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リジェ系

Den lille Pige med...(月華繚乱、芹禁断Hard、悲恋)

 ←昼ドラ並の恋愛ゲームだと。 →ほぼ1日費やして
 温もりを求めて。幸せな夢を求めて。愛情を求めて。
 ありったけのマッチに火をつけた、あの名もない悲劇の少女は、こんな気持ちだったのだろうか。



「夜明けの冷え込むころ、かわいそうな少女が座っていました。薔薇のように頬を赤くし、口もとには微笑みを浮かべ、壁にもたれて死んでいたのです。マッチのうちの一たばは燃えつきていました。あったかくしようと思ったんだなと人々は言いました。少女がどんなに美しいものを見たのかを考える人は、誰一人いませんでした・・・・・」

 明けない空を見上げ、二人で体を寄せ合い震えながら、彼女が朗々と紡ぐ物語に耳を傾ける。
 本は多く読んでいるけれど、童話の類はくだらないと思って今までまともに読んだことがない・・・・・・そんな話をしてから、なずなさんは自分が知っている童話を話してくれるようになった。

 12月も終わりに近づいた夜の街は、ぞっとするほど寒い。なんとか二人でくっついて堪えてはいるけれど、それでも気を抜いてうっかり眠りでもしたら、そのまま永眠してしまいかねない。
 眠気を堪えるために、二人でひたすらくだらない話をした。でもどうしたって話すと、思い出してしまう。僕が犯した罪のこと、彼女に捨てさせてしまったいろいろなこと・・・・・・今後のこと。
 そんなものを考えるくらいなら、物語の世界に浸っていた方がまだ少し救いがあったから。童話は、僕らにとっての、逃げ道みたいなものだった。

「・・・・・こんな状況で選んだ話題がマッチ売りの少女って、なんというか・・・・・あなた、結構皮肉屋ですよね」
「あ、あはは・・・・・なんか思い出しちゃったから、つい。ごめんね、暗いの選んじゃって」
「いいえ。下手にハッピーエンドで中途半端な物語より・・・・・正直、そういうシビアな結末を持っている童話の方が、僕は結構好きです」

 幸せいっぱい夢いっぱいな童話なんて、難癖つけたくなります。
 そう言うと彼女は、芹君らしいねと笑う。その笑顔を見ると、冷え切った体の奥底がじんわり温かくなるように感じるのが不思議だった。

 思わず手を伸ばして彼女を抱きしめて、そっと唇にキスを落とす。
 冷え切って青くなった唇はとても冷たかったけれど、彼女の顔はさあっとリンゴのように真っ赤に染まった。


「ど、どうしたの?」
「いいえ、別に。あなたが隙だらけだったので」


 普段通りを装って、からかって、思いっきり彼女を抱きしめる。
 以前より細くなった体にずきりと痛んだ胸は、綺麗に隠して見せない。これ以上苦しむのは、僕だけでいい。罪を重ねるのは僕だけでいい。そして・・・・・彼女を解放してあげなくちゃいけない。
 なずなさんは何も悪くない。罰を受けるべきは僕だ。

 聞いたばかりのマッチ売りの少女の話。
 初めは少しの暖を求めて、一本だけと売り物のマッチを擦った。
 思いがけず知った幸せの光景を求めて、もう一本とマッチを擦った。

 名前も明らかにされない少女の気持ちを、僕は少しだけわかるのかもしれない。
 すぐに手元から消えてしまう儚くも幸せな夢を求めて・・・・・もう少し、もう少しだけと罪を犯してしまう、馬鹿な子供の気持ちを。


(諦めなくちゃいけない・・・・・これ以上、幸せな夢なんて、見たってしょうがないんだから)


 最悪の罪を犯してしまう前に、その前に。
 彼女の背中に回した手を、ぎゅっと握りしめる。この手に染みついた血が、なずなさんを染めてしまうその前に。
 




 路地裏から見上げた灰色の空からは、眩しいほどに白い雪がはらはらはらはらと振り落ちる。
 髪に、肩に、頬に・・・・・・積もっていくそれは、冷たいはずなのに、もうそれすら感じない。それだけ冷え切っているのだろう。もうほとんど感覚のない左手に力を込めた。
 自分と同じ温度の、別の人の手。自分より小さい掌の温もりは伝わらないけれど、確かにそこにあると形は確認できて、ホッとする。

 ねむい。とても、ねむい。

 ぼんやりとした意識の中で、ただそれだけを思う。
 刺すように痛んだ空腹は、この雪の冷たさと同じように感じなくなってしまった。もう何日も何週間もろくに食べていないで体力も限界・・・・・ここまで、かもしれない。そう冷静な頭は答えを弾きだすのに、僕は動けなかった。


 ・・・・・・・だって、彼女が、僕の隣で眠っているから。


 こんなに。こんなに幸せそうな顔をして、僕の肩にもたれて眠っているのに、起こしたりできない。
 それにずっと傍にいると約束したから。離れない、離さない。ずっとずっと・・・・・・この手を握って傍にいて、僕がすべてから守ると決めた。
 僕もあのマッチ売りの少女と同じだ。
 夢を見ることに抗えず罪を犯し続け、結局最後に見えた大事なものを・・・・・向けられる愛情を手放したくないがために、持っていたすべてのマッチを燃やし尽くして。

 結局、僕は僕の本心と向き合って傍にいるといってくれた彼女を突き放すことができなかった。心からなずなさんの幸せを祈るのに、不幸にしかならない僕の隣にいてほしいと願って・・・・・・叶えてくれる彼女に、甘えた。
 その代償がなんだろうと、僕はもう逃げない。神の怒りなんて罰なんて、怖くない。相手が神であろうとも、彼女に触れることは許さない・・・・・そのためなら僕は、何度だってこの手を汚して構わないんだ。
 ・・・・・・・こんなに苦しくて温かくて、自分以外の誰かを想う気持ちを教えてくれた、なずなさんのためになら。僕は何者にでもなれる。


「・・・・・・・大好きだよ」


 本当は彼女にキスしたいと思ったけれど、ひどく気だるい体は動いてくれない。仕方がないから、何度目かわからない言葉を唇に乗せる。彼女は眠っているから、答えない。
 もう自分の声がちゃんと届いているのか、彼女が呼吸しているのかもわからない。
 ただ僕の隣に、なずなさんがいる・・・・・・それだけしかわからない。



 でも幸せな夢だ。



 きっと僕は今、幸せそうに笑っている。
 他の奴らには絶対わからない。僕はとてもとても幸せな夢を見たんだと、わからないんだろう。

 ひとつ、小さな罪の中で、君を見出し。

 ひとつ、何度か罪を繰り返して、その度に求める何かを見つけた。

 そして最後で最大の罪は・・・・・・・・



「永遠に・・・・・・・一緒だ」



 最高に幸せな、永遠の夢を見よう。

 誰にも理解できない、二人だけの・・・・・・・・美しい夢を。





End.
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