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 ←幸せを望んで、懸命に生きた結末 →とりあえず落ち着けと言いたい
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笑って別れを(遙か3、知望、悲恋)

 ←幸せを望んで、懸命に生きた結末 →とりあえず落ち着けと言いたい
 これを狂気だと呼ぶのならば・・・・・・それでもいいさ。
 お前に俺を刻み付けることができれば、それだけで。





 雨の熊野で出逢った女は、いくつもの死を見てきた目をしていた。
 俺を見る瞳に火花を見つけ、剣が似あわないような華奢な身に隠しきれない血の匂いを感じ取った。

 戦場を知るもののみが持つ、生と死を併せもった空気。
 一見すればただの町娘のような女に隠れた、獣のような本性。
 俺と同類の、匂い。

 久方ぶりに興味をひかれた。
 この女ならば、俺を満足させてくれる。最悪、この熊野での退屈しのぎにはなるだろう。
 そんな確信が、あった。



―――死ぬと思った時、俺は生きているだろう?



 生きていると感じる瞬間はないのか、と問うから答えたまで。
 いくら不満そうに眉を吊り上げても、真実なのだから仕方あるまい?

 この世界はつまらない。

 戦が始まる前は、もっとつまらなかった。
 平穏など・・・・・・何がいいのか。栄華など・・・・・一体何の意味があるというのか。
 一時の安息にゆるゆるとまどろみ、やがては朽ち果てる。

 ・・・・・・・・退屈、だな。

 俺は俺が楽しめればそれでいい。
 例え平穏でも・・・・・・俺を沸き立たせ、楽しませてくれるものがあるのならば、その平和とやらに浸かってもいいさ。
 だが、現実は違う。
 今、俺を最も楽しませてくれるのは、熱くさせてくれるのは・・・・・・・生死の境が見えた時。相手と剣を交え、命のやり取りに興じるまさにその時だ。

 そしてその相手に源氏の神子はふさわしい。

 決して相容れない敵であり、炎のような視線と獣の本性を美しい肢体に隠しもった、俺と同類の女。
 本気を出せば、どれほどまでに俺を虜にする姿を見せてくれるか。考えただけでもぞくぞくする。


「お前と死合うこと・・・・・・楽しみにしているぜ」


 有川のいない時、告げた言葉に・・・・・・・神子殿は、ひどく悲痛な表情を浮かべた。


「・・・・・私との戦いに、知盛の生きている証を求めたりしないでよ」


 押し殺したように呟き、神子殿は遠くを見るように俺を見つめた。
 出会った時からそうだったが、この女は俺の中に別の誰かを探している。
 俺を見ているわけではない。
 その事実がひどく心をざわめかせた。

 俺だけを見ろ、と。

 壊してしまおうか、俺だけを見つめているように。
 俺だけを刻み付けて、そのままこの手で殺してしまえば。お前は最期の瞬間まで、俺だけを感じているだろう。全て俺のものになるだろう。

 これを恋とでも呼ぶのか?
 いいや、違うな。

 あえて言うならば、狂気に近い執着。
 魂の一片さえ、自分のものにしなければ気がすまない。
 愛したいなどという感情でも恋しいという感情でもなく、ただひたすらに求める。


 俺の全てが欲する、この女を。


 愛されたいとは思わない。
 手に入らなければ奪えばいい。そこに生ぬるい感情など、必要ない。





 死は全てを奪う。
 俺の中にある記憶や感情・・・・・・何もかもが俺から消える。
 やがては人の心からも消え、俺という存在は完全に消滅する。

 何もかも。

 生きるもの全てにある理。
 それに不平を言うつもりなどありはしない。


「楽しかったぜ、源氏の神子。最期に見るのがお前の顔っていうのも・・・・・上出来だ。おかげで、お前の存在を感じたまま眠りにつけそうだ・・・・・・・」

「とも・・・・・・も・・・・り・・・・・・・・やだ・・・・っ、やめてお願いっ!!」


 何よりも生に貪欲で、それ故に美しい存在。
 お前に刻まれた傷、泣き叫ぶ声、俺だけに向けられる視線。

 細い肩は俺がつけた傷から溢れた血で濡れていた。
 深い傷だ。そう簡単には消えはしない。
 そしてお前はそれを見るたび・・・・・・否が応でも俺を思い出すだろう。

 十分だ。
 最期のその瞬間まで・・・・・・お前も俺も、お互いを感じていられるのだから。



「じゃあ、な」



 冷たさを感じたのは、一時だけ。
 己の身から流れた紅い血に、生きている証を感じた。

 ああ、だがそれもすぐ消えてしまうか。
 もうすぐ俺は消える。
 そしていつか、人の心からも完全に消える。


 だがきっと、お前は覚えていてくれるのだろう?
 お前の身に永久の傷跡を残した男のことを。
 お前がその手で葬った男のことを。





笑って別れを





 お前に刻み付けた俺の生きた証。
 それだけは決して、消えはしない。



お題使用
88*31
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