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「QuinRose」
アリスシリーズ

HAPPY CAT(ハートの国、ボリアリ)

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 ふわふわと。

 視界の端でちらちら揺れるピンク。

 ゆらゆら揺れる長い尻尾を見ていたら、ふと思い出したことがある。



Happy CAT



「むぎゃっ!!!!!!」

 悲痛な声にハッと気がつけば、私の手の中にはいつのまにか視界の端を気持ちよさそうに揺れていたピンクのふわふわ。
 どうやら無意識のうちに引っつかんでしまったらしいことに気がついて慌てて解放すると、不意打ちによっぽど驚いたのか、ボリスが少し警戒したように私から距離をとりつつ、哀れにも引っ張られた尻尾を守るように自分の傍へと引き寄せた。金色の瞳が恨めしげに向けられる。

「あ、ご、ごめんね?」
「・・・・・・・・・別にアリスなら何されてもいいけどさ。突然掴むのはやめてよ。ビックリする。」

 さすがにいきなり尻尾を引っつかまれたら、いくら慣れて好かれている猫相手でも警戒されてしまうのは当然だろう。そう思ってとっさに謝ると、ボリスは少し恐る恐るながらもすぐに元の位置に戻ってきてくれた。
 甘えたようにしゅるりと腕に巻きついてくる柔らかい感触に、今度はそっと手を這わせる。長い尻尾の先がぴこぴこと嬉しそうに動いた。


「幸せになれる、か・・・・・・・・・」


 ふと思いだしたことがある。
 まだ小さい頃、おまじないなんていうものにハマっていた可愛い時期が私にもあった。簡単な本ならどうにか読むことができるようになったばかりだった私は、姉さんの手助けを借りながら読んだ本に書かれた内容・・・・・・おまじないやら恋やらと言った不思議なモノにいろいろな憧れを持っていたものだ。
 もちろん、今はそんな非現実的なモノ、これっぽっちも信じていないしやろうとも思わない。あんなのはただの気休めみたいなものだし、第一おまじないなんかで本当に何かが変わったら苦労はしない。
 昔の自分が今の可愛げない私を見たら、一体どう思うだろう。
 あの時に夢中になっていたおまじないの類はもう薄ボンヤリとした知識になって、頭の片隅にホコリを被って眠っている。今の私は、そんな女の子らしい夢溢れたモノを必要としてはいない。実行しようとも思わない。

 でも今、どうしてだかそんな乙女ちっくなものを少し思い出してしまった。

 隣で甘えるように擦り寄る猫が、あまりにも幸せそうに尻尾を揺らしていたからかもしれない。
 手の中にある柔らかくて優しい感触が、とても気持ちいいからかもしれない。


「・・・・・・・ねえ、ボリス。知ってる?猫の尻尾に顔を4回叩かれると、幸せが訪れるらしいわよ」


 夢見がちなおまじない。根拠も何もない。
 今ではそんなことで幸せがくるわけないなんて思っている。信じてもいない。でも昔の私はコレを信じていて、猫を追い回しては尻尾で叩いてもらおうとがんばっていた。
 母が亡くなった後、姉さんが子猫を・・・・・・ダイナを買ってきてくれたのは、小さい頃に猫を追っていた私を見て猫が好きだと勘違いして、慰めにと思ったからかもしれない。

「なにそれ?」
「おまじないよ。小さい頃ね、そんな話を聞いたことがあって」
「ふ~~~ん・・・・・・・・・おまじないねえ」

 不思議そうに私を覗き込んでいたボリスの顔に、「意外にアリスも女の子っぽいね」と言わんばかりの表情が浮かぶ。
 普段の私が冷めた性格だというのを知っているからこその反応なのはわかっているけれど・・・・・・・・・少しだけ腹が立つ。

「言っとくけど、今は信じてないわ」
「ってことは昔は信じてたんだ?猫の尻尾が顔叩くまで、じっと顔を寄せて待ってたりとかしてたんじゃないの?」
「・・・・・・・・・・・・否定はしないけどね」
「ふうん・・・・・・・・・・・・くくくっ・・・・・・・想像するとちょっと笑えるな」

 確かに、小さな少女が猫の尻に顔を近づけているのはさぞかし珍妙な構図だったろう。
 確かこのおまじないは随分マイナーなものだったような気がするから、端から見れば何をやっているかわからなかったに違いない。実際、今思い返すと随分恥ずかしい。

「想像しないでよね!私だって抹消したい過去だわ・・・・・・・・・・そんなの」
「え~~~いいじゃん。かわいいと思うけど?」
「嬉しくないわよ、全くもって!」
「褒めてるのに。・・・・・・・・それで?尻尾で4回、顔は叩いてもらえたの?」
「え?ん~~・・・・・・・・そうね・・・・・・・・・確か、結局ダメだったような気がするわ。こっちから手出しせずに、猫が人の顔を4回も叩くなんて・・・・・・普通に考えても難しいじゃない?」

 それもそっかと納得した様子のボリスを横目に、手に持ったピンクの尻尾を手持ち無沙汰にいじる。
 思えば、こうして猫の尻尾にじっくりと触るのは初めてかもしれない。ダイナは尻尾に触られるのが嫌いで、滅多に触らせてくれなかったのだから。その点、ボリスはわりと尻尾に触られても平気な猫のようだ。見かけは猫とは大分遠いとは言え。

(でもここまで長いこと触らせてくれるってことは、それだけ信用してもらえてるって思ってもいいのかしらね)

 正直、それが未だに不思議でならない。
 大切だと、特別だと思う人。その人に愛されること、特別だと言ってもらえること。そんな奇跡みたいなことが信じられない。
 私にはそんな価値も魅力もない、根暗でつまらない冷めた人間なのに。

「俺もおまじないとか信じてない。てか興味ないし」
「まあボリスはそうでしょうね。・・・・・・・・・でも猫っておまじないによく使われる、ラッキーな存在だったりするのよ」
「へえ・・・・・・・・猫がねえ」
「まあ猫って言っても、大体が黒猫だけどね。不吉な意味も持ってたりするけど、おまじないでは幸運な動物って扱われてたのが多かった気がするわ。小さい頃に読んでいたそういう本に、しょっちゅう猫が出てきてたからよく覚えているのよ」

 結婚式で猫が花嫁の近くでくしゃみすると幸せになれるだとか、黒猫を飼うと魔除けになるだとか・・・・・・・・・確かそんな感じのおまじないがあった気がする。
 古い記憶を引き出しつつ答えると、「猫が幸運な動物・・・・・ねえ」と好奇心を滲ませた声が返ってきた。おまじないは興味なくとも、自分のことはさすがに気になると言ったところだろうか。


「・・・・・・・・・・それじゃあ、アリスは幸せになれるな」


 思いがけなく近くに聞こえた言葉にボリスのほうを向いた瞬間、頬に柔らかい感触がポスッと当たる。それは、いつの間にか私の手を抜け出していたボリスの尻尾。
 私が言ったおまじないをそのまま再現するかのように、それは動いた。
 叩くというよりは撫でるように。優しく温かく何度か触れては離れていく。
 おまじないよりもずっと優しく甘い尻尾の動きが収まった後、いつの間にか間近に迫ったボリスが軽く頬にキスを落とす。すぐに離れた温もりに視線を少しあげると、ちょうど覗き込むようにしていた金の瞳と視線がかち合った。

「・・・・・・・・こういうの、信じてないんじゃなかったの?」
「信じてないよ。でも俺、アリスのことは信じてるから。アリスが言うなら、猫は幸運な動物だし、尻尾で4回叩かれた相手は幸せになる。だから俺は・・・・・・・アリスの一番近くにいる猫は、アリスを幸せにできるんだ」
「別に私だって信じてないって、何度言わせるのかしら?」
「うん、知ってる。でもアリスが信じたって信じなくたって、本当はどうだっていいんだよ。俺がアリスを幸せにするっていうのは確実なんだから」

 つい返してしまう可愛げのない言葉にも気にした様子はなく、ボリスはただ甘えるようにすりよってくる。吐息がかかりそうなくらい近くにある顔は、とても幸せそうに微笑んでいて、私はその甘えるように細められた瞳だけで愛しくなってしまう。
 ああ、本当に不思議。
 好きな人と想いあう、そんな幸せ、私が感じるなんて。
 大きすぎる幸せが手の届くところにあるどころか、もうほとんど私の手の中にあるも同然で。ちょっと怖い気もする。

「すごい自信ね」

 目の前の幸福を掴んでしまっていいのかわからなくて、掴んだ瞬間に消えてしまうのが怖くて。わざと優しい誘惑を突き放す。

「だって俺は世界一幸運な猫、だからね」

 けれど優しくて愛しい人は、そんな私の意地と怯えさえも強引に拾い上げてしまうのだ。

「アリスの傍にいて幸せ。俺、きっとこの世界で一番幸せ。そんな俺が傍にいるんだから、きっとアリスも幸せになれるよ・・・・・・・・俺が幸せをあげる。幸運を二人で分けるんだから、幸せになれるのは当たり前だろう?」

 無茶苦茶な理由で、自信満々に答えるボリス。
 おまじない並に根拠のないことなのに、どうしてだろう、否定する気が起きない。
 信じたい、なんて思ってしまう。

 ううん・・・・・・・・・きっと、もう、信じてしまっている。

 この愛しい猫が、私を何よりも幸せにしてくれると。



「傍にいてくれる限り、俺がアリスを幸せにするよ」



 誓いの言葉と同時に、今度は唇が優しく合わさった。
 相変わらず幸せそうな微笑を浮かべたまま、悪戯っぽい色を瞳に覗かせた顔が。
 悔しいような嬉しいような複雑な気持ちを運んできたから。
 一端離れた唇を、今度は私から重ね合わせた。





End.
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