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「オトメイト系」
CLOCK ZERO

課題X:昔の遊び体験 前編(小学生組わいわい、時系列やや無視)

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「今日の課題は、『昔の遊びを体験してみよう』です」

 すっかりお馴染みになった課外授業。
 CZメンバーに出された本日の課題は、相変わらずよくわからないものだった。




 抜けるような青空が清々しい。秋もどんどん終わりが見えてきて、すっかり寒くなってはきているものの、それも感じられないほどに空は明るい。


「で、どうしようか。とりあえずサッカーでもする?」
「央がそれでいいと言うのなら、ぼくらはサッカーをするべきです。昔からある遊びというか、どちらかと言うとスポーツの一種であり、今でも十分親しまれているものでもある気がしますが、央がサッカーをしたいというのならそうするのが正解です」
「・・・・・・・・そもそもの時点で、この面子でサッカーとか、まず無理な気もするけどな」


 校庭に集まった面子の中で、真っ先に言葉を発したのは央だった。
 続いていつものように円が央の意見に賛同し、それに疲れた口調で理一郎がツッコミを入れる。そんな光景を「当たり前」と思えるようになるほどに、もうすっかりこのメンバーで一緒にいることにも馴れてきた。
 ・・・・・まあ約一名、本日も姿の見えないメンバーもいるけれど。


「う~ん、今回はいつもと違ってペアで課題をするわけじゃないしね・・・・・・メンバー全員で遊びなさい、って言われちゃったし。どうにかして西園寺くんも見つけて、課題に加わってもらわないと。まだ下校していないみたいだったから、外にいれば多分わかると思うけど・・・・・」
「ふむ、案ずるな。寅之助はあれで恥ずかしがり屋なのだ。皆で遊んでいれば、おのずと自分から仲間にいれてくれとやって来るに違いない」
「終夜、それトラの前では言わない方がいいと思うわ」


 冷静にトラを仲間に引き入れる方法を考えている鷹斗と、どこかズレた発言の終夜。
 本当に不思議な感じ、と撫子は改めて最近ずっと一緒に過ごしている面々を見つめた。

 協調性がないという理由で始まった特別授業も、過ぎてみればすでに数週間。
 初めはとてもうまくいかないだろうと思っていた人たちばかりだったにも関わらず、気が付いてみれば今までのどんな人々よりもずっと仲良くなれた「友達」。
 そのことがなんだかくすぐったくて、そしてそこに当たり前のように加わっている自分が何となく嬉しくて・・・・・・CZメンバー紅一点の撫子は、こっそりと微笑んだ。

「というか、昔の遊びってなんだ。定義が曖昧すぎだろう」
「そうだね。とりあえず、俺達くらいの子はもうやらないけど、昔はよく遊ばれていたもの・・・・・とかでいいんじゃないかな?」
「はいはいはーい!!僕思いついた!!!」

 勢い込んで一番に手を挙げたのは、やはり央だった。
 自信満々にきらきらと輝く目は、とても楽しそうだ。


「やっぱりここは、みんなでヒーローごっことかいいと思うんだよね!!もう僕らの年になると、そういうのってあんまりやらなくなっちゃうじゃない?そういうのってよくないと思うんだよねー、ヒーローに対する憧れはいつまで経っても大切にしないと。悪の魔王が世界侵略を企んでる時に、皆がヒーローの心を忘れてしまっていたら、誰が地球を救うのさ!」
「素晴らしい考えです、央。明らかにアニメの影響を受けすぎていますが、その無駄に暑苦しい正義心はとても央らしいと言えます。小学校高学年になってまでやる遊びではありませんが、央がヒーローごっこをやりたいと言うのなら、僕らは恥を耐えてヒーローになりきるべきです」
「え、なになに僕って暑苦しい正義心持ってるように見える?じゃあ僕ってレッドのポジション似合ってたりするかな。わー、レッドってリーダーポジションかあ~緊張するなあ!」


 ・・・・・いつも思うのだが、央は都合の悪い場所は聞こえていない性質なのだろうか。
 これまたいつものことだが、円は央に完全同意して傾倒しているようにも見えて、本当に央が好きなのかどうか疑問に思うような毒舌を披露する。まあ、央が好きなのは多分間違いないだろうが・・・・・それにしたって、たまに本気でひどい。それに気が付かない央だから、あの兄弟はうまくやれているのかもしれないと、どうでもいいことに納得する。
 まあ、円があくまでも無表情にさらっと毒(のようなもの)を吐いているからというのもありそうな気がするけれど。あそこまで何でもないかのように言われたら、少し注意していないと聞き流してしまうのかもしれない。


「ええ、央こそリーダーにふさわしいです。央以外に戦隊もののリーダーという、大人としては非常に残念でかつ悪目立ちするポジションが似合う人はいないと思います。ちなみに僕はヒーローなんて向いていないので、央を影でこっそり見守るサブキャラAで結構です」
「お前自分だけちゃっかり逃げ道作ったな・・・・・というか、それ以前にな。ヒーローごっこは俺達の年くらいでやらないってだけであって、もっと小さい奴とかはまだ普通にやってる遊びで・・・・・・」
「ふむ、ひーろーとは悪者と戦って世界平和を守る使命を持っているのだったな。なるほど、私に相応しい役柄だ。では私はゴールドをやるとしよう」
「お前も乗るな・・・・・!!」
「ええ~!!殿ずるいよ。ゴールドとブラックとホワイトは、戦隊モノの隠しキャラだよ。ものすごくおいしいポジションなんだから!」
「・・・・・・・はあ」
「あはは、みんな楽しそうだなあ」
「話がまったく進まないけどね」


 見事なまでの脱線っぷりだ。主に央と円と終夜をしゃべらせておくと、本当に話が変な方向に飛んで収集がつかなくなる。
 いちいち律儀にツッコミを入れていた理一郎は早くも疲れた溜息をついているし、このままだと本当にヒーローごっこをやるハメになりそうだ。このメンバーでヒーローごっこというのも、それはそれで疲れそうだ。

「ねえ終夜、終夜は他に案がない?」
「む?私か?」
「ええ。終夜って結構本をよく読んでいるし・・・・・・たとえば前に読んだ本とかで、昔ながらの面白そうな遊びやってる描写があったりとか。そういうのない?」

 話題を変えようと終夜に話しかけると、ぼんやりとした綺麗な目が瞬いた。
 問いかけられて考え込むようにその視線が明後日の方向を向く。ややあって、「うむ!」と一つ手を叩いた終夜は、ひどく誇らしげに口を開いた。



「廓遊びなど、どうだ」



 理一郎が思いっきり咳き込み、鷹斗の動きが止まった。央はハテナマークが見えるほど首を傾げているし、円は無表情なままだ。
 普通の小学生ならまず出てこないし、理解できない言葉だろう。だがここは秋霖学園。由緒正しい家柄や著名人の子女が、通常よりハイレベルな教育を受ける場所であり・・・・・つまりは、約一名を除いて、その言葉も意味も知っていたりするわけで。
 撫子も思わずまじまじと終夜を見つめるが、その純粋な瞳はどこまでもどこまでも澄んでいた・・・・・・。


「む?嫌か?ならば丁半はどうだ。私は賭博はあまり好かぬが、あの場の雰囲気には多少興味が・・・・・・」
「ねえねえ殿~、廓遊びと丁半ってなに?僕、全然わかんないんですけど」
「なんと・・・・・・!!廓遊びを知らないとは・・・・・くっ、世の流れはなんと無常か・・・・・あのような芸術美にあふれた高尚な遊びも忘れ去られてしまうのか。嘆かわしい・・・・・」
「小学生のくせに廓遊びをやりたいとかいうお前が嘆かわしいだろ・・・・・・・っ!!」


 なんとか立ち直ったらしい理一郎が、至極まっとうなツッコミをいれる。
 当の終夜本人は、理不尽だという顔をして少し拗ねているけれど・・・・・・・撫子も、どちらかと言うと理一郎のツッコミに賛同した。

「央は花魁さんって聞いたことない?テレビとかでたまにあるじゃない。綺麗な着物きた女の人が、男の人のお酌したり、舞を踊ったり三味線弾いたりしているとこ・・・・・・あれが、廓遊び。江戸時代とかの話だけどね」
「うむ。廓遊びは大人の男の嗜みだそうだ。特に名高い吉原遊郭の花魁ともなれば、茶道華道書道はもちろん和歌や琴、三味線などのあらゆる芸事に優れ、簡単に客に肌を許しはしない代わりに馴染みともなればそれ相応の誠意をもって尽くし、気高い意地をもって頂点に君臨していた。最高位の花魁を呼び出しできるほどの懐の大きさを示すことこそ、当時の男の格というものをだな・・・・・」
「あ、ちなみに丁半っていうのは、サイコロと小さい篭を使う賭博の一種だよ。任侠ものとかでこっちは有名かな。サイコロを二つ、壺って呼ばれる篭の中に入れて振って、床の上に置くんだ。で、その中のサイコロの目の合計が偶数か奇数かを当てるゲームだよ」

 廓遊びの醍醐味を語り始めた終夜を綺麗にスルーして、鷹斗が央に丁半の説明をする。
 撫子も時代劇かなにかでちらっと見たことがあるから雰囲気だけは知っていたが、やりたいかと聞かれると首をかしげたくなる。どうにも怖い印象があるというか・・・・・それこそ、やのつく自由業の方が好きそうな遊びで、できたら遠慮したいところだ。


「へえ、面白そうだね!」
「央がそういうのなら、丁半も面白いのかもしれません。ぼくは賭け事なんてこれっぽっちも興味ありませんが」
「・・・・・・お前らな、丁半って賭博だろ。金かけるんだぞ?」
「お金かけなければ大丈夫なんじゃないかな。俺はいいと思うけど。ちょっと面白そうだし」
「だからって子供がやるようなもんじゃないだろ・・・・・!!賭博とか女遊びとか、もう少し可愛げのある遊びを考えろ」
「失敬な。廓遊びはただの女遊びなどでは・・・・・・」
「とにかくっ!!もう少し健全な案を出せ、健全な!!終夜のは【昔の遊び】じゃなくて、【大人の遊び】だ!!」


 ・・・・・・ごめん、理一郎。話を振る相手を間違えたかもしれないわ。
 ひとりツッコミ役に徹している幼馴染に心の中で頭を下げる。きっと終夜が最近読んだ本は、江戸時代あたりが舞台になった話だったに違いない。確かに昔の遊びではあるかもしれないが、時代が少々ずれていた。

「そう言うりったんさんは、何か案があるんですか?」
「は?」
「央の素晴らしい提案を否定するのです。それだけの価値がある代案を持っているのですか、と聞いています」

 円の唐突な、けれど妙に説得力のあるパスに、理一郎が言葉に詰まる。
 まあ人の案を否定するならまず自分の案を言ってみろという気持ちはわからなくもないが、理一郎には少しこの質問は難しかったかもしれない。どちらかと言うと理一郎は子供の頃からインドア派な性格をしていたから、大勢でわいわい遊ぶようなものとは縁遠いのだ。
 ・・・・・・・それでも、終夜あたりよりはもう少しまともな提案はできそうだけれど。


「そう、だな・・・・・・・かるたとか、最近の子供はやらないんじゃないか?」
「なんていうか・・・・りったん、地味なところいくね」
「地味ですね」
「俺はいい案だと思うけどなあ。かるたって結構やってると楽しいし。地味だけど」
「おまえら・・・・・・!!」


 悪くない案ではあるのだが、どこか生暖かい反応が周囲から返される。理一郎の額に微妙に青筋が見えるのは、気のせいじゃないかもしれない。
 ただ、終夜だけはどこか嬉しそうに理一郎の提案に頷いていた。

「かるたか、それもよいな!だが私は、どちらかというと百人一首や花札の方が・・・・・・」
「ダメです。央が確実についていけなくなり、負けてしまいます。央が負けるなど許されないことです」
「え、なになに?百人一首・・・・・って、なにそれ?」

 やっぱり終夜の「昔」は世間一般よりズレているのかもしれない。
 百人一首は確か和歌の上の句と下の句を覚えていなければ勝負にならなかったと思うが、今から覚えようとすると結構キツいだろう。覚える時間さえあれば、まあ面白そうな遊びではあるけれど。

「・・・・・・そんなことより円、お前こそどうなんだ。人に聞く前に、お前も何か案出せ」
「ぼくは央のやりたいことでいいです。央が決めたことなら何も文句はありません」
「ええっと・・・・・ねえ円、とりあえず案だけでも出してくれないかしら?やるかやらないかは後で決めるとして、今まで出てない案以外でなにか・・・・・円が昔やったことある遊びとか、なんでもいいから」

 予想通りの返事に、思わず撫子も口を挟む。
 円がじっと撫子の方に視線をやる。一応考えてくれようとしているのか、しばらく黙りこみ・・・・・・そのまま不意に視線を外して、ぼそりと呟いた。


「・・・・・・・あやとり」
「え?」
「あやとりを、昔やったことがあります。初めはちっともうまくできませんでしたが、そのうちいろいろな形を作れるようになってきて・・・・・・それが少し、楽しかった、です」
「ああ!そういえば昔、家族みんなでやったよね~。あれ、数人でもやれたりするから、意外と面白くてさ!」


 明るく思い出を語る央に、少しだけ円が嬉しそうに口元を緩める。
 きっと、円にとってあやとりは、家族との思い出も詰まった懐かしい「昔の遊び」なんだろう。どこか胸がほんわりと和んだ気持ちになって、撫子もつられて「面白そうかもね」と頷いた。

「・・・・・・人のこと地味だって言えた義理か、それ」
「あやとりか・・・・・・私は好かぬ。あれをやるとなぜか絡まるのだ」

 ・・・・・・・折角のじんわりとした空気を見事にぶち壊し、別方向から冷静なツッコミとズレた回答が返ってくる。
 円が少し不機嫌そうな顔で、じろりと理一郎の方を睨んだ。


「あやとりを馬鹿にしないでください。あやとりは高尚な手遊びです。かるたとは違うんです」
「誰も馬鹿にしてないだろう。ていうかオレも別にかるたやりたいわけじゃないし・・・・・・」
「あなたのかるたへの愛はその程度なのですね。ではぼくは絶対に負けるわけにはいきません。ぼくのあやとりへの想いは家族への想いも含まれています。りったんさんには負けません」
「人の話を聞け、頼むから」
「円・・・・・・!!そんなにも家族のことを・・・・・お兄ちゃん、すっごく嬉しいよ!!」
「・・・・・・・おい撫子、お前がツッコんでやれ。俺はもう心底疲れた。むしろ帰りたい、帰らせてくれ」
「ちょ、ちょっと待ってよ理一郎。落ち着いて!鷹斗も黙ってないでなにか・・・・・あら?」


 本当に帰ろうとする理一郎を慌てて押しとどめ、フォロー役の鷹斗を振り返る。が、そこに見慣れた姿はどこにもなく、撫子はきょろきょろと辺りを見渡した。

「ねえ、鷹斗は?」
「あれ?そういえばいないね~、ちょっと前までそこにいたはずだけど・・・・・・」
「・・・・・・あいつ、逃げたか?」
「鷹斗に限ってそれはないわよ。一言くらい声かけていくはずだもの」
「うん?おお、いたぞ。あそこだ」

 終夜の指差す先に全員の視線が集まる。
 ちょうど校門付近から鷹斗が「ごめんごめん」と笑いながら戻ってくるところだった。そしてその後ろをものすごく不本意そうな顔で歩いてくる赤髪は、とても見覚えのある人物で・・・・・・


「あー、トラくんだ!来てくれたんだ!」
「ちょうど通りかかった西園寺くんを見つけたから。今を逃したら、チャンスないかなって思ってさ・・・・黙っていなくなって、ごめんね」
「ううん。それはいいけど・・・・・・・よくトラを連れてきたわね」


 思わずまじまじとトラと鷹斗を見比べてしまう。
 あれだけ課題はほぼ完全にボイコット、何度声をかけたところで課題に参加するまで至らないと言うのに。よくもまあ、鷹斗ひとりでトラを連れてこられたものだ。

「・・・・・・・海棠にハメられてな。付き合うまで帰れそうにねえから、仕方なくだ」
「ハメられた?」
「あはは、やだなあ。俺はちょっとお願いしただけだよ?」

 どこまでも爽やかな笑顔に、トラは腹立たしげに舌打ちする。
 ・・・・・・・鷹斗が何をやったのか気にはなったけれど、触れると怖そうなのでとりあえず聞かないでおくことにする。藪蛇になってしまいそうだ。

「え、ええっと・・・・・それでね、私たち今、課題をやろうとしてるんだけど、その課題が【昔の遊びを体験してみよう】っていうやつなのよ」
「昔の遊び、だあ?んなもん、ゲームとかでいいんじゃねーの?」
「それは昔じゃなくて、今の遊びでしょ?もうちょっとこう・・・・・私たちくらいの世代はやらないけど、一昔前にはやった遊びとか」
「一昔前のやつ、な。それくらいならいいRPGがあるぜ。逆にちょっと昔くらいのヤツの方が、名作多いしな。システム古いわロード遅いわでイラつくし、絵がチープだったりするけどよ・・・・・・あのドットキャラが逆に味があるっつーか」
「とりあえずテレビゲーム以外でお願いするわ」

 理一郎の代わりにツッコミを返す。
 ・・・・・・・忘れていた、トラはゲーマーだった。よく行く場所がゲーセンだと言うくらいだし、「ゲームをしたことがないなんて、人生の8割損している」は彼の言だったか。


「ゲーム以外だあ?面倒くせえな・・・・・・ゲームない時代の遊びとか、マジ想像つかねえ。つまんねえだろ。その頃生きてたやつらに同情するぜ」
「なかったらなかったで、別の楽しい遊びがあったんじゃないの?それを考えてるのよ」
「ふ~ん?・・・・・・ああ、そういや、うちのじじいから昔教えてもらったやつがあったな。あれは意外と面白かったぜ。ベーゴマとかメンコとか・・・・・」
「ベーゴマ・・・・・はなんとなく聞いたことあるけど、メンコって?」
「あ?なんだよ知らねえのか。メンコっつーのは、カードみたいなもんを地面にたたきつけて、相手のカードをひっくり返すんだよ。引っくり返せたら、相手のカードを奪えるっていうルールでな。ベーゴマは鉄のちっちゃなコマに糸を巻いて・・・・・」
「なんというか・・・・・・正しい昭和の子供の遊びだな」


 一番まともな「昔の遊び」がトラの口から出てくるとは思わず、目を瞬かせる。確かに今のところ出た案の中では、一番課題の趣旨にもしっくりくるものかもしれない。
 わからない遊びを実際にやってみるのは難しいとも思っていたが、トラはルールもよく知っていそうだし、教えてもらいながらであれば皆でできるのではないだろうか。

「はいはいはーい!!僕、それやってみたい。もう課題もそれでいいんじゃないかな?」
「あ?やってみたいつったって・・・・・ベーゴマもメンコもねえぞ?随分前になくしちまったし、今時そうそう簡単に手に入るもんじゃねえだろ」
「えええ~~~折角いい案だと思ったのになあ。ねえねえトラくん、他に何かないの?昔の遊びで、すぐにみんなでできそうなやつ!」
「つってもなあ・・・・・・ああ、アレならすぐ用意できるぜ。確か蔵のあたりに適当にしまって、そのままにしといたから数もあるはずだし・・・・・・」
「アレって?」

 尋ねると、にやりとトラが不敵に笑う。
 妙に楽しそうな金の目が光った。

「四駆」
「え?」
「一昔前に流行ってたらしいぜ、ミニ四駆。オレがちょうどハマってた時期には、ブーム過ぎてたんだけどよ。結構いいぜ?コースに合わせていろいろ考えながら改造できっからな。自分でカスタマイズした四駆で対戦相手をぶっつぶすとマジで爽快だぜ」
「へ、へえ・・・・・・」

 残念ながら、イマイチ共感しにくい感覚だ。改造とか言われてもピンとこない。
 やっぱり男の子はそういうものが好きなのだろうか。トラの趣味はゲーム以外にも、機械いじりだったとか確か聞いた気もする。


「ま、お前らじゃオレの相手にもならねーだろうけどな」
「・・・・・聞き捨てなりません。他の人はともかく、央があなたに負けるなどとあってはならないことです」
「え、僕?」
「ほお~・・・・・?なんだよ英弟、オレにケンカ売ろうってか」


 挑発的な言葉にカチンときたのか、円がすいっとトラの前に立つ。
 唐突に話を振られて目を丸くする央を他所に、二人は火花を散らしあう。なぜだろう、この二人・・・・・どういうわけか、前から異常に相性が悪い。

「お前の兄貴が四駆でオレに勝てるって?おもしれえじゃねえか・・・・・・やるか?」
「受けて立ちます。央があなたに負けるはずがありません」
「ええっと・・・・・円~?僕、ミニ四駆とかやったことないし、改造とかさっぱりなんですけど・・・・・」
「心配無用です。央のマシンはぼくが改造します。誰にも負けない最強のマシンを生み出してみせます。改造ならぼくだって負けません」
「・・・・・・・それ、もはや西園寺と円の勝負って言わないか」

 理一郎が呟いたツッコミは、睨みあう二人には届かなかったようだ。
 ミニ四駆勝負より早く本気のバトルに発展してしまいそうで、少しハラハラする。ケンカ常習者なトラと合気道の達人な円が殴り合いなんかしたら・・・・・・大変なことになるのは想像するまでもない。


「ふむ。これがいわゆる【ガチンコ勝負】というものか。男と男は拳で語りあい、そして夕焼けの河原をバックに熱い友情の握手を交わすのだな。男たるもの、決して止めてはいけない戦いがある・・・・・!!」
「殴り合いじゃなくて、ミニ四駆勝負だけどね。でもそれも面白そうかなあ・・・・・改造か。どれくらいならやっても大丈夫かな?俺、ちょっとやってみたいことがあって・・・・・」
「終夜、鷹斗!!のほほんとしてる場合じゃないでしょ、あれ止めないと!」


 まったく緊張感のない言葉を交わす二人に声をかける。
 こちらの必死さが少し伝わったのかわからないが、鷹斗が「そうだね」と一つ頷く。だいじょうぶだと言うように撫子に笑いかけ、鷹斗は危険なオーラ漂う円とトラへと向かっていった。

「はい、二人ともそこまで。とりあえず今は何をやるかの案だけ出してるからさ。ケンカは、課題を何するかちゃんと決めてからにしとこうよ」
「・・・・・・・邪魔すんな、海棠」
「ダメだよ。君たちがそうやってると、彼女が不安そうな顔をするんだ。あんまり女の子を困らせちゃダメだよ・・・・・・ね?」

 優しく爽やかに・・・・・・けれどどこか有無を言わせない鷹斗の仲裁に、トラは舌打ちをひとつ零して視線を外す。円も黙ってトラから離れ、張りつめた空気は霧散した。
 さすが鷹斗、と撫子はすっかり感心して息をついた。あの二人をあそこまで事を荒立てずに丸め込んでしまうのは、きっと鷹斗くらいだろう。他の人ならきっともう一波乱くらいあったに違いない。


「あ、それでね。俺も考えたんだけど・・・・・・昔の遊び。缶蹴りなんてどうかな?」
「缶蹴り?」
「うん、そう。前にドラマで見たことがあるんだけどさ、楽しそうだなーって。絶対にCZのみんなでやったら、すごくいい思い出ができると思うんだ」


 なるほど、定番だ。無駄に青春っぽくはあるが、確かに課題の趣旨には沿っている。
 必要な道具もせいぜい空き缶くらいだろうし、簡単に遊べるだろう。

「おお、まさに青春の一ページ、というやつだな。お決まりの青春ものの大半には缶蹴りを皆でやるシーンが描かれるというが、まさにそれを体現しようという話か。心得た。私も皆とであれば、喜んで青春の汗を流そう」
「・・・・・・・・オレは全力で遠慮したいけどな。なんだその青春とかいうかゆいキーワードは」
「撫子は?」
「え、まあ私も別にいいかと思うけど・・・・・・」
「そうじゃなくて、撫子の意見。まだ聞いてないからさ。なにかいい案ない?」

 鷹斗に問われ、少し考え込む。確かに今まで出た案はどれも比較的男の子拠りの遊びだ。女だからと言って撫子が遊べないわけではないだろうが、それでも結構体力的には疲れそうな気がするし、興味もちょっとずれている。
 ・・・・・・このメンバー全員で遊ぼうとしている時点ですでに疲れるというのは、また別問題だ。


「やっぱり女の子だし、昔はままごととか人形遊びとかやったりしてた?」
「そうねえ・・・・・・ままごとは、結構やってたかもしれないわ。理一郎と理一郎のお姉さんと、ままごとをして遊んだのを覚えてるわ」
「おい」


 余計なこと言うなとばかりに理一郎からにらまれ、少しムッとする。
 確かに理一郎からすれば恥ずかしい記憶かもしれないけれど、こちらとしては懐かしい思い出なのだ。そう邪険にしないでほしい。

「へ~~~~~?加納、ままごとに付き合ってたのか。お前そういうの断固として嫌がりそうなのにな」
「やっぱりあれかな。りったんがお父さんで、撫子ちゃんがお母さん役?『おかえりなさい、あなた♪』とかやってもらったりしたの?」
「甘酸っぱいですね。まさに幼馴染の役得です」
「え~、理一郎いいなあ。俺もままごとでいいから、彼女の旦那さん役やってみたいよ」
「・・・・・・帰る」
「ああ、待ってよりったん!まだ課題片づけてないんだから、帰ったらダメだって!」
「ままごと、とはアレであろう。夕ご飯という名目で泥団子を出され、それとわかっていても笑顔で食し、偽りの幸せな家庭を演じなければならぬ夫の愛憎渦巻く私生活の一部を演じ、将来の世知辛い結婚生活というものを体験させるという・・・・・とても教育的な遊びだと聞いたぞ。理一郎、そなた幼い頃からそのような・・・・・」
「・・・・・・・時田、お前、それ昼ドラの影響受けすぎだろ」
「む?だが、子供の頃の情操教育というのは必要だぞ。好きな女子と冷え切った結婚生活を擬似的に体験し、その辛さを幼い頃から体験しておくことによって、実際に結婚へと至ってそのような場合に陥った時のだな・・・・・」
「帰る」


 いよいよ本気の本気で帰りそうになった理一郎を、央と鷹斗ががっしりと捕まえる。
 ・・・・・・これはいい加減に何をやるか決めなければ、課題を達成することは難しいだろう。

 さてどうしようかと、撫子はしばらく思案して・・・・・・彼女が一番やってみたいと思った遊びを、口にした。





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個人的にはC(カルタ)とF(缶けり)を推します。
特に缶けりはなんだかんだでわいわいやって楽しそうだと思います。

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