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「ネオロマ」
遙かシリーズ

かくれんぼ(遙か3、将望)

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 足音が近づいてくるのを感じ、望美は息を飲む。
 確実に望美のいる方向へと向かっている気配に、心臓がドキドキと早鐘を打ち、両足を抱え込んだ手に少し冷や汗が浮かぶ。息を殺して茂みの中にそのまま身を隠していると、足音が彼女のすぐ背後の方でピタリと止まった。
 見つかりませんように。
 望美はひたすら心の中でそう願いつつ、すぐ近くまで迫る気配が立ち去ってくれることを祈った。

 その願いが通じたのか。

 再び足音がして、背後にある気配が離れていくのを感じた。
 すっかり音が聞こえなくなった頃、望美は止めていた息を吐き出し、ホッと安堵の顔を見せ・・・・・・・・


「望美、みっけ!」
「きゃああああああああああ!!!???」


 突然目の前から茂みをかき分けて現れた顔に、すっかり油断していた望美は思わず悲鳴をあげる。
 離れたと思わせて実は足音を消して回り込んできた将臣は、期待以上の望美の反応に腹を抱えて笑ったのだった。



かくれんぼ



 夏の熊野、勝浦のとある宿。
 熊野川の氾濫で足止めをくった一行は、長いことこの宿に泊まっている。本宮になかなか進めない現状に各々焦りはあったけれど、たまの気分転換も必要ということで、「遊ぼう」と言ってきた宿の幼い娘の誘いに応じることとなった九郎・弁慶・景時・望美はかくれんぼを始めた。
 最初はじゃんけんに負けた九郎がオニとなった。
 が、妙に隠れるのがうまい望美と弁慶に九郎が苦戦。そうこうしているうちに、他の八葉や朔、白龍も積極的に、あるいは強制的にかくれんぼに参加することになったため、もう一度仕切りなおしとなったのである。

 隠れている望美と弁慶に出てくるように告げ、12人という大人数で再開された、かくれんぼ。
 まず、望美たちに「降参だ」と告げたのがよっぽど悔しかったのか、九郎が自らオニになると名乗り出た。次にオニ1人で広い宿の中を11人も探すのは大変だという理由で、もう1人オニを追加することとなり、同じ青龍同士というこじつけのような理由で将臣が選ばれた。
 追加ルールで、宿の外に出てはいけないとか、特技を使っちゃダメとかを決めた後、源氏の兵が見たら目が飛び出すほど驚くこと間違いない、奇妙なメンバーによるかくれんぼは始まった。

 さて、そんな中、九郎を苦戦させた望美はと言えば。
 今回彼女が自信満々に隠れ場所に選んだのは、宿の中庭にある植え込みの中だった。

(宿の外に出てはいけないって言ってたけど、中庭は宿の敷地内だからルール違反じゃないよね。それにこんな暑い日に外で隠れてるなんてあんまり思わないだろうし・・・・・・ここだったら日陰だし、風通しもなかなかいいから長く隠れてても日射病とかにはならないでしょ!!)

 そんな考えからここに決めたのに。
 枝をあまり折ってバレてしまわないように、細心の注意を払って潜りこんだのに。

 開始から1分も経たないうちに、見つかるなんて。


「・・・・・・やっぱり、見つかったの私が1番?」
「だろうな。九郎は中を探してるけど、さすがにここまで早くは見つけてないだろうしな」
「もお~~~~~~なんでこんなに簡単に見つかっちゃうのかなあ」

 少しプライドを挫かれた気がして、望美はぷうっとむくれてみせる。
 からかうように「お前がわかりやすいんだよ」なんて将臣が言ってくるものだから、望美の機嫌はますます悪くなった。

「いいじゃねえか。あのままあそこにずっと隠れてたら、お前今頃虫さされだらけだったんじゃねえ?後でかゆいかゆいって騒ぐこと考えたら、こんなに早く見つけてもらってありがたいと思え」
「あ、言われてみれば確かに・・・・・・あそこに長くいたら、蚊にいっぱい刺されちゃってたかも・・・・・・って・・・・・ちっが~う!!」
「違くねえだろ」
「いや、そうかもしれないけど・・・・・・・違うの!!問題はそこじゃないの!!将臣くんに、こんなに早く見つけられちゃったことが悔しいのっ!!」

 全身でくやしいと表現しているかのような望美の態度に、将臣はますます笑う。
 その余裕な態度がさらに彼女の神経を逆なでした。

「くっ・・・・・・・将臣くん。次、もう1回勝負しようっ!!」
「はあ?まだやんのかよ」
「当たり前!!勝ち逃げなんて許さないから。今度は絶対、ぜええええええったいに見つからないんだから!!」

 強い視線で見上げてくる翡翠の瞳は、本気の決意を宿している。
 たかがかくれんぼだろとは思うけれど、相変わらずの負けず嫌いっぷりに望美らしさを感じて将臣は苦笑した。こうなった時の望美は、とことん付き合ってやらないと後が怖い。一度決めたことをそう簡単には変えない少女だから、こちらが折れてやるしかないのだ。

(ま、そういうところがこいつの長所なんだけどな。)

 そう心の中で苦笑して、将臣は望美をなだめるように頭を軽くポンポンと叩いてやった。また子供扱いしてと本人は怒っていたが、いつものことなので聞かなかったことにした。

「ま、やるにしてもとりあえず他の連中を見つけてからな。ヒノエとか弁慶、あとリズ先生は一筋縄じゃいかなそうだよな・・・・・・長引くんじゃねえ?」
「大丈夫。私も手伝うから」

 それは反則じゃねえのか?とも思ったけれど、やる気満々な望美の顔を見てしまうと何も言えなくなる。というか、何を言っても無駄だろうと将臣は思った。
 今、彼女の頭はさっさと全員見つけてもう一勝負して、将臣に対するリベンジをしようという思いでいっぱいだろうから。

「望美~」
「なに?」
「勝負してもいいけどさ。多分俺、またすぐにお前のこと見つけられると思うぜ?」

 スニーカーを脱いで、縁側にあがる望美にそう声をかける。


 ――望美の靴だけなかったから、庭に出たんだろうということがわかったんだということは、言わないでおこう。


「そんなのやってみなくちゃわかんないじゃない!!」

 途端に言い返してくる望美に続いて縁側にあがりながら、将臣は勝ち誇った笑みを浮かべてみせた。


 ――ずっと日焼けを気にしてたから、直射日光の当たるところにはいないだろうと思ったことは、言わないでおこう。


「バーカ。俺を甘く見んなよ。何年幼馴染やってると思ってんだ。望美の考えなんてお見通しなんだよ」
「うう・・・・・・・そんなに私、わかりやすいかなあ?」

 心配になってきたのか、望美が少しだけため息をこぼす。
 フォローの言葉はかけないで、将臣はもう一度望美の頭をなでた。


―――植え込みの枝に、いつもなでている薄紫の長い髪が絡んでいるのが見えたから、隠れ場所を特定できたことは、言わないでおこう。


「あ、そうだ!!やっぱり次は、私がオニやるよ!!だから将臣くん、次は隠れて」

 望美は急にパッと振り返り、嬉々とした表情で思いついたことを提案した。
 何だ、隠れるのは諦めたのかと不思議そうな表情を将臣が浮かべれば、望美は向日葵を思い出させるような明るい笑顔をみせた。


 ―――誰より先に見つけ出したくて、九郎に先に見つけてしまわれたくなくて、1番最初に探そうと決めていたことは、言わないでおこう。


「あのね、私も将臣くんのこと、きっとすぐ見つけられると思うんだ。だって、将臣くんが私をすぐ見つけられるのに、私は将臣くんをすぐに見つけられないなんてことになったら、不公平だと思うの。同じだけ幼馴染をやってるのに、そんなのおかしいでしょ?だから、次にかくれんぼやった時、1分以内に私が将臣くんを見つけられたら引き分けってことにしようよ!!ね、それでいいでしょ?」
「引き分けって・・・・・・ま、俺は別にどっちでもいいけどな」
「ホント?じゃ、それで決まり!!万が一できなかったら、見つけられるまで何度もやるつもりだから覚悟しててね?」
「はあっ!?おいおい、日が暮れちまうんじゃねえのか?」
「大丈夫!!私を信じなさい。すぐに見つけてみせるから」

 自信満々に言い切る望美がやたら眩しく見える。
 容赦のない夏の熊野の太陽のせいだろうか、それともどこまでも前向きで負けず嫌いな望美の持つ輝きのせいだろうか。
 その眩しさに照らされて、自分なんかすぐに見つけ出されてしまいそうだ。将臣はそう思って、小さく笑った。

「ま、それもいいかもな」

 小さく呟いた言葉は、望美には聞こえなかったらしく。
 翡翠の瞳が不思議そうにこちらを見つめ、首をかしげた。

「楽しみにしてるぜ、って言ったんだよ。お前が見つけてくれるの、待っててやるよ。お手並み拝見といこうか」
「望むところよ。覚悟しててね」

 そうと決まれば、さっさと他の人を見つけちゃおうと駆け出す望美の後をのんびりと追いながら、将臣はまだまだ日が高い、夏の快晴を見上げた。

「将臣く~~~ん!!ほら、早く行くよ!!」
「お~」

 見つけて、見つかって。
 すぐに互いを見つけてしまうから、すぐに終わってしまうかくれんぼ。
 でもそんなのも悪くない。

 ふと頭をよぎったそんな思いに、参ったなとでも言うように将臣は片手で青い髪を少しかき上げた。


 ―――俺自身の力で、すぐに見つけだして、この腕に抱きしめたいと願うのは、お前だけだということは、言わないでおこう。


 今はまだ、もう少し・・・・・・・言わないでおこう。





終わり
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