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「お題もの」
QuinRose系

こんな幸せはないでしょう(クローバーの国、ボリアリ)

 ←Hot×∞(ジョーカーの国、ボリアリ) →この瞬間がいつまでも続けば良いのにね(遙か3、将望)
 知っていたつもりだった。

 でも、知らなかった。



「アリス?どうしたの?」



 ひょいと覗き込まれて、ようやく我に返った。
 探るように見透かすように金色の目を向け、ボリスが少し首を傾げる。

「・・・・・なに?」
「なに、って・・・・・・・・さっきから呼んでるのにちっとも気がつかないからさ。どしたの?何か考え事?」

 また難しいこと考えてるの?と問われ、なんでもないわと笑ってみせる。
 笑って・・・・・・・みせたつもりなのに、何故かボリスはますます訝しげに眉をよせた。


「・・・・・・・・・・俺に隠し事?」


 不満そうな声。苛立たしげな表情を証明するように、尻尾が不機嫌そうにぱたぱたと揺れている。
 相変わらず、他人の感情に聡い猫だ。

「別に何も隠してないわ」
「・・・・・・・・・嘘だ」
「信用してないの?私のこと」
「だってあんた、なんか落ち込んでるだろ」

 そんなことない。
 否定を即座に返すつもりが、どうしてか言葉が出ず、ただ中途半端に行き場をなくした唇が空回りする。
 あまりにも真っ直ぐ見つめてくる視線から逃れたくて視線を外すと、これ見よがしな溜息が聞こえた。

「やっぱり隠してる」
「そんなこと・・・・・・・・」
「ある、だろ?これ以上嘘つかないでよ。ただでさえ、大事な恋人に隠し事されて落ち込んでるっていうのにさ・・・・・・・傷つく」

 そんなに俺って信用ないの?なんてあまりにも寂しそうな声で呟くから、うつむいていた顔をとっさに上げる。
 さっきと変わらない不機嫌そうな表情には、私を心配する色もハッキリと浮かんでいる。
 心なしか少し傷ついた色を見せる金の瞳に、目を奪われた。


「で、どうしたの?俺に隠し事しようとしてた罰として、ちゃんと理由聞かせてくれるまで逃がさないよ。なんか嫌なことがあった?それとも・・・・・・・誰かに、なにかされた?」


 最後の部分で、すうっとボリスの視線が危険に細まる。
 なんてわかりやすい猫。
 言葉にされるよりもずっと明確に伝わるボリスの素直な感情は、いつだって根暗に悩む私を安心させてくれる。
 心配させたくない・気づかれたくないと思っているのに、ボリスが私を気にかけてくれることに喜んでいる矛盾。

「・・・・・・・・・なにも」
「アリス」
「本当に、なんでもない・・・・・・・・何も言われていないわ・・・・・・・・・」

 咎められるように名を呼ばれても、私はただ首を振る。
 だって私は何もされていない。面と向かって言われたわけじゃない。



 勝手に落ち込んで、暗く底のない考えへと沈みこんでしまっているのは自分のせい。



『あの余所者の子ってさ、チェシャ猫と一緒に遊園地からはじかれて、このクローバーの国にいるんだろう?』
『余所者って“特別”なんじゃないのか。代わりがきかないんだろう?はじかれるなんて、よっぽど馴染んでいなかったのかもな』



 たまたま耳にした、顔もろくに知らない人達の会話がまだ耳の奥に残っている。
 宿屋に来ていた客の話。他愛のない噂話。
 彼らは私を中傷していたわけではない。ただ当たり前の事実を話していただけに過ぎない。それなのに、その言葉は私を突き落とした。

 ―――私は、特別なんかじゃない

 はじかれてしまった時点で、そんなこと明らかだったのに。
 思い上がって勘違いしていたつもりはない。
 余所者だ特別だなんて言われるけれど、私にはそんな価値もないしありえないと知っていた。“特別”という言葉は、姉さんのような人にこそ相応しい。
 だけど、心のどこかで期待してしまっていたのかもしれない。
 この世界は・・・・・・・私にとても優しいから。

「・・・・・・・・・わかった。本当に何もないんだね?」
「ええ」
「ほんとにほんと?」
「ええ」
「そっか・・・・・・・・じゃあ、この話はおしまいにしようぜ。もっと楽しいことしよう。何して遊ぼうか?アリスの好きなことしようよ、な」

 気分を変えるようにボリスが明るく話題を変える。
 それにホッとするくせに、もう少し気にかけて欲しかったなんて残念がっている自分がいて、心の中で自嘲した。

 なんて我侭で勝手な気持ち。
 踏み込んでほしくないのに、無理矢理にでも入り込んできてほしいと願っているなんて。

 ああ、ダメだな。また暗く考え込んで抜け出せない。
 深い水の中でもがいているみたいな気分になる。
 苦しくて、必死に水の上から這い出そうとしているのに、もがけばもがくほどにどんどん沈んでいって、もっと苦しくなる。


「・・・・・・・・!?ぼ、ボリス・・・・・・・・?」
「ん~~~~~?なに?」


 不意に伸びてきた腕に、背後から抱きしめられる形で捕らわれる。
 本当の猫のようにごろごろと喉をならし、ぎゅっと強く、でも苦しくない程度に、ボリスは私を抱きしめる。
 いつもと変わらない、甘え全開の態度。なのに今は私が甘えさせてもらっているような気分になる。

「何って・・・・・・・こっちの台詞よ。どうしたの?」
「だってあんたが抱きしめて欲しそうだったから。抱きしめてほしいって顔してて、可愛かったからさ・・・・・・・・俺も遊ぶより、あんたを抱きしめたくなっちゃった」
「なにそれ・・・・・・・意味わからないわよ」

 呆れたような口調で言葉を返しながら、心の中で今の体勢でよかったと安堵する。首筋に顔を埋めるようにしているボリスからは、私の表情は見えていないはずだ。見えないでいてほしい。
 どんな顔をしていいかわからずにいる今の私は、きっとすごくみっともない顔だ。
 いろいろな感情が一辺に押し寄せて、ぐちゃぐちゃに心が掻き乱される。



「俺さ、あんたが好きだよ」



 囁かれた言葉に心臓が跳ねる。
 触れ合ったところから伝わるボリスの体温と日向みたいに柔らかい匂いに、どうしたらいいかわからなくなる。
 落ち着かないのに、安心する。
 つとボリスが顔を上げる気配を感じて、私はとっさに逆方向に顔を背けた。


「アリスが好き。アリスだけが俺の特別。アリスがいなかったら、とっても寂しくて、もう今までみたいに生きていけないよ。ずっとずっと傍にいてほしい。アリスは俺にとって、大事で特別な子。あんたは、俺だけのもの」


 優しく耳元で囁かれ、目頭がかあっと熱くなる。
 このまま泣き出して、みっともなくすがり付いても、きっとボリスは私を優しく抱きしめて笑っていてくれるんだろう。きっとこのまま身を任せても、ボリスは私を好きでいてくれる。
 そう思えるほど、温かな彼の思いやり。甘えを許してくれる、優しさ。


「だから本当は、あんたに隠し事とかされるの嫌だ。あんたを不安にさせるものなんて無理矢理でも聞きだして、全部消してやりたいけど・・・・・・・話すことでアリスがもっと苦しむなら、話してくれなくてもいいよ。何も聞かない。教えてくれるまで待つ」


 その代わり、言いたくなったらすぐに俺に話してね?
 そんな風におどけた調子で言いながら、背けたままの私の頬に軽くキスをして。
 思わず横目でうかがった彼は、とても柔らかで甘い笑みを浮かべていて。





「ねえ、アリス。忘れないで。何にも執着しないチェシャ猫のたったひとつの特別が、『アリス=リデル』だってこと」





 優しくて聡いこの猫は、いつだって自然に懐に入ってきて、いつの間にか心をほぐす。
 欲しがっている言葉をさらりと与えてくれる。
 踏み込んで欲しくない場所には距離を置いて、それでも心に直接触れることができるなんて、器用なマネをしてみせる。
 疲れても諦め悪くもがいて、いつまでたっても苦しく溺れている私を、こんなにも簡単にすくいあげてくれる。


「・・・・・・・・・アリス?・・・・・・・・・・どうしたの?何が悲しいの?」
「かな、しい・・・・・・?」
「泣いてる」


 するりと頬をなでられ、冷たく濡れた感触に、初めて泣いていることに気がついた。
 気がついた途端、目の前が歪んでぼろぼろと涙腺が壊れたみたいに生暖かい水が頬を伝わった。
 溢れるそれを止めようとしてみるけれど、ちっとも止まりはしない。口から小さな嗚咽が零れて、胸のあたりがぎゅうっと狭くなるような息苦しさが襲う。
 突然泣き出した私を、ボリスはぎゅっと抱きしめた。

「泣いてるあんたって、本当に可愛くてそそるけど・・・・・・・・どうせなら、俺のために泣いてほしいな」
「・・・・・ばっかじゃないの・・・・・・・!?」
「ひどっ!だってさあ、俺以外のことであんたが泣いているなんて許せないよ。あんたを泣かせる原因を今すぐ撃っちゃいたいけど、聞かないって言ったばかりだし・・・・・・・あ~あ、誠実で優しい恋人をちょっと目指してみたけど、俺にはあんまり向いてないみたい。やっぱり無理矢理聞き出したほうがよかったかなあ・・・・・・・」

 本当に肝心なところで鈍い。
 私を泣かせた原因なんて、たったひとつに決まっているのに。

 でも・・・・・・・そうね、わからないのも無理はないかもしれない。
 だって私だって、知っていたつもりで知らなかった。今日初めて、流しているこの涙の理由を知ったのだから。


「・・・・・・・・・きよ・・・・・・・・」
「え?」


 万人の“特別”になりたいわけじゃない。
 自分が“特別”な人間だなんて思っていない。
 それでも誰かの“特別”に、私はずっとなりたかった。

 そしてあなたは、私に“それ”をくれた、特別な人。



「わたしも・・・・・・・・・ボリスが、好き・・・・・・・・あいしてる・・・・・・・・」



 そう告げた瞬間、ぎゅっと腕の拘束が強まって。
 苦しいと伝えたかったけれど。
 すっげうれしい、なんて耳元で本当に嬉しそうに囁くから。
 私はもっと涙を流した。



 知っていたつもりだった。
 でも知らなかった。

 涙の理由は、悲しいときだけではないこと。

 嬉しいときも、泣けること。



こんな幸せはないでしょう



 嬉し涙を流せるくらいの幸せ、他に知らない。



88*31
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