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 ←その心、恋情(クローバーの国、グレアリ) →Mammy kissing・・・?*Christmas*(2010クリスマス企画、クリスマス編)
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「QuinRose」
Clover's Little Girl Story~パパは心配性~

Mammy kissing・・・?*eve*(2010クリスマス企画、イヴ編)

 ←その心、恋情(クローバーの国、グレアリ) →Mammy kissing・・・?*Christmas*(2010クリスマス企画、クリスマス編)

「ねー、パパ。サンタさんってパパなの?」

 明るいクリスマスソング、暖かに炎が揺らめく暖炉、おいしそうな七面鳥をはじめとした豪華なディナー、サンタの人形が乗った可愛らしいブッシュ・ド・ノエルに、きらきら輝く立派なツリー。
 そんなクリスマス一色のクローバーの塔内を凍りつかせたのは、幼く愛らしい少女の無邪気に冷めた一言だった。


Mammy kissing・・・? *eve*


 おあつらえ向きの雪が窓の外でちらつく。お祭りごと、ことにクリスマス好きな子供っぽい領土主の意向で、クローバーの街はクリスマス真っ盛りだ。毎日のようにジングルベルを主としたクリスマスソングが町で鳴り響き、美しいイルミネーションと浮かれた空気が町全体を包み込んでいる。
 クローバーの塔でもそれは例外ではなく、今の談話室はクリスマスパーティの準備で賑わっていた。
 ナイトメアの提案による、内輪でのクリスマスパーティ。塔の職員も巻き込んでの準備は着々と進み、全体的にイベントごとに対する浮かれた雰囲気が漂っていたのだが・・・・・・・冒頭のある意味での爆弾発言に、全員が一斉に顔を見合わせる。

 ・・・・・・場を凍りつかせた当の本人である娘のアクアを見つめ、アリスもどうしたものかと逡巡した。

 確かにサンタクロース=父親、なんてものはいずれわかってしまう事実だ。大人になるにつれ、信じなくなってしまう存在。子供だって・・・・・正直、うすうす勘付くほどの、淡い夢には違いない。
 それでもアクアはまだまだ子供だ。
 確かに年の割には大人びたところもあるが、サンタはパパなんでしょ?なんて言いきってしまうほどじゃない。ついこの間までは、無邪気にサンタの話をしていたくらいだし、ここでそう簡単に「そうよ」なんて答えていいものか悩むところだ。
 子供の夢を壊すのは、忍びない。

 アリスは夫の方へと目を向けた。
 かわいそうに、溺愛している娘から直接問いかけられてしまったグレイは、どうやら本気で困っているらしい。傍から見てもわかるほどに、目が泳いでいる。


「何を言うんだ、アクア。サンタクロースはいるぞ。いるに決まっている!」


 助けは、意外なところから入った。
 さも当然といったように、ナイトメアが胸を張る。その目は嘘をついているわけでも、誤魔化そうとしているわけでもなく・・・・・・・・本気だった。本気で、サンタがいると信じている、きらっきらな目だ。
 別の意味で頭が痛くなるのを、アリスはそっと堪えた。まだ幼い子供が「サンタなんているわけないわ」とか冷めたように言うのも少々問題だが、いい年した大人が本気で微塵も疑わずに「サンタはいる!!」と信じ込んでいるのもどうだろうか。
 アクアの視線が、ナイトメアの方へと向けられる。グレイがあからさまにホッとしたように息をついた。

「でもナイトメア様、サンタさんは本当はパパなんじゃないかって、アクア思うの」
「いーや、そんなことはないぞ。こんな目つきの悪いサンタさんがいるわけないだろう?」
「目つきが悪いは余計です。それより・・・・・・アクア、どうしてそんな風に思ったんだ?」

 ひょいと愛娘を抱き上げ、目線を合わせたグレイが優しく問いかける。
 アクアは「んー」と黒髪を揺らしながら首を傾げ、少し切れ長なエメラルドの瞳をなぜかアリスの方へと向け、困ったような顔をした。


「そういう歌があるもの」
「歌・・・・・・?ああ、ママがサンタにキスをした、ってやつ?」


 アリスはぽんと納得したように一つ頷いた。
 "I saw mammy kissing SantaClaus"
 このワンダーランドではどうか知らないが、アリスの世界ではわりと定番だったクリスマスソングだ。何度か口ずさんでいるうちに、アクアも覚えたのかもしれない。そういえば深く考えてみると、何となく答えにたどり着けてしまうような歌詞だったと思い出す。子供も聞くというのに、そんなネタバレソングでいいのかと思ったこともあったくらいだったのに、子供本人に聞かせるなんて失態だった。

「えーっとね、アクア。ほら、あの歌でママがキスしていたのはあくまでもサンタさんで・・・・・ほら、挨拶のキスをしていたって、そういう意味の歌よ 。深い意味なんてないわ」

 安心させるように笑って伝えてみせるが、どこかアクアは納得できなさそうな顔をする。
 おかしい、とアリスは娘を心配そうに見やった。確かに自分に似て本好きでわりと現実主義気取りな部分もあるけれど、アクアはまだまだ夢見がちな女の子だ。こういうところでは素直に「やっぱりサンタさんはいるんだよね!」と安心して納得してくれる子であるというのに。

「アリスの言うとおりだぞ~、アクア!!サンタさんはいる、絶対いる!!いい子にしていれば、必ずサンタさんは来てくれるんだ。私のところにもクリスマスシーズンになると、いつも必ず一回は来てくれるんだ。寝ている間にちゃんと靴下の中にプレゼントが入っているんだぞ!!」
「・・・・・・・・・・・・」

 無言でアリスはグレイの方を見やる。
 娘を抱きかかえたまま、グレイは罰が悪そうに妻の視線から目を反らした。なんだかんだ言って、本当に上司にも甘い人だ。
 ・・・・・・・・まあ、ここまで純粋に信じられると、なんだか夢を壊してはいけないような気持ちがしてしまうのも何となく理解できるけれど。


「でも、サンタさんがパパじゃなかったら・・・・・・・しゅらば、なんでしょ?」
「え?」
「は?」
「その歌教えてあげたらね、じゃあパパがサンタじゃなかったら浮気だな、って。ママが、パパじゃない人にキスしていたら、面白いことになりそうだなって言ってたから・・・・・・でもそんなの、アクアはちっとも面白くないよ」
「・・・・・・・・・・聞かなくてもわかるけど、誰が言ってたの?」
「ブラッド」


 ・・・・・・あの紅茶狂の退屈嫌いは、本当にろくなことを人の娘に教えない。
 アリスは特大のため息をついて、人の悪い笑みを浮かべた知人を思い浮かべた。本気でしばらく帽子屋屋敷にアクアを連れて行かない方がいいかもしれない。教育上、あまりよろしくない。いろいろな意味で。
 ナイトメアがやや顔を青ざめさせて、グレイから距離をとった。さすがに娘を抱いているから口には出さなかったようだが、心の中で随分と怖い悪態でもついたに違いない。その証拠に、グレイの目が少々座っていた。

「ねえママ、ママはパパ以外にキスしないもんね?」
「大丈夫よアクア。あくまでもあの歌は、挨拶のキスだから、そんな浮気なんてことには・・・・・・」
「でもパパは、ママが他の人に挨拶のキスしても、ものすごく怒るよ?黙ってるけど、すっごく怖い感じになるもん。だからみんな、ママに挨拶のキスしないでしょ?」

 真剣に娘に告げられ、アリスは一瞬ぽかんとしてしまった。
 グレイがさりげなく独占欲が強いのは知っているが、さすがにそこまでではないだろう。アクアが生まれてからは、どちらかというと娘の方を溺愛という感じであるようにさえ思う。それこそ、娘がアリスやナイトメア以外の他人にキスをしようものなら、相手を殺しかねない勢いで・・・・・・。
 が、アリスが否定するより早く、ものすごく納得したというようにナイトメアが大きく頷いた。


「・・・・・ああ、それは確かにそうだな。グレイの心の狭さときたら、アリスが娘以外にたとえ挨拶とは言えキスなんてしようものなら・・・・・・・考えるだけで恐ろしい」
「ねー?ほら、ナイトメア様もこう言ってる。ママが知らないだけなんだよ!」
「えー・・・・・・・」


 そんなはずないだろうと思って、アリスはグレイに目を向ける。
 予想に反して、グレイは少し悪戯がバレたような困った笑顔を浮かべただけだった。否定の言葉もなくて、なんだか本当にグレイがアリスに対して今でも独占欲を強く抱いているかのような態度だ。期待、してしまう。
 そんな些細なことがうれしいだなんて、自分の方こそいつまで恋人気分なんだろうか。アリスは簡単に高鳴ってしまう心臓の音の単純さに内心で悪態をつきながら、赤くなった頬をうつむかせた。


「アクア、心配しなくていい。ただの歌だよ。きっと次の夜あたり、サンタクロースがアクアにプレゼントを持ってきてくれるはずだから」
「なにっ!?グレイ、それは確かな情報か!?いい子にしていれば、次の夜にサンタさんが来てくれるんだな!?」
「・・・・・・・・・・はいはい、来てくださるんじゃないですかね。ナイトメア様のところにも。仕事をちゃんとしてくだされば、の話ですが」
「パパ、でも、」
「大丈夫だ。アクアはいい子だから、絶対に来てくれるさ。本物のサンタクロースが。だから次の夜はいい子で、ちゃんと早く寝るんだぞ?」


 いまだに不安そうに両親を見比べているアクアの目を優しく覗き込み、グレイが微笑む。
 しょんぼりと肩を落としている娘の姿に、アリスも胸が痛んだ。ちょっとした思い違いとは言え、両親の仲を本気で心配してくれているのがわかる。なんとかして不安を取り除いてあげたいと思った途端、ナイトメアが軽くアリスの肩をたたいた。
 見上げたその色白な顔は、珍しく頼もしそうな笑みを口元に浮かべていた。


「そんなに心配なら、アクア。次の夜の時間帯、私と一緒にサンタさんを待とうじゃないか。そして、サンタさんと会って、直接話してみればいい」
「え、お話!?できるの?」
「ああ、もちろん。実際にサンタさんに会って、お願いすればいい。パパが怒るから、ママとキスしちゃダメ!ってな」
「そっか・・・・・・うん、それなら安心だね。さっすがナイトメア様、物知りだね。そんけーするっ!」
「そうだろうそうだろう!!私は偉いんだ、尊敬されるほどのいい子だからなっ!!」
「ちょ、ちょっとナイトメア!?」


 慌ててアリスはナイトメアの腕を引く。
 ナイトメアは本気でサンタがいると信じている大人だ。確かにサンタと直接話ができればアクアも安心できるかもしれないが・・・・・・・アクアはこれでかなり頭のいい子だ。たとえグレイがサンタの格好をしてアクアと話でもして、アクアにやっぱりサンタは父親だったなんてバレたら笑えない。
 アクアはよかったと安堵するかもしれないが、結局それは子供だからこそ信じていられる夢の一つをつぶしてしまうということで。
 まだまだ幼く夢見がちな女の子なのだ。できたら「サンタクロースは本当にいるかもしれない」なんて微笑ましい夢を見ていてほしいと思うのは、親としてのエゴとわかっていても・・・・・・娘の夢を、こんなに早くから壊してしまいたくなどない。


「サンタさんが父親じゃないといけない、なんて誰が決めたんだ?」
「え?」
「ようはアクアの傍にちゃんとグレイがいて、誰か別の人間がサンタとして姿を見せればいいんだ。バレる心配なんて、しなくて無用だ。私は夢魔だからね。眠そうな子供に夢を見せてあげることくらい、造作もない」


 こそりとアリスにしか聞こえないように囁かれた言葉の意味を理解して、アリスはゆっくりと目を瞬かせた。
 ナイトメアは任せておけと言わんばかりに、眼帯に隠れていない灰色の瞳で軽くウィンクを送ってくる。彼の言いたいことをなんとなく理解して・・・・・・アリスはひとつ、「とんでもない計画だこと」と心の中で言葉を返した。

 本当は、ナイトメアだってサンタクロースなんていないと知っているんじゃないだろうか。
 そんなことを思ったけれど、その後アクアと一緒にサンタクロースについて熱く語り始めたナイトメアは、どう見ても信じているようにしか見えない。相変わらず、ナイトメアは単純なようで、深いところは異常にミステリアスでわかりにくい。

「アリス、先ほどナイトメア様に何か言われていたようだが・・・・・?」

 アクアを離したグレイが、アリスの方に近づいて心配そうに尋ねる。
 彼もやはり、アクアのことを気にかけてなんとかしたいと思っているのだろう。とんでもないほどの親バカなのだから、当然といえばそうだ。


「ママだって、サンタクロースになれるって教えてもらったのよ」
「は?」


 アリスは小さく笑って、近づくクリスマスに嬉しそうな娘の姿を見つめた。
 ふと雪のちらつく窓が視界の端に留まる。空がどことなく暗くなっていくのは、雲のせいではなく、おそらく夜が近づいているからだろう。
 次の時間帯は、夜。クリスマスの、始まりだった。





Continued Christmas!!
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