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「オトメイト系」
CLOCK ZERO

bell the tiger(寅撫、帰還End後)

 ←長期休暇最終日 →意外と苦戦
 軋むような音を立てたのは、片手に握った携帯だったかそれともオレの理性だったか。
 睨みつける視線をそのままに一歩踏み出せば、短い悲鳴のようなものをあげて男が少し後ずさる。それでも隣で支える奴をどうにか庇おうとしているところは、男としてはまあ褒めてやっていい。

 ・・・・・・その背中に庇った女が、アイツじゃなけりゃ、こんなにムカつきはしなかった。

「・・・・・・・・おい」
「なっ、な・・・・・なんだよ・・・・・!?」
「手、離せ」

 舌打ちしてやりたい気持ちをそのまま声に乗せれば、男の顔がさらに青くなる。
 すっかり暗い闇の中、街灯の明かりに照らされた顔に見覚えはない。いかにもインテリ風な優男・・・・・・撫子と同じ大学の奴だろう。
 珍しくアイツが大学のゼミの飲み会に参加することになったとか言ってきた時から嫌な予感はしていたが、案の定だ。ちらりと男の肩にもたれかかるようにして支えられている撫子に目をやる。足元がおぼつかなくなるほど飲むなんて、いつもの撫子らしくない。
 酒に弱いのは知ってる。本人にも自覚があるから、外ではあまり飲まないようにしていたことも知ってる。
 だけど今の撫子は、明らかに酔っている。わずかに俯いた顔は赤く、気だるげに伏せられた瞳は俺を見ない。


(・・・・・・・オレを見ろよ)


 じりりと焦げ付くような怒りが、胸にくすぶる。
 なんでこんなに近くにいるのに、オレに気づかないんだよ。
 なんで、いつまでもオレ以外の男に抱かれてやがる。


「聞こえなかったか?手ぇ離せ、っつってんだよ」


 右手で男の胸倉を掴みあげ、左手で乱暴に撫子を抱き寄せる。
 男の顔に恐怖が浮かぶのと対照に、自分の口元がつり上がるのがわかった。
 前よりは穏やかになった、と口々に他の奴らは言うけれど、本性なんてそんなもん、簡単に変わるわけがない。オレはオレだ。切れたら、見境がなくなって、何もかもを壊したい気持ちになるのは、なんも変わってない。
 月を背後に、青と金の色違いの目が光る。そんな光景を、相手の瞳の中に見た。

「ん・・・・・・?トラ・・・・・?」

 ふと引き寄せた温もりが身じろぎして、オレの名を呼ぶ。
 手加減なしに引っ張ったことで、少し意識がハッキリしたらしい。無防備に首を傾げ、撫子がぼんやりとオレを仰ぎ見た。
 状況を把握しようとしているのか、何度もオレと相手の男を見つめ・・・・・やがて胸倉を掴みあげるオレの手の辺りで、視線が止まる。ゆっくりと寄っていく眉根には、嫌というほど見覚えがある。これは、撫子が説教モードに入る時の癖だ。
 酔っているせいか、やや座った眸がオレを真っ直ぐに捕えた。

「トラ・・・・・・暴力はダメ、っていつも・・・・・」
「黙ってろ、撫子。あとで言い訳は聞いてやるから、とりあえずコイツ殴らせろ」
「もお・・・・・・しょうがないわね・・・・・」

 やや舌足らずな説教を一蹴し、胸倉を掴んだ手に力を込める。
 横でため息をついた撫子は、何を思ったか、不意にオレと男の間に強引に割って入った。邪魔するなとその体を押しのけかけた腕は、そのまま行き場を失くした。
 ・・・・・・・撫子が、正面から思いっきり抱きついてきたから。


「っ、ぶねえな!あんたオレごと後ろにひっくり返す気か!!」
「ふふふ、トラあったか~い」
「あったかい、じゃねえよ・・・・・・くそ、酔っ払いめ・・・・・・」


 ただでさえ酔って足元がおぼつかないだろうに、つま先立ちでオレの首にかじりつくようにして抱きついてきたその体を咄嗟に抱きとめる。
 おかげで男を掴んでいた右腕は離れ、その隙に男は後ろへ後ずさる。
 殴り損ねた、と舌打ちするも、何やら目の前の光景にショックを受けているらしい表情を見て、少し溜飲が下がった。品行方正な九楼家の令嬢が、こんな柄の悪そうな男と・・・・・・そんな心の声が聞こえてくるみたいだ。

「おら、帰っぞ。しっかり捕まっとけ」
「ん~~~~~~~?」

 なんだか相手を殴りたい気も削がれて、そのまましがみついている撫子をひょいと横抱きに抱えあげる。本当は普通に背負った方が楽なのだが、撫子が離れてくれそうもないのでしょうがない。
 いつもだったら夜だろうが、こんな恰好で運ばれるなんて恥ずかしいと大暴れでもするだろうに、今夜は酔っているせいか、撫子はやけに大人しい。むしろ嬉しそうに胸元に顔を摺り寄せられて、思わず深いため息をついてしまった。
 ・・・・・・どんだけ無防備だ。ふざけんな、ここで襲うぞ。

 さすがにそれはまずいかと堪える。こいつが今日のことを覚えていたら、あとでそれはもううざったいくらいの説教をくらいそうだ。面倒くさい。
 そのまま帰ろうかと歩きかけたところでふと思い出し、固まったままの男を見た。
 ただそれだけで、相手はびくりと大げさに脅える。慣れたいつもの反応に薄い笑みを返す。

「・・・・・・よかったな。命拾いして」

 それだけ言って、踵を返す。
 あの程度の奴なら、これでもう撫子に近づこうとは思わないだろう。もし近づいたところで、顔は覚えた。気に食わなけりゃ、次に会った時、今日の分まで殴ればいい。
 一拍遅れて、慌てたように遠ざかっていく足音に、もう何の興味もなかった。





「トラ?ここ・・・・・?」
「オレの部屋」

 眠そうな声で問いかけられた言葉に短く返し、部屋の隅にまとめておいた布団の上に撫子の体を降ろす。
 そのまま逃げられないよう、細い両手首を両手で押さえつける。半ば圧しかかるようにして真上から撫子を見下ろせば、どこかぼんやりと焦点の合わない瞳がオレを見つめた。

「あのままお嬢の家に送って行ってみろ。あんたの親父に何言われるかわかったもんじゃねえ。少し酔い覚まし、していけよ」
「よいざまし・・・・・・?」
「そ。まだ言い訳も聞いてないことだし、な・・・・・・言いたいことあるなら、聞いてやってもいいけど?」

 言えるもんなら。
 そう囁いて、うっすらと誘うように半開きになっていた唇に噛みつく。
 舌を絡ませて深く求めれば、酒気の混じった吐息を感じて頭がくらりとする。酒には別に弱くないけれど、撫子から香るその匂いは、やたらと強く理性を刺激して、オレまで酔ってしまいそうだ。


「んっ・・・・・ま、って・・・・・」
「なあ、撫子・・・・・自覚なく男誘う、世間知らずなお嬢には、ちーっとばっかキツいお仕置きが必要だと思うんだけど、どうだ?」


 長いキスに眉根を寄せる恋人から少し顔を離し、今度はその首筋へと唇を近づける。軽く吸い付いた途端に震える体に、嗜虐心がそそられる。
 薄闇の部屋の中でもハッキリと見える赤い痕に満足し、手首を掴んでいた手をそのまま細い体に這わせる。撫子が小さく首を振った。

 この表情。
 泣き出す手前みたいな、何かを堪えるような強がった表情が、たまらなく好きだと思う。

「と、らっ・・・・・・怒ってる?」
「さあ?どうだろうな」

 ・・・・・・・・・ムカついてるに決まってる。
 遅くなるだろうし、迎えに行くから連絡しろって言っておいたのに、いつまで経っても連絡なくて、オレがどんな思いをしたと思ってるのか。しびれを切らして迎えに行ってみれば、他の男と二人きりで肩を抱かれて夜道歩いてて。しかも酔ってるせいで、いつも以上無防備ときた。
 そう簡単に、この怒りがおさまるわけがない。


 その顔を、いったいどれだけの男に見せた。
 その潤んだ瞳で、誰を見た。
 気だるげなその口調で、誰に話しかけた。
 誰に笑いかけた。誰にその体を触れさせた。

 そのすべて、ブチ壊してやりたい。


 胸に湧き上がる黒い思いのまま、もう一度キスしようとしたところを、撫子の手に止められた。
 と言っても、別に本人は止めようと思ってなかったんだろう。不意にオレへと伸ばされた手は、子供をあやすような手つきでオレの頭を撫でた。
 思わずあっけにとられて、動きが止まる。オレのことなんかまったく気にした様子もなく、なぜか撫子はやたらと嬉しそうに・・・・・オレの頭をわしゃわしゃと撫で続けていた。

「・・・・・・おい、なに笑ってんだよ」
「だってね、うれしいの。トラが心配してくれたんだな~って」
「は?」
「心配したから、怒ってるんでしょ?だから、ありがとうと・・・・・心配かけてごめんなさい、をこめて」

 さすが酔っ払い。呂律は比較的しっかりしているようだが、話の脈絡が突拍子もない。今の流れでどうしてそういう結論になるのか、サッパリだ。
 酔っているフリでもして誤魔化してでもいるんじゃないかと撫子を睨むが、当の本人は相変わらず幸せそうにオレの頭から手を離そうとしない。いつもどちらかというと怒った顔を見ている方が多いから、こんなに安心しきっている表情の撫子は、少し新鮮な感じがした。


「だいすき・・・・・・トラ・・・・・・・」


 ゆっくりと開いた目がオレを映し、不意打ちの甘い笑顔でそんな素直なことを撫子が言うものだから。
 不覚にもそれに見惚れてしまったオレは、思いっきり恨みがましさのこもったため息をついて、目の前の体をしっかりと抱きしめた。

 普段そんな素直になったことなんて滅多にないくせに、こういう時だけずるい女。
 たった一言、たった一つの表情で、簡単にオレを振り回してみせて。
 それをムカつくと思うのに、案外悪くないという気持ちにさせられてしまう。そうやって結局、離れられなくなって・・・・・・離せなくなって。


「・・・・・・・しょーがねえから、特別に、ちょっとだけ優しくしてやるよ」


 結局こうやって、なんだか飼いならされてるみたいになっていく。
 それが当たり前と思うあたり、オレは結構変わったのかもしれない。


 ・・・・・・まあ、変えた分、しっかり責任とれよな?覚悟しとけ、撫子。


 仕切り直しは、オレなりの最大限「優しい」キスを。





End.
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