなり本気の怒りを込めて「別れる」と告げると、ぴたりとティンクは固まった。さすがに本気を感じ取ったのか、しゅんと叱られた子供のような顔をして肩を落とす。


「・・・・・・あなたと別れるのは嫌です。嫌われるのも嫌ですが・・・・・・別れたら、恋人としてウェンディに触れることができないんですよね?俺はあなたと恋人でいたいので、別れるなんて言わないでください」
「なら、私にヤキモチ妬かせるためにわざと他の子に近づくなんてこと、やめて頂戴。あなただって、私が他の人とキスするのは嫌でしょう?」
「嫌です。そんなこと、許せない」


 即答で言葉を返し、抱きしめてくる恋人にウェンディは小さく笑いを噛み殺す。絶対に離さないとばかりに強く抱きしめる腕は、ほんの少し苦しいけれど、それでも幸せだと思ってしまうのは、ティンクの愛情が疑う必要などないほどに真っ直ぐ信じられるものだからなのだろう。
 心の中で、ティンクの言葉を少しだけ肯定する。
 大好きな相手にヤキモチを妬かれるのは、なんだか嬉しいものだ。もっと、見てみたいと思ってしまうくらいには。

 ・・・・・・・・でも。

「自分がやられて嫌なことは、相手にやってはいけないのよ。だからあなたが私以外にキスしないって言うなら・・・・・・私も、あなた以外の人とキスしないわ」
「ほんとう、ですか?」
「ええ。約束するわ」
「それなら、絶対にあなた以外の人とキスはしないと誓います。だからあなたも・・・・・・俺以外と、キスしないでください」

 こくりと頷けば、それが合図のように引き寄せられ、自然に唇が触れ合う。
 ヤキモチを妬いてくれるのは嬉しい。もっと見たいとも思ってしまう。だけどそれでティンクを傷つけたくもないから・・・・・・それなら、こっちの方がずっとずっといい。


「・・・・・・・・ん」
「はっ・・・・・ウェンディ・・・・・・・あなたにキスしていいのは、俺だけです。キスも・・・・・それ以外のことも、全部全部・・・・・あなたに触れるのは、俺だけでいい」


 いつの間にか深まったキスに、ゆっくりと思考も身体も溶かされていく。
 求められるように体中に這わされる指も、唇も、眼差しもすべて受け入れて、吐息を絡める。

 熱に浮かされた瞳を開けば、同じ熱で潤んだ空色が、確かなものを求めてウェンディを映す。
 そこにある確かな気持ちが幸せで、そっと手を伸ばして愛しい人を抱き寄せた。



 向かい合って見つめれば、同じ感情。
 大好きな人と同じ気持ちを、ひとつひとつ知って、分け合って、教えあって。

 永遠の時間が流れる世界に、感情合わせの恋がひとつ。

 それは今日も、輝いて花開く。





End.
関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ 3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ 3kaku_s_L.png リジェ系
総もくじ 3kaku_s_L.png お題もの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【永遠がなくても、見てみたい【永遠】】へ
  • 【しあわせ絵本(ワンド2、ノエルグッドEnd3年後)】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【永遠がなくても、見てみたい【永遠】】へ
  • 【しあわせ絵本(ワンド2、ノエルグッドEnd3年後)】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。