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リジェ系

一番星の空(月華繚乱、葵純愛ノーマル)

 ←ほぼ1日費やして →重すぎる
 オレが生きてる意味ってなんだろーなぁ。そんなこともう何度も何度も考えた。別に生きてる意味なんて、すぐ考えればわかる。死ぬ意味も同じ。
 アニキのためだけに、生きて死ぬ。それがオレの運命っていうくだらねぇもんで。

 ・・・・・・・わかってるから、生きたいなんて死んでも言えなかった。

 オレは生きたいって何度も思ったけど、アニキにも生きていてほしいって思ってた。
 さっさと死んじまえば楽になんのかとも思ったけど、そうするとアニキも死んじまうから何もできなかった。

 今更気が付いたことだけど、オレは自分が生きたいとか死にたいとかそんなもん、ホントはどーでもよくてさ。
 ただ単に・・・・・アニキが生きていれば、多分それでよかったんだろう。
 オレがいなければ生きていけないアニキ。だけど部品としてでなく、弟としてオレを扱ってくれて・・・・・あの人はオレに、とても優しかったから。
 アニキのためなら、死んでもいいのかもなーって。わりと本気で、思ってたんだ。


 思ってもみなかった。オレが大切に思っているのと同じくらい、アニキもオレのこと思ってくれているなんて。
 オレに生きていてほしいと、思ってくれるなんて。


 ちょっと考えればわかりそうなのに、オレは本当に馬鹿だな。アイツに教えられるまで・・・・・・そんなこと、考えてみようともしなかった。いや、違うか。向き合うとしなかった。
 だってアニキに許されたら、オレはきっと・・・・・・自分の人生を生きたい、って。そんなこと願っちまうに決まってるから。

 アニキ。オレは、さ・・・・・・・・
 生きても、いいのかな。



 耳障りな叫び声が遠くなっていく。
 どんどん離れて聞こえなくなっても、その言葉はただ頭の中にこびりついて残る。無感情な言葉の響きになって、ちくちくと胸を刺す。

 どうしてお前が生きているんだ、どうして大人しく呼び出しに従わなかった、スペアの分際で役立たず、お前のワガママであの子は死んだんだ、お前が死んでしまえばよかったのにお前が死ぬはずだったのに、どうしてどうしてどうして・・・・・・


「・・・・・・ハッ、オレもそう思ってるっつーの」


 憎悪の混じった女の慟哭に、思わず苦笑が零れた。実の母親のはずなのに、愛情をもらったかなんて覚えていない。オレはあくまでもスペアの部品で、オレ自身の価値なんてそれくらいしかなかったはずだから。
 白いベッドに横たわる、オレとよく似た顔を見下ろした。穏やかに眠っているその瞳が、もう開かないなんて信じられない。
 本当だったら、きっとここに寝ているのはオレだった。誰からも惜しまれず、泣いたり怒ったりしてくれるヤツもいなかっただろう。予定通りの人生を終わらせて、墓もなく葬式だってきっとない。オレは本当だったらこの世に存在しないはずの人間・・・・・だから、生きた証なんて残してもらえたりしないんだろうな。

 ベッドの脇にそっと膝をつき、冷たい手を取った。
 まだほんのり温かさを感じて、なんか笑えた。死んだヤツより体温低いってどーよ、オレの手。ああでも・・・・・手が温かいヤツって心が温かいんだっけ?じゃあそりゃあ当たり前だよな。オレなんかより、アニキの方がずっと心があったかいの、間違ってねえし。


「・・・・・・・ごめん・・・・・」


 呟いたのは、ほんの気休めだってわかってる。
 届かないなんて知ってるし、謝ったってもうどうしようもねーことくらい・・・・・馬鹿なオレだってわかってるんだ。だけど、どうしようもなく・・・・・苦しかった。

 生きていてごめん。生きたいなんて望んでごめん。助けられなくてごめん。代わりに死ねなくてごめん。
 ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめんなさい・・・・・・

 いくつもの謝罪が胸に溢れて、だけどそれを全部伝えることなんてできやしない。
 後悔なんてしたって、もう何にも変わらない。それなら。



「オレ、生きるから・・・・・・アニキ」



 アニキが死ぬ少し前を思い出す。
 病室のベッドでオレを出迎えたアニキは、オレの話を聞かせてほしいって言った。話すことなんてあんまり思いつかなかったから、学校であったバカなこと、デート倶楽部のどーしようもねえ面子、オレが自殺すると勝手に勘違いして抱きついてきた変わった女・・・・・そんなくだらねぇ話ばっかりした。
 アニキは黙って聞いていてくれて・・・・・・それから嬉しそうに笑っていた。「もうお前はお前の人生を生きろよ」って、そんなことも言った。

 オレの人生、ってなんだ。

 何度も考えたつもりで、全然考えてこなかったな。探しても全然見つからないような気がするし、正直思いつきもしねーけど。
 だけど・・・・・・アニキがそう言ったんだから。生きる意味を失ったオレに、アニキは「生きろ」と言った。アニキはオレを解放してくれた。

 それに。他にも生きてと願っていたヤツがいたこと、思い出したから。
 死なないでと大泣きしてくれたヤツが待ってるのだと、ふと思い出したら・・・・・・会いたくなった。会って、抱きしめたやりたくなった・・・・・・から。


 ・・・・・・・だからオレは、生きようと思うんだ。





 数週間ぶりの学園は、ほんとうにいつも通りだった。放課後の夕焼け空の中で建っている校舎は何も変わらず、退屈なまでにそこにあって・・・・・・キレーな外観だけ晒して、中の狂気や黒いものを覆い隠している。
 だけどここは、オレにとっての居場所だった。ここだけが、オレが生きていることを許される場所だったんだ。

 そう思えばこんな狂ったものを含んだ学園だって、そこに含んだ時間ごと大事なモノみたいに見えてくるから不思議だと思う。

 ふと校舎を見上げていた視線を前に戻すと、入口から大慌てでかけてくる制服を見つけた。
 小さい体を必死で動かして、真っ直ぐオレだけを見つめて駆けてくる姿がおかしくて、つい笑っちまう。まったく、あんな急がなくてもいいっつーに。てか、転んでもしらねーぞ?

「葵くんっ・・・・・・!!」
「よお、なずな。オレ様がいなくてそんなに寂しかったのかよ?」

 珍しく素直に飛び込んでくるなずなを抱きとめて、けらけら笑う。
 涙を半分溜めた目で、泣き笑いのような妙な顔をしたなずなが顔を上げる。ダッセー顔と笑ってやろうとして、うまくできなかった。どうしてか間抜け面のその表情が・・・・・・どうしようもなく可愛いとか、感じて。



「おかえり・・・・・おかえりっ、葵くん!!」
「・・・・・っ、お、おう・・・・・・ただいま・・・・・」



 そっぽを向いたのは、なずなの顔をうまく見れなかったせい。
 目が熱くてなんか泣きそうな気がするのは、なずなの温もりを感じるオレが、ちゃんと生きてると実感したせい。
 おかえりの言葉がこんなに嬉しいのは・・・・・・・オレを待っていた誰かが、いるせいだ。

 なんだか負けた気がして、ムカついたから、なずなを力いっぱい抱きしめてやった。
 慌てて文句を並べたてる声に、日常を感じる。ああ、オレは・・・・・生きてる。


 オレは、ここにいるんだ。


 言われた「おかえり」の言葉を噛みしめて、空を見上げてみる。
 神なんて信じない。あの世なんて信じない。でも・・・・・・・アニキは、いるだろうか。あの空のかなた、どこかの場所で。見ていて、くれているんだろうか。

 暗くなり始めた空の端で、一番星がきらりと光った。





End.
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