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「QuinRose」
アリスシリーズ

Sweet Sweets For Only U(クローバーの国、グレアリ)

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 クローバーの塔では、時折甘い匂いが漂うようになった。
 焼き立てのおいしそうな、お菓子の匂い。

 ほんのりオレンジ色の物体が発する、お菓子の匂い。



Sweet Sweets For Only U


Alice Side

 オーブンから取り出した物体を、火傷しないように注意しながら皿の上に並べていく。
 焼き立てほかほかのパンは、最近挑戦しているニンジンパン。可愛い可愛いウサギさんの餌付け・・・・・・・・もとい、エリオットへの差し入れとして作っているものだ。
 私が近頃ハマっているもの。それは料理。
 あげる人があげる人なので、最近は特にニンジン系の食べ物を作ることが多い。あそこの家主に見せたら、さぞかし盛大に顔をしかめることだろうが、私はエリオットさえ「おいしい!」と喜んでくれたらそれでいい。
 何かを持っていくたびに、「うまいうまい」と感激しながら明るい笑顔を見せてくれるエリオットを見ていると、こっちまで幸せになれる。元気をもらったような気分になれるし、何よりまた作ってきてあげたいという気持ちにさせてくれる。
 だから最近は、暇があれば料理をしていたりする。

「さて、と。見かけは結構いいけど・・・・・・・・どうかしら?」

 焼き立てのパンの1つを手で割って、あつあつのそれを口に放る。
 ほんのりとした甘さと少しのニンジンの香りがふわりと広がった。何度か咀嚼して飲み込む。うん、前よりは上出来。まだ少しパサパサしているのが気になるけど。

(あとほんの気持ちだけ、水を加えればよかったかしら・・・・・・でも微妙なのよね。逆に小麦粉の量を減らしてみたほうがいいのかも)

 とりあえず一人反省会をしてみる。こうやって料理をするのは意外と楽しかった。誰かが喜んでくれるとわかっているからこそ、それが楽しみで仕方ない。
 ふとあの人の顔が浮かんだ。
 これをあげる、仲のいいニンジン大好きウサギさんじゃない、別の人。
 気がつけば、馬鹿みたいに好きになってしまっていた・・・・・・・・煙草の似合う、男の人。

 ―――彼も、喜んでくれるのかしら。

 手作りなのだと渡したら、あの人も喜んでくれるだろうか。
 うまいよ、と笑ってくれる?


「・・・・・・・・うまそうだな」


 いきなり耳元で聞こえた声に飛び上がりそうになる。
 肩の震えで私を驚かせたことに気がついたのか、声の主は「すまない」と謝ってから体を少し離してくれた。ばくばくする心臓をおさえながら振り返る。

「グレイ・・・・・・・・・・もう、ビックリするじゃない」
「悪かった。驚かせるつもりはなかったんだが・・・・・・・」
「あ、そんなに気にしてないから大丈夫よ。私もつい夢中になってたから」

 驚いたのは急に話しかけられたからというよりも、ちょうど思い浮かべていた本人に声をかけられたからというのが大きい。グレイが気にすることなんてない。
 そう、彼、グレイ=リングマーク。
 クローバーの塔の主であるナイトメアの補佐兼世話役みたいな人であり、気がつけば好きになってしまっていた人。大人の彼と子供の私じゃつりあわないとわかっていても、諦め悪く手を伸ばし・・・・・・・・今では「恋人ごっこ」なんていう遊びに付き合ってもらってまで、彼と「恋人」でいたいなんて願ってしまっている相手。

「どうしたの?グレイがキッチンにくるなんて・・・・・・・あ、もしかしてまたナイトメアが薬飲まないってダダこねるから、食事に混ぜようと・・・・・・・・」
「いや、そうじゃない。いい匂いがしたから、君がいるのかと思って」
「へ?私?」
「そう。最近、料理をよく作っているだろう?だから、ここにいるかと思って・・・・・・・・正解だったみたいだな。会えてよかったよ」
「ふ、ふうん・・・・・・・・・」

 気のない返事を装って、グレイに背を向けた。出来たてのパンを布に包むふりをして、赤くなった顔を見られないように。
 どうしようどうしよう、こんな些細なことで嬉しい、なんて。
 料理をよく作っている、とは言ったって休みの合間にちょこちょこっという感じだ。以前よりは多いかもしれないが、私が料理にハマっていると気づく人はわりと少ないだろう。
 それなのにグレイは気がついてくれた。彼が私を気にしてくれていると自惚れてしまいそうになる。浅ましい、なんて思うのに・・・・・・・どうしようもなく嬉しい。
 グレイが近づく気配がする。
 手元を覗き込まれているのがわかる。
 どうしようもなくドキドキして、意識が全てグレイに集中してしまいそうになるのを何とか堪えて、私はこれでもかというくらいゆっくり、パンを丁寧に袋で包んでバスケットに詰め込んだ。



Gray Side

 丁寧に大切に、彼女の手がパンをバスケットに詰め込んでいく。
 ほんのりとオレンジ色が混じったそれは、甘くて香ばしい匂いを漂わせる。
 そんなに大事そうに扱って、これから行くピクニックはそれほど楽しみなんだろうか。妬けてくる。
 少しだけ、彼女が大事そうにしているパンをめちゃくちゃにしてやりたい気がした。昔の俺なら実行していたかもしれない。が、そんなことをしたら彼女はとても傷つくのがわかっているから・・・・・・・今の俺は、そんなことしない。
 その分、狡いことをする。
 知らないふりをして、何気なく彼女に問いかける。

「今日はパンを作ったのか。いい匂いがするし、うまそうだな」
「え、ええ。ニンジンパン。普通の生地に別のものを混ぜるとやっぱり難しくて、なかなかおいしいものが作れないんだけど・・・・・・・・」
「そんなことない。君は本当に料理が上手なんだな」

 褒めると、彼女はちらりと俺を見た。
 少しだけ赤く染まった頬、照れたようにはにかむ口もと。
 上目遣いの視線が、男を惑わせるということに彼女は全く気がついていない。無防備もここまでくると残酷だ。


「・・・・・・・・・それは、エリオット=マーチにやるのか?」


 確認するまでもなく知っている。彼女が三月ウサギと親しいことくらい。
 事あるごとに、ニンジンを使った菓子を持っていってやるくらいに、気にかけていることくらい、聞くまでもなく知っている。アリスをいつも近くで見ているから。
 彼女は多分、気づいていないんだろうと思う。
 俺がアリスをどれだけ好きかということ。「恋人ごっこ」なんていうものにつけこんでまで、アリスを離したくないという気持ち。
 気づかせてやることだってできる。
 けれどそれをしないのは、ただの俺のワガママ。俺はずるいから、アリスの気持ちを確信できるまでは直接行動に移せない。逃げないように、いつかは俺のところに落ちてくるように、周りを囲むことなんていくらでもするくせに。この手で引き寄せてしまうことに、ためらいを感じる。
 人の本性なんて変わらない。昔の俺はまだ残っている。
 自分から引き寄せようとして、力加減がわからなくて、彼女を壊してしまう。それが情けないことに、怖いと感じる。

「そうよ。エリオットと約束していて・・・・・・・・彼、いつもおいしいおいしいって食べてくれるから作りがいがあるの。おかげですっかりハマっちゃった。餌付けしてる気分」
「餌付け・・・・・・・か。こんなにおいしそうなんだ。三月ウサギもさぞかし君になついているだろうな」
「そんなにおいしくもないと思うんだけどね・・・・・・・まあ、まずくもないと思うけど。よかったらグレイも一口、味見してみる?」

 そう言ってアリスは、味見用のパンを少しちぎって俺の方に向け・・・・・・・・そこで、動きを止めた。
 なんだろうと思うより早く、彼女は不思議そうに首を傾げた。

「・・・・・・・・・・?グレイ、なんかちょっと・・・・・・・・機嫌、悪い?」

 君はいつも鋭い。純粋で真っ直ぐ、確かに少しは汚れているかもしれないけれど・・・・・・・・俺から見れば、全然綺麗に見える、いい子だ。

「機嫌、ね」

 思わず性質の悪い笑みが浮かんだのを感じた。隠そうと思えば、隠せる嫉妬。でも今日は隠さない。
 俺に少なからず気持ちを向けてくれるアリスを意識させるのに、都合のいい態度だと知っているから。自分が想う誰かから執着を向けられることは、誰にだって嬉しいことだろうから。
 まあ、そんなのはただの理由付けで・・・・・・・・本当は、隠す余裕なんかないくらい、彼女が好きなだけかもしれないけれど。


「悪くなるに決まってるだろう?面白くない。恋人の手料理を他の男が食べているなんて・・・・・・・・男だったら、妬くのも当然だろう」


 そしてそのまま、差し出されたパンを、アリスの手ごと引き寄せてパクリと口にする。
 途端に顔を赤くした可愛らしい反応を横目で見て、わざと見せ付けるように指先をちらりと舐めて解放する。今度は驚きではなく肩を震わせたアリスを満足な気持ちで見つめ、そっと抱き寄せた。

「もう作るな、なんて言わないさ。だが、俺が一度も口にしたことがない君の手料理を他の男が先に食べるのはさすがに・・・・・・・・・悔しいんだ」
「グレイ・・・・・・・・」
「だから、今度料理を作る時は、まず俺に食べさせてくれないか?」

 本当は二度と他の男のために作って欲しくなんかないけれど。
 最後に、聞こえるか聞こえないかギリギリの声で囁く。きっとアリスには聞こえたことだろう。わざと、そうした。


「・・・・・・・・・てくれる・・・・・・・?」
「うん?」
「作ったら・・・・・・・・喜んで、くれる・・・・・・・・・?」


 恐る恐る、何かを怖がるように尋ねるアリスは可愛らしい。
 彼女は子供っぽいと嫌がるけれど、俺に甘えてくれる時のアリスは反則的に可愛い。自覚がなくて困りものだ。場所も構わずどうこうしてしまいたくなりそうで、いろいろと理性を試される。


「ああ。君が俺のために作ってくれるのなら、何だって嬉しいよ」


 そう返す言葉に、本当に嬉しそうに・・・・・安堵したように笑う彼女は、俺に騙されている。
 彼女は俺の本音を知らない。どんなに醜く恐ろしいほどの気持ちで、君を捕えてしまおうとしているか知らない。昔の俺だったら、すぐさまに従ってしまっただろうほどの誘惑に満ちた恐ろしい怪物。
 それでいい。アリスは知らないままでいい。
 今の俺はずるいから、アリスの全部が欲しい。笑顔も心も何ひとつ失わず、彼女を手に入れたいから。

 そのためなら、仮初の恋人だろうと構わない。
 それくらい、アリス、君が好きだから。



「じゃあ、今度はグレイに何か作ってあげるわね!何かリクエストある?」
「そうだな・・・・・・・食べたい、ものか・・・・・・・・・急に聞かれると悩むが・・・・・・・・」



 いつか、飛び疲れたらでいい。
 俺のところに落ちてくれることを望んでいる。

 落ちてきたら、もう、離したりしないけれど。





End.
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