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 →狂った時計を終わらせて(ハートの国・ボリス→アリス)
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「QuinRose」
アリスシリーズ

Chain me(ハートの国、ボリアリ)

 →狂った時計を終わらせて(ハートの国・ボリス→アリス)
 余所者って言うのは、誰にでも好かれやすい存在。

 傍にいるだけで、ちょっと話しているだけで気に入られるほど。


「冗談じゃない・・・・・・・・・・・」


 マジで、ほんとに冗談じゃない。


Chain me


 あげるよ、なんて言葉と一緒に渡されたモノにアリスは目を瞬かせる。
 彼女の前には妙に楽しそうなピンクの猫。
 悪戯好きで人を振り回すのが妙に好きな彼・・・・・・・・ボリスからの唐突な贈り物に、何か裏があるのかと疑いの眼差しを露にするけれど。アリスの猜疑の眼差しもなんのそのと言った表情で、ボリスはシニカルな笑みを崩さない。

「・・・・・・・・・・なに、コレ」
「だからあげるって。プレゼント」
「一応聞くけど・・・・・・・・・・中身は?」

 アリスの手には、掌サイズの赤い小さな箱。
 金色のリボンが結ばれたそれは、一見とても可愛らしい贈り物に見えるのだけれど、アリスは素直に喜ぶ気になれなかった。それと言うのも、これをくれた張本人が妙に楽しそうだからだ。例えるなら・・・・・・・・・そう、獲物を見つけた時の猫。
 これから獲物がどう動くかを見て、そして追いかけて捕まえるぞという・・・・・そんな楽しそうな表情。
 ボリスがこんな顔をしている時、ろくなことはないとアリスは直感していた。

「どうしたの?早く開けてみてよ。折角あんたのために選んだんだからさ」

 まさか突っ返すようなマネはしないだろう?
 にっこりと笑った顔がそう言っている。むしろ受け取らないという選択肢は受け付けないという威圧感さえ感じられる。
 軽く箱を振れば、確かに中には何かが入っている音がする。
 重量もそこまで重くないし、そこまで危険なものではない・・・・・・・・と思うけれど。

「・・・・・・・・・・死にかけの黒い、言うもおぞましい生き物とかじゃないわよね?」

 猫を飼っているアリスとしては、猫の習性について人並み以上の知識は持っているつもりだ。ボリスは猫なんだか人なんだかハッキリしないが、本当に猫ならばそれくらいのことは何となくやりかねないような気がする。

「黒くはないし、生きてもいないから安心してよ」

 うさんくさいまでの笑顔と早く早くと急かすような視線に押され、アリスはしぶしぶリボンを解いた。
 何が入っていようと、どんなおぞましいものが中にあろうと、絶対に悲鳴をあげて放り出すなんてベタな真似するものか。そんな意地な気持ちを持って開いたそこには。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「どう?気に入った?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・普通すぎてビックリしたわ」


 あの妙に楽しそうな表情から、絶対に何かを仕組んでいると思っていたのに。
 いざ中身を見てみれば、そこにあったのは可愛らしいシルバーチェーンだった。
 そっと指で持ち上げてみれば、繊細で上品な銀細工の鎖がしゃらりと音を鳴らす。長さからしてペンダント用のチェーンのようだ。
 トップの飾りは何もなく、贈り物として渡すにはいささか飾りっ気のないものと言った感じだけれど、チェーンそのものの強固ながらも繊細な作りはすばらしいとしか言いようがない。
 これに自分好みのペンダントトップをつければ、どれだけセンスのいいネックレスになるだろう。

「ボリスって、こういうののセンスは本当にいいわよね」

 以前もらったオルゴールを思い出す。あの時も贈り物のセンスに関心したけれど。

「これ、本物の銀?すごく綺麗・・・・・・・・・」
「気に入ったみたいだね」
「うん、ありがとう」

 素直に礼を口にし、アリスは少し微笑んだ。
 企みの笑顔がまだどこかで引っかかりはするものの、この随分とセンスのいいプレゼントにケチをつけるつもりはない。
 気分屋で突拍子のないことをしでかすことも多い猫だけど、基本的には感情がわかりやすく態度に表れるのがボリスだ。感謝の言葉を述べた途端に嬉しそうに細められた目が、本当に喜んでいることを教えてくれる。本当に純粋な好意でくれたのだとしたら、疑うなんて失礼だったかもしれない。アリスは少しばかり良心が痛むのを感じた。


「貸して」
「え?」
「つけてあげる」
「・・・・・・・・・・は?」


 思わずマヌケな声が出て、慌てて口を噤む。
 プレゼントは嬉しい。中身のセンスもいい。ありがたく使わせてもらおうとも思う。
 だけど。

(そんな・・・・・・・ムード重視な気障男のような真似事しなくても)

 甘ったるいなんてものじゃない。寒いほどの気障っぷりに、現実にやっているようなバカがいたら鳥肌立つこと必至だろうとまで思っていた。
 ・・・・・・・・思っていたはず。


「つけてくれないの・・・・・・・・?本当は気に入らなかった?」
「そ、そんなことない!」


 少しばかり耳を伏せ、寂しそうに尋ねる声色に思わず力いっぱい否定する。
 とっさの行動にアリスがすぐに我に返っても、出た言葉は戻らない。ほんの一瞬前に悲しそうに揺れた瞳が、すぐに楽しそうなものに変わる。悪戯好きで油断ならない、猫の目。


「じゃあ、つけさせてよ。いいだろ?」
「いや、あの・・・・・・・・・」
「つけさせてくれるよね?」


 自分でつけるから、なんて言い逃れはきっと許されない。やっぱりこのプレゼントには何か裏があるのかと言いたくなる。
 礼を言ったときの笑顔とは全く別種の笑顔・・・・・・・もとい脅迫に、アリスは一瞬でもボリスに対して良心を痛めたことに後悔した。

「・・・・・・・・・・・・・お願いします」
「はいはい、それじゃあちょっと後ろ向いてくれる?」

 ここで抵抗してみたところで、どうせ聞く耳は持ってくれないのだからと、アリスは諦めた気持ちでチェーンをボリスに手渡す。
 言われた通りにボリスに背を向ければ、すいっと髪を横に払われて首筋が少し涼しくなった。後ろから回ってきた手がすいっと軽く首筋にふれ、喉元に冷たい金属が触れる。ほんのわずか、わざとか偶然か微かに触れるボリスの指先がくすぐったい。


「・・・・・・・・よし、できたよ」


 長いような短いような、少しばかりじれったさも感じる時間。
 カチャッという小さな音が後ろで聞こえ、ボリスがおしまい!と軽く肩を叩いた。
 机の上においてある手鏡で見てみれば、繊細なシルバーチェーンがアリスの首元を飾っていた。

「本当に綺麗・・・・・・・これに合うペンダントトップを探すのが大変かも」
「そうなんだよ。俺も探してみたけど、ピンとくるものがなくてさ。プレゼントにしちゃ地味かとも思ったんだけど、とりあえずチェーンだけ渡してみたってわけ。今度一緒に探しに行こうよ」
「うん。でも・・・・・もったいないわね。もうちょっと長かったら服の上からつけることができるけど、この長さじゃ服の下じゃないと無理。こんなに素敵なのに、服の下に隠れちゃうなんて残念だわ」
「その服、結構上の方までカッチリしてるからね」
「・・・・・・・・・無駄に露出してるよりマシじゃない?」

 腹だの二の腕だのを出した服のあんたに言われたくないとばかりに睨むが、ボリスは「確かに」なんて肩を軽くすくめる。

「そのチェーンが見えるくらいの服をあんたが着てたら、俺はあんたを本気で閉じ込めなきゃいけないところだ」
「な、なにそれ!?」
「俺の前では大歓迎だけど、他の野郎にあんたの肌を見せるなんて許せないな。あんたが俺以外と一緒にいると思うだけでイライラするのに、さ」

 よかったね、露出の多い服を着てなくて。そんな風に付け足して、ボリスはにんまりと笑う。
 暗にこれからも着るなと言われたも同然だ。
 本気の色合いを宿した視線に、アリスは思わず冷たいものを感じた。


「ホント・・・・・・・・まいっちゃうよね。ただでさえ余所者は好かれやすいって言うのに、俺の惚れた女はとびっきり可愛いときてる・・・・・・・・あんたにどれだけの男が横恋慕してんのかと思うと、マジで腹が立つ」


 そんな大層な人数を虜にできるような美人でもないし、横恋慕なんてされてない・・・・・・・と反論したいところだが、ボリスから発せられるピリピリとしたものに何も言えなくなる。
 今まで何度かボリスの嫉妬や束縛度の強さを目の当たりにし、十分すぎるほどに理解してきた(というか、させられた)経験が、今のボリスに余計なことを言わないほうがいいと警告を送る。それほどに彼からひしひしと伝わる苛立ちは大きい。


「どこにも行けないようにしちゃいたいけど、アリスにはアリスのゲームがある・・・・・・・・今はまだ、あんたの行動を制限なんてできない。だから、ほんの気休めにしかすぎないってわかってはいたけど、目に見える証をつけといて欲しくてさ」


 さらさらと語られる言葉についていけず、アリスはただ目を瞬かせる。
 ボリスの言動が時々・・・・・・・・いや、度々突拍子もなくなるのはいつものことだが、今回も何を話しているのかさっぱりわからない。
 困惑の表情のアリスに、ボリスが満足そうに再び笑みを浮かべた。
 そこには先ほどまで痛いくらい感じた怒気は、もうない。けれどアリスにとっては、今のやたらめったら楽しそうな笑顔の方が逆に怖い。
 思わず後ずさったけれど、それもあっさりボリスに捕まえられる。
 彼の指先がつうっと艶かしくアリスの首筋・・・・・・・・チェーンのかかるラインぎりぎりをなぞった。
 ぞくりとした痺れが背中を走り、つい肩が上がってしまう。



「さて問題。このシルバーチェーンはどうやって外せばいいでしょうか?」



 問いかけられた言葉の意味が、一瞬わからなかった。
 楽しげな顔を崩さずに答えを待っている猫の表情で、ようやく問いかけられた言葉の意味にアリスは思い当たる。慌ててチェーンの留め具に手をかけ、何とか外そうと試みるが留め具は鍵をかけた錠前のようにびくともしない。

「な、なにこれ!?何で外れないの!?」
「留め具だけ俺がちょ~っと手を入れてさ。外れにくいように細工しといたんだよね。なかなかいいだろ?」
「よくないっ!!」

 後ろに手を回して留め具を引っ張りながら、アリスは自分のうかつさを呪った。鎖のように編まれたシルバーチェーンの素晴らしさにばかり気を取られ、留め具が普通よりも複雑な形をしているのに気がつかなかったなんて。
 どうりでボリスが「つけようか?」なんて申し出るはずだ。

「ちょっとボリス、こんなことして何考えて・・・・・・・・」
「何って、言ったろ。目に見える証をつけて欲しいって」

 そう言ってボリスはアリスをぐいっと引き寄せた。チェーンを外そうとしていたアリスは抵抗できずに容易くボリスに捕らわれる。体を離そうとしても、きつくまわされた腕が許さない。



「これは鎖だよ。アリス、あんたを俺に繋ぐためのもの」



 首元に唇をよせ、ボリスが囁く。
 熱い吐息が、唇が肌に触れる。
 わずかに体を震わせたアリスを横目で愛おしそうに眺め、彼はチェーン・・・・・いや、彼女の首に絡まる細い鎖に口付けた。


「俺がつけて、俺だけが外し方を知っている鎖。アリスが俺だけに繋がれているっていう、目に見える証なんだ」
「・・・・・・・・・・・っ・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・本当、気休めにしかならないってわかってるけど」


 だから、外そうなんて思わないでよ。
 ボリスはそう言って顔をあげ、恥ずかしさやら何やらで顔を赤くしたアリスに軽くキスをした。



「ね、頼むから俺に繋がれていてよ。」



 ―――もうとっくにボリスの鎖に絡まって、動けないくらいなんだけど。


 そんなバカなことを思っても、絶対に口にはするものかとアリスはこっそり呟いた。



End.
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