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「オトメイト系」
CLOCK ZERO

課題X:昔の遊び体験 後編~かるた~

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 通常よりもナナメ上なルールとなったCZメンバーによるかるた対決は、予想通りのカオスな展開が繰り広げられた。
 トラと円が激しい手札争奪戦を繰り広げるのを他所に、央は絵札を探して校庭中を駆け回り、理一郎は地道に手札を増やしていく。それを鷹斗が見事なまでの作戦で奪い取り、かと思えば終夜が奇抜な方法でそれを取り返す。・・・・・・勝負は一進一退、やや鷹斗チームが優位な状況で進んだ。
 そして、ついに。
 撫子の手に残された読み札は、一枚となった。

「あと一枚・・・・・・ね」
「やっとか・・・・・あそこ、だな」

 全員の視線が一点へと向けられる。
 校庭の真ん中付近、砂にまみれたカラフルな絵札が転がっている。彼らがかるたをやっている場所からは随分離れていってしまったところに、それはあった。

「あの最後の一枚を取った時点で、ゲームセット。最終的な手札の枚数が一番多かった方の勝ち・・・・・・みんな、それに異論はないよね?」
「ようはアレが取られる前に、お前らの手札奪えばオレらの勝ちってことだろ?わかってるっつーの」
「そうはさせません。さっさと最後の一枚を手に入れて、勝たせてもらいます」
「いいねいいね!!なんかすっごくドキドキするよ、こういうの!!」
「ここが正念場、というやつだな。焦らないのが肝要・・・・・・冷静に策を練らねばならないな」

 やる気まんまん(約一名を除く)な男子達の真ん中で、撫子はようやく終わりそうな事態にホッと息をつく。
 気が付けば空はすっかりオレンジ色で、練習していたはずのサッカー部の姿もすでにない。何人かの熱心な部員が、居残りで練習しているくらいで、下校する生徒達の姿もどんどんまばらになってきている。


「それじゃあ最後の一枚、読むわよ?準備いい?」


 チームごとに集まってひそひそと作戦会議をする面々に声をかける。
 全員が頷き、いっせいにその場に立ち上がる。真剣な彼らの視線の先は・・・・・・校庭に落ちている、一枚の絵札のみ。
 ・・・・・・今更ながら、本当にかるたをやっているとは思えない雰囲気だ。いろいろと間違っている。

「・・・・・『ありえない・・・』」

 撫子の言葉と同時に、6人はほぼ同時に飛び出した。
 真っ先にトップに躍り出たのは円だったが、彼はすぐに違和感に眉をしかめた。スタートすぐにくるだろうと思っていた、トラの妨害がない。
 ちらりと後ろに目をやると、やや引き離された形で追いかけてくる理一郎、そして大分遅れて終夜が続いているのが見える。追ってくるのがその二人だけだということに気が付いた瞬間、円ははっと走る速度を落とした。


「あの下級生を相手にするより、お前ら二人をまとめて相手した方がずっと楽勝だな」
「・・・・・意外だな。君は真っ先に円に向かっていくと思っていたけど」
「作戦だよ、作戦。たまには頭つかわねーと、勝てるもんも勝てなくなるだろ」


 スタート地点すぐ手前で、トラが鷹斗と央の前に立ちふさがっている。にやりと挑戦的に笑う姿に、央は若干逃げ腰となり、鷹斗は困ったなという風に首を振った。

「さーってと、お前らの手札、大人しく渡してもらおうか?断っても力づくでいかせてもらうけどな」
「うわわわわ!?トラくん、落ち着いてよ!!暴力はんたーーい!!断固反対!!」
「央!!!!」
「あ、円ダメだよ、戻ってきちゃ!!最後の札を取れば、俺達の勝ちなんだから、そのまま行って!!」
「そうだよ円!!お兄ちゃんのことは気にしなくていいから・・・・・・先に行くんだ!!」
「ちっ。おい加納、さっさとその下級生抜かせ!!てか時田、お前もっとまじめに走れよ!!ちんたら走んな!!」
「こ、これでも全速力、だ・・・ぞ・・・・・!!」
「肝試しの時にオレが追いつけないほどの速さで逃げ回ってたやつがなにほざいてんだよ」

 トラの注意が一瞬、終夜の方へと逸れる。
 その隙に鷹斗と央が目くばせを交わし、互いに反対方向へと素早く駆け出して・・・・・・・

「逃がすかよ!!お前らがあの下級生の分まで手札預かってるってのは、お見通しなんだっつーの!!」
「うわっ!?」
「ぐえっ!!トラくん、ギブ!!ギブ!!」

 あっさりと、片手で二人とも襟首を掴まれて捕まってしまった。
 パーカーのあたりを掴まれた鷹斗はまだいいが、央はシャツのあたりを掴まれたせいで、もろに首が絞まったらしい。気の毒な悲鳴をあげてバタバタと暴れている。


「おいこら、暴れるな。暴れると余計に首絞まって・・・・・・」
「央を離してください」


 静かな怒気を含んだ声が響くと同時に、トラに向かって鋭い回し蹴りが飛んだ。
 間一髪のところでそれを避けたトラに、容赦なく次の攻撃が二度、三度と繰り出される。すべていなして間合いを取ったトラの前に、隙のない構えの円が対峙した。

「っぶねーな。お前、こっちは2人捕まえてんだぜ?味方殴る可能性とか考えねえのかよ」
「央に当たらなければ、問題ありません。央に当たらないようには、一応気をつけました」
「いやいやいやいや、円!?かすめたからね、ちょっとだけ足が目の前かすめたよ!?お兄ちゃんビックリだよ!!」
「かるた始めた時から、ちょっと思ってたんだけどさ・・・・・・円、俺の扱い、結構ひどいよね。味方なのになあ、俺・・・・・・まんまと相手チームの作戦どおりになっちゃったみたいだし、どうしよう」

 パーカーを掴まれたまま、ちらりと最後の絵札の方に視線を向けた鷹斗が、ため息を吐く。
 すでにその場には理一郎が辿り着いていたが、彼はむっつりと絵札の傍に立ったまま、それを取ろうとはしない。ようやく追いついた終夜も同様、だ。

「先に絵札に辿り着いちまえば、あとはこっちのもんだ。お前らがどんなに早く動いても、ゲームセットのタイミングは、こっちが握ってる。お前らの手札を奪うと同時に、あの最後の一枚を取って、試合終了だ」
「だから俺達を先に狙ったんだね?央がピンチなら、円はまず間違いなく戻ってくるはずだし」
「ああ。それに、気づいたことがあってな。あの下級生と何度かやりあったが、手札を持っている素振りも様子もなかった。つまり、お前ら二人のうち、どちらかが下級生の手札分もまとめて預かっている可能性が高いってことだ。それを奪いさえすれば、一気にこっちの逆転勝利になる・・・・・違うか?」
「うん、そうだね。いい読みだ。でも残念。俺は持ってないよ?」

 ほらとズボンや上着のポケットをひっくり返し、さらには袖をまくって手を振ってみせる。何もないその様子に、トラはひとつ舌打ちして鷹斗のパーカーから手を離した。
 ケンカなら円にも引けを取らない自信があるとは言え、さすがに両手に二人を捕まえた状態だとやりにくい。央が手札を持っているとなると、それを奪おうとした瞬間に円が飛びかかってきそうだから、対抗するには楽な方がいいだろう。


「ああ、そうだ。言い忘れてたんだけどさ、西園寺くん。央も手札持ってないよ」
「は?」
「こんなこともあろうかと、手札は別のところに隠したんだよね。ついさっき」


 十分な距離を取ったところで、無害そうに笑って言い放った鷹斗をトラはぽかんと見つめる。
 確信犯めいたその笑顔は、完全に勝利を確信していた。

「残念だったね。君たちが勝つためには、隠してある俺達の持ち札を探さないといけない。でもそれに人員を割いている間に・・・・・・俺達が、最後の一枚を取って、ゲーム終了だ」
「おおおおお鷹斗くん、あったまいい!!」

 襟首を掴まれたままの央がぱちぱちと手を叩くが、不機嫌そうにトラに睨まれてすぐに動きを止める。
 まんまと策にハメたつもりが、すでに先手を取られていたというわけだ。

 央も札を持っていないなら、彼に用はない。すぐに解放して両手を空けておきたいが、そうなると鷹斗と央はすぐにでも最後の一枚を取りに向かうだろう。隠された手札を探しつつ、二人を相手に最後の一枚を守りつつ・・・・・というのは、理一郎と終夜にはやや荷が重い。
 戦況がこうなってしまった以上、トラにできるのは、央を捕まえたまま円を自分の方に引き付けて、味方側の負担を減らすことくらいだ。

「円、西園寺くんは任せるね。俺は最後の一枚取りに行くから!」
「言われるまでもありません。ぼくは央を助け出すことが最優先です」
「あっ、こら待て・・・・・ちっ!!おい加納、海棠を食い止めてついでに札探せ!!」
「はあっ!?なんで俺が・・・・・・・くそっ、面倒だな・・・・・・」

 ぼやきながらも、こちらへ走ってくる鷹斗の姿に理一郎は仕方ないと一歩踏み出す。
 トラのとっさの判断は間違っていない。理一郎と終夜、どちらが相手を止めることができるかと聞かれれば、それは間違いなく理一郎の方が適任だろう。

「む。いよいよ私の出番か?」
「・・・・・・お前はいい。そこで大人しくしててくれ」
「なぜだ。指揮官は戦場で実際に戦うべきではないというのもわかるが、私とて味方のためにだな・・・・・・」
「はあ・・・・わかった、ほら。オレの札を預かっとけ。あと、そこに落ちてる最後の絵札守っておけ」

 面倒くさそうに理一郎は自分の持ち札を終夜に差し出す。
 それを大事に受け取り、終夜はものすごく真剣な顔で、ひとつ頷いた。


「なるほど、勝利の鍵を握るのは私と言うわけか。心得た。その大役、この身を投げ出しても全うしよう。死地に赴くそなたの覚悟、確かに受け取ったぞ」
「・・・・・・待て。縁起でもないことを言うな。誰が死地に赴くんだ、誰が」
「望みは薄いかもしれぬが・・・・・・理一郎、必ず、生きてまた、会おう!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・もういい」


 どこぞのアニメか何かで使われていそうな台詞を向ける終夜に背を向け、理一郎は駆け出す。
 対する相手は鷹斗。
 また面倒くさい奴と当たってしまったと眉間に皺を寄せながら、理一郎は彼の前に立ちふさがった。



「・・・・・・・暇だわ」

 一方その頃。
 どうやら完全に忘れられているらしいヒロイン・・・・・撫子は、少々むくれた表情で、かるたの片づけをしていた。

 初めはあのカオスなかるたに巻き込まれず、客観的に様子を観察している立場に満足していたものの、ああも存在を忘れられて遊ばれてしまうとなんだかちょっと寂しいものがある。女の子がついていけない世界で大盛り上がりしている男子組を見ていると、なんだか疎外感を感じてしまう。
 もともと素直な性格ではないので口には出せないが、ちょっとくらい自分も仲間にいれてほしい。

「大体なによ、理一郎だってノリ気じゃなかったくせに結局楽しそうに遊んでるじゃない。裏切り者・・・・・理一郎のバカ・・・・・」

 自分以上にああいうノリには引いた立場を取る理一郎までもが、ああして参加している。ずっと一緒の幼馴染にまでもが自分を忘れて遊びに夢中という事実が、特に撫子を拗ねさせていた。
 八つ当たり(主に理一郎に対する)の言葉をぶつぶつと呟きながら、読み終わった札を片そうとかるたが入っていた箱を開ける。
 そこで予想外に見つけたものに、撫子は目を瞬かせた。



 校庭で繰り広げられるただならぬ様子に、下校中の生徒が遠巻きに足を止める。
 徐々に騒ぎが広まっていく様子をちらりと横目で確認し、理一郎は目の前の鷹斗と視線を合わせた。

「おい、これ、他の先生にバレたら説教くらうんじゃないか」
「うん、傍目ケンカだもんね。特に西園寺くんと円のあたり」
「・・・・・・あれはどう見てもアウトだろ。余計な騒ぎになる前に、とっとと終わらせたらどうだ」
「そう思うなら、理一郎が大人しくそこをどいてくれればいいんだよ。俺が最後の札をとって、それでゲームセットになる。どかないってことは、理一郎だって勝ちたいんでしょ?」
「・・・・・・負けたら負けたで、西園寺あたりがうるさいからだ。オレは別に・・・・・」
「隙あり!」

 理一郎が少し決まり悪そうに視線を逸らした瞬間、不意をついた鷹斗が素早く横に動いて理一郎を抜かす。
 捕まえようと伸びた理一郎の手をするりと交わし、鷹斗がそのまま札めがけて駆ける。


「理一郎を突破したか・・・・・・だがそう易々とはいかぬ。いざ、この時田終夜が相手に・・・・・・」
「!?おい、終夜、よこ・・・・・っ!!」


 気をつけろ、と叫んだ理一郎の言葉むなしく、側面からものすごい勢いで飛んできたサッカーボールが、終夜の頭にクリーンヒットする。
 ものすごく痛そうな音を立てて当たったボールとともに、終夜はそのまま地面に倒れこんだ。

 これにはさすがの鷹斗も足を止め、トラや円も呆然とその光景にくぎ付けになる。
 ボールが当たった瞬間、終夜の手から滑り落ちた持ち札が地面に散乱してしまったせいで、なんだか一種のミステリーにおける殺人現場のような雰囲気が漂っている。てんてんと弾んで、倒れた少年の横からサッカーボールが転がっていく光景は、やたら物悲しい。
 慌てて別の少年が、謝罪の言葉を口にしながら駆け寄ってきた。どうやらサッカー部の居残りをしていたメンバーの一人のようだった。すっぽ抜けたボールが、どうやらたまたま終夜にぶつかったらしい。

「しゅ、終夜・・・・・・大丈夫?」
「殿~~~~~!!今すっごく痛そうな音したけど無事!?生きてる!?」
「央、さすがに死なないと思います。殿さんですし」
「まあ気絶くらいなら、しててもおかしくないんじゃね?」

 CZのメンバーが次々と集まってくるなか、終夜はぴくりとも動かない。
 うつぶせに倒れこんだその姿から表情は見えず、全員がさすがに不安そうな顔になる。


「終夜!!大丈夫!?」


 やや遅れて駆け付けた撫子が、倒れた終夜の横にかがみこむ。恐る恐る終夜の肩に触れる手は震え、表情は少し泣きそうになっている。
 どこか当たり所の悪いところをぶつけたのではないかと心配にかられ、先生を呼びに行くために撫子が立ち上がりかけた時、ぴくりと終夜の手がようやく動いた。

「終夜!!!」
「む・・・・・・?そなた、何故泣きそうな顔をしておる?何か辛いことがあったのか?」

 首をわずかに動かし、終夜は小首を傾げた。サックスブルーの瞳に映った撫子に、彼は儚く綺麗な笑顔を浮かべる。
 ゆっくりと伸ばされた片手が、そっと撫子の頬を撫でた。


「そなたにその様な憂い顔は似合わぬ。私がそなたを守るから・・・・・もう大丈夫だ」
「しゅ、終夜・・・・・・」
「・・・・・・・大丈夫そうだな」
「どこか変なところを打ったようなキラキラっぷりですが、全くいつも通りの殿さんですね」
 

 恥ずかしげもなく恋愛ドラマのワンシーンのような場面を繰り広げる終夜に、CZのメンバーは一様に呆れと安堵の混じった息を吐く。
 頬を赤く染めて慌てて撫子が離れると、全員がそろって終夜に詰め寄った。

「殿~~~~~~よかったあ~~~~~~!!もうっ、本当に心配しちゃったじゃん!!」
「大丈夫、終夜?保健室行った方がいいかな?」
「ったく、ボケっとしてっからだろ」
「うむ、大事ない。死守するよう言われた最後の札も・・・・・ほら、この通り。守り通してみせたぞ!」
「「「「「「あ」」」」」」

 誇らしげに終夜が差し出したその一枚に、場が凍りつく。
 「あ」という文字が書かれた絵札は、かるた勝負の最後の一枚で・・・・・・。


「えーっと、つまり殿が最後の一枚を取っちゃった・・・・・・ってことで、いいの?」
「そういうことだと思います」
「・・・・・・そういや終夜、お前、これ、地面にバラまいたヤツ・・・・・オレが預けた持ち札じゃないのか」
「うむ。私の手札まで落としてしまったようだ。つまり、我らの手札はすべて手元にはないということになるな」
と~き~た~!!!てめえっ、ボケんのも大概にしやがれ!!大差つけられて負けじゃねえか、ふざけんな!!」


 しれっと言い放った終夜に、トラが勢いよく掴みかかる。
 再び混戦の様相を見せてきた状況に、撫子はやれやれと一つ肩を落とした。最後の最後まで一波乱ある組み合わせだとしみじみ思う。どうにも大人しくは終われないらしい。
 ふと視線を感じ、撫子は振り返った。すぐ近くまで来ていた鷹斗が、じーーっと撫子を見つめていた。いや、正しくは・・・・・撫子の手元、を。

「あのさ、撫子・・・・・・・それ・・・・・・」
「え?ああ、なんかね、かるたを先に片づけようとしたら、絵札の一部が先に箱にしまってあったの。どうしてかしらと思って手に取ったところで、終夜が倒れたでしょう?だからそのまま慌てて持ってきちゃったんだけど・・・・・・これ、鷹斗達の持ち札よね?」

 その言葉に、全員がぴたりと動きを止める。
 一斉にCZメンバーの注目を浴び、撫子が焦ったように一歩後ろへ下がった。


「鷹斗達が隠した持ち札は、撫子が取った・・・・・・ってことは」
「最後の一枚を取った時、一番多く札を持っていた方の勝ち・・・・・・だから」
「ふむ、つまりこのかるた勝負、撫子の一人勝ちというわけだな」
「え・・・・・・ええ!?」


 唐突な展開についていけず、撫子は目を白黒させる。
 確かにかるたには、読み手がゲームに参加してはいけないというルールはなかったはずだが、そんな結果でいいのだろうか。

「すごいよ、撫子ちゃん!ゲームに参加してないのに勝っちゃうなんて!」
「・・・・・・予想外のゲーム展開でした。完敗です」
「マジかよ・・・・・・そんなのアリか・・・・・」
「見事な勝利であったな。そなたは軍師の才能があるぞ!」
「う~ん、俺もまさかこんな負け方しちゃうなんて予想外だったよ。でも、君に負けるなら、それでもいいかな!」
「・・・・・・・て、ことらしいぞ。よかったな」
「えええええええええええええええええええええ!!??」

 撫子の困惑の叫びが校庭に響きわたる。
 ・・・・・・こうして、長かったかるた勝負は、まさかの撫子勝利で幕を閉じたのだった。





 放課後、すっかり暗くなりかけた帰り道。
 思い思いに連れだって歩きながら、CZ課題メンバーはそろって下校していた。だいぶ珍しいことだ。数人ずつで一緒に帰ることはわりと多いが、こうやって全員そろっての下校はまずありえない。

「にしても、やっぱ納得いかねえんだけどよ。お嬢はもともとチームに入ってなかっただろ?で、あのかるたはチーム戦なわけだから・・・・・・やっぱ、最後の一枚をゲットしたオレらのチームが勝ちってことだろ。本当だったら」
「見苦しいですよ、トラさん。いつまでも負けたことにこだわるのを、負け犬の遠吠えと言うんだそうです」
「・・・・・・結局てめえとも決着つかなかったしな。なんなら今、ケリつけるか?」
「はいはいはい、ストーップ!!もう、トラくんも円も、もうバトルは終わったんだから仲良くしようよ!!今日の敵は、明日の味方。勝負がついたら、好敵手は親友同士になるものだよ」
「ありえねえ」「断固拒否します」
「こういうのをなんというのだったか・・・・・・そうだ、ケンカするほど仲が良い!だったな」


 相変わらず協調性のないフリーダムな顔ぶれで、ただ一緒に歩いているだけで騒がしいことこの上ないが、なんだか不思議とホッともするのだ。
 思わず小さく笑みをこぼした撫子を、不思議そうな顔で理一郎が振り返る。反対隣に並んだ鷹斗も、同じように撫子を振り返った。

「なんだよ、急に笑って・・・・・・変なやつ」
「ちょっとね。なんかこういうのを見て平和だと思うなんて、ずいぶんと慣れちゃったような気がしておかしくなっただけよ」
「うん、楽しいよね。こうやってみんなでいるのって」
「・・・・・・俺は疲れたけどな。全力で」
「あはは、まあ否定はしないけど・・・・・・・でも、やっぱり楽しくて・・・・・しあわせだなあって、思うよ」

 穏やかな声で笑って、ついと上に向いた鷹斗の視線を追い、撫子も空を見上げる。
 温かなオレンジ色が夜闇と入り混じって紫色に染まっている。黒で塗りつぶされた部分は、ひとつふたつと輝く星が見えた。
 なんとなく、このまま帰るのがもったいなく思えてしまうような、不思議なさみしさが胸に落ちてくる。もう少しだけ、この時間を・・・・・・大事な仲間と一緒にいる時間を、長く感じていたい。もう少しだけ、みんなで遊んでいたい。そんな、離れがたい気持ちが。



「・・・・・・また、みんなで、遊ぼうね」



 そんな気持ちを見透かしたように、鷹斗が笑う。
 次の約束。この愛おしく楽しい時間は、まだ終わらないのだと・・・・・・みんなでこうして過ごせる時間は、ちゃんとあるのだと信じさせてくれる。

 オレを巻き込まない範囲なら付き合ってやる、と理一郎がぶっきらぼうに言い放つ。

 もちろんよ、と撫子も大きく頷き返す。

 その言葉に安心したような顔をした鷹斗の笑顔は・・・・・・いつもより、ずっと、年相応の、子供っぽい笑顔だった。


 騒がしい帰り道。問題児ばかりの課題メンバー。
 平和な時間は流れて・・・・・・まだ、時間は止まらない。





End.





「さてと、話は無事に終わったみたいですが、みなさん、忘れていませんか?これは課題ですよ」

「そう、テスト、です。いつも通り、ちゃんと課題を理解しているのか、確認させてもらいます」

「ああ、大丈夫ですよ。今回は特別課題でしたからね。不正解でも成績には影響しません」

「ただ・・・・・・そうだな、ちゃんと正解したら、ご褒美をあげるとしましょうか」

「それでは、いきますよ?ああ、そうだ。答えはすべてローマ字に直してくださいね」


「第一問 かるたを一番最初にやろうと言った子の名字、わかりますよね?」
 解答:●○○★○

「第二問 海棠くんは、自分のチームの持ち札をどこかに隠していました。さて、それはどこにしまってあったでしょうか?」
 解答:かるたの▲○◆○



「答えがわかったら、当てはまるローマ字を『●★▲◆』の順に並べてみてくださいね。それは、後日アップされる番外編を読むために必要なパスワードです。全問正解なら、番外編を読むことができますから、大事にとっておいてください」

「ちなみに、番外編は未来のみんなとの物語、なんだそうですよ。さて・・・・・何のこと、でしょうね?」

「では、今日の課外授業は終了です。お疲れ様でした。また近いうちに、あなたと会えるのを楽しみにしていますよ。絶対に・・・・・・会いに来て、くださいね」

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