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「お題もの」
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すきだからゆえに(CZ、央→撫子、中学時代妄想)

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 英央にとって、小学6年生の頃から付き合っているCZの面々は、他の友達とはまた違う特別な存在だった。
 「仲間」なんて言葉がしっくり当てはまっていた。個性は強いけれど、あの輪に入っていけば当たり前のように迎えられる。居場所と言えるものが、その場に全員分きちんと用意されていて。

 だから、九楼撫子に対する気持ちも、その「特別な仲間」の延長だろうと思っていた。

 他の女の子より近い距離感に、くすぐったいようなドキドキするような気持ちを覚えて。
 央の作った料理を幸せそうに食べてくれる笑顔が、本当に可愛いなあなんて思って。
 家族にこだわっていた円を少しずつ変えていった真っ直ぐさや優しさ、そういうところがまぶしく見えて。


 ・・・・・・そういうのは全部、彼女がCZで唯一の女の子だからだと納得していた。


 だけど中学に入って、環境の変化にも慣れてきた頃。
 どうにもそういうわけじゃないと、気が付いてしまった。




「撫子ちゃん、大丈夫?荷物持ってきたけど・・・・・・撫子ちゃん?」

 返事がないことに首を傾げ、一言断ってからベッドを覆っている白いカーテンを引いた。ひょいと覗き込んだその先、保健室の簡素なベッドで横になって眠っている姿を見つけ、央は口をつぐんだ。
 静かな寝息を立てる撫子の表情は、やや苦しそうだ。頬も赤くなっているし、上下する胸の動きも少し早い。

 具合の悪そうな彼女を央が見かけたのは、放課後すぐのことだった。
 それまで同じクラスで何度か顔も合わせていたというのに、屋上へ上る階段付近でぐったり座り込んでいる撫子を見つけるまで、彼女が辛そうなことを見抜けなかったなんて、情けないことこの上ない。
 理一郎や鷹斗が多少様子がおかしいと気にかけていたのは知っていたけれど、撫子は全然大したことはないと振る舞っていたから、すっかり信じてしまっていた。

 顔を青ざめさせてもなお「大丈夫」と繰り返す彼女の言葉は無視して、その後は半ば引きずるように保健室へ連れて行った。こういう時に限って、保健室の先生は留守だったりして、仕方ないから空いているベッドに撫子を放り込んでおいた。
 荷物取ってくるから、僕がくるまでは大人しく横になってなきゃダメだよ!とキツく言い含め、ベッドを囲むカーテンを閉めて。
 妙に落ち込んだ声で、「ごめんなさい」と謝る撫子の声を背に、保健室のドアを閉めた。


 ――君に怒りたいわけじゃなかったんだと、結局うまく口に出せないまま。


「やっぱ熱高いのかな・・・・・体温計とかどこにあるかわかんなかったし・・・・・・・も~~~どうしてりったんも鷹斗くんも、撫子ちゃんのピンチに傍にいてあげないのかな!気にかけてたくせに!」

 八つ当たりとわかっていても、そんな言葉を呟かずにはいられない。
 彼女が目の前で苦しそうなのに、何もできない自分がひどく歯がゆい。今せいぜいできることとしたら、撫子を家まで送って行ってあげることくらいだろうが、眠っている撫子を見ると起こすこともできなくて、何もできずにおろおろとしているくらいしかできないのだ。

 せめてどれくらい熱があるのか計ろうかと、央は手を伸ばした。
 その指先が撫子の汗ばんだ額に触れた瞬間、電流が走ったように腕が震えて、反射的に央は手を離した。確かに触れた指先がじんじんと熱くて、これじゃあ熱があったかどうかなんてわからない。無駄に心臓がどきどきと鼓動を早め、顔がかあっとしてしまう。
 いたたまれなくて、視線を泳がす。誰が見ているわけでもないけれど、ひどくバツが悪くて・・・・・恥ずかしい。


「・・・・・・~~~~ああっもう、なんか僕、カッコわるいなあ・・・・・・・」


 初めて見る、撫子の寝顔。
 悪いと思っているのに、うまく目を逸らせない。ついまじまじと見つめてしまう。 

 まつげ、結構長いんだなあとか。
 そうやって寝てると、結構無防備な印象があって、幼く見えるなあとか。
 ちょっと寄せられた眉が、苦しそうで可哀想とか。
 ・・・・・・でも、ちょっと色っぽくてドキドキしちゃうなあとか。


 その唇に、触れてみたい・・・・・・とか。


 熱があって辛そうな友達、しかも大事な仲間の女の子相手に・・・・・・考えるのは、そんな不謹慎なことばっかりで。
 央は頭を思い切りよく振って、カーテンを閉めた。そのままひとつ、ため息をつく。カッコ悪い、ともう一度だけ呟いて、がしがしと頭を掻く。

 最近、撫子の傍にいると、そんなことばかりだ。
 そんなカッコ悪いことばかりに気づかされてしまう。それがなんだか嫌なのに、でもだからといって、彼女の傍にいない方がもっと嫌で。むしろ、近づきたくて。


(はあ、これが恋ってやつですか・・・・・・・)


 央がそれに辿り着いたのは、つい最近のこと。答えに気づいてしまえば、それはあっけなくストンと落ちた。
 胸の中に落ち着いた「恋」という名の気持ちは、パズルのピースのようにすべてを当てはめ、ゆるりと央の心を支配した。そしてそれは答えを知った後も、浸食を続け、何倍にも膨れ上がり、やがて出口を求め始めている。

 撫子を前にするたび、「好きだ」と言いたい気持ちが湧き上がる。
 伝えてしまいたい、知ってほしいと、いつだってそれは、苦しく央に訴えかける。
 けれど央は、それをまだ撫子に伝えずにいる。伝えられない・・・・・いや、伝えてはいけない、理由があるから。


 不意にポケットから感じた振動に、央は我に返る。
 見れば、メール着信ありの文字。差出人は、英円・・・・・・彼の、弟から。

「さすが、撫子ちゃんのことになると早いなあ・・・・・・」

 『今すぐいきます』と簡潔に書かれたメールに目を通し、央は苦笑をこぼした。
 一つ年下の円はまだ初等部で、授業が終わるのは自分たち中学生組よりも早い。なのに、円が一緒に帰る相手はいつも央と撫子なのだ。当たり前のような顔で中等部の昇降口で待っていて、そして行きましょうという。あまりにずっと長いこと待っていることもあるものだから、互いに携帯を持ち歩くことにしたほどだ。遅くなる時や帰りにちょっと別の用事がある時、これでやりとりをしている。
 さっきも、「撫子ちゃんが具合悪そうだから、送っていくねー」といった内容のメールを送っておいたのだが・・・・・・この文面を見る限り、中等部の校舎にまで堂々とあがりこんできそうな勢いだ。

 今まで感情が薄く、家族にしか執着を見せなかった円が、どうやら撫子を「特別な存在」として見ていることには、とっくに気が付いていた。
 円はまだ自覚していないようだが、その「特別」が、おそらくは央と同じ類のものであるということにも。


(だけど円。そんな大事な子でも、円はきっと、身を引いちゃうでしょ?)


 円は、彼女のおかげで変わった。家族に少しずつワガママを言ってくれるようになったし、前ほどには央に依存しすぎなくなった。
 それでもやっぱり、急に全部が変わるわけじゃない。
 まだ、円は家族を大事にしすぎて自分を押しこめるところがある。自分の欲しいものを、本当の願いを、「家族のため」と言って我慢してしまう。

 ・・・・・・・・だからまだ、言えない。


 撫子を、好き、なんて。

 知ったらきっと円は、身を引いてしまうはずだから。


 「央の望みなら、ぼくは協力します」とか、きっとそんな心にも思ってないこと言うんだろう。表情は変えなくて、でもどこか辛そうに。
 そんなの、こっちはちっとも望みはしないのだと、わかってくれたら楽なのだけど。

 だから、言えない。
 恋敵以前に大事な弟である円に、折角心を開きかけてきた円に、そんなことできるわけない。
 それに、そうなったらきっと、彼女だって悲しむはずだから。

 だって、撫子が好きなのは・・・・・・・・・


(初恋は実らないっていうけど・・・・・・実ってほしいような、ほしくないような・・・・・恋愛って難しいなあ)


 苦笑した央の耳に、廊下を駆けるような音が聞こえる。真っ直ぐに保健室の方へと向かってくる足音が誰のものかを予想するのは、簡単だ。
 家ではまず聞けない焦ったような足取り。なんだか笑えてくる。こういう気持ちをきっと、「微笑ましい」と言うんだろう。

 あと数秒で、きっとあのドアが開いて、見慣れた姿が現れるはず。
 そこで息を切らして飛び込んでくるだろう弟に、さあなんて言おうかなと央は軽く首を傾げた。



すきだからゆえに



 今は言えない 「好き」 が、そこにある。



(・・・・・・円が、僕に向かって「彼女は渡せません」くらい言えるようになるまで、まだまだ告白できないかなあ・・・・・・?)



お題使用
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