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「オトメイト系」
AMNESIA

kiss me, kiss you(ケントGoodエンド後)

 ←画面越しにも効いてしまった魅惑のスペード →格闘すること3時間
「これを君に渡しておこう」

 そう言ってケントの部屋で手渡されたものは、すっかりお馴染みとなったケントお手製の数学パズルの問題集と、もう一冊。
 基礎から学ぶ英会話、とご丁寧に書かれた表紙をまじまじと見つめ、彼女は逡巡しながら口を開いた。

「え、っと・・・・・これは・・・・・」
「身振り手振りでどうにかなるとは言っても、やはり1年近く留学するのだ。最低限の英語力を身に着けておいた方が不便はない。だが、ここ数日ほど君の英語力を試させてもらっていたが、正直中学生と同レベルかそれ以下だな。私は数学が専門だが、英語も会話に困らない程度には習得している。君に教えることくらいであれば、私にもできるだろう」
「・・・・・・ありがとう、ございます」

 相変わらずの言い様に少々ムッとしつつ、素直に頭を下げる。
 わざわざ自分のためを思って忙しい中作ってくれたのだろうし、ケントのこのバッサリと正論を並べるしゃべり方はいつものことだ。本人に対して悪気がないことは、とっくにわかっている。

 それに、そんな彼だけれど・・・・・・付き合うようになってから、少し変わってきてくれたということも知っている。
 今だってそうだ。声のトーンが少し落ちたことに怪訝そうな顔をした後、すぐに思い至ったようにバツの悪い顔をしてみせる。前の彼だったら、まず見られなかった変化だ。

「・・・・・・・あ、その、すまない。今の言い方は少しキツかったか?その、だな・・・・・つまり私は、君の役に立てばと思って・・・・・」
「ふふ。大丈夫です、わかってますから」

 しどろもどろに話す年上の恋人に、彼女もやんわりと笑って首を振る。穏やかに会話できる時間、優しい空気。恋人らしい関係性をケントと一緒に築くことができるだなんて、以前からしてみれば到底考えられなかったことだ。
 自然と緩んでしまう口元を隠すようにうつむいて、英語のテキストをぱらぱらとめくる。日常生活で使われそうな会話の文例や単語が事細かに書かれ、ご丁寧に確認テストのようなものまでくっついている。

「これ、早速やってみてもいいですか?」
「今からか?」
「はいっ!あ、でも忙しいなら・・・・・・」
「いや、構わない。君の勉強に付き合うとしよう。君が私の作った問題を解く姿を見るのが、実は結構嬉しいんだ」

 隣に腰を下ろしたケントに、少し懐かしさを覚える。
 前に初めて算数問題集をプレゼントしてもらった時も、こうして彼の部屋で一緒に問題を解いた。算数が苦手だからと渡されたそれが、なんだかちょっと悔しい気がして、一生懸命考えて見事に全問正解を果たした。あの時ケントは、少し意外そうに、どこか嬉しそうに褒めてくれた。それほど前のことでもないのに、不思議と随分昔のことに思えてくる。

「今回は基礎英語程度の扱いで、かなり簡単に作ってあるからな。もしこれで悪い成績をとるようなら、何かペナルティでも用意するとしようか」
「よおっし、頑張ります!」

 今回も満点が取れたら、あの表情を見られるんだろうか。
 少し楽しみな気持ちで、彼女は早速1問目に取りかかった。





 そして30分後。
 微妙な沈黙が、その場に降りる。テーブルの上には、散々な結果になっている英語の解答。それを前にして少女は居心地悪そうにうなだれ、ケントはかける言葉を探してあっちこっちへと視線を彷徨わせていた。

「なんというか、その・・・・・・君は数学よりも英語の方が、苦手だったのだな」
「・・・・・・」
「そう落ち込むな。人間は間違えた分だけ成長する生き物だし、君にはこれから伸びしろがあるということだろう。まだまだ時間もあるわけだしな」
「・・・・・・・なんか、自分がちょっと情けないです」

 大学で英語なんて、よっぽど積極的に学ぼうなんて思わなければ基礎レベルしか学ばないとは言え、さすがにいろいろ忘れすぎな気がする。
 仮にもこれから留学を目指す身だというのに、これじゃあなんだか先が思いやられる。

「私だって、ケントさんに負けないように頑張るって決めたのに・・・・・・ケントさんと一緒に留学して、向こうでケントさんのこと支えられるようになりたいって思ってるのに・・・・・このままじゃ、ダメですよね」
「・・・・・・・君は」

 思いがけない言葉に、ケントの目が驚きに見開かれる。ゆっくりそれとなく視線をそらし、ケントは咳払いをしながら口元を手で覆う。
 隠しきれていない目元近くまで赤くなった恋人の照れ顔を、英語のテキストを睨みつける彼女は残念ながら見逃した。

「その、だな・・・・・」
「?はい」
「キス、してもいいだろうか」
「はい・・・・・・・って、ええ!?今ですか!?」
「ダメか?」

 少し近づいた距離で伺うように尋ねられ、困って視線をうろつかせる。
 メガネ越しのケントの瞳がやたら真っ直ぐ見つめてくるものだから、どうしていいかわからなくなってしまう。ずるい、と心の中で呟いて、彼女はぎゅっと自分の手を握りしめた。


「そ、そうやって聞かないでください・・・・・・」
「わかった。では勝手に、させてもらう」


 目を閉じると同時にちゅっ、と唇が軽く重なる。触れては少し離れ、また重なり。回数を重ねるごとに少しずつ深みを増す。
 甘く上唇を食まれ、少女の肩がわずかに震える。
 ぎゅっと閉じていた唇が少し開いた隙をついて、舌がするりと差し込まれる。濡れた音が耳に届いて、恥ずかしさに思わずケントの腕をぎゅっと握った。


「・・・・・ん・・・・っ・・・・」
「ふ、・・・・・これをペナルティにしても、いいかもしれないな」


 キスの合間に呟かれた声に、うっすらと目を開く。
 小さく音を立てて唇が離れると同時に、一気に呼吸が楽になった。しばらく水に潜っていたような息苦しさを吐き出すと、こつんと額と額が軽く合わせられた。


「君が英語の問題で悪い点数をとったのなら、私の好きな時に好きなようにキスさせてもらう・・・・・なんていうペナルティをつけるのはどうだ?早く上達したいのなら、そういったペナルティがあった方が危機感も増してやる気が出るだろう。人間、追い詰められた方が覚えも早いそうだからな」


 至近距離で見つめたケントの瞳が、意地悪く輝く。彼の悪友とノリよく悪ふざけする時とよく似た、楽しそうな笑みが浮かんでいるのが見える。
 からかわれていると思い至って、少女の眉が顰められる。さっきのキスだってそうだ。少し前まで、手をつないだり頭をなでたりするだけで精いっぱいとか言っていたくせに。

 ・・・・・いつからこんなに、深いキスも平然と仕掛けてくるようになったんだろう。

「・・・・・・それ、意味ないと思います」
「何故だ?君は私に好きな時に口づけても構わない、と思っているとでも言うのか。以前した時は、場所や雰囲気をもっと考えろと君に怒られた記憶があるのだが」
「そ、それはケントさんが突然・・・・・!!ああっ、もうそうじゃなくてですね!!」

 ぐっと体を乗り出し、ケントの唇に再度自分のそれを重ねる。
 不意をつかれて固まった恋人の顔を真っ直ぐ見つめ、彼女は半ばヤケクソ気味に叫んだ。



「ケントさんとのキスは、どんなものでも嬉しいんですっ!!だから・・・・ペナルティなんかにならないし、意味、ないです・・・・・・余計成績悪くなっちゃいます」



 言ってしまってから猛烈な恥ずかしさに襲われ、顔が一気に熱くなる。一瞬遅れ、つられたようにケントの顔もみるみる赤くなっていく。
 何度も何かを言おうとしては閉じ、やがて諦めたようにケントがぎゅっと彼女を抱きよせた。

「・・・・・・なんというか・・・・・・君には、本当に負けるな」
「私、これでも結構負けず嫌いなので」
「ああ、知っている。十分なくらいにね。・・・・・・そうだな、君が望むのならいくらでも。いい成績をとれたら、ご褒美に君が望むキスをしようか。私も、君に教える楽しみが増えることだし」

 だから、とケントの手が頬に添えられて軽く上向かされる。



「今は、ご褒美でもペナルティでもない・・・・・恋人のキスをさせてくれないか。先ほどから君が可愛いことばかり言うから、私もいい加減限界なんだ」



 吐息がかかる距離でささやかれた言葉に、少しはにかみながら頷いて。

 今日も穏やかで恋人らしい時間が、幸せな二人の間を過ぎていく。





End.
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