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「ネオロマ」
遙かシリーズ

君の笑顔が見たいからver.将臣(遙か3、将望)

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 できたての温かい団子を至福の表情で頬張る望美を横目で見る。
 市の喧騒から少し離れた茶屋の長椅子に2人で並んで腰かけ、俺たちはしばらくの休憩に浸っていた。
 皿の上に乗せられたいくつかの小さな白い団子を次々と口に運ぶ様子が、まるで小動物みたいで。そう思ったら愛しさと面白さが込み上げてきて、ついつい口元に笑みが浮かんだ。

「?何、将臣くん」

 目ざとくもそれを見つけた望美は、怪訝そうに顔をしかめて俺を覗き込む。
 好物は心底幸せそうに食べるところとか、こうやって俺の顔を見てくる仕草とか。春の京で再開したばかりの幼馴染は、この世界に来る前の記憶と全く変わらない。
 相変わらず無邪気で、相変わらず無防備だ。

「べっつに~」
「ああっ、わかった!!私のこと、食い意地張ってるよなあとか呆れてたんでしょ!?」
「それはいつものことだろ?」

 サラリと返せば、顔を膨らませてそっぽを向いてしまう。もちろん、「将臣くんのバカッ!!」というオマケつきで。

「将臣くんにも一個だけあげようかなと思ったけど、やめた!!全部1人で食べちゃうんだから」
「おいおい、そりゃないだろ。大体、その団子は俺の金で買ったやつだぜ?」
「でも将臣くんのおごりなんでしょ~?だったら、全部食べる権利は私にあるよね」
「確かにそうだが・・・・・・わざわざ市での買い物に付き合ったんだから、1個くらいいいじゃねえか」
「い・や。将臣くん、この間も『ひと口だけ』って言っときながら、結局私のプリン食べちゃったじゃない。せっかく譲くんが作ってくれたのに・・・・・・・・」
「お前・・・・・・・まだ根に持ってたのかよ。しつけえなあ」

 こんな何気ないやり取りが、懐かしく感じる。
 すっかり忘れていたはずの『当たり前の日常』ってやつが、望美の傍にはある。
 温かくて、安らぐ空間。この世界にくるまでは、ちっとも気付かなかった幸せ。
 3年前に一度は失ったこれを今再び味わえるなんて・・・・・・・夢、みたいだな。


「・・・・・・まさおみくん?」


 一瞬、らしくもない感傷に浸りかけた俺を敏感に感じ取ったのか、望美が心配そうに眉をしかめて振り返る。
 他人の気持ちには鋭いところも相変わらず、か。
 妙なところで勘のいい望美に苦笑し、何でもないという風に首を振って椅子から立ち上がった。ポンポンと頭を優しく叩いてやると、望美は「また子供扱いして!」と不機嫌そうに呟く。
 その表情に不安が消えたことにホッとする。
 望美にあまり心配そうな顔をさせたくない。近いうちに平家に戻らなければならない俺が、きっと一番心配をかけることになるだろうとはわかっていても。


 ――お前には、できるだけ笑顔でいてほしいんだ。


「・・・・・・・・勝手な願い、だけどな」
「え?」
「ただの独り言だよ。あんま気にすんな。それより・・・・・・・ほら、もう十分食っただろ?さっさと帰らねえと、晩飯の支度に間に合わないぜ?」
「あ、そうだった!!譲くん待ってるよね」

 慌てて残りの団子を口に押し込んでいる姿を尻目に、先にゆっくり歩き出す。
 律儀にも茶屋に「ごちそうさま!」と声をかけた望美が、少し駆け足で俺に追いついてくるのを感じた。スッとためらいもなく伸ばされた手が、俺の右手に触れる。
 手を繋ぐ、なんて望美とは当たり前だった。
 前は特に感じなかったこの行動が、今はとても甘くて・・・・・・・ほんの少しだけ、痛い。

「もお~!!少しは待っててくれてもいいじゃない、将臣くん」
「悪い悪い」
「それにしても将臣くん、手、大きくなったね」
「そりゃ、な。3年も経てば俺だって成長するさ」

 からかい混じりに告げれば、望美は珍しそうに繋いだままの俺の手を見つめる。
 だけど俺は内心、複雑だった。望美の手を握り返せずにいた。
 だってそうだろ?何の戸惑いもなく俺の手に触れるのは、望美が俺のことを知らないからだ。変わってしまった俺のことを、知らないから。
 血に染まったこの手を、知らないから。
 昔みたいに握り返せない。変わりすぎてしまった俺の手じゃ、お前に触れる資格がないように思えるんだ。


「ねえねえ将臣くん、私の手も昔と違うよね?堅いし、マメだらけだし、指とか太くなってるし」


 突然、望美がそんなことを聞いてきた。
 いきなり何を言い出すのかと望美の考えがわからなくて、少し首を傾げる。

「そりゃ・・・・・・・仕方ないだろ。剣を扱ってるんだから」
「そうだよね。将臣くんと同じ。随分手の大きさとか変わっちゃってたから、さっき繋いだ瞬間ちょっとビックリしたよ。でも・・・・・・・ね、変わらなかったよ」

 そして望美はふわりと微笑んだ。
 それはどこまでも優しい笑顔で・・・・・・・なんだか少しだけ、泣きたい気持ちになった。



「私ね、将臣くんと手を繋ぐの好きなんだ。なんか、ホッとするっていうか」

「のぞみ・・・・・・」

「その気持ちは、変わらなかったよ。将臣くんの手だな、って思えたよ」



 ギュッと望美が手に力をこめる。
 記憶にあった望美の手よりも少し堅くて、女らしさが欠けていて。
 でも温かい・・・・・・・・紛れもない、望美の手だ。


「それで?変わらないからなんだって言うんだ?」
「えっとね、う~ん、だからつまり・・・・・・・つまり、お互い結構変わっちゃったけど、たまには昔みたいに手を繋いで帰ろう!!って言いたかったの」


 わざと意地悪く尋ねた言葉に悩んだ後、望美は明るくそう答えた。
 だったら最初からそう言えよと笑えば、「将臣くんが元気なさそうだったから、カッコよく慰めてあげようと思ったのに!!」とむくれた声が返ってきた。

「はいはい。望美ちゃんは俺と手を繋ぐのが好きなんですもんね~」
「あ、今いつまでたっても子供みたいだとか思わなかった?」
「違うのか?」
「ち~が~う!!もう、今ので将臣くんと手を繋ぐのが嫌いになっちゃいそうだよ!!」
「お?そうなのか?そりゃ残念だ」

 さも残念そうに呟けば、案の定望美は俺の顔を覗き込んでくる。
 無防備なその額を軽く小突いてやれば、また怒ったように顔を膨らませる。ころころ変わる表情にこみ上げてくる笑いをかみ殺しながら、冗談交じりの口調の中に、本音の言葉を囁いた。


「俺も、お前と手を繋ぐの、嫌いじゃない」


 一瞬目を丸くしたかと思うと、次には嬉しそうに笑った望美の笑顔に、それまで握れずにいた繋いだままの手にしっかりと力をこめた。



 お前の笑顔が見たいから。



 今だけは、この手を離さずにいよう。





終わり
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