スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←壊れるくらい好きになった 痛いくらい好きになった  →戦隊モノが好きなのかな
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【壊れるくらい好きになった 痛いくらい好きになった 】へ
  • 【戦隊モノが好きなのかな】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「オトメイト系」
AMNESIA

踏みにじられた破片の世界で(イッキBAD「君を壊した子たちを壊してくるよ」後)

 ←壊れるくらい好きになった 痛いくらい好きになった  →戦隊モノが好きなのかな
 壊そう、壊そう、壊してやる。
 バラバラに砕けて、散って、もう戻らないように。

 ひとつ、またひとつと、望んだとおりに壊れていく。
 壊して踏みにじって・・・・・・あとは知らんふりで背中を向ける。
 壊れたものに興味はない。壊れても綺麗なのは、一人だけ。

 あとはイラナイ。全部、全部、壊れてしまえ。

 僕の大事な宝物を壊した世界。
 こんな世界を、僕は絶対許さない。





「・・・・・・ただいま。ごめんね、遅くなって。寂しかった?」


 夕暮れ時に染まる病室で、ひとりベッドに横たわる少女に駆け寄る。
 点滴に繋がれた細い腕を傷つけないよう注意しながら、そっと小さくて冷たいその手を握った。両手で握りしめ、頬に軽く当ててみる。綺麗なその指はぴくりとも動いてくれなかったけれど、それでも彼女に触れているだけで滑稽なほど安心できた。

 片手で彼女の手を握ったまま、もう一方の手で頬へと手を伸ばす。
 顔の半分を覆う酸素マスクに邪魔されて、あまり満足できるほど触れることはできなかったけれど、指先から伝わる柔らかい感触が可愛らしくて、自然と頬が緩む。
 微かに上下する胸の動きと時々曇る酸素マスクに、ちゃんと彼女が生きていることを感じる。

「あ、そうだ。ここに来る途中で、君が好きそうな雑貨屋を見つけたよ。新しくオープンしたみたいでさ、ちょっと覗いてみたら、君の好きそうな小物がたくさん売ってて・・・・・・今度買ってくるよ。何が欲しい?ネックレス?ブレスレット?それともぬいぐるみとかの方がいいかな」

 前髪を軽く払ってやりながら、人差し指で彼女の頬を撫でつづける。こんなことをしようものなら、すぐに真っ赤になっていた頬は、透き通るように白いまま。
 うっすらと開かれた空色の瞳は、じっと天井を見つめるだけで、決して僕の方を見てはくれない。

「ん、そうだな。やっぱり思いつく限りのもの、全部買ってこようかな。ここは少し殺風景だからね。君もずっとこんなところにいたら、飽きちゃうでしょう?ああ、でも君は、そんなにいっぱい買ってどうするんですかって困った顔しそうだ」

 眉をよせながら、嬉しいような困ったような複雑な顔をする彼女を想像して、僕は思わず笑う。そんな風に可愛く困ってみせるから、僕は君をからかうのをやめられないって言うのに。本当に飽きない子だと思う。
 ・・・・・なのにどうして。今、目の前にいる彼女は、人形みたいに無表情なんだろう。


「・・・・・・・ねえ、今度は君の番。何でもいいから、話して。笑って。君の声・・・・・聞かせてよ」


 希う、この言葉が君に届かないと知っている。
 祈るように手を握り、君を見つめる僕の姿が、その瞳に映らないと知っている。
 口を覆う酸素マスクと白い右腕に刺さった点滴がなければ、その命を繋ぐこともできないのだと・・・・・ちゃんと、わかっている。

 もう見えない、聞こえない。君は壊れたのだと、誰かが言った。

 壊れた。壊されて、しまった。
 僕の大事な大事な唯一。愛おしくて、大切にしたくて、そのためなら辛い思いも我慢して、守りたいと本気で思っていた、のに。それなのに。


「・・・・・・ああ、ごめん。そう言えば、今日の報告がまだだったよね。今日もね、また一人壊してきたよ」


 当たり前のように告げる僕の声は、他人が聞いたらきっとどこまでも冷たく聞こえるんだろう。嘲笑の入り混じったこの言葉は、狂ったように聞こえるんだろう。
 僕が狂ったと言うのなら、それはそれで構わない。だって大した意味はない。
 どうせ僕の世界はもう、壊れかけている。やっと出会えた大切な存在を奪われ、壊されて・・・・・・それでも壊れてしまった残骸にすがりついて、何とか呼吸をしているような有様なのに。どうして、正気で生きていけるだろう。

「これで、君を壊した子はあと残り・・・・・一人、かな。あらかた終わったと思うんだけど・・・・・他にもまだいる?いたら、教えてよ。壊してくるから」

 目には目を、歯には歯を。
 君を壊した子には、同じように壊れてもらおう。


 ・・・・・ねえ、可愛い僕のお姫様。もうすぐ終わるんだ。
 もうすぐ、君を壊した子たちはみんな壊れて、君を壊そうとするやつはいなくなる。怖いことは何にもなくなるよ?
 これからは、君と僕が一緒にいることを誰も文句なんて言わなくなる。いや、言わせたりなんかしない。

 そうしたら、二人で思いっきり堂々と手を繋いで歩こうか。普通の恋人同士みたいにキスをして抱きしめて・・・・・・人の目も気にせず、君に優しくしてあげられる。
 絶対に、今度こそ君を守るよ。もう傷つけさせたりしない。寂しい時はずっと傍で肩を抱いていよう。怖い思いをした時は、何を置いてでも駆けつけて、大丈夫だよって抱きしめてあげよう。
 約束する。神様にだって悪魔にだって誓うから。



「・・・・・・・だから、ね・・・・・僕の名前、呼んで・・・・・」



 彼女は動かない。笑わない。しゃべらない。
 壊れた破片を抱きしめても、自分が傷ついて痛い思いをするだけだなんてわかっているけれど、それでも僕は彼女の手を離せない。願うことを、やめられない。

 ・・・・・・昏い昏い、夢を見た。
 彼女を壊したものをすべて壊せば、彼女は戻ってくれるんじゃないかと。

 馬鹿な僕のことを、あの空色の目を吊り上げて、「イッキさんは最低です!」って。いつかの思い出のように・・・・・当たり前のことを、叱ってくれるような気がしていた。
 怒られていい。罵られたっていい。嫌われたって・・・・・もう、それでもいい。


 君がもう一度、「君」に戻ってくれるなら。
 例え歪んで壊れた夢でも、僕はそれを叶えてみせるから。


 壊れかけの僕の世界。
 壊して壊して、壊した果てに、君がいてくれるのならば・・・・・・僕はこんな大嫌いな世界、壊し続けていこう。

 愛しているよと呟いて、そっと彼女の額にキスを落とす。
 虚ろな瞳が、一瞬とても悲しそうに揺らいだように見えたのは・・・・・・もうとっくに砕けた、僕の心が見せた幻想だったのかもしれない。





End.
関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ 3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ 3kaku_s_L.png リジェ系
総もくじ 3kaku_s_L.png お題もの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【壊れるくらい好きになった 痛いくらい好きになった 】へ
  • 【戦隊モノが好きなのかな】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

号泣!!。・゜・(ノД`)・゜・。

すごく悲しい、哀しいENDですよね…。私もイッキルートはクリアしたのですが、切なすぎて辛すぎて、何度も挫折しかけました>_<そして理解力の無い私にはこのENDは特に「え?どういうこと??」ってなりましたorzでもこの記事を見てやっと理解しました!そして泣きました!主さんありがとうございました!!
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【壊れるくらい好きになった 痛いくらい好きになった 】へ
  • 【戦隊モノが好きなのかな】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。