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 ←罪愛~Ira~(ジョーカーの国、アリス←エース、ヤンデレ注意) →そのときまで、またね
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「オトメイト系」
CLOCK ZERO

to U (円撫、帰還エンド捏造、to "Someone"の円サイド)

 ←罪愛~Ira~(ジョーカーの国、アリス←エース、ヤンデレ注意) →そのときまで、またね
 悲痛な声が、聞こえる。

 何度も何度も・・・・・・名前を呼ぶ。行かないでと、ひとりにしないでと。


(転送は・・・・・・成功、したみたいですね・・・・・)


 どこか遠くに聞こえる悲しみに満ちた声を耳にして、少し安堵する。
 よかった。無事に彼女は、元の世界に戻れたのだろう。装置を操作させている途中でキングの妨害を受けたから、心配していたのだけれど・・・・・・間に合ったようだ。
 だんだん遠のく意識の向こう、誰かの声だけが耳に残る。
 もみあった時に、まずい感じに頭を打ったのかもしれない。体が動かない。早く逃げなければ、いけないのに。

 これだけのことを、したのだ。
 このまま捕まれば、今度こそ、タダでは済まないだろう。
 最悪、殺されたっておかしくない。あの変なところで甘く、無駄に人を殺したり傷つけたりすることを嫌う王様が相手だからとは言え・・・・・・・さすがに彼女を元の世界に返したぼくを、簡単に許しはしないだろう。

(央は、無事、でしょうか・・・・・・?)

 別にぼくのことはどうでもいい。
 ただ、足止め工作のために囮となっている央が心配だった。央や家族が傷つけられる方が、ぼくには耐えられない。そして最悪なことに、キングはそのことをよくわかっている。
 動けないぼくが、今できることは・・・・・・央がぼくを置いて、さっさと無事に逃げてくれることを祈るのみ、だ。


「撫子、撫子・・・・・・・!!ねえ、もう一度目を覚まして・・・・・・なでしこ・・・・・」


 かなしい声が、やまない。

 ・・・・・・ねえ、キング。
 今のあなたが羨ましいと言ったら、不思議ですかね?


 ぼくもそんな風に、叫びたかった。


 本当は、あなたと同じ言葉を彼女に向けたかったんですよ。
 ぼくだって、そうやって叫びたかった。
 本当は・・・・・・さよならじゃなくて、そばにいてと言いたかった。

 離さない、あなたはぼくの隣にいればいいんですと。
 彼女が決断を下した夜、どれだけその言葉を言いたかっただろう。
 そうやって、引き止めたかっただろう。


 傍にいて、一緒に生きられたら・・・・・その隣に寄り添っていられたらと、願った。

 愛しいと、思った。

 ・・・・・・その手に、触れる資格すらないんだと知っていても。
 ・・・・・・その手を、どうしても離したくなかった。


 でも、彼女が言ったから。
 帰りたいと・・・・・家族の元へ、帰りたいと言ったから。


 いや、きっとそんなのは言いわけだ。
 ぼくは多分、彼女が残りたいと言ったとしても、「帰ってください」と言っただろう。自分の罪滅ぼしのため・・・・・・ただそれだけのため。
 彼女に家族を捨てるなんていう決断、させたくなかった。
 一度、ぼくが奪った「彼女」の未来を・・・・・せめて彼女には、返してあげたかった。本当に、好きになった、人だったから。あの人からは、大切なものを奪ってしまいたくなかった。

 ・・・・・・・嫌になる。本当に、矛盾している。
 そうやって自分でも納得した結末だったというのに、こんな時になって思うことが、どうしようもない後悔だなんて。

 今更だけど、キングの気持ちが少し理解できるかもしれない。彼女がまた目覚めてくれるなら、何を犠牲にしてもいいなんていう気持ち・・・・・・永遠に理解できないものだと、思っていたのに。
 まったく、馬鹿げた話だ。


「・・・・・・・、でしこ・・・さ・・」


 うまく音にできない声で、彼女を呼ぶ。
 不思議と、なんだか胸が温かくなった。

 しあわせで・・・・・かなしい気持ち。

 大事だと思う少女に「本当の」未来を返せてあげたこと。
 もう、名前を呼んでも応えてくれないこと。

 狭まっていく視界の端から零れた冷たいなにかが、つと一筋頬を滑り落ちたような気がした。
 そこでぼくの意識は、完全に途切れた。





 この壊れた世界を、それでも美しいと思うのだと。
 そう言ったのは、確かキングだった。

 青空も見えなくなって、植物も育たなくなってしまった。多くの人が死に、生きる気力はどんどん失われていった。壊れた世界、壊れた幸せ・・・・・壊れた、日常。
 それでも、こんな世界にも。不思議と、空に星は輝くのだ。

「円~~~~~!!新情報ゲットしたよ!!」
「・・・・・・今行きます」

 央の声に振り返り、そちらへと歩き出す。一歩踏み出すたびに聞こえる確かな足音が、自分自身の存在を教えてくれる。

 撫子さんを元の世界へ帰して、数週間。
 ぼくはまだ、この世界で生きている。



 あの日。政府の最深部へと侵入し、撫子さんの人工転生に無事成功したぼくは、そのまま政府に捕らわれ、処分を受けることとなった。
 キングがぼくをどう「処分」するつもりだったのか・・・・・・殺すつもりだったか、「矯正」措置を取るつもりだったのか、それともぼくにまた「罰」を与えてやろうと思っていたのか・・・・・・・今となっては、もうわからない。その処分が下される前に、ぼくは政府から助け出された。央と・・・・・レインさんの手助けによって。

『まさか君がここまでやってくれるなんて、正直予想外でしたよー』

 最後にレインさんと会ったのは、ぼくが央とともに政府から脱出する直前のこと。
 あの人は相変わらずの読めない笑みを浮かべて、能天気にぼくにそう話しかけた。
 どういうつもりか、と問いかけた。あの人はあれで、キングには忠実だ。何の算段もなく、ぼくを逃がす手助けをするだなんて、とても信じられるわけがない。
 けれどその問いかけに返ってきたものは、意味が分からない言葉だった。

『・・・・・・ほんのお礼、ですよ。想像していた展開とちょっと違いましたけど・・・・・結果的に、とてもいい方向に転んでくれましたからー。僕に都合のいい方向に、ね』
『どういう・・・・・・意味、ですか』
『まあまあ、いいじゃないですかー。君も喜んだらどうです?彼女が再びこの世界に戻ってくることはありません。人工転生は、器にも精神にも負荷を与える。連続して同じ意識を転送させるのは、リスクが大きすぎますしねー・・・・・それに器である【彼女】の方も、もともと脳に欠陥がある。これ以上の人工転生は、器そのものをダメにしてしまいますからー。すぐには、【彼女】の中に別の撫子くんの意識を持ってくるなんて、できやしません。キングもそのあたり、ちゃーんと理解してくれてますよー?』

 その時感じた気持ちを、なんと言えばいいのか。
 彼女が再びこの世界に連れてこられることがないことに安堵すると同時に、言いようのない不安を覚えた。レインさんの表情は、なにひとつ終わったとは思っていないように見えて。


『・・・・・・・きっとこれから、別のアプローチで研究を進めていくと思いますよー。キングは諦めたりしない人ですからねー。それに、【彼女】を目覚めさせる方法は、ひとつじゃない』


 ぞっとした。
 あの時の、レインさんの笑顔。
 あんなに嬉しそうに・・・・・・どこか壊れた色を宿して笑う人を、ぼくは他に見たことがない。その時、初めて気が付いた。

 レインさんの瞳の色。
 キングと・・・・・・・・鷹斗さんと、似ている色だと、気が付いてしまった。

『ああ、そうそう。さっき、君を逃がす手伝いをしてあげるのは、ほんのお礼だと言いましたが・・・・・ほんとはね、気休めの罪滅ぼしって言った方が正しいんですよ』

 その後、こちらに背中を向け、思い出したように投げられた言葉の意味を考える時間も余裕もなかった。
 どうしてレインさんがそんなことを言ったのか、ぼくは知らない。


 ―――君にはね、ちょっと幸せになってもらいたいなーって、思ったんですよ。苦しめて、しまったでしょうから。


 飄々とした油断ならない笑顔の裏に、どこか困ったような一面とほんの少しの罪悪感を垣間見せて・・・・・・最後の最後で、どうして彼がそんな風に笑ったのか。
 ぼくには、わからない。



 あれから、ぼくは両親の元へは向かわず、央と一緒に情報屋として動いていた。
 本当は央も危険から遠ざけたかったけれど、央自身に「円を放ってさっさと逃げるような薄情なお兄ちゃんじゃないから!」とかなりきっぱりと押し切られた。
 今は、政府に対抗する手段として、仲間や情報を集めることを主な活動としている。有心会のような活発的なレジスタンス活動ではなく、密かに、けれど確実に、ぼくらの勢力は拡大してきている。

 ぼくは、決めたことがあった。
 【彼女】の体を、政府から奪うこと。

 世界なんてどうでもいい。壊れてしまった世界は今更どうにもならない。それでも生きていかなければならないのだから、体制がどうとかそんなもの気にしていたって仕方がない。ぼくは、家族と一緒に安全に生きられるのならば、どんな世界だろうとそれはそれで構いやしないのだ。
 だけど、【彼女】のことをそのままにしておくのは、気分が悪い。

 あのまま政府の元に【彼女】のことを置いておけば、きっとまた別の【彼女】が連れてこられるかなんなりしてしまう。

 一度は、家族とぼくのエゴのために見捨てた少女。
 世界が壊れるきっかけになった彼女のことが、嫌いだった。
 ぼくは何も悪くない。巻き込まれただけ、家族を守りたかっただけ、家族の傍にいたかっただけ・・・・・何度そう自分に言い聞かせてきただろう。
 それでも眠ったままの少女を目の前にすると、罪悪感のようなもので胸が詰まった。
 ぼくが家族と離ればなれになったことも、世界がこうして壊れてしまったことも、何もかもがぼくのせいだと言われているようで。それが、腹立たしかった。眠っているだけなのに、そこにいるだけなのに。

 ぼくにとって【彼女】は、見たくもない「過去」の罪だった。

 だから撫子さんがこの世界で目を覚ました最初の頃は、それこそ八つ当たりばかりしていた。自覚はあったけれど、止められなかった。
 【彼女】と違ったのは、ちゃんとぼくの言葉に反応を返してくれたこと。
 眠ったまま何も返してくれず、怒りの向ける先がわからなくなっていた頃とは違って、彼女はぼくが八つ当たりをすれば、ものすごい勢いで怒る。理不尽だとなんでそんなこと言われなきゃならないんだと怒って、泣いて・・・・・・だからぼくも、ちょっと気が楽になった。

 胸に巣食っていた罪悪感が、彼女に責められることで薄まった。
 抱えていた怒りが、彼女に八つ当たりすることで楽になれた。


 ・・・・・・・だから。彼女の怒った顔が、好きだった。
 感情をぶつけてくれることに、安心した。

 そして罪悪感とか怒りとか、そういうものが薄まったその先にあったのは。
 彼女を、愛おしいと思う・・・・・・温かい感情。



「・・・・・・・撫子さん・・・・・・・」



 そっと名前を呼ぶ時に、思い出すのはただ一人。

 他の誰かなんていらない。他の【彼女】に、きっとこれほど惹かれたりしない。

 だってぼくが好きだと思ったのは、ぼくに怒ってくれた、あのお節介で優しい人だけだから。

 だから守ろう。壊れた世界で再び眠りについた【彼女】を、誰よりも【彼女】を愛しているだろうキングから奪い去って。

 ・・・・・・・あなたが、再び目覚めないように。

 ぼくの好きな人と同じで、でも違う人・・・・・・そんな人、現れてほしくないから。
 あなたじゃない【あなた】なんて、そんなの嫌だ。




「・・・・・さようなら・・・・・」




 もう、二度と会えない。
 ぼくが愛した、ただひとり。

 人工転生した人間は、記憶が薄れていくという。だからきっと、彼女はぼくのことを忘れるだろう。

 それでいい。

 本当は忘れてほしくなんてないし、ぼくだけが覚えているなんて理不尽だと思うけれど。


 それで撫子さんがいつまでも泣いてばかりいなくてもすむなら、忘れたっていい。


 ぼくが、覚えているから。
 あなたの分まで、覚えているから。
 ・・・・・・この命が終わる時まで、あなたの記憶を抱いて生きていくと約束しよう。


 だから、あなたも約束してください。

 絶対に、死なないで。
 運命に、殺されてしまったりしないで。

 あなたは・・・・・・幸せになって、そしてそっちの世界の「ぼく」くらいは、幸せにしてくださいよ。


 繋ぐ相手のいない片手を、ぎゅっと握る。
 ほんの数週間前まで、手を伸ばせばあった温もり。
 今はもう、誰もいない。

 ・・・・・・・あちらの「ぼく」は、彼女と手を繋いでいられたらいい、と。

 ほんの少し、願いながら。

 ぼくは今日も、この壊れた世界を、歩いていく。





End.



終わった先の、ひとつの未来の可能性。
こんな終わり方があっても、きっとあっていいと思うんです。

ビショップ円に心底生きていてほしいと願ってやまない・・・・!!
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