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「QuinRose」
アリスシリーズ

Will you marry me?(2万ヒット御礼、グレアリ)

 ←フェイントのつもりはなかったんですが →算数問題を○年ぶりに解きました
 12の白薔薇がつまったブーケを受け取って。

 想いのブートニアをひとつ渡して。


 先に交わした約束が、今日、形になる。




Will you marry me?



「綺麗だよ」

 照れたようにそう言ってくれた彼の微笑みの方が綺麗だと思うのは、惚れた欲目なのだろうか。
 前髪をあげ、白燕尾をまとったグレイはいつもよりさらに大人っぽく見えて、やたらとドキドキしてしまう。仕事をしている時、プライベートのくつろいだ時、二人きりの時・・・・・・・それぞれに見せてくれる彼のさまざまな表情すべてが魅力的だと思ってしまうくらいのカッコよさなのに、こんな雰囲気の違うカッコよさは反則だ。式が始まる前から心臓が落ち着かない。

 こんなにカッコいい人が私を特別に好きだと言ってくれて。
 しかもこれから私の旦那さんになるだなんて。

 結婚式を直前に控えた今の段階になっても、本気で現実味がない。私が都合よく見ているだけの夢なんじゃないかと思ってしまう。
 部屋の姿見に映る自分がふと目に入る。
 ぴったりとサイズの合った、オーダーメイドのウェディングドレス。触れるのを躊躇うほどに純白のレースが腰のあたりからふわりと広がり、控えめにあしらわれたラメを反射してキラキラ光る。
 視線を少し上げれば、髪を結いあげてベールをつけ、化粧をした鏡の自分が見つめ返してくる。ちょっとだけ、いつもより大人っぽくて雰囲気が違う。だけどよくよく見れば何も変わっていない、見慣れた自分の顔だ。

 鏡の中の自分が、ちょっとだけ悔しそうな顔をした。
 こんな風に化粧をして雰囲気を変えてみたって、やっぱり私はどこか子供っぽい。こういう格好が似合う似合わないとかではなくて、化粧をしていても、なんだかやっぱり物慣れない感が漂っている感じがする。大人なグレイの隣に並ぶと、少し不釣り合いに見えてしまうに違いない。
 こんな時でさえ自分の子供っぽさを実感するなんて、我ながら根暗だなあと落ち込む。

 うじうじとネガティブな考えに落ちかけるのを止めたのは、不意に腰に回されたグレイの手だった。
 そのままそっと引き寄せられ、思考が止まる。音もなく額に柔らかい感触が落とされた。


「閉じ込めてしまいたいくらい・・・・・・綺麗だ」


 耳元で幸せそうに囁かれ、肩がびくりと跳ねる。その一言だけで、今までうじうじ悩んでいたことが綺麗に頭から吹き飛んでしまうのだから、まったくグレイはすごい。
 気恥ずかしさで思わず俯きそうになった私の頬に、そっと大きな手が触れる。その手に促されるようにして上向かされ、そのまま唇がそっと近づき・・・・・・・


「ちょ、ちょっと待って!!ストップ!!」


 流されかけた瞬間、なんとか思い留まって言葉を発する。片手で重なりかけた唇をガードすると、ゆっくりと近づいていた顔が離れた。
 ・・・・・・表情にあまり変化はないものの、その金の目が少しばかり悲しそうなのは気のせいだろうか。なんだか悪気なくじゃれついてきた小動物を無碍に扱ってしまったような、小さな罪悪感に胸が痛む。こんなに背が高くて、ずっと大人な彼に「小動物」というたとえは変かもしれないが、まさしくそんな心持ちだ。
 無言のまま「なぜ?」と問いかけるように、金の瞳にじっと見つめられる。私は口元を抑えたまま、しどろもどろに言葉を返した。

「く、口紅とれちゃうから・・・・・・慣れてないから、自分じゃ上手に直せないし・・・・・」
「なら、あとで俺が直してあげよう。それでいいだろう?」
「よっ、よくないよくない!!」

 さらりと言われ、慌てて首を全力で振る。そんな事態になったら私の心臓が持たないに決まっている。
 真っ赤になっている私の顔を見て、グレイが小さく笑った。楽しそうな意地悪めいたその笑みに、からかわれたのだと気が付いて、思わずムッと半目で睨みつける。残念ながら私の睨みはあまり効果がなかったようで、グレイの笑みがさらに深まっただけだった。


「だ、大体っ!!どうしてグレイがここにいるの。結婚式前、花婿は花嫁と会っちゃいけないのよ。花嫁の控室は花婿立ち入り禁止!!!」


 そう、当たり前のように部屋に迎え入れてしまっていた私も悪いが、とりあえずそこが一番問題だ。
 結婚式前に花婿が花嫁のウェディングドレスを見ると不運が起こる、という結婚式で有名なジンクス。婚前に花婿が花嫁と会うのはご法度で、式場でヴァージンロードを歩く時・・・・・ファーストミートの瞬間になって初めて、花婿は花嫁の姿を見ることができるというもの。
 国によっては花婿と一緒にウェディングドレスを選ぶようなところもあるらしいから、必ずしも一般的ではないのだろうが、このジンクスはクローバーの国でも有効だったらしい。実際、私もこのウェディングドレスを選ぶ時はビバルディに手伝ってもらったし、試着の段階でもグレイにはこの姿を見せていない。

 ・・・・・・だというのに、その花婿が花嫁の部屋まで式前に忍び込んできてしまうなんて。
 別にそこまで結婚式にこだわりを持っているわけではないからいいけれど、ファーストミートがいきなり台無しだ。

「ジンクスとか信じているわけじゃないけど・・・・・・結婚式の前に、不運だと言われていることをやるだなんて、あまり褒められたことじゃないわよ?」
「それはすまないと思ってはいるんだが・・・・・・・これ以上、我慢できなくなってな」
「え?」
「・・・・・・妬いたんだ。俺が見れないのに、他の奴は君のウェディングドレス姿を先に見ているのかと思うと、いてもたってもいられなくて・・・・・つい」

 狭量な男ですまないな、と苦笑いを浮かべるグレイをまじまじと見つめる。
 思いがけない言葉に、本当にこの結婚式は夢なんじゃないかと疑ってしまう。冷静に考えれば、私のウェディングドレス姿なんてあとで嫌というほど見れるというのに。それでも彼は、他の人に先に見られるのが嫌だったからなんていう理由で、控室まで忍び込んできたと言う。

 グレイが意外と独占欲が強くて、子供っぽい一面もあることは知っているけれど、これは少し不意打ちだった。不意打ちすぎて・・・・・・・嬉しい、だなんて思ってしまう。
 なんだか緩みそうになってしまう口元を慌てて引き締めた。本当に私は、恋をするととことんまで馬鹿になるタイプなんだろう。妬いてもらえることが嬉しいだなんて、普段なら絶対考えないことなのに。


「だが、会いに来て正解だったよ。本当に・・・・・俺の奥さんは、綺麗だ。これから他の奴に見せなければならないと思うと、このまま攫って隠してしまいたくなる」


 奥さんなんていう呼ばれ方にドキリとしてしまった隙に、今度は左頬に柔らかなキスが落ちる。
 冗談なのか本気なのかわからない視線とぶつかって、なんだか落ち着かない気持ちになった。

 恋のときめきは段々落ち着いていくもの、なんて言ったのは誰だったか。
 恋をした時のドキドキは人の体には悪いものらしい。だから恋をすると、人の体の防衛本能は勝手に働いてそのドキドキを抑えてしまうようになり、恋に慣れた心臓になってしまうのだと・・・・・・だから恋人に対するときめきは、時間が経てば経つほど薄らいでしまうのだと。何かの本で読んだ知識だったはずだけれど、あれは嘘だったんじゃないかと言いたくなる。
 だって私は、未だにこんなにドキドキしてしまう。

「攫われたら、困るわ」
「俺に攫われるのは、嫌か?」
「ええ。今は嫌」

 やっとのことでそれだけ返し、真っ直ぐグレイを見つめる。
 こちらばかりドキドキさせられるのは、なんだか悔しい。やられっぱなしは、私の性格じゃないのだから。


「私がこれから行くのは、グレイの隣。攫われても攫われなくても、それは変わらないつもりよ。でも・・・・・折角だもの、あなたの元に嫁ぐことを誓っておきたいの。神様やこの世界の人達に・・・・・私はあなたの奥さんになります、ってちゃんと伝えたい。先に攫われちゃったら、それができないでしょう?」


 できるだけ挑発的に口にして、ニッと笑ってみせる。私はお姫様でもお嬢様でもない。聞き分けのいい大人でもない。ワガママな子供だから・・・・・自分がしたいと思うことを、曲げたくない。
 私は私の意志で、彼と一緒にいることを決めた。この世界に残ることを決めた。迷いがないわけじゃないし、未だに捨てたものを思うと苦しくなる。元の世界を忘れられるわけがない。彼の隣に立つに相応しいだけ成長したとも言えないし、自分に自信がなくて根暗なのは相変わらず。

 それでも。
 面倒事が苦手な私が、この世界で結婚式に臨もうとしているのは・・・・・そういうことだ。
 この結婚式は、私なりのけじめ。自分の居場所を決めた、そのための意思表示。

 グレイの目が少し驚いたように見開かれ、それからゆっくり優しい笑顔に変わる。
 大人でカッコよくて、でもたまに子供っぽくて・・・・・・怖いところだってあると、知っている。だけどこんなにも愛しいと思える人。他の迷いや不安の中でも、手を握り続けていたいと思える・・・・・信じていられる。


「・・・・・・まったく、君は」


 先ほどキスした方とは逆の頬に再度口づけが落ちる。
 こっちは後で、と触れるか触れないかの位置で軽くグレイの指先が唇をなぞる。意味深で艶っぽい囁きに、一瞬頭がクラクラした。
 もはや茹でタコ並に顔が真っ赤だろう私の頬を軽く撫で、グレイが体を離す。また負けたような気がするのは、気のせいじゃないだろう。

「仕方ないから、攫うのは諦めて部屋に戻るとしよう。式前に花婿が行方不明とかいう話になってしまったら、それこそ君を狙う奴らが君を攫いに殺到しそうだからな。そうならないよう、大人しくブーケを用意して、教会で待っているよ」
「グレイがブーケを用意するの?まるでプロポーズの時みたいね」

 12本の白薔薇でできたブーケを渡され、プロポーズされた時のことを思い出す。
 中世の昔から続くというブーケ・ブートニアの儀式。照れくさいほどにロマンチックで、幸せな瞬間になったプロポーズだった。

「結婚式でもプロポーズしてくれるの?」
「・・・・・まあ、本来はそれが正しいらしいからな。仕切り直しくらいさせてほしいんだ」
「ふふふ。私はあのプロポーズでも十分だったけどね」

 ブーケ・ブートニアは本来、結婚式で行われるイベントの一種のようなものだと知ったのは、プロポーズの後だった。確かに昔は伝統的に行われていたらしいけれど、今となっては本気でプロポーズ用にブーケ・ブートニアを演出する人などほとんどいないらしい。
 よっぽどのカッコつけくらいしかやらないぞ、なんて腹を抱えて爆笑するナイトメアからそのことを聞かされて。その時の、グレイの何とも言えない表情と言ったら。
 思い出すだけでおかしくて、ついつい笑いが零れてしまう。そういうこぼれ話も含め、あのプロポーズは私にとって最高のものになっている。

「それに。さっきも言ったが、ここの住人はどいつもこいつも諦めが悪いからな。きちんと見せつけてやらないと、俺が落ち着かない・・・・・・君が誰を選んだのか、ということを」

 そっと私の左手を取ったグレイが、薬指に口づける。
 これから約束の指輪がつけられるだろうそこには、まだ何もないけれど、不思議ととっくに指輪がはめられているような気がした。



「・・・・・・返してくれるだろう?ブートニアを」
「もちろんよ」



 確認しなくたって、もう心は決まっている。
 大丈夫、迷ったりしない。これだけは迷うはずがない。




 Will you marry me?

 ―――Yes,I will.




 すべてに誓う。
 指輪とブーケと唇へのキスに、想いを重ねて。

 あなたを愛し、傍にいることを。

 この時間すべてが愛おしく、大切なもの。忘れたりなんてしないから。
 だからあなたも、どうか傍にいてくれますように。


 祝福の鐘が鳴り響くまで、あとわずか。





Thank you for 2000hits!!!
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