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「ネオロマ」
遙かシリーズ

運命の糸の、その先に(遙か3十六夜ED直前、ヒノ望)

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 どうか信じて待っていて。



運命の糸の、その先に



「頭領、烏からの報告が・・・・・・・・・」
「鎌倉方の動きですが・・・・・・・・・」

 毎日毎日めまぐるしく過ぎる日々。
 源平の戦が終わりを迎えたことで力の均衡が崩れた今、新たに起こるかもしれない戦に熊野を巻き込ませないためにも的確な舵取りが必要になる。そのための対策、戦後処理、そして八葉として行動していた間のツケ。
 熊野へと戻ってきたヒノエを待っていたのは、そういった大量の仕事と責任だった。
 寝る間もないほどの激務に文句を言うこともなく、一心不乱に仕事を片付けていく頭領の姿に、部下達は彼の体調を心配して何度か休むように説得したが、決してヒノエが頷くことはなかった。

「なるべく早く片をつけて迎えに行ってやらないと、オレの天女が待ちくたびれてしまうかもしれないからね」

 そう言って部下の説得を一蹴する彼の胸元には、白く輝く鱗のようなものが首から下げられて淡い光を放っていた。



 戦が終わって数ヶ月、溜まりに溜まった仕事もようやく一段落ついた頃。
 ヒノエは久しぶりに海岸沿いを歩き、雲に隠れた夜空を見上げた。烏からの報告を待つまでの間、少しでもいいから休んでくれと部下に半ば泣きつかれ、苦笑いを零しながら得た束の間の休息だ。

「・・・・・・・・・・本当は、考える暇もないくらい忙しい方がありがたいんだけどね」

 溜息と共に零した言葉が、波音に消される。
 あの日、彼女と船の上で見た十六夜の月を最後に、ゆっくりと月を見ていなかったなと思い出す。その月も今は雲に覆われ、その先は見えない。


「オレの願いは・・・・・・・オレ達の運命の糸は・・・・・・・・・どこに向かうのか・・・・・・・お前なら知っているかい?遠い月の姫君・・・・・・・・」


 見えない月に答えを求めてみても、意味のないことと判ってはいる。
 ヒノエはぎゅっと胸元の逆鱗を握り締めた。
 それは彼が恋焦がれる神子姫・・・・・・望美から、こっそりと盗んだものだった。清盛を封印した日の夜、彼女の時間をもらい、二人きりの船の上で初めて彼女を抱いた時に。
 これが本物の白龍の逆鱗だということは、白龍に確認済みだ。
 ヒノエが望美を想う気持ちが強ければ、時空を越えて望美に会いにいけることも可能だということも教えてもらっている。
 どうしてこれを望美が持っているのかはハッキリとわからないけれど、これの存在を知った時、ヒノエは心底熊野の神や白龍に感謝した。願いを叶えるために、白龍の逆鱗の力はどうしても必要になる。


 初めて本気で恋した女。
 手放したくなくて、自分の元にいてほしくて。
 だけどヒノエが熊野を捨てられないように、望美にも帰るべき場所がある。
 彼女を待つ両親や友人、懐かしい思い出のつまった故郷。それらを捨てさせてまでこの世界に留めることが、彼女にとって本当に最良なのか。
 答えが出ないまま悩み続けていた時、ヒノエの元に鎌倉の不穏な動向が報告された。
 戦が終わっても、再び次の戦が起こるだろうことは簡単に予測できた。そしてそれが・・・・・・・源氏の神子として名が知られた望美も巻き込むだろうことを。
 源平の戦で十分すぎるほど傷ついてきた彼女を、これ以上どうして傷つけることができるだろう。

 だからヒノエは決めた。
 望美を元の世界に帰すことを。

 そうは言っても、ヒノエは望美を永遠に手放すつもりはさらさらなかった。
 本当は諦めた方がいいのだろうと頭では理解している。
 望美は異世界の人間。本当だったらヒノエと出会うことなどなかったはずなのだ。絡んできた運命の糸を必死で追い求めたところで、辛い未来が待っているだけかもしれない。
 何度も何度も望美を諦めろと胸の想いに言い聞かせ、せめて夢で逢えればいいと思い込もうとした。
 だけどそれはできなかった。
 出会った時から募っていく想いは恐いくらいに深まり、たった数ヶ月離れた今でも苦しくてしかたないほどだ。


 無理に誰かを愛そうなんて、もうできない。
 愛しい気持ちは消えてくれない。


 もう一度胸元の逆鱗を握り締める。
 これさえあれば、彼女をいったん元の世界に帰し、熊野の安全を確保できたら望美を迎えに行くことができる。神子としてではなく、熊野別当の正妻として、望美を熊野に連れて帰ることができる。
 何かを得るためには、何かを捨てなければいけないことをヒノエは経験上よく知っていたが、今回の件に関してはどちらも譲るつもりはなかった。
 自分の欲のために神の力を使うなんて、神職としてあるまじき行為かもしれない。
 勝手に時空を越えることで、世界の理を歪めてしまうかもしれない。

(それでもオレは・・・・・・・どちらかなんて、ゴメンだね)

 不安がないわけじゃない。
 挙げればキリがないくらいだ。


 いつになったら、望美を迎えにいけるのか。
 本当に無事に時空を越えることができるのか。
 越えたとしても、こちらの世界に戻ってくることができるのか。
 望美は・・・・・・・・ヒノエを待っていてくれるのか。

 もしも彼女の隣に別の男がすでにいたら。
 この恋も終わって、胸の痛みも消えるんだろうか。


 考え出せば止まらない。だからこそ、あまり考えたくなかった。
 とっくに覚悟も答えも決めたのに、まだ悩んで躊躇している自分がどこかにいることをヒノエは気がついていた。
 もしも彼女に出会わなければ、本気の愛の重さがこんなにも苦しくてせつないものだなんて知らないで済んだだろうか、なんて考えてしまうことだってある。
 だからと言って、この恋を諦めるかと聞かれれば・・・・・・・やっぱり、答えは否なのだ。

 物思いを振り払うように、ヒノエは目を閉じる。思い出すのはやっぱり彼女のこと。
 その中でも特に印象的なのは、六波羅で初めて出会ったときの望美の表情だ。

 喜びと憂いが奇妙に入り混じったような笑顔。
 かみしめるように呟いた言葉。


『わたし・・・・・ヒノエくんに会いに来たんだよ』


 彼女の声がすぐ近くで聞こえたような気がして、ゆっくりと目を開く。
 当然ながら望美の姿はそこになかったが、目を閉じる前よりも少しだけ明るくなった周囲に思わず空を見上げる。いつの間にか月を隠していた雲は晴れ、その後ろから満月が明るく輝いて姿を現していた。
 あまりに見事な満月に、ヒノエは思わずまじまじと月を見つめる。
 久しぶりにじっくりと見つめたそれは、普段より明るく、そして美しく見えた。

「・・・・・・・・お前は離れた今でも、オレの道を照らしてくれるんだね。愛しい月の姫君」

 思わず口元に笑みが浮かんだ。
 どうしようもない。こんなことで、不安や躊躇が嘘のように溶けていく。
 まるで先を照らしてくれるかのように光る満月が、ヒノエの心を励ます。それは彼女の笑顔とよく似ていて、なんだかひどく幸せになる。


「そうだね、じゃあ今度は・・・・・・・・オレが会いに行くよ」


 何かが吹っ切れたかのように少しだけ軽くなった胸をそのままに、優しく逆鱗をなでてヒノエは呟いた。
 望美がどうして逆鱗を持っていたのか、持っていて何故この世界で戦うことを選び続けたのか・・・・・・・・・真実はまだわからないけれど、たった一つ信じるならば。
 彼女が六波羅で呟いた、あの言葉を信じるならば。



―――運命の糸をヒノエに絡めてくれたのは、他でもない望美自身。



 彼女が運命の糸を絡めたというのならば、この運命をたぐりよせるのはヒノエの役目。


「・・・・・・・もしも、なんて考えてたって仕方ないよな」


 『熊野別当 藤原湛増』にとっては、熊野しか見えていなくても。
 『ヒノエ』という男にとっては、望美しかもう見えてないんだから。


「オレを本気にさせたんだ・・・・・・・ちゃんと責任はとってもらうよ?」


 運命の糸の先にいる彼女に、想いを届けに行こう。
 迷わず彼女の元へ、飛んでいこう。

 だからどうか待っていて。

 ただの『ヒノエ』という一人の男として。
 いつか必ず、迎えに行くから。



 運命の糸の、その先にいる想い人に。
 あの月よりも遠く離れた世界にいる愛しい人に。

 この決心の想いよ、どうか届いて。





終わり
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