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「QuinRose」
アリスシリーズ

飼い猫の見る夢(ハート&クローバー、ボリアリ、ifストーリー)

 ←届かないと知っていても、表現したいもの →同じチェシャ猫でも
「あなたのそれは、首輪じゃないの?」

 すっと俺に向けて差し出された一本の指が何を示すかわからず、少し首を傾げる。
 指を下ろしながらアリスはひとつため息をつく。そういう困った表情が本当にかわいいなと思いながら、同時に不思議な気持ちになる。


 どうして、「アリス」だったんだろう。
 どうして、アリスじゃなきゃダメだと思うんだろう。


「ボリスはしょっちゅう飼い猫にしてとか言ってくるけど、その首につけているものは首輪じゃないの?って聞いてるの。もうご主人様がちゃんといるんじゃないの?」
「ああ、これ?コレは・・・・・って、なに?もしかしてヤキモチ?」
「妬きません。ボリスを飼うとか、ありえないから」

 きっぱりとこれ以上ないほど断言された言葉に、少しばかり傷つく。こっちの気持ちも知らないで、アリスは相変わらず冷たい。
 冷たい女、酷いヤツって嫌いになれたら、楽だったんだろうか。アリスのこと、本当はすごく優しくって可愛い子って・・・・・・知らなければ、俺は誰にも靡かない野良猫のまま・・・・・・強いチェシャ猫らしく、いられたのかな。

「ちぇ~冷たいの。コレはただのアクセ、首輪じゃないよ。自分でつけたんだ。俺、誰かに飼われるのなんて御免だからさ。俺以外の他の誰かが、俺に首輪をつけようだなんて思わないように・・・・・・虫よけみたいなもの、かな」
「・・・・・・随分と倒錯的なご趣味で。あんた、自虐趣味でもあるんじゃないの?」
「いや、俺もどっちかっつーと自分が痛い目みるより、相手にイタイ目みした方が・・・・・・・あ、でも、アリスの首輪ならつけてあげてもいいよ?俺に、素敵な首輪つけてくれる?」
「ついさっき言ったばかりのことと矛盾しているわよ?誰かに飼われるのなんて御免なんでしょ」
「アリスならいーの♪」

 むしろ、アリス以外には許さない。
 飼い猫のことをずっと馬鹿にしていた。誰かに媚びうって、甘えて、何もせずに与えられるものだけでぬくぬくと生きる。自分でエサを取る本能さえ忘れ、首輪で縛られて・・・・・・そのくせ、いざという時に何もできない弱い猫。
 執着するものなんて、いらない。俺は一人でいい。何にも縛られたくない。縛られない自由な猫だからこそ、どこへでも行けるし迷わない。
 俺を繋ぎとめる「ご主人サマ」なんていらない。そう、思っていたはずだった。

「はあ・・・・・だからなんで私なのよ」
「さあ?」

 そんなもの、俺の方が聞きたい。
 どうして「アリス」だったんだろう。
 余所者だから?いい匂いがするから?見ていて面白いから?
 ・・・・・・いろんな理由を考えてみたけれど、結局当たっているのかどうかなんてわからない。ただひとつ言えることは、俺がアリスを大好きだってことだけ。


 大好きでたまらないから、もっと傍にいたいって。
 ただ、それだけの気持ちなんだ。


「前までそんなに頻繁に飼い猫にしてくれなんて言わなかったじゃない?この頃会うたびごとに口にしているわよ。・・・・・・まあ、大方ゴーランドへのからかいのつもりなんだろうけど」
「・・・・・・・・あんたが俺の飼い主になってくれないのって、やっぱりおっさんのせい?侯爵夫人?」

 あてつけ交りの複雑な気持ちで呼んだ肩書きに、アリスは顔を赤くした。
 途端に面白くない気持ちになる。顔を赤くして、恥ずかしそうに少し視線を逸らしたアリスはとても可愛い。だけど・・・・・・・だけど、面白く、ない。

「ま、まだそういう関係じゃないわよっ!」
「まだ、ねえ?」
「~~~~~~ボリス!!!」
「はいはい、すみませんでした~未来の侯爵夫人。・・・・・・・いいじゃん、どうせおっさんそのつもりだし、あんたも満更じゃないんだろ?」
「そりゃあ・・・・・・結婚、とかそういうのも考えてないわけじゃないけど・・・・・・まだちょっと早いんじゃないかって気持ちが・・・・・・・」

 もじもじと目の前で照れるアリスに相槌を返しながら、気分がどんどん降下していくのを感じる。
 つい不機嫌そうに揺れてしまった尻尾に気が付いて、小さく深呼吸して気持ちを紛らわした。表現しづらい感情を隠しながら口にする言葉は、不自然なほど明るくなっていった。

「アリスはおっさんのこと気にして、俺のこと飼ってくれないの?確かにいい年して独占欲以外とあるみたいだって実感したけどさ・・・・・・飼い猫にまで嫉妬するような狭量な男なんて、気にする必要ないって!」
「だ~か~ら!そういう問題じゃなくて・・・・・・ボリスは他の猫と違いすぎて、とても飼い猫になんてできないって言ってるの!」
「?確かに俺はチェシャ猫だから、他の猫とは違うけど・・・・・あ、いい子にしてるぜ?チェシャ猫だから強いし賢い。空気も読める、いい飼い猫の見本だと思うんだけどな。アリスさえOKしてくれたら、おっさんも許してくれるって!」
「・・・・・・・・どこから説明していいのかしらね、もう」

 アリスとおっさんが相思相愛の関係になったのは、最近のことなんかじゃない。
 もう結構前から、あの二人はいつの間にかなんだかいい感じで・・・・・・気が付けば恋人関係にまでなっていて。俺の知らないところで、アリスはいつの間にか、おっさんのものになっていた。
 アリスがこの世界に残ると決めた頃には、彼女にとっての一番の座には俺じゃない男がいた。いつだってアイツを真っ先に考えて、俺のことは後回し。

 ・・・・・・大好きなアリスを別の誰かに独占されたことがさびしくて、悔しかった。
 何度か邪魔だって、してみせた。だけど本気で二人を別れさせたいわけじゃない。アリスにはおっさんは似合わないって思うけど、アリスが幸せそうに笑っていられるならそれでもいいかと思ってる。
 アリスは・・・・・・いつもどこか、不幸せそうだったから、幸せになれる場所があるならそれでいいやって。

 そう思う一方で、どこか胸がぽっかり空いたような・・・・・そんな気持ちも、拭えなかった。

「・・・・・・・・ねえ、アリス。俺が普通の猫だったら、飼い猫にしてくれた?」
「普通の猫だったら、ね。考えてあげるわよ」
「ふうん、それじゃあ・・・・・・アリスは、俺のこと嫌いなわけじゃないんだ」
「?当たり前でしょ。ボリスのこと嫌いになる理由がないもの」
「・・・・・・・・そっか」

 嫌われてはいない。
 ただその事実だけで、心が少し軽くなる。今までは誰にどう思われようが別にどうでもよかったのに、心の奥底に鎖でもつけられたみたいだ。アリスの気持ちが気になって気になって、どうしようもないだなんて。

 嫌わないで、傍にいさせてほしい。嫌われても、ずっとずっと傍にいたい。
 恋人でも家族でもない関係で、それでも彼女を繋ぎとめ、傍にいることを許されるもの。
 彼女が帰ろうかと迷うその時、わずかでも迷う「理由」となるもの。
 そんなものが欲しかった。傍にいる口実が、確かな理由が、欲しい。


「チェシャ猫は、侯爵夫人の飼い猫」


 唐突な俺の言葉に目を丸くするアリスに、にやりと笑った。
 ・・・・・・・・ああそうか、そういうことか。納得してしまえば、答えはおぼろながらも姿を見せる。なんてカッコ悪くてみじめで弱いヤツの考えそうなことだろう。
 それでも俺は、これしか知らないから。恋人にも家族にも匹敵する関係性なんて、友達よりもずっと近くにいることを許される関係性なんて・・・・・それ以外、知らない。

「俺が今決めたルール、だよ。ルールはきちんと守らなきゃ、だろ?」
「相変わらず無茶苦茶なルールね・・・・・・ルールって一人で決められるものじゃないと思うんだけど」
「うん、わかってる。俺は領土主じゃないから、俺が作ったルールはいわばローカルルール。他のやつらは縛られない。だけど、作った俺自身はそう決めたんだから、守らなきゃ。チェシャ猫は、侯爵夫人以外を飼い主とは認めない」

 他の飼い主なんていらない。幸せなんて別にいらない。
 アリスを幸せにできるのは、多分俺じゃないんだろう。だったら俺は、傍にいて幸せを見守るだけでいい。彼女が想う男は他にいて、そいつしか彼女を幸せにしてやれないんだったら、しょうがないから我慢くらいしてみせる。
 それでもし、彼女が辛かったり泣いたりしているような時には、傍にいてあげられる存在でありたい。

 ・・・・・・見守って、少しばかり支えるだけしかできない、役立たずの飼い猫でいいから。


「他の誰でもない。俺はあんたの、飼い猫になりたいんだよ」


 傍に、いさせて。いつまでも。

 甘えるようにアリスの肩口に顔を摺り寄せる。
 やや呆れたため息の後、優しく細い手が俺の頭をそっと撫でた。ふわふわで温かい手の心地よさに、自然とノドがごろごろと鳴る。

「私まだ、侯爵夫人じゃないんだけど。あんたの飼い主じゃないからね?」
「いいじゃん。未来のご主人サマに前倒しで甘えてるのー」
「でも私が侯爵夫人ってことは・・・・・ゴーランドもあんたにとってのご主人様になるんじゃないの?」
「・・・・・・・俺の飼い主は、侯爵夫人だけ、だよ。侯爵は対象外。おっさんの飼い猫とか、死んでも嫌だ」

 騒がしくも平和な遊園地の一時。ハートの国でのわずかな時間。
 恋人でも家族でも友人でもない・・・・・・別の形の「特別」。

 忘れていたんだ。この世界に変わらないものなんてない。すべからく前に進む時間。変わらないようで、確かに変わっていく。
 ルールで定めた特別の関係となるはずだった絆は、気が付けば手元からすり抜けていった。
 「侯爵夫人」が、俺の飼い主になることは、なかった。





 夢と現実の境目は、いつ来てもあやふやに揺れている。
 ここはあまり好きじゃない。迷わないはずの猫でさえ、油断すれば惑わされてしまいそうな不気味さがある。この世界を統べる夢魔のように、すべてを見通され、指摘され、惑わされるような・・・・・

「・・・・・・惑わすことが得意なのは、君だろうチェシャ猫。何食わぬ顔で嘘をつき、相手に気が付かせないままに迷い込ませる・・・・・・目の前にありながら、都合の悪いものをきれいさっぱり相手から隠してしまう・・・・・役持ちの中でも、君が一番見事だ」

 落ちてきた声に振り返る。
 いつもと変わらず顔色の悪い・・・・・・けれど現実世界よりもずっと恐ろしく存在感に溢れた男が、面白いものを見るような薄笑いで、俺を見下ろしていた。

「アリスは、元気かい?」
「ああ。おかげさまで、引っ越しのショックからもちょっとは立ち直ったみたいだ」

 ・・・・・・・知っているだろ?
 心の中で問いかける。夢魔は答えないが、知らないはずがない。
 アリスが今いる世界は、クローバーの国。この男が中心となる世界なのだから。

「ああ、それはよかった。引っ越しで遊園地から弾かれてしまった直後の彼女は・・・・・・・それはもう、見られたものじゃなかったからね」
「・・・・・・・アリスからおっさんの記憶を隠してくれたこと、感謝してる」
「なに、礼には及ばない。ああでもしなければ、彼女はすぐさまドアを開けてしまっていたことだろう。アリスをこの世界に引き止めた男がいない今、ドアを開けた先に待つものは・・・・・・」

 どこか痛ましげに眉をよせ、夢魔は言葉を飲み込む。
 クローバーの国へ引っ越したのは、十時間帯ほど前のこと。引っ越しで弾かれるのは慣れていたからどうでもよかったけれど、不思議とその時は落ち着かない気持ちになった。
 アリスの姿を探し回り、ようやくドアの森で見つけ出した彼女を見た時、まず思ったのは安堵。アリスと離ればなれにならずに済んだことの喜び。
 だけど俺を見つけ、迷子のような泣きそうな目のまま抱きついてきたアリスが口にした言葉は。


『ゴーランドは、どこにいるの?』


 ・・・・・・アリスは、引っ越しというこの世界のルールを納得しなかった。
 理不尽だと、そんなもの理解したくないといって。
 自分の目であちこち見て回り、疲れ切った顔で森に戻ってきて、それでも・・・・・・もうどこにも存在しない遊園地を、探し続けた。
 そんなアリスを見ていられなくなったのは、俺だけじゃ、なかった。

「それに、アリスから完璧にゴーランドの記憶を消したわけじゃない。他にもアリスから隠さなければいけない記憶もあることだしね。私ひとりでは、とても無理だ。アリスの意識がゴーランドとの記憶に向かないように、うまく隠しているのは・・・・・・・チェシャ猫、君のおかげだ。さすが猫だな、惑わすのが上手い」
「お褒めに預かりどーも・・・・・・・・ま、そうやって隠しても、油断した隙におっさんとの記憶の違和感を思い出しそうになっちゃうんだよね、アリスは。忘れてくれない」
「・・・・・・・それがアリス、だろう。彼女はどんな些細なことも、完全に忘れることはできないんだ」

 そんなこと、知っている。アリスはとても時間を大切にする。
 思い出を大事に大事に抱えて、抱えても仕方がない罪悪感を手放せずにいる。時間に捕らわれやすい彼女だからこそ、この世界に愛された。俺はアリスを大好きになった。

 ・・・・・・・・・それでも思うんだ。なんで、忘れてくれないんだろうって。
 俺が傍に、いるのに。一番、アリスの傍にいるのに。
 代わりにしてくれたっていい。寂しいなら傍にいる。結局飼い猫にはなれなかったけど、それでもアリスが望んでくれるなら、俺は自分で決めたルールを破ってでも「アリスの飼い猫」になるのに。
 代わりにさえ、してくれないんだね。


「しょせん、飼い猫は飼い猫。ペットを本気で好きになる飼い主なんて、いない」


 心を読み取る夢魔が吐き出した言葉に、俺は目の前の男を睨みつける。
 当の本人は悪びれもなく両手を振り、「まあ、そう怒るな」なんて笑っていた。

「私の言葉じゃない。時間の流れ、幾多無数溢れる別世界の時間でたまたま見つけた、どこかの誰かの言葉だよ。今の君の心を読んでいたら、ふと思い出したんだ」
「・・・・・・悪趣味」
「だが、当てはまるだろう?確かに、飼い猫が主人をどれほど愛しても、飼い主が飼い猫を特別に愛してくれることはない。首輪に繋がれ、傍に置いて可愛がられ、主人を自分だけのものと勘違いしても、それは都合のいい願望にすぎない。飼い猫風情に、主人を本当の意味で幸せにする力はないのだから。それでも君は、飼い猫でいいと言うのか?何もできない、無意味な存在で終わってもいいと・・・・・?もっと特別な存在になりたいと、本当は望んでいるのだろう」

 悪夢め、と心の中で盛大に舌打ちしてやる。
 人の嫌なところばかりついてくる。そして誘惑を持ちかけて、自分の思い通りにしようと惑わす。
 心を読まれることは、何とも落ち着かない。自分の空っぽさを見透かされ、嘲笑われているようで腹立たしいし、恐ろしい。

「・・・・・・俺に、アリスの新しい恋人になれって言ってるようにも聞こえるんだけど、それ」
「まさか。私も恋敵にわざわざそんな助言をしないさ。ただ・・・・・今のアリスに必要なのは、彼女をこの世界に引き止める存在だ。それがどんな形であれ、どんな結末であれ・・・・・・私は、アリスがこの世界に残ることを選んでくれるなら、それでいいと思っているだけだよ」

 読めない灰色の隻眼を細め、夢魔が嗤う。
 優しげで、だけどどこまでも自分の望みしか考えていない・・・・・身勝手な言葉を紡ぐ。
 認めたくないけれど、自分の本心と向き合っているような気にさせられる。この世界の住人は、誰もが繋がっている。誰もが違って、でもどこか似ていて・・・・・・本質的に、変わらない。

「俺は、飼い猫でいいんだよ」
「恋人関係は、脆いから?」
「そう、脆い。アリスがおっさんと離ればなれになったみたいに・・・・・・本人達が望んでいなくても、簡単に壊れてしまうものだ」
「飼い猫と主人という関係も、それほど変わらないと思うが」
「・・・・・・・・・わからないよ、夢魔さんにはね」

 きっとアリスにもわからないだろう。
 自由に飛び回る猫にとっての、「飼い猫」であることの意味。固定で不変の帰る場所が存在するという、猫にとっての幸せと絶対の関係性なんて。


「確かに、普通の飼い猫じゃ本気で愛してもらえるわけないかもね。でも俺は、チェシャ猫だ」


 普通の猫とは違う。アリスも認めてくれていた。
 だから俺は普通の飼い猫にはなれないし、いざという時に主人を守れないような弱い猫に成り下がるつもりはない。

「アリスに幸せになってもらいたいと思ったから、侯爵夫人の飼い猫になろうと決めた。普通の猫みたいに、大人しく傍で幸せを見守るつもりだった。でもこうなってしまった以上、俺は普通の飼い猫になんかならないよ。アリスが傍にいてくれるなら、なんだってする。アリスが望んでいなくても、俺はアリスを真実から惑わし続けて、決して答えを出せないようにしてあげる」

 ・・・・・・・・それが、あんたも望んでいることだろう?
 夢魔に問いかける。返事はない。けれど、満足そうに浮かんだ笑みが、多分答えだろう。


「普通じゃない飼い猫なら・・・・・・ご主人サマだって、本気で愛してくれるかもしれないだろ?」


 もう二度と離ればなれにならない関係を、アリスに刻もう。
 引っ越しにも、この世界の絶対のルールにも、引き裂かれない関係。夫婦にも恋人にも家族にも、絶対できないことがある。
 ――飼い猫はいつだって、飼い主の元に迷わず帰ることができるのだから。


「チェシャ猫、お前・・・・・・・本当、アリスのこと好きだよなあ」
「とーぜん。まったく、こんなに好きにしてどうしてくれるんだよって話だよね。責任とってもらわないと割にあわないんだけど」


 呆れたような言葉に、いつもの笑いを浮かべてみせる。
 王様を直接見ることが許されるのは、猫だけ。どんなやつらだって、猫を咎めることはできやしない。
 そんな猫を縛ることができるのは、ただ一人。

 首につけた首輪は、まだ俺のもの。
 早くこの首輪が、アリスのものに変わればいいのにと願いながら。

 主人の見つからないチェシャ猫は、未だ野良のまま。
 鈴をつけてもらえるその日を、夢見ている。





End.
 
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