スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←祭にいってきた!! →罪愛~Invidia~(クローバーの国、ボリアリ、ヤンデレ注意)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【祭にいってきた!!】へ
  • 【罪愛~Invidia~(クローバーの国、ボリアリ、ヤンデレ注意)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「QuinRose」
アリスシリーズ

罪愛~Superbia~(ブラアリ、ヤンデレ注意)

 ←祭にいってきた!! →罪愛~Invidia~(クローバーの国、ボリアリ、ヤンデレ注意)
 体中をかけめぐる熱と感覚に侵され、曖昧となっていく意識の中、少女は自分を組み敷く男の嗤いを見る。
 ねっとりとした濃厚な空気と終わりのない遊戯の合間。どこか遠くて近く聞こえる声が、少女の耳元を掠める。

 君は私のものだ、と。

 それが当然であるかのような言葉。疑ってもいない事実を話すかのように。
 少女はただ、唇をぐっと噛み締めて、涙を零して睨みつけた。



罪愛~Superbia~



 走る、走る、走る。
 裸足の足は下草や小石でボロボロになり、纏った上質の薄い白のワンピースはあちこち破けて汚れていた。剥き出しの両手には、壁を乗り越えたり森の藪を突っ切った時にできた擦傷が血を滲ませている。
 ずっと全力疾走で駆けてきたアリスは、自分の体の限界を感じながら、それでも足を休ませることはない。呼吸はすっかりあがり、視界が薄っすら滲む。手足は鉛でも乗せられたかのようで、もっと早くと頭で急かしてもうまく動いてくれない。ぜえぜえと零す自分の呼吸と早い鼓動だけが、すべての音のように思える。

(血の、味がする・・・・・・・)

 じんわりと口に広がる鉄の味を噛み締め、必死に足を動かす。走っている時に血の味を感じるのは、酸欠で毛細血管が切れて、そういうことになるからだっけと場違いな考えが脳裏をよぎる。
 いつかどこかの本で読んだ知識、あれは確か彼が貸してくれた本だった。同じ部屋で時間を共有していた時のことを思い出し、アリスは無意識に口元を歪めた。あの部屋で静かに読書をしていた時間が、やたらと遠い。

 幸せで穏やかな時間も確かにあった。
 いつからだろう。それが変わったのは。
 いつからだろう。逃げ出したいと、思ったのは。


「っう・・・・・!?」


 乾いたひとつの音と、重い右足に走った強烈な痛み。
 どちらを先に感じたのかもわからないまま、アリスの細い体は地面に倒れこんだ。
 森の湿った下草と土が、美しいドレスと白く傷ついた柔肌を汚す。悠々と後ろから近づいてくる足音に、呼吸困難となった体がなおも逃げようと足掻いたが、指先がわずかに地面を引っかいただけで終わった。

 心臓が鼓動を打つたび、右足の痛みも体全身に伝わる。
 熱くて痛くて、悲鳴をあげてしまいたくなる。
 けれどアリスは奥歯で悲鳴を噛み殺し、零れそうになった涙を押し留めた。震える腕をなんとか持ち上げ、こちらの反応を楽しむように向けられる視線から逃れようと試みる。あざ笑うかのようにゆっくりと大きくなってきた足音が、不意にぴたりと止まった。


「さて、お嬢さん。今回の鬼ごっこも私の勝ち、ということで異存ないな?」


 無理矢理に顎を引き上げられ、見上げた先には残虐な笑顔。
 そんな顔をしていると、マフィアのボスというのも納得できるものだ。ブラッドは「支配者」と呼ぶに相応しい、悪人らしい表情を浮かべていた。
 地面に伏したまま、抵抗をする力もすでに残っていない獲物をいたぶることが楽しいとでも言うのだろうか。
 捕食者の瞳を真っ直ぐにアリスは睨みつける。それだけが、彼女に残された唯一の自尊心だった。

「やれやれ。またこんなに傷を作ったのか・・・・・・お転婆すぎるというのも考えものだな。私が自分のものに傷をつけられるのは嫌いだということは、十分すぎるくらいに教えたと思っていたが・・・・・・まだ足りなかったのかな?」
「よくっ・・・・・言う・・・・・・!!」

 意味深に傷ついた肌へと這わせられた指先に、別の意味で呼吸があがりそうになるのを隠しながら、途切れ途切れの言葉を吐き出す。

 自分だって、撃ったじゃない。
 傷つけたくないとか言いながら、躊躇いもせず銃口を向けて撃ったくせに。

 荒い呼吸に阻まれて言葉にできなかった部分を正確に読みとったのだろう。
 ブラッドの口元が、にんまりと上がった。


「私が私のものを傷つけるのはいいんだ。だが、それ以外のものは・・・・・・例え君自身であれ、傷つけることは許さない。それに、当ててはいないさ。掠めただけだ。安心しなさい、跡が残るような怪我じゃない」
「じゅうぶん・・・・・・・いたい、わよっ・・・・・・・!!」
「当たっていたら、もっと痛かった。むしろ感謝してほしいくらいだな。本当に当ててもよかったんだ。君が逃げる足を失えば、このくだらないゲームも終わるだろう?」


 その足を潰すことくらい、造作はないのだとさらりと言ってみせる。きっとそれは脅しでもなんでもなくて、事実だとアリスは知っていた。ブラッドが本気になれば、アリスは絶対に逃げられない。
 今、こうしてわずかばかりでも逃げ出せているのは、これがブラッドにとってのゲームだからだ。

 アリスとの追いかけっこ。
 わざと逃がして・・・・・・・最後はどんな手段を使ってでも、捕まえる。

 アリスが逃げ切れたら、このゲームはアリスの勝ち。
 捕まったなら、ブラッドの勝ち。
 悪趣味で、性格の悪いゲームだ。ブラッドは、最初から勝つことを確信してこのゲームに参加しているのだから。


 足が痛む。


 掠っただけだと言うが、銃で撃たれた傷は普通に怪我をするよりずっと痛い。
 撃たれたというパニックとひりひりと熱を持つ痛みに、心が折れてしまいそうになる。

 アリスの視線が泣きそうに揺らいだのを見過ごさず、ブラッドがゆっくりと顔を近づける。
 慈しむように瞼に触れた唇を振り払う力すら、アリスには残っていない。
 この優しいキスが、どんなに激しくキスをされるよりもずっと恐ろしい。アリスを見つめる翡翠色は、狂気を宿して揺らめいている。



「安心しなさい、アリス。たかがゲームに本気にはならないさ。まだ、君の逃走する術を奪ってしまったりはしない・・・・・・・・どんなにもがこうと、君が私のものであるという事実は変わらないのだから」



 するりと顎を撫でる手に、アリスは小さく背中を震わせた。
 いつからだろう、逃げたいと思うようになったのは。
 ・・・・・・・・・いつからだろう。捕まえられることに、どこか喜びを感じるようになってしまったのは。


(こわい)


 傷つけることを躊躇わないほどに、執着を向けてくるブラッドが。
 その執着を求めて壊れていく、自分自身が。

 動かない体を力強く引き寄せられ、首元に噛みつくように跡を残される。
 それが鬼ごっこの終わりを示すサイン。
 これから屋敷に連れ戻されて、何をされるかを連想させてしまうような・・・・・・乱暴で艶めかしい行為。

 赤く咲いた華に、ゆっくりと舌が這わされる。腰のあたりから震えが走り、背筋が仰け反った。
 艶を含んで零れ落ちた吐息に、男は満足げに嗤う。



「堕ちておいで。私は君に、永遠の服従を望むとしよう」



 その誘惑に乗ることは、きっと容易い。楽にもなれるのだろう。
 それでも、自信に満ち溢れた言葉に従うのが嫌で、アリスはやはり言葉もなくブラッドを睨みつける。
 媚びることだけはしたくない。ブラッドなしで生きていけなくなってしまったら、その時点でアリスは自分を捨てることになる。

 壊れていく自分の中で、唯一それに縋り付くしか、少女は「アリス」でいられない。
 どちらかが折れるまで、この狂気のゲームは終わらない。



 互いの罪。

 それは、自尊心という名の傲慢さ。





End.
関連記事
スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ 3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ 3kaku_s_L.png リジェ系
総もくじ 3kaku_s_L.png お題もの
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
総もくじ  3kaku_s_L.png ネオロマ
総もくじ  3kaku_s_L.png QuinRose
総もくじ  3kaku_s_L.png オトメイト系
総もくじ  3kaku_s_L.png リジェ系
もくじ  3kaku_s_L.png その他
総もくじ  3kaku_s_L.png お題もの
  • 【祭にいってきた!!】へ
  • 【罪愛~Invidia~(クローバーの国、ボリアリ、ヤンデレ注意)】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【祭にいってきた!!】へ
  • 【罪愛~Invidia~(クローバーの国、ボリアリ、ヤンデレ注意)】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。