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「QuinRose」
アリスシリーズ

罪愛~Ira~(ジョーカーの国、アリス←エース、ヤンデレ注意)

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※この話のアリスは、クローバーの国で別の人と恋人同士になり、その記憶を曖昧にしたままジョーカーの国へと移行し、また同じ人と恋人同士になっている・・・・・というややこしい設定です。
 早い話、別の誰か×アリス←エースという感じです。
 苦手な方は、ご注意ください。






 許せないことが、ある。

 灰色の雲、ちらつく白の華。
 その風景に高くそびえる塔をエースは無表情で見つめる。
 クローバーの国にいた時は、何度もアレが時計塔でないことを憎らしく思ったことか。サーカスがやってきて、今はユリウスもあの場にいると知っていても、それでもなお目障りだ。

 なぜ、ここにあるのは時計塔じゃないのか。
 なぜ、残るのはユリウスじゃないのか。

 もうすぐ冬が終わる。サーカスが、ジョーカーの世界が、終わる。
 あの腹黒ピエロと顔を合わせなくなることはありがたいが、終わってしまうことによってまたユリウスと離れてしまうこともわかっている。
 夢の終わりは、もうすぐそこ。
 アリスは気が付いていないみたいだが、このジョーカーの支配する期間が過ぎ去ってしまえば、すべては元に戻る。元のあるべき姿に戻った世界では、時計塔もユリウスも再びエースの前から離れていく。


「・・・・・・許せない、な」


 ぐっと腰に下げた剣の柄を握る。
 無表情だったその顔に、笑みが浮かぶ。仮面のように張り付いた「爽やか」な笑み。ガラス玉のような紅い虚ろな瞳が、奇妙に輝く。
 その姿は、いつもの赤いコートを纏った「騎士」ではない。


「罰を与えないと」


 無造作に取り出した仮面で目元を隠し、エースは歩き出す。
 血臭をしみこませたボロきれのようなマントが、雪と風に煽られてはためく。
 彼は「処刑人」。罰を与えるのが、役割。



罪愛~Ira~



 思い返してみると、アリスと一緒にいる時、エースが感じる感情はいつも気持ちの悪いものだったように思う。
 それはいろんな形をしていて、唐突にエースに襲いかかってくる。
 どこかホンワリと温かくなるようなものだったり、内側の柔らかい部分を斬りつけられたような痛みだったり、暗雲が立ち込めたような重苦しさだったり。

 そしてエース自身にさえよくわからない感情の数々は、いつもアリスに関わることに対して起こった。
 アリスに関わると、エースはいつも気持ちの悪い感情に振り回される。
 それがとても、腹立たしかった。



「・・・・・・俺、君を殺さなきゃってずっと思ってたんだ」



 いつからだろう、あの気持ち悪い感情に気が付いたのは。
 少なくとも、出会ったばかりの頃はそう思っていなかったはず。もっと早い時期にこの気持ち悪さに気が付いていたら、エースは躊躇いなくアリスを殺せていただろう。

 最初の頃は、珍しい余所者だとしか思っていなかった。だってあの人嫌いにも程があるユリウスが、自分の領域に同居することを許していたくらいだ。相当に珍しくて・・・・・・面白い。
 興味があった。ルールに縛られないで生きていられる存在に。
 そうして関わっていくうちに、根暗で卑屈でいつまでもうじうじと迷う一面を知っていった。とてもうざったくて・・・・・・可愛らしい子だと思った。

 ああ、そうだ。その頃くらいだった。
 アリスのことを腹立たしく思うようになったのは。


「でも、君はユリウスが大事に思ってる相手だったから。親友の想い人を殺すなんて、俺にはできないぜ」
「・・・・・・・・私とユリウスは、そんな関係じゃないわ。知っているでしょう?」
「うん、知ってる。君は他に恋人がいるもんな」


 ぐっと心臓の真上に押し当てた剣に、軽く力を込める。
 鋭い剣先が、服を裂き、少し肌を傷つけたのだろう。目の前のアリスが、少し眉を顰めて唇を噛む。

 友人と言って差し支えない男に殺されかけているにも関わらず、アリスは逃げようとしない。
 ・・・・・・いや、正確には逃げられないのだ。この状況で下手に動けば即座に殺されると理解しているのもあるが、物理的に彼女は動けない。アリスの細い両手は、上の方で鎖にしっかりと縛られている。

 スポットライトのあたる、サーカスの舞台。
 観客は誰もいない。

 まるで処刑される罪人のように板に括り付けられた少女に、エース・・・・・・処刑人は、冷酷に剣を突きつける。



「それが、許せないんだよ」



 一気に殺気を増した冷たい声に、アリスが小さく息を飲む。
 逃げ道を失い、断罪されるのを待つだけとなった少女は、体を震わせることしかできない。そんな憐れな姿に、エースは笑みを零した。ほんの少しだけ、胸にくすぶるイラ立ちが消えた気がした。
 
 それでもまだ、許せない。許しちゃいけないことだ。
 信じていたのに。
 アリスは、ユリウスと再会さえしてしまえば、きっとまた昔を望んでくれると。

 ユリウスはアリスを大切に思っていたし、アリスだって元の世界よりもユリウスと一緒の暮らしを望んでこの世界に残ってくれたはずだ。二人が幸せならそれでなんとなく「まあいいか」と思えたし、そこに無理矢理加わっていくのはとても楽しかった。
 ユリウスとアリスが一緒にいさえすれば、エースだって一緒にいられると信じていた。時計塔での生活のように。


 珍しく幸せだと、守りたいとエースが願っていた時間。
 引越しなどというくだらない、けれど絶対のルールによって壊されてしまった時間。


 クローバーの国になったばかりの頃、彼女は確かに苦しんでいた。理不尽な世界に怒り、ユリウスと離されたことを悲しみ、しょっちゅう迷子になっていた。

 それを奪ったのは、あの男。

 ユリウスの大切なものを横から奪い、アリスを変えてしまった。アリスはユリウスに会えないことを悲しまなくなった。時計塔に戻りたいと言わなくなった。
 一番エースにとって許せないし殺してしまいたいのは「あの男」だけど、同じくらいにアリスのことも許せないと思った。ひどく裏切られたような気分になって・・・・・・・そしてそんな気分になったことに、またひどくイライラした。


「もう・・・・・・・・サーカスも終わりだ」
「そう・・・・・・・ね」
「夢も終わりだ。俺さ、サーカスって恩着せがましくて好きじゃないし、ジョーカーさんのことも大嫌いだけど・・・・・・・今回は、ちょっとだけ、楽しいかもって思えたんだ」


 今、ジョーカーの国では、クローバーの国の記憶は曖昧になっている。
 この国はそういうところだ。ジョーカーは大勢を楽しませるために、すべての時間を曖昧にする。役持ちがこのジョーカーの世界に集結していることも、アリスとあの男が恋仲であったことも・・・・すべて曖昧になるのだ。引越しも互いの関係性も、なかったことにされる。

 曖昧になった世界で、隣にユリウスがいるのなら、アリスはユリウスを選ぶだろうと思っていた。そしてユリウスとアリスが幸せになれば、元に戻った時・・・・・・・・全てが戻るような気さえしていた。
 ユリウスとアリスがいて、時計塔がある。
 その風景が戻ると、エースはどこかで期待していた。

 けれどアリスは曖昧にされた記憶の中で、それでも「あの男」を選んだ。
 二度も選ぶわけがないと信じていたにも関わらず。


 終わってしまう。消えてしまう。
 嫌いじゃなかった、あの時間。
 ユリウスもアリスも、エースの傍から離れていく。
 それがとても・・・・・・・・・気持ち悪くて、腹立たしい。



「悪くない時間が消えてしまうなんて、おかしいだろう?そんなのは許されないことだ。罰を与えないと」



 剣を突きつけたまま、エースはアリスの体にするりと手を這わせる。
 途端小さく体を震わせる少女に笑みを零し、のけぞる白い顎に唇をよせた。


「君はずっと罰を望んでいただろう?望みどおりにしてあげる・・・・・君に罰を与えられるのは、俺だけだ」
「な、に言って・・・・・・・・やっ、あ・・・・!」
「裁いてあげる。壊してあげる。俺が・・・・・・・・・・君を」


 消えてしまうなら、捕らえればいい。
 罪人を罰するのが「処刑人」の役割なのだから。
 罰を与え続ける限り、罪人は処刑人から逃れられない。

 胸に湧き上がるイラ立ちのままに、苦しげに喘ぐ憐れな少女にキスをした。
 ああ、本当に腹立たしい。気持ち悪い。
 これじゃあまるで、彼女なしでは生きていけないみたいじゃないか。手に入らないちっぽけな少女を、欲しがっているみたいじゃないか。
 代わりのない存在なんて、欲しくないのに。




「君は俺だけの、囚人だよ」




 捕らえてあげよう。
 俺を苛立たせる、唯一の存在。
 立てなくなるまで壊して、踏みつけて・・・・・・・もう逃げられないよう。



 その身勝手の罪。

 喪失に脅えた男の、哀れな憤怒の感情。





End.
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