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日常に恋してる(遙か3、ヒノ望)

 ←とりあえず落ち着けと言いたい →その心、恋情(クローバーの国、グレアリ)
 ようやく夜の帳が見え始めた空模様。ふと気がつけば、あの昼間のうだるような暑さも心なしか和らぎ、涼しさを含んだ風が傍を駆け抜けていく。
 もうそんな時間か、と望美は大きく伸びをしながら息をつく。
 熊野川の氾濫で長期滞在している宿の庭を借り、剣の稽古をしていたのだが・・・・・・・少し夢中になっていたかもしれない。

 夏の一日は長い・・・・・・・と言うけれど、実際なんてあっという間だ。
 八葉全員が揃って過ごせる貴重な夏の一時が短いことを、望美はよく知っている。

 一瞬一瞬を大事にしたいけれど、戦場に出る以上は剣の腕を磨くことも怠るべきではない。やることが多すぎて、いくら時間があったところで足りない気がする。
 逆鱗を得て、本来ならやり直しの利かない時間を繰り返しているというのに、そんなことを望むのは欲張りなのかもしれないけれど。


「勇ましい戦女神。鍛錬もいいけど、今日はその辺にしといたらどうだい?」


 不意にかけられた声に振り向くと、庭に面した濡れ縁に鮮やかな赤。
 空を彩る夕焼けよりも眩しい赤を揺らして、ヒノエがそこに立っていた。

「ヒノエくん!いつからそこに?」
「結構前から、かな。随分熱中していたようだから声をかけなかったんだけど・・・・・・そろそろ夕飯時だし、何より暗い中での鍛錬で俺の姫君が怪我をしたら大変だからね。声をかけさせてもらったってわけ」
「う、うわあ・・・・・・・ごめんね、気がつかなくて」
「いや?戦女神の凛々しくも美しい剣舞を見学できて、なかなか楽しい時間だったよ」

 そう言いながら手渡された真新しい手ぬぐいに、望美は目を瞬かせる。と、次には自分が今どれだけ汗だくかを思い出した。
 どれだけ夢中になってたかは覚えていないが、気がつけば体中がべたついて気持ち悪い。
 慌てて「ありがとう」と早口で伝え、望美は手ぬぐいに顔を埋めた。・・・・・・・何故だか、汗だくな姿をヒノエに見られたことが、とてもいたたまれない。

 よく見ればヒノエがいる濡れ縁には、綺麗なガラスの器と竹筒が置いてあった。
 望美の視線に気がついたのか、ヒノエはひとつ笑って竹筒の中身をガラスの器へと注ぐ。
 半透明な抹茶色の液体が、ガラスに満ちていく。氷出しの茶だよ、とヒノエが教えてくれた。


「真面目なところは姫君の美徳だし、いいモノ見せてもらったけどさ・・・・・・・この暑さの中、水分補給もせずに稽古するのは感心できないかな?」
「・・・・・・・・今度からは気をつけます」


 そうしてくれると嬉しいよ、と笑顔と共に差し出されたガラスの器を受け取り、口をつける。
 見た目にも涼しげな緑茶はしっかりと冷えていて、喉を通って体全体を清々しく潤してくれるように感じた。
 一息に飲み干すした望美に、ヒノエがおかわりを注いでくれる。なんだかバツが悪い気がして視線を逸らした先に、もう半分ほど闇に染まった空があった。

「夜ももうすぐ、だね」
「ああ。ねえ、望美。夏の夜ってさ、なんだか不思議な魅力があると思わないかい?」
「言われてみれば、そうかも。夏の夜って気温が少し下がるから過ごしやすいし、星も綺麗で・・・・・・・・なんとなく、外にいて空を見上げていたいっていう気持ちになっちゃう」
「そうだね。熱の名残をゆっくりと和ませ、けれど何かが起きそうな好奇心を掻きたてる・・・・・・・じっとしていられないものを感じる」

 だから・・・・・・・とヒノエは立ち上がった。
 差し出された手の意味がわからず、きょとんとする望美に向ける彼の笑顔は、どこか悪戯めいている。


「俺と一緒に夜の散歩にでも行かない?いい場所知ってるんだ、案内するよ」
「え、ええ!?だけどもうすぐ夕飯・・・・・・・・」
「少しだから大丈夫さ。もし怒られても、お前を誘ったのは俺なんだから、お前が心配することは何もないよ。折角の姫君との宵口の逢瀬、俺が見逃すと思った?」


 サイコーの思い出を、お前に約束するよ。


 自信満々にそんな言葉を口にする態度に、望美は少し頬を膨らませる。
 本当はとっくに答えは出ているけれど、簡単にその手を取るのは少し悔しい。


「・・・・・・・・変なことしない?」
「さあ?麗しい姫君と二人きりの逢瀬だからね。確約はできないかな。でも・・・・・・・・来てくれるだろう?」
「もうっ!ヒノエくんのそういうところ、嫌いっ!」


 言いながら、それでも取るのは彼の手。
 選びたいと思ってしまうのは、優しく向けられる紅玉の瞳を持ったその人だけ。
 わずかに絡んだ熱に誘われながら、夜の向こうへ歩き出す。


「ふふっ、嫌い、ね。それでも俺に賭けてくれるんだ?」
「・・・・・・・ヒノエくんが見せてくれるものは、いつだって素敵だもの。そういうところは信用してるから」
「嬉しいこと言ってくれるね。姫君のご期待に応えるものを見せると約束するよ」


 わずかに西日を残す空は、もう闇色。
 顔を覗かせ始めた星の輝きが、ひとつふたつと増え始める。


日常に恋してる


 ・・・・・・・・・夜が来るまで、あと少し。




お題使用
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