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終わらぬ夢の眠り姫(いざ恋、信華、悲恋エンド)

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 眠っていると感じる、優しい温もり。触れるでもなく、起こすでもなく、ただただ傍にいてくれる。
 あまりに優しすぎて、私はいつも泣きそうになってしまう。

 ごめんなさい、ごめんなさいと。
 何に対して謝っているのかもわからないまま。悲しくなって、でもどうしてもその温もりには触れられない。だってそれは、目を覚まさなくてはいけないということだから。
 私はまだ、ここにいたいから。
 手を伸ばさずにいる私を、温もりは待ち続けていてくれる。眠り続ける私を、許してくれる。

(オレが君の夢を守り続ける・・・・・・)

 懐かしく頼りがいのあるその言葉。
 ありがとう、と私は精一杯の笑顔を浮かべた。



「起きたか、華」
「信長様・・・・・・」

 ゆるりと目を開いた先に、愛しい人の姿があった。どことなく安堵の表情を浮かべるその人の胸に、ぎゅっとすがりつく。
 あなたの腕、胸、声、温もり・・・・・・こんなにもすべて覚えている。
 あなたはここに、確かに、いる。

「どうした?随分と積極的ではないか」

 からかうような口調と共に、そっと顎を持ち上げられて口づけられる。ゆったりと、けれどすべてを奪い尽くすように絡められるそれに、恥ずかしさと同時に頭の芯が溶けてしまいそうなほどの幸せを覚える。
 ゆらゆらと揺れる船の中、こうして二人きり、互いの温もりを感じることを幾たび繰り返しただろうか。
 幸せなはずのこの時間。けれど時折、どうしようもなく悲しくなることがある。

「少し・・・・・・寂しくなったのでございます」
「ほう?我とおるのに寂しい、とな。それはすまなかった。お前に寂しい思いをさせるなど・・・・・愛し方が足りなかったと見える」
「もうっ、信長様はそればかりですのね!」

 油断なく腰に回された手を軽く叩き、わざと拗ねたように顔を背けてみせる。
 信長様はくくくと楽しそうに笑うと、いつものように私の頭を豪快に撫でまわした。

「そう拗ねるな。ほら、機嫌の直る薬をやるからこちらを向け」

 後ろから抱きすくめられ、口元に指先を押し当てられる。おずおずと口を開くと、ひょいと白く小さな星形の菓子が放り込まれた。
 口の中で甘く転がる金平糖。
 優しく幸せな感覚に、思わず笑みが浮かぶ。頬をくっつけるようにして私を抱きしめていた信長様が、また楽しげに笑った。

「はははっ、怒った童がもう機嫌を直したわ」
「う・・・・・・だ、だっておいしいのです・・・・・」
「そうかそうか。まあ待っておれ。南蛮に着いたら、たらふく金平糖を食わしてやろう。もう少し辛抱しろよ?」
「わ、私それほど食い意地は張っておりません!」

 意地悪な物言いに軽く横目で睨みつける。
 すぐ間近にある信長様の顔は、とても穏やかだった。意志の強い瞳はそのままに、けれどどこか・・・・・儚げで。信長様が今にも消えてしまいそうで、とっさに私を抱きしめているたくましい腕をぎゅっと掴んだ。


「華?」
「・・・・・・・・置いていかないでください」


 無意識のうちに零れた言葉に、頭の片隅がずきりと痛む。
 脳裏に何かの光景がちらついて、けれど私の意識はそこから必死で目を逸らしている。雑音混じりの声が頭の奥から響いて、それを拒むように耳鳴りが邪魔をする。

「突然どうした。我がお前を置いてどこかに行くなど、」
「置いていきました」

 信長様の声を遮るようにして、私は言い募る。
 ハッと驚きに目を見張った信長様の表情が、少しずつ悲しみの色に染まっていく。

「私も、共にお連れくださいと申しましたのに・・・・・・置いていって、しまわれたではないですか・・・・・」
「・・・・・・・華」
「私はっ・・・・・・私、は・・・・・信長様のお傍にいたかったのです・・・・っ!!」

 いくつもの光景が頭をよぎる。信じたくない、こんなものを思い出したくない。
 溢れ出す紅に染まった愛しい人の姿。輪郭を確かめるように頬に触れた指先。交わした冷たい口づけ。

『・・・・・・必ず迎えに行くから、死なずに待っていろ』

 私を突き放して消えた、最期の・・・・・・・・


(っ、いや・・・・・・嫌です!!思い出したくない、思い出してはダメ・・・・・!!)


 見えかけた記憶の残滓を必死の思いで振り払う。
 抱きしめられてた腕の中で体の向きを変え、正面から信長様へと抱きつく。離さないという気持ちを込めて、強く強く。
 そっと優しい腕が、私を抱きしめ返してくれる。落ち着かせるように私の背を撫でるその手の温かさに、抑えていた涙が溢れた。


「・・・・・・そろそろ、起きるか?」


 そっと問いかけられた言葉に、心臓が抉られるように痛む。
 涙もそのままに顔をあげる。信長様は、柔らかく悲しげな瞳で私を見ていた。


「いいえ・・・・・・・いいえ。私は、あなたのお傍にいます。もうずっと、離れたりいたしません。あなたを置いて、目覚めたりいたしません」
「・・・・・・・・そうか」


 そう呟いて、優しく私の涙をぬぐってくれる指先に、どうしようもなく悲しくなる。
 思い出さなければいけないことなど、忘れた。待っていてくれる人のことも・・・・・・忘却の彼方へ忘れてしまおう。
 私は眠っていたいのだ。眠り続けていたい。
 この人と一緒にずっとずっと・・・・・・・覚めない夢を。

「ならば、我もまだお前を離さずにいよう。共に・・・・・眠り続けよう」
「はい。ずっと・・・・・・ずっと、離さないでください」

 そっとどちらからともなく唇を合わせる。
 違和感から目を背け、決して到着することのない船の中、この人と二人きり。何も考えず、ただ眠っていたいのだ。幸せに微睡んでいたいのだ。これが私の罪というのなら、それでいい。

 ・・・・・・夢の中にしかこの幸せがないというのなら。
 この夢こそが、私にとっての現実。


 お願い、誰も私を起こさないで。
 夢にしか見つからない幸福を・・・・・・どうかもう、誰も壊さないで。


 そして私は今日もまた。
 二人だけの船の中、甘く悲しい夢を見る。





終わり
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