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「オトメイト系」
CLOCK ZERO

その場所予約済みにて(円撫、帰還End後)

 ←パパと一緒♪ →長期休暇最終日
 唯一の気持ちで、誰にも負けない気持ちだと思った。
 だから・・・・・・結構、ショックは大きかったのだ。


「ま~どか。お風呂空いたよー・・・・・・ってうわ、なにこの紙の山!?」

 背後から聞こえた騒がしい声に振り返らないまま、また一つ無駄になった紙をぐしゃりと握りつぶして放り投げる。
 どうにも決まらない。なんとなくのイメージはあるのに、それをいざ形にしてみようとするとなかなか思い通りにいかなくて、イライラする。

「央ですか。すみませんが、今忙しいので後にしてもらってもいいですか」
「こらこら、ダメだよ円ー。お風呂冷めちゃうだろ?ていうかどうしたのさ、この紙。新作のデザイン案でも考えてるの?」

 くしゃくしゃになった紙を数枚広げながら、央が僕の顔を覗き込む。湿った前髪から水滴が零れかけているのが見えたから、「風邪ひきますよ?」と注意すると、笑って肩にかけたタオルでごしごしと乱暴に頭を撫でつけていた。
 数か月ぶりに再会したが、央は相変わらず央だ。今や世界的にも有名になった料理人だなんて、とても見えない。
 外見こそ変わって、子供の頃よりはそりゃあ落ち着いたかもしれないが、やっぱり僕にとって央は変わらない。央も、変わらず僕を・・・・・・弟として、接してくれる。

 変わらないことに安堵する。
 多少くらい離れたって、僕は相変わらず央と兄弟でいられる・・・・・・そのことに気が付けるようになるまで、随分と時間がかかったけれど。教えてくれた人がいたから、わかるようになった。

「指輪?ふう~ん、僕はどれもいいと思うけど・・・・・・なに、そんなに気に食わないの?」
「どれも納得がいきません。悪くはないんですけどね・・・・・・決め手に欠けると言うか」
「あー、でもそういう時ってあるよね!僕もこの間さ、新作スイーツに合わせるソースで・・・・・・・・っと、そんなことよりさあ、円」

 没にされたデザイン案と僕の顔を見比べながら、央が少し楽しそうに笑う。
 それはなんだか・・・・・・数年前、彼女と恋人同士になったと報告した時の表情と、似ていた。


「これ、もしかして撫子ちゃんへのプレゼント?」
「・・・・・・・・・」
「あ、やっぱりそうかあ。うんうん、いよいよ円も身を固める決意を・・・・・・お兄ちゃん、なんだか感慨深いよ」
「僕は何も言ってません。央の勝手な思い違いです。第一なんですか、身を固めるって」
「え、だって恋人に指輪を贈るなんて、普通そういう意味でしょ?それとも何、円は撫子ちゃん以外の人と結婚する気?」


 そう言われてしまうと、返す言葉がない。
 これから先、新しい家族に迎えるというのなら、恋人の撫子以外考えられないのは事実だ。他の人間にそもそも興味などないし、何より自分が一番大事にしている家族の中に撫子も加わってくれるのならば、こんなに嬉しいことはないだろう。
 だけどまあ、そんなこと素直に口にできるはずもないわけで。

「もー、相変わらずだなあ。円がハッキリしないんだったら、本当に僕が撫子ちゃんもらっちゃうよ?」
「ダメです、あげません。いくら央であろうとも、撫子さんだけは譲りません」
「・・・・・・・それだけ即答で答えられるくらい好きなくせして、どうしてもっと素直に好きって言ってあげられないのかねえ」

 央はやれやれと言ったようにため息をついて、手にした紙の束で僕の頭を軽く叩く。


「何を焦っているのか知らないけど、大丈夫だよ。彼女もあれで相当円のこと好きだし・・・・・・どんな形をしていたって、円からのプレゼントを喜んでくれるから」


 事情も僕の複雑な心中もわかっていないわりに、央はやけに的確な言葉をくれる。
 そこが央の・・・・・・正直な意味で、すごいと思える部分だろう。お調子者で空気を読まなくて、それなのにたまにこう・・・・・他人をよく見た発言をする。

「・・・・・知ってます」
「うっわ、自信満々。ほんっと、独り身には辛いよなあ・・・・・・昨日だって、見せつけてくれちゃってさ~まさか自分の店で、弟とその恋人がおおっぴらにキスシーン繰り広げるだなんて思わなかったよ・・・・・・円はもうちょっと人目っていうのを気にした方がいい!これ、お兄ちゃんからのアドバイスね」

 ぶつぶつと文句を言われるが、軽く肩をすくめて聞き流す。央の帰国にあわせて、彼女と央のレストランでデートした時のことを言われているのだろうが、別に罪悪感はない。少々央がいたたまれない思いをしただろうが、人がちょっと遅れている間に恋人を口説いていた央の方が悪いだろう。
 ほんの些細な仕返しも含んだ、可愛い弟のやらかしたことだ。大目に見てもらいたい。

 まったく反省の色のない態度に呆れ混じりのため息をつき、央は足元に散らばった紙をがさがさと踏み分けながら回れ右をする。
 「適当なところにしておいて、早くお風呂入りなよ~」という言葉を残し、ドアは閉められた。


「知っては・・・・・・いるんですけどね」


 軽快な音が遠ざかる頃、僕はひとりそう呟いた。
 散らばった紙を無造作に拾って眺める。くしゃくしゃになったそこには、彼女のイメージと自分の想いをこめてデザインした指輪の案がスケッチされている。
 元になるイメージが最初からあまりブレがないので、床に投げ捨てられた紙にデザインされた絵は、結構どれも雰囲気は似ている。・・・・・・が、どうにも細かい部分が決まらなかった。

 それもこれも、昨日彼女に誕生日プレゼントとして贈ったブレスレットのせいだ。
 彼女のことを考えて作った、世界でたった一つのブレスレット。散々悩んで、あれを完成させるためにデートにまで遅れていって・・・・・・・望む笑顔は得られたけれど、その後がいけなかった。


 不思議そうに首を傾げながら彼女がバッグの中から取り出したのは、もう随分と古い・・・・・けれど自分が作ったものと何一つ変わらないブレスレット、だったのだ。


 ・・・・・・・・正直、へこんだ。
 絶対に口には出しなどしないが、自分の撫子への気持ちは誰にも負けていないと思っていた。それくらい溺れているという自覚、残念なことに持ち合わせている。彼女がずっと僕の隣にいてくれるなら、どんな甘い言葉だって平気で囁いてあげられるだろう。

 それなのに、僕が彼女への気持ちを込めて作ったものと全く同じものを、彼女はずっと前に受け取っていた、なんて。

 彼女が持っていたボロボロのブレスレットを見て、まず感じたのは悔しさだった。
 あれが、既製品であるはずがない。あれはれっきとした手作りだ。
 技量もセンスも自分と同じくらい、というのがさらに腹立たしい。彼女にぴったりと合うように作られたそれは、作り手の想いを透かして伝えてくる。
 撫子を愛おしく思う気持ちと・・・・・・・傍にいてほしい、という願い。


「・・・・・・・・ほんっと、腹立ちますね・・・・・・」


 あんなあからさまな気持ち、作ったのは絶対男に決まっている。
 ずっとずっと傍に・・・・・・・できることなら、離したくなんてない。そんな気持ちが、あの古いブレスレットから感じられた。はっきり断言できる。だってあれは、自分が作ったものと同じだ。

 軽く頭を振って、もう一度新しい紙を引っ張り出す。
 結局、贈ったブレスレットはそのまま撫子の手に渡った。他の男とそっくり同じものを渡すのは嫌だったけれど、彼女は円がわざわざ作ってくれたのだから大切にすると嬉しそうに言うものだから、望み通りあげてしまった。
 ・・・・・・・だけど、だからと言ってそのままになんかしておくつもりはない。

 返してもらえないなら、新しいものをプレゼントすればいいだけのこと。
 もっともっと強い想いのこもった・・・・・・・今度こそ、ただ一つだけの僕の気持ちを。

 脳裏に彼女のいろいろな表情を思い浮かべて、僕は一心不乱に紙へと向かった。





 数か月後。ラッピングしたそれを手にぽんと置くと、彼女は面白いくらいにきょとんとした顔をした。
 右手につけているオレンジ色のブレスレットは、僕があげた方のものだ。撫子の手の動きにあわせて、ゆらゆらと揺れ動く。

「あげます」
「え、えーっと・・・・・円、今日って何かの記念日だったかしら?」
「いいえ、別に何もない日だったかと思いますが。恋人に何か贈るのに、理由とかいります?」
「いやそういうわけじゃないけど・・・・・これ、私の思い違いじゃない、なら・・・・・その、指輪の箱に見えるんだけど・・・・・」
「まあ指輪が入ってますからね。当たり前でしょう」

 別に隠すことでもないのでそう言ってやれば、彼女は「そう」と呟いて顔を赤らめさせる。そっぽを向いて隠しているつもりらしいが、残念ながらバレバレだ。
 よく彼女に「意地悪い」と称される笑みが、口元に浮かぶのを感じた。


「なんです?期待、してます?」
「き、きき期待って・・・・・・・ん!?」


 慌てて振り返ったその唇に、不意をついてキスをした。
 軽く合わせただけの代わりに、離れる前にこれみよがしに舌先で軽く唇をなぞってやれば、目の前の彼女の顔が面白いほど赤くなる。まったく、そういう表情を無防備にしないでほしい。もっとキスしたくなる。

「ま、円!!!!またそういう・・・・・ここ人前でっ・・・・・!!」
「別にいいですよ。期待しても」
「話を誤魔化さないで・・・・・・・って、え?」
「期待してもいいです。そういう意味、ですから」

 つい一瞬前まで怒っていたくせに、途端にまた驚いた顔で動きを止める撫子に、堪えきれず吹き出す。
 からかわれたと思ったのか、また怒り出しそうな雰囲気を見せた彼女を抱きしめる。その左手を引き寄せれば、飾り気のない白く細い指が、すぐ目の前に晒された。


「なので、つける指はココ以外受け付けません。返品も不可です」


 まだ誰にも所有の証を刻まれていない薬指に、軽く噛みつく。
 彼女の手にある銀の指輪が、僕の気持ちが、彼女の左手に形を残す前に。


 ほかのどんな男が、彼女を想っていようとも、ここは僕がとっくに予約済みの場所。
 ずっと傍にいてほしいという願いを、叶えるための場所だから。


「・・・・・・・その場所に指輪入らなかったら、どうするのよ」
「見くびらないでください。僕があなたの指のサイズ、間違えるわけないでしょう?」

 いつものように憎まれ口を叩きながら、それでもなんだかとっても可愛い表情を彼女が浮かべるものだから。
 僕は結局我慢できず、もう一度、撫子の唇をそっと奪った。





End.
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